2017年を振り返って
 もうすぐ、2017年が終わります。今年は昨年に引き続き、個人的にはなかなか充実した年になったのではないかと思います。

 昨年末から始めた「怪奇幻想読書倶楽部 読書会」が本格的にスタートし、レギュラーメンバーも定着してきました。テーマ別読書会ということで、毎回テーマに関してはいろいろ考えているのですが、「夢と眠りの物語」(第4回)や「リドルストーリー」(第5回)あたりは、なかなかユニークなテーマだったのではないかと思います。
 幻想文学的なテーマに混ぜて「私の読書法」(第3回)とか「ブックガイドの誘惑」(第5回)なんてのも取り上げました。年末にやった「本の交換会」(第10回)や「年間ベストブック」(第11回)も好評だったようです。
 7月開催の第7回からは、テーマとして個人作家の特集を始めました。この路線はわりと好評で、ラヴクラフトやシャーリイ・ジャクスンの回はなかなか盛り上がりました。
 来年も、この作家特集は続けていきたいと思っています。取り上げたいと思っている作家は、エドガー・アラン・ポオ(一月予定)、ステファン・グラビンスキ、ディーノ・ブッツァーティ、ロード・ダンセイニ、レイ・ブラッドベリ、ロアルド・ダール、スタンリイ・エリンなど。

 読書に関していうと、この一年は読書会のテーマに合わせて、旧作の再読や読み残し的な読書が多かったな、という印象です。作家のまとめ読みをしたことで、ラヴクラフト、シャーリイ・ジャクスン、リチャード・マシスン、H・G・ウェルズといった作家像が新たになったという収穫もありました。
 個人的に一番の収穫だったのは、古典から現代ものまでの怪奇・ホラー作品をかなりの数読めたということでしょうか。ゴシック・ロマンスやモダンホラー系の長篇は、じっくり読んでみるとそれぞれの面白さがありました。
 ハヤカワ文庫の《モダンホラー・セレクション》に関しても、ほぼ読破できました。B級作品はたくさんあるものの、つまらなくて読めない…という作品がなかったのは、意外でしたね。

 結果的に、今年の新刊はまだ読めていないものが多いのですが、面白かったものに関して、言及しておきたいと思います。


 まず、日本作家から。



恐怖小説 キリカ ししりばの家
 『ぼぎわんが、来る』でファンになった澤村伊智の作品が、今年2冊ほど出ました。メタな趣向を使った『恐怖小説 キリカ』(講談社)、幽霊屋敷ものにひねりを加えた『ししりばの家』(角川書店)、2作とも水準以上の秀作でした。



奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い (角川ホラー文庫) ハラサキ (角川ホラー文庫) 迷い家
 今年度の日本ホラー小説大賞作品からは、木犀あこ『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』(角川ホラー文庫)、野城亮『ハラサキ』(角川ホラー文庫)、山吹静吽『迷い家』を読みました。
 異世界とサイコスリラーを合わせたかのような『ハラサキ』、不思議な道具を使った異界の屋敷探検が楽しい『迷い家』もなかなかですが、メタな趣向と登場する怪奇現象の新しさで、『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』が一番面白かったでしょうか。



わざと忌み家を建てて棲む 忌物堂鬼談 (講談社ノベルス) 魔邸
 三津田信三作品も、安定した作りで楽しませてもらいました。人工的な幽霊屋敷というテーマを扱った『わざと忌み家を建てて棲む』(中央公論新社)、所有するだけで祟られる「忌物(いぶつ)」をめぐる連作短篇集『忌物堂鬼談』(講談社ノベルス)、「神隠し」とミステリを組み合わせた『魔邸』(角川書店)もなかなかでした。



君と時計と嘘の塔 第一幕 (講談社タイガ) 君と時計と塔の雨 第二幕 (講談社タイガ) 君と時計と雨の雛 第三幕 (講談社タイガ) 君と時計と雛の嘘 第四幕 (講談社タイガ)
 タイムリープをテーマにした、綾崎隼《君と時計》4部作(講談社タイガ)は、ハラハラドキドキの連続で楽しませてもらいました。


 海外の翻訳ものもいろいろな秀作・傑作がたくさんありました。



約束 時間のないホテル (創元海外SF叢書) 深い穴に落ちてしまった 鏡の前のチェス盤 (古典新訳文庫) 引き潮 穢れの町 (アイアマンガー三部作2) (アイアマンガー三部作 2) 魔法にかかった男 (ブッツァーティ短篇集)
 まずは文学作品。
 イジー・クラトフヴィル『約束』(河出書房新社)は、監禁をテーマにしたサスペンスがとんでもない展開になってしまうという怪作。
 ウィル・ワイルズ『時間のないホテル』(東京創元社)は、エッシャー風のホテルで展開するモダンホラー的長篇でした。これは読書会でも話題になりましたが、前半が面白いという人と後半が面白いという人に分かれていましたね。
 イヴァン・レピラ『深い穴に落ちてしまった』(東京創元社)は、穴に落ちた兄弟をめぐる寓話で、なかなか考えさせられる作品でした。
 『鏡の前のチェス盤』(光文社古典新訳文庫)は、イタリアの異色作家ボンテンペッリのファンタジー長篇。「不思議の国のアリス」的な世界観で展開されるナンセンス作品でした。
 ロバート・ルイス・スティーヴンスン&ロイド・オズボーン『引き潮』(国書刊行会 2700円)は、オフビートな航海物語で、妙に心に残る作品でした。
 マリオ・レブレーロ『場所』(水声社)は、エンタメに富んだ不条理小説。
 話題になった、エドワード・ケアリー《アイアマンガー三部作》も評判に違わぬ傑作でした。
 ロマン・ギャリ『ペルーの鳥 死出の旅へ』(水声社)は、秀作が集められた短篇集。とくにジャンル小説というわけではないのですが《異色作家短篇集》に入ってもおかしくないテイストの作品集だと思います。
 年末から刊行の始まった、ブッツァーティ未訳短篇集の第一弾、『魔法にかかった男』(東宣出版)も非常にいい企画でした。



闇夜にさまよう女 最後の乗客 (マグノリアブックス) 魔女の棲む町 (マグノリアブックス) ダーク・マター (ハヤカワ文庫 NV ク 22-4) 誰がスティーヴィ・クライを造ったのか? (DALKEY ARCHIVE)
 エンタメ作品では、以下の作品に楽しませてもらいました。
 セルジュ・ブリュソロ『闇夜にさまよう女』(国書刊行会)は、凝りに凝ったサイコスリラー。ひっくり返しが好きな人には楽しめるのでは。
 マネル・ロウレイロ『最後の乗客』(マグノリアブックス)は、幽霊船テーマにひねりを加えた作品。
 トマス・オルディ・フーヴェルト『魔女の棲む町』は、超自然現象に対するアプローチが面白かったですね。
 ブレイク・クラウチ『ダーク・マター』(ハヤカワ文庫NV)は、パラレルワールドをテーマにしたSFサスペンス作品。
 《ドーキー・アーカイヴ》の新刊、マイクル・ビショップ『誰がスティーヴィ・クライを造ったのか?』(国書刊行会)は、ホラーがかったメタフィクションで、ブラック・ユーモアにあふれた秀作でした。



ドラゴン・ヴォランの部屋 (レ・ファニュ傑作選) (創元推理文庫) 人形 (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫) ぼくが死んだ日 (創元推理文庫) 夜の夢見の川 (12の奇妙な物語) (創元推理文庫) FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー(ele-king books) 時をとめた少女 (ハヤカワ文庫SF) ヒトラーの描いた薔薇 (ハヤカワ文庫SF) イヴのいないアダム (ベスター傑作選) (創元SF文庫)
 短篇集では、J・S・レ・ファニュの怪奇小説集『ドラゴン・ヴォランの部屋』(創元推理文庫 予価1080円)、、デュ・モーリアの初期作品を集めた、ダフネ・デュ・モーリア『人形 デュ・モーリア傑作集』(創元推理文庫)、ひねりの効いたゴースト・ストーリー集、キャンデス・フレミング『ぼくが死んだ日』(創元推理文庫 予価972円)など。
 アンソロジーでは、「奇妙な味」作品を集めた作品集である、中村融編『夜の夢見の川 12の奇妙な物語』(創元SF文庫)、菌類をテーマにしたユニークなアンソロジー、オーリン・グレイ/シルビア・モレノ編『ファンギ 菌類文学アンソロジー』(Pヴァイン)が面白かったです。
 SFでは、ロバート・F・ヤング『時をとめた少女』、ハーラン・エリスン『ヒトラーの描いた薔薇』(ハヤカワ文庫SF)、アルフレッド・ベスター『イヴのいないアダム』(創元SF文庫)などのベテラン勢の短篇集が、安心して楽しめる作品集でした。



魔術師の帝国《1 ゾシーク篇》 (ナイトランド叢書) 魔術師の帝国《2 ハイパーボリア篇》 (ナイトランド叢書) 魔女を焼き殺せ! (ナイトランド叢書2-6) 魔女王の血脈 (ナイトランド叢書2-7) ジョージおじさん〜十七人の奇怪な人々 (ナイトランド叢書)
 《ナイトランド叢書》(アトリエサード)は、クラーク・アシュトン・スミス『魔術師の帝国1、2』、オーガスト・ダーレス『ジョージおじさん 十七人の奇怪な人々』、A・メリット『魔女を焼き殺せ!』、サックス・ローマー『魔女王の血脈』が出ました。
 なかでは、ダーレスの手堅い怪奇小説集『ジョージおじさん』とメリットの怪奇スリラー『魔女を焼き殺せ!』が面白かったですね。



アンチクリストの誕生 (ちくま文庫) ワルプルギスの夜:マイリンク幻想小説集 永久パン 他一篇 火の書
 クラシック作品では、レオ・ペルッツ『アンチクリストの誕生』(ちくま文庫)、グスタフ・マイリンク『ワルプルギスの夜 マイリンク幻想小説集』(国書刊行会)、アレクサンドル・ベリャーエフ『永久パン 他一篇』(アルトアーツ)、ステファン・グラビンスキ『火の書』(国書刊行会)など。



怪談生活 江戸から現代まで、日常に潜む暗い影 (立東舎) バッドエンドの誘惑~なぜ人は厭な映画を観たいと思うのか~ (映画秘宝セレクション) 死の舞踏: 恐怖についての10章 (ちくま文庫) H・P・ラヴクラフト:世界と人生に抗って
 評論・エッセイでは、読んだものは少ないですが、以下のような本を面白く読みました。
 高原英理『怪談生活 江戸から現代まで、日常に潜む暗い影』(立東舎)は、江戸の怪談随筆をめぐるエッセイと著者の回想が入り混じったユニークな作品。
 真魚八重子『バッドエンドの誘惑 なぜ人は厭な映画を観たいと思うのか』(洋泉社)は、タイトル通り、バッドエンド映画の魅力について語った評論です。
 何度目かの復刊ですが、スティーヴン・キング『死の舞踏』(ちくま文庫)は、小説、ラジオ、テレビ、映画など多面的にホラー作品について語った評論集で、今でも読み応えがあります。新たについた序文や索引など、資料としても有用ですね。
 ミシェル・ウエルベック『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』(国書刊行会)は、客観性には欠けるものの、著者の筆致の面白さを楽しむタイプの評論といっていいでしょうか。個々のラヴクラフト作品のあらすじや評価について知りたい読者には、ちょっと方向性が違う本かもしれません。


 あと、コミック作品で記憶に残った作品です。



《完全版》サイコ工場 A(アルファ) (LEED Cafe comics) 《完全版》サイコ工場 Ω(オメガ) (LEED Cafe comics) 黄色い悪夢 (LEED CAFE COMICS) 本田鹿の子の本棚 暗黒文学少女篇 (LEED CAFE COMICS)
 今年は、リイド社の「リイドカフェコミックス」レーベル作品が非常に面白かったです。
 1990年代作品に増補改定を施したという、谷口トモオ『《完全版》サイコ工場 A(アルファ)』『《完全版》サイコ工場 Ω(オメガ)』は、強烈かつシャープなサイコホラー作品集でした。
 黄島点心『黄色い悪夢』は、絵柄がグロテスクなものも多いですが、奇想に富んだ作品揃いで楽しませてもらいました。蚊の視点から描いたホラーなんて初めてです。
 佐藤将『本田鹿の子の本棚 暗黒文学少女篇』は、お父さんが娘の本棚の小説を盗み読むという面白いコンセプトで楽しい作品でした。



BOX~箱の中に何かいる~(3)<完> (モーニング KC) 諸星大二郎劇場 第1集 雨の日はお化けがいるから (ビッグコミックススペシャル)
 諸星大二郎は、迷宮やゲームをテーマにした『BOX~箱の中に何かいる~』が3巻で完結。年末には、読み切りを集めた『諸星大二郎劇場 第1集 雨の日はお化けがいるから』(ビッグコミックススペシャル)も出て、こちらも安定した出来の作品集でした。



<たそがれの市 あの世お伽話 夢十夜 桜の森の満開の下 (岩波現代文庫) 夜長姫と耳男 (岩波現代文庫)
 近藤ようこは、このところぐんと評価が上がっている作家ですね。
 『夢十夜』(岩波書店)は、漱石の同名作品のコミカライズ化。復刊ものも何冊か出ました。坂口安吾原作の『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』(岩波現代文庫)、『帰る場所』『水の蛇』(ビームコミックス)。
 いちばん良かったのは、あの世とこの世の往還を描いた『たそがれの市 あの世お伽話』(角川書店)でしょうか。



狂気の山脈にて 1 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス) 狂気の山脈にて 2 ラヴクラフト傑作集【電子特典付き】 (ビームコミックス) 狂気の山脈にて 3 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス) 狂気の山脈にて 4 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス)
 近年、ラヴクラフトのコミカライズを精力的に進めている田辺剛の『狂気の山脈にて』(ビームコミックス)は、4巻で完結。これは今のところ、作者の最高傑作といっていいんじゃないでしょうか。



辺獄のシュヴェスタ(5) (ビッグコミックス) 辺獄のシュヴェスタ(6) (ビッグコミックス) キリング・アンド・ダイング
 竹良実『辺獄のシュヴェスタ』は六巻で完結。非常にハードな復讐物語でしたが、結末では感動が得られます。
 エイドリアン・トミネ『キリング・アンド・ダイング』(国書刊行会)は、じんわりとした感動がくるグラフィック・ノヴェル。



アマネ†ギムナジウム(1) (モーニング KC) 好奇心は女子高生を殺す 1 (サンデーうぇぶりSSC) 惑星クローゼット (1) (バーズコミックス) 銀河の死なない子供たちへ(上) (電撃コミックスNEXT) HOTEL R.I.P. 1 (秋田レディースコミックスデラックス) ことなかれ(1) (Nemuki+コミックス)
 連載中で追いかけ始めたのは、以下の作品です。
 古屋兎丸『アマネ†ギムナジウム』(モーニングKC)は、趣味で作った少年人形と学園が実体化するという作品。生徒の少年たちの青春模様と、学園の「作者」であるヒロインのメタな物語が組み合わさったユニークな作品です。
 高橋聖一『好奇心は女子高生を殺す』(サンデーうぇぶりSSC)は、女子高生のコンビが毎回不思議な目にあうというSFファンタジー。つばな『第七女子会彷徨』に似たテイストですが、あちらよりもシビアで苦い味わいです。
 つばな『惑星クローゼット』(バーズコミックス)は、眠るたびに他惑星に転送されてしまうというヒロインが主人公。そこで出会った少女とともに、その星の秘密を探っていくという冒険もの。
 施川ユウキ『銀河の死なない子供たちへ』(電撃コミックスNEXT)は、不死の子供たちが生命について学ぶという物語。長大な時間の流れがあっさりと表現されるのに驚きます。
 西倉新久『HOTEL R.I.P.』(秋田レディースコミックスデラックス)は、あの世とこの世の境にあるホテルで展開されるヒューマン・ストーリー。単純な人情話にならないところにバランスの良さを感じます。
 オガツカヅオ、星野茂樹『ことなかれ』(Nemuki+コミックス)は、都市伝説を調査する「ことなかれ課」の活躍を描いたオカルト連作ストーリーです。日常と非日常の境目の描写が上手いですね。



五佰年BOX(1) (イブニングコミックス) 五佰年BOX(2) (イブニングコミックス)
 今一番続きが楽しみなのが、宮尾行巳『五佰年(いほとせ)BOX』(イブニングコミックス)。
 隣人の家から見つかった奇妙な箱の中には、数百年前と思しい人々が生活する世界が入っていました。主人公は、箱の中で襲われている少女をとっさに助けてしまいますが、その結果、現実の歴史も変わっていたのです…。
 異色のパラレルワールド+歴史改変もの作品です。主人公は元の世界を取り戻そうとしますが、歴史が変わる条件もわからず、試行錯誤を繰り返すのです。2巻まで出ていますが、本当に物語の予測がつかず、続刊が楽しみです。


Mooncop
 最後に、洋書ですが、Tom Gauldのコミック『Mooncop』(Drawn & Quarterly Pubns)。
 タイトルは「月のお巡りさん」とでもいった感じでしょうか。過疎化する月の町で、孤独な生活を送る警官の物語です。だんだんと町の人々は地球に帰ってしまい、店もどんどんと機械化されていくなか、警官は…という物語。ブラッドベリ『火星年代記』を思わせるテイストで、しみじみとした味わいがあります。
 作者のTom Gauld(トム・ゴールド)は、旧約聖書のエピソードを元にしたグラフィック・ノヴェル『ゴリアテ』(パイインターナショナル)が紹介されています。
Mooncop2.jpg Mooncop1.jpg


 新年初めには、また記事を更新したいと思いますが、今年は一旦これで終了としたいと思います。一年間ありがとうございました。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

1月の気になる新刊と12月の新刊補遺
発売中  武田雅哉『中国飛翔文学誌 空を飛びたかった綺態な人たちにまつわる十五の夜噺』(人文書院 6696円)
12月26日刊 『別冊映画秘宝 鬱な映画』(洋泉社 予価1620円)
12月26日刊 トーマス・カリナン『ビガイルド 欲望のめざめ』(作品社 予価3024円)
1月6日刊 ジョイス・キャロル・オーツ『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』(河出文庫 予価1404円)
1月10日刊 パコ・ロカ『家』(小学館集英社プロダクション 予価3024円)
1月10日刊 メアリー・シェリー『マチルダ』(彩流社 予価2052円)
1月10日刊 朝里樹『日本現代怪異事典』(笠間書院 予価2376円)
1月12日刊 リリー・ブルックス=ダルトン『世界の終わりの天文台』(東京創元社 予価2376円)
1月12日刊 ジェームズ・ロバートソン『ギデオン・マック牧師の数奇な生涯』(東京創元社 予価3456円)
1月20日刊 イタロ・カルヴィーノ『木のぼり男爵』(白水Uブックス 予価1944円)
1月24日刊 アリ・ランド『善いミリー、悪いアニー』(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1080円)
1月27日刊 『ユリイカ2月号 特集クトゥルー神話』(青土社 1512円)[
1月29日刊 沖田瑞穂『怖い女 怪談、ホラー、都市伝説の女の神話学』(原書房 予価2484円)
1月31日刊 柳下毅一郎監修『J・G・バラード短編全集5』(東京創元社 予価3888円)
1月31日刊 C・デイリー・キング『タラント氏の事件簿 完全版』(創元推理文庫 予価1296円


 『中国飛翔文学誌 空を飛びたかった綺態な人たちにまつわる十五の夜噺』は、中国の飛行にかかわる伝承や逸話を古典の時代から現代まで扱ったという本。武田雅哉さんの著作は、毎回非常に面白いテーマを扱っていますが、これまた面白そうですね。値段がちょっとネックではありますが。

 トーマス・カリナン『ビガイルド 欲望のめざめ』は、ドン・シーゲル監督の映画『白い肌の異常な夜』の原作小説。リメイク映画版に合わせた翻訳出版のようです。映画はサスペンス映画として有名なものなので、原作も気になりますね。

 『家』は、スペインの漫画家パコ・ロカによるコミック作品。前作『皺』は「老い」や「認知症」をテーマに象徴的な表現を使った意欲的な作品だったので、こちらの作品も楽しみです。

 朝里樹『日本現代怪異事典』は、現代日本の怪異や都市伝説などを紹介する事典です。以前に同人誌版が出ていたのですが、予約が殺到していて全然買えませんでした。これは期待大です。

 創元社の新刊からは、二作品が気になる作品です。
 リリー・ブルックス=ダルトン『世界の終わりの天文台』は、人類滅亡のときを迎え、老学者が幼い少女と同居生活を始める…という物語。
 ジェームズ・ロバートソン『ギデオン・マック牧師の数奇な生涯』は「突然、悪魔に命を助けられたなど冒涜的な告白をし、失踪してしまった牧師。彼の手記に書かれた波瀾に満ちた生涯とは。スコットランド随一の作家によるブッカー賞候補作!」という内容です。

 アリ・ランド『善いミリー、悪いアニー』は、殺人鬼の母親を告発した娘が、母親の法廷に証人として立つ…という話らしいです。「異色のサイコ×法廷×学園ミステリ」ということで、気になる作品です。

 『ユリイカ2月号』の特集は「クトゥルー神話」。ラヴクラフトでなく「クトゥルー」というところがミソでしょうか。公開されている目次を転載しておきます。

目次予定*【対談】黒史郎×森瀬繚/稲生平太郎×高橋洋【創作】酉島伝法/高山羽根子/赤野工作/藤田祥平【論考/エッセイ】伊藤博明/大野英士/小森健太朗/田中千惠子/立原透耶/寺田幸弘/廣田龍平/大久保ゆう/西貝怜/逆卷しとね…

 『J・G・バラード短編全集5』は、シリーズ最終巻。これはいいシリーズでした。他のSF作家の短篇集も出してくれると嬉しいですね。例えばシオドア・スタージョンとか。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

12月の気になる新刊
12月4日刊 マーゴット・ベネット『過去からの声』(論創社 予価3240円)
12月4日刊 ダグラス・アダムス『ダーク・ジェントリー 全体論的探偵事務所』(河出文庫 予価994円)
12月6日刊 トマス・ピアース『小型哺乳類館』(早川書房 予価2160円)
12月6日刊 コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』(早川書房 予価2484円)
12月7日刊 C・S・ルイス『ナルニア国物語6 銀の椅子』(光文社古典新訳文庫)
12月11日刊 フェルディナント・フォン・シーラッハ『コリーニ事件』(創元推理文庫 予価778円)
12月13日刊 ディーノ・ブッツァーティ『魔法にかかった男』(東宣出版 予価2376円)
12月19日刊 サキ『四角い卵』(白水Uブックス 予価1620円)
12月20日刊 エドワード・ケアリー『肺都 アイアマンガー三部作3』(東京創元社 予価4104円)
12月20日刊 ドット・ハチソン『蝶のいた庭』(創元推理文庫 予価1296円)
12月25日刊 森瀬繚『クはクトゥルーのク CTHULHU CHRONICLES』(三才ブックス 予価2480円)
12月26日刊 『怪人 江戸川乱歩のコレクション』(新潮社 予価1728円)
12月27日刊 諸星大二郎『諸星大二郎劇場 第1集 雨の日はお化けがいるから』(ビッグコミックススペシャル 予価1550円)


 『ダーク・ジェントリー 全体論的探偵事務所』は、『銀河ヒッチハイク・ガイド』 で知られるダグラス・アダムスの傑作作品だそうです。気になりますね。

 トマス・ピアース『小型哺乳類館』は、アメリカの新鋭作家による短篇集。「息子が連れ帰ったクローン再生マンモスを裏庭で飼うことになった母親、夢の中にだけ存在する夫への愛を語る妻と動揺する現実の夫……突飛かつ壮大なスケールの想像力を通して、家族の拠り所を見つめ直す、新鋭のアメリカ人作家による笑えて泣ける十二の短篇。」とのことで、ちょっと奇想の入った作品集のようです。

 12月でイチオシはこれでしょうか。ディーノ・ブッツァーティ『魔法にかかった男』。紹介文を引用しておきます。「現代イタリア文学の奇才ブッツァーティ待望の未邦訳短篇集――初期から中期にかけて書かれた20作品を収録。1篇をのぞく19篇が初訳! 誰からも顧みられることのない孤独な人生を送った男が亡くなったとき、町は突如として夢幻的な祝祭の場に変貌し、彼は一転して世界の主役になる「勝利」、一匹の奇妙な動物が引き起こす破滅的な事態(カタストロフィ)「あるペットの恐るべき復讐」、謎めいた男に一生を通じて追いかけられる「個人的な付き添い」、美味しそうな不思議な匂いを放つリンゴに翻弄される画家の姿を描く「屋根裏部屋」……。現実と幻想が奇妙に入り混じった物語から、寓話風の物語、あるいはアイロニーやユーモアに味付けられたお話まで、バラエティに富んだ20篇。」
 東宣出版は、近年ブッツァーティの邦訳本を続けて出してくれていますね。ファンとしては感謝したいところです。

 サキの新訳シリーズももう第四弾です。『四角い卵』には、初期短篇集『ロシアのレジナルド』と没後編集の『四角い卵』を収録。他に、短篇・スケッチを追加収録。付録はサキの生涯と作品を概観したJ・W・ランバート「サキ選集序文」。挿絵はエドワード・ゴーリーです。

 話題を呼んだ、エドワード・ケアリーの《アイアマンガー三部作》の完結篇『肺都』が登場です。波乱万丈の物語の結末がどうなるのか気になります。

 森瀬繚『クはクトゥルーのク CTHULHU CHRONICLES』は、日本国内で発売された古今のクトゥルー神話作品1000作以上を解説したガイドブックとのこと。コミック・映画・ゲームなどもカバーしているとのことで、この分野のガイドブックの決定版になりそうな予感です。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

最近読んだ本

君と時計と嘘の塔 第一幕 (講談社タイガ) 君と時計と塔の雨 第二幕 (講談社タイガ) 君と時計と雨の雛 第三幕 (講談社タイガ) 君と時計と雛の嘘 第四幕 (講談社タイガ)
綾崎隼『君と時計と嘘の塔』(講談社タイガ)
 高校生の少年、綜士は、思いを寄せていた幼馴染の芹愛が死ぬという悪夢を見た直後に、あることに気がつきます。親友がいなくなっていたのです。しかも親友の存在を、自分以外の誰も覚えていないのです。
 『時計部』という部活で独自の研究を続ける先輩の千歳と、同級生雛美の助けを借り、綜士は、事態を打開しようと調査を開始しますが…。

 何度も同じ時間を繰り返すという、タイムリープを扱った作品です。このタイムリープの特徴は強制的であるところ。条件をクリアできないと、何度も過去に戻されてしまうのです。問題はタイムループを繰り返す度に、主人公の大切な人間が一人ずつ消えていくということ。初めは親友、そして次々に周りの人間が消えていってしまうのです。
 タイムリープというと、気軽に何度でも試行錯誤ができる…というイメージを抱きがちなのですが、この作品の場合、誰か大切な人が消えてしまうという点で、毎回、失敗はできないという深刻さをはらんでいます。
 物語の要請上、主人公は失敗を繰り返していくわけですが、事態がどんどんと悪化していく絶望感がすごいです。探偵役である千歳の活躍で、少しづつループの原因や対策が判明していくものの、何かが改善されても、別の何かが悪化してしまうので、なかなか前に進むことができません。
 4部作になっていますが、それぞれの巻末の引きが強烈で、特に3巻の巻末では最大級の困難が発生します。結末が多少あっさりしている感はあるのですが、それまではハラハラドキドキの連続で、非常に面白い作品だと言えます。



4336025827狼男(ウルフ)卿の秘密 (ドラキュラ叢書)
E・フィルポッツ 桂千穂
国書刊行会 1976-11

by G-Tools

イーデン・フィルポッツ『狼男卿の秘密』(桂千穂訳 国書刊行会)
 芸術家気質の青年ウィリアムは、父親の死により、ウルフ卿として爵位を継ぐことになります。管理人として呼び寄せた親友、同じ気質を持つ従兄弟、忠実な従僕、相思相愛の婚約者に囲まれ、幸せな生活を送っているかに見えたウィリアムでしたが、ある屋敷の中で見つけた古文書を見たことから、その生活に影が差すことになります。
 古文書に書かれた詩によれば、ウルフ家の末裔には、人狼の血が流れており、破滅が予言されているというのです。予言を信じるウィリアムは、徐々に内向的になっていきます。時を同じくして、ウィリアムの周りで、狼の仕業としか思えない事件が頻発するようになりますが…。

 前半は、自然に囲まれた屋敷を舞台に、主人公とその友人たちとの交流が丁寧に描かれていきます。神秘主義的な傾向を持つ主人公ウィリアムが、自分が人狼になるのではないかという恐れに取りつかれ、それと同時に、周りで不可解な事件が起き始めます。
 だんだんと怪奇ムードが高まっていき、とうとう人狼の出現か! というところで、読者はびっくりするのではないでしょうか。というのも、この作品、怪奇小説かと思っていると、最後に合理的に謎が解き明かされてしまうのです。ジャンルで言うとミステリなのですね。
 怪奇小説の古典を集めた《ドラキュラ叢書》に収められた作品だけに、純粋な怪奇ものとして読んでいく読者も多いと思うのですが、それがために、後半の謎解きが始まると、逆にびっくりしてしまうと思います。
 最後まで怪奇小説で行ってほしかったという感じはしますが、作品全体の雰囲気は上質で、味わいのある作品です。



shadow.jpg
シャドウアイズ (創元ノヴェルズ)
キャスリン プタセク 中原 尚哉
東京創元社 1989-10

by G-Tools

キャスリン・プタセク『シャドウアイズ』(中原尚哉訳 創元ノヴェルズ)
 ニューメキシコの山の中で、複数の人間が無残に殺されます。たびたび起こる殺人事件は、その規模と惨状から考えても人間の仕業ではありませんでした。
 インディアンの末裔であり、シャーマンの能力を持つ青年チャトは、犯人はインディアンに伝わる怪物だと確信し、それを止めるために調査を開始しますが…。

 インディアンに伝わる怪物という、ユニークなテーマのホラー作品です。この怪物の攻撃能力がすさまじく、複数の人間をあっという間にバラバラにしてしまうのです。
 最初はこの怪物を利用しようとする勢力が現れるのですが、やがて彼らの手には負えなくなり、ついに主人公が登場するという形になります。
 主人公は、子供の頃から部族のシャーマンとしてその能力を発揮していたものの、部落を離れ、大学教授になったものの、職を辞して放浪している、というプロフィールの人物。
 先住民のシャーマンの能力と西洋的な思想を同時に持つ人物という、なかなか興味深い設定なのですが、特別それが活かされたりしないところは、もったいないですね。
 主人公の恋人役として、インテリの記者の女性が登場するのですが、後半になってから突然このヒロインが退場して、別のヒロインが登場するのには驚きました。
 怪物ホラーとしては、エキゾチックな題材を使っており、なかなかユニークではあるのですが、お話自体の作りがかなり大雑把なのが気になります。ただ怪物の造形とその描写には生彩があります。作品の読みやすさを含め、B級の水準作という感じでしょうか。



4800312213世にも不思議な怪奇ドラマの世界
山本 弘 尾之上 浩司
洋泉社 2017-04-05

by G-Tools

山本弘著、尾之上浩司監修『世にも不思議な怪奇ドラマの世界』(洋泉社)
 アメリカのオムニバスドラマシリーズ『ミステリー・ゾーン』と『世にも不思議な物語』を解説したガイドブックです。
 『世にも不思議な物語』の方に関しては、あまり観ていないので何ともいえませんが、『ミステリー・ゾーン』に関しては、ファンとしてこれを待っていた!という感じの本です。
 それぞれのエピソードを詳しく解説し、エピソードによっては、内容に関する考察や関わった関係者の情報が載っていたりと、いたせりつくせりのガイドブックです。これからは『ミステリー・ゾーン』に関しては、この本が基本図書になるのではないでしょうか。 『新トワイライトゾーン』の方も、こんな感じのガイドブックがあるといいのですが。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

11月の気になる新刊
11月7日刊 ウィリアム・ゴールディング『後継者たち』(ハヤカワepi文庫 予価994円)
11月7日刊 エイミー・ジェントリー『消えたはずの、』(ハヤカワ文庫NV 予価1058円)
11月7日刊 ケイティ・カーン『君の彼方、見えない星』(ハヤカワ文庫SF 予価994円)
11月7日刊 香山滋『海鰻荘奇談』(河出文庫 予価950円)
11月11日刊 東雅夫編『山怪実話大全 岳人奇談傑作選』(山と渓谷社 予価1296円)
11月15日刊 H・P・ラヴクラフト『クトゥルーの呼び声』(星海社 予価1512円)
11月21日刊 フィリップ・K・ディック『シミュラクラ 新訳版』(ハヤカワ文庫SF 予価1058円)
11月22日刊 A・E・W・メースン『矢の家 新版』(創元推理文庫 予価1080円)
11月22日刊 マイクル・ビショップ『誰がスティーヴィ・クライを造ったのか?』(国書刊行会 予価2808円)
11月24日刊 ミシェル・ウエルベック『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』(国書刊行会 予価2052円)
11月24日刊 ジョージ・A・ロメロ他『NIGHTS OF THE LIVING DEAD ナイツ・オブ・ザ・リビングデッド 死者の章』(竹書房文庫 予価810円)
11月24日刊 ジョージ・A・ロメロ他『NIGHTS OF THE LIVING DEAD ナイツ・オブ・ザ・リビングデッド 生者の章』(竹書房文庫 予価810円)
11月24日 エセル・M・マンロー/サキ『サキの思い出 付 サキ短篇選』(彩流社 予価2160円)
11月29日刊 星新一『進化した猿たち The Best』(新潮文庫)
11月30日刊 ソフィア・サマター『図書館島』(東京創元社 予価3132円)
11月30日刊 アルフレッド・ベスター『イヴのいないアダム ベスター傑作選』(創元SF文庫 予価1188円)[amazon]


H・P・ラヴクラフト『クトゥルーの呼び声』は、ラヴクラフト作品の新訳になる短篇集。収録作品は以下の通り。
「ダゴン」
「神殿」
「マーティンズ・ビーチの恐怖」
「クトゥルーの呼び声」
「墳丘」
「インスマスを覆う影」
「永劫より出でて」
「挫傷」(H・S・ホワイトヘッド作)
ラヴクラフト作品の新訳は、ずいぶん久しぶりではないでしょうか。これは楽しみですね。

ミシェル・ウエルベック『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』は、作家として知られる著者のデビュー作だそうですが、なんとラヴクラフトの伝記というか評論みたいな本のようです。これは気になりますね。

《ドーキー・アーカイヴ》の続刊は一年ぶりぐらいでしょうか。マイクル・ビショップ『誰がスティーヴィ・クライを造ったのか?』は、メタホラーの傑作として日本でも名前が知られていた作品です。これは楽しみ。

ジョージ・A・ロメロ他『NIGHTS OF THE LIVING DEAD ナイツ・オブ・ザ・リビングデッド』は、ロメロ監督『ナイツ・オブ・ザ・リビングデッド』に触発された作品を集めたテーマ・アンソロジーのようです。収録作品が公開されていました。

『死者の章』
序説:ナイト・オブ・ザ・リビングデッド/ジョージ・A・ロメロ
まえがき 〜朽ちかけた映画館での奇妙な少年の回想〜/ジョナサン・メイベリー
デッドマンズ・カーブ/ジョー・R・ランズデール
スーという名のデッドガール/クレイグ・E・イングラー
ファスト・エントリー/ジェイ・ボナンジンガ
この静かなる大地の下に/マイク・ケアリー
ジミー・ジェイ・バクスターの最後で最高の日/ジョン・スキップ
身元不明遺体/ジョージ・A・ロメロ
安楽死/ライアン・ブラウン
軌道消滅/デヴィッド・ウェリントン
乱杭歯/マックス・ブラリア
灼熱の日々/キャリー・ライアン

『生者の章』
その翌日/ジョン・A・ルッソ
卓上の少女/アイザック・マリオン
ウィリアムソンの愚行/デイヴィッド・J・スカウ
動物園の一日/ミラ・グラント
発見されたノート/ブライアン・キーン
全力疾走/チャック・ウェンディグ
孤高のガンマン/ジョナサン・メイベリー
現場からの中継/キース・R・A・ディカンディード
死線を越えて/ニール&ブレンダン・シャスターマン
ジョージ・A・ロメロへの追悼文

 星新一『進化した猿たち The Best』は、かって新潮文庫から出ていた同名書籍のベスト版のようですね。外国の一コマ漫画について語ったエッセイ集で、読んでいていろんなアイディアの浮かんでくるような面白さにあふれています。

 アルフレッド・ベスター『イヴのいないアダム ベスター傑作選』は、以前に河出書房から出た『願い星、叶い星』の増補新版。新訳2編を増補しているとのことです。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

10月の気になる新刊
10月5日刊 レオ・ペルッツ『アンチクリストの誕生』(ちくま文庫 予価972円)
10月5日刊 J・P・ディレイニー『冷たい家』(ハヤカワ・ミステリ 予価1944円)
10月5日刊 W・ブルース・キャメロン『真夜中の閃光』(ハヤカワ文庫NV 予価1188円)
10月5日刊 ブレイク・クラウチ『ダーク・マター』(ハヤカワ文庫NV 予価1188円)
10月5日刊 鹿島茂『フランス絵本の世界』(青幻舎 予価3456円)
10月12日刊 エドワード・ゴーリー『思い出した訪問』(河出書房新社 予価1296円)
10月14日刊 C・S・ルイス『新訳 ナルニア国物語1 ライオンと魔女と洋服だんす』(角川つばさ文庫 予価713円)
10月16日刊 グスタフ・マイリンク『ワルプルギスの夜 マイリンク幻想小説集』(国書刊行会 予価4968円)
10月18日刊 J・L・ボルヘス『語るボルヘス 書物・不死性・時間ほか』(岩波文庫 予価626円)
10月18日刊 近藤ようこ(坂口安吾原作) 『桜の森の満開の下』(岩波現代文庫 864円)
10月18日刊 近藤ようこ(坂口安吾原作) 『夜長姫と耳男』(岩波現代文庫 1058円)
10月19日刊 クリストファー・プリースト『隣接界』(新ハヤカワSFシリーズ 予価2700円)
10月19日刊 フィリップ・K・ディック『銀河の壺直し 新訳版』(ハヤカワ文庫SF 予価886円)
10月19日刊 A・G・リドル『タイタン・プロジェクト』(ハヤカワ文庫SF 予価1123円)
10月21日刊 フランシス・ハーディング『嘘の木』(東京創元社 予価3240円)
10月25日刊 ジン・フィリップス『夜の動物園』(角川文庫 予価1166円)
10月25日刊 エセル・M・マンロー/サキ『サキの思い出 付サキ短篇選』(彩流社 予価2160円)
10月27日刊 山口雅也編『奇想天外 復刻版 アンソロジー』(南雲堂 予価1944円)
10月27日刊 山口雅也編『奇想天外 21世紀版 アンソロジー』(南雲堂 予価2160円)
10月27日刊 田中貢太郎『日本怪談実話(全)』(河出書房新社 予価1944円)
10月27日刊 『ユリイカ 11月号 特集スティーヴン・キング』(青土社 予価1512円)
10月29日刊 G・K・チェスタトン『ポンド氏の逆説 新訳版』(創元推理文庫 予価886円)


 10月の目玉はやはり、レオ・ペルッツ『アンチクリストの誕生』(ちくま文庫)と、グスタフ・マイリンク『ワルプルギスの夜 マイリンク幻想小説集』(国書刊行会)でしょうか。

 レオ・ペルッツ『アンチクリストの誕生』は、幻想的な歴史小説で知られる著者の初の邦訳短篇集。8編を収録とのこと。訳者の垂野創一郎さんが出していた私家版の短篇もいくつか収録されているようです。表題作『アンチクリストの誕生』は、サスペンス味たっぷりの歴史ロマン。以前に書いたレビューを載せておきます。
http://kimyo.blog50.fc2.com/blog-entry-564.html

 グスタフ・マイリンク『ワルプルギスの夜 マイリンク幻想小説集』は、ドイツ幻想小説の大家マイリンクの幻想小説集です。収録作は全て本邦初訳。『白いドミニコ僧』『ワルプルギスの夜』の2長篇小説のほか、短篇8編とエッセイ5編を収録だとのことです。

 『サキの思い出』は、サキの姉によるサキの評伝。こんなものまで訳されるとはびっくりです。短篇もいくつか収録されるようですね。

 南雲堂から刊行予定の『奇想天外 復刻版 アンソロジー』『奇想天外 21世紀版 アンソロジー』は、かって刊行されていたSF雑誌「奇想天外」のアンソロジー。実際に刊行されたバックナンバーからのアンソロジーと、現代でこの雑誌が刊行されたなら…というコンセプトで編まれた21世紀版アンソロジーの2冊となっています。
 収録内容が既に公開されていますが、それぞれ、小説、翻訳、評論、コラムとバラエティに富んだ内容ですね。翻訳ものだけでいえば、『復刻版』では、H・F・エリス、ロッド・サーリング、エヴァン・ハンター、ヘンリー・カットナー、オーガスト・ダーレス&マック・レナルズ、フィリップ・ホセ・ファーマー、『21世紀版』では、アーサー・モリソン、ウィリアム・トレヴァー、アントニイ・バークリー、カミ、ボブ・ショウなどの名前が挙がっています。これは面白そう。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

『ゴッド・プロジェクト』と『レリック』を読む
4167275287ゴッド・プロジェクト (文春文庫 (275‐28))
J・ソール 田中 靖
文藝春秋 1984-10

by G-Tools

ジョン・ソール『ゴッド・プロジェクト』(田中靖訳 文春文庫)

 コンピュータを生業とするキャリアウーマン、サリーは、夫のスティーヴとの間に二人の子どもにも恵まれ、仕事も私生活も充実した生活を送っていました。しかし、生まれたばかりの娘ジュリーが、ある日突然死んでしまいます。医者は「乳児突然死症候群」であり、親の責任ではないと話しますが、サリーは自分を責め続けます。
 周囲に、同じく娘を突然死で無くした母親が何人もいることに気付いたサリーは、ジュリーの死も何か共通した原因があるのではないかと考え、調査を始めます。
 一方、問題児ではあるものの、健康優良児として知られる少年ランディは、見知らぬ女に誘われ、子どもが集められた研究機関のような場所に監禁されてしまいます。
 サリーは、ランディの母親ルーシイとともに調査を続けますが、やがて浮かび上がってきた事実は意外なものでした。サリーの息子ジェイソン、娘のジュリー、そしてランディは、ある機関によって生後間もない時期から密かに調査の対象になっていたのです。そしてそれらの子どもは、ある特定の医師によって取り上げられた子どもたちでした…。

 秘密機関によって調査されていた子どもたちの恐るべき秘密が明かされる…といった感じのSFホラーです。
 物語の大枠としては、娘の突然死の原因を追及しようとするサリーと、行方不明になった息子を捜すルーシイとの、二人の母親のパートがメインとなっています。そしてその間に、誘拐された少年ランディ、サリーの息子ジェイソン、サリーの担当医ワイズマン、研究機関CHILDの研究者などが、カットバックで描かれていきます。
 リーダビリティは非常に高いです。同時並行で各パートが描かれるのですが、謎の研究機関の思惑は何なのか? 複数のパートはどこまで関連しているのか? といった面がなかなか判明しません。赤ん坊の突然死、子どもの誘拐、研究機関の動きなど、多様な要素で読者の興味を引っ張ります。
 特に、ランディが監禁される少年たちの「学校」のパートは、インパクト大です。その場所では、ランディと同じような少年たちが集められており、ある程度の規律さえ守れば、少年たちの遊びは完全に自由であり、危険な行為や暴力的な行為さえ許されています。無邪気に遊ぶ子どもたちの行動はエスカレートしてゆき、やがて惨事にまで至ってしまうのです。

 子どもたちは何のために監視されているのか? 彼らには何か特殊な能力があるのか? という陰謀の謎は、早い段階で読者にはわかってしまうと思います。ただ、その謎がわかった後でも、別の面での興味が新たに浮かび上がってきます。
 作品中に登場する子どもたちは、肉体的にどこか異常があることに加え、内面もまた、倫理的に麻痺したような面を持っています。これらの子どもたちがどうなるのか? 何を引き起こすのか? といった面で、物語がどうなるのか予断を許さないのです。
 ラストを含め、非常に後味の悪い話なのですが、いろいろな要素の詰まった作品であり、一読の価値がある作品ではないでしょうか。



4594022448レリック〈上〉 (扶桑社ミステリー)
ダグラス プレストン リンカーン チャイルド Douglas Preston
扶桑社 1997-05

by G-Tools

ダグラス・プレストン/リンカーン・チャイルド『レリック』(尾之上浩司訳 扶桑社ミステリー)

 アマゾンの奥地で、謎の種族コソガを調査していた探検隊は不可解な原因で死を遂げていました。
 そして現在、数千人の職員を擁するニューヨーク自然史博物館の内部で、少年二人が惨殺死体で発見されます。引き裂かれた死体の頭部には、何者かが脳の一部を食べたと思われる跡がありました。その後も職員の殺害は続き、博物館の内部に殺人鬼が潜んでいることが確実になります。
 FBI捜査官ペンダーガストとニューヨーク市警察のダガスタ警部補は協力して捜査に当たることになりますが、近々行われる大掛かりな展覧会を前に、館長ライトやその取り巻きたちは、調査に協力的ではありません。
 一方、大学院生のマーゴは、師であるフロック博士とともに独自の調査を開始しますが、そこでわかったのは、殺人を繰り返している何者かは人間ではないということでした。殺人鬼の正体は、コソガ族が崇拝していたという、謎の生物「ンヴーン」なのだろうか…?

 巨大な博物館内部に潜む殺人鬼、しかもそれは人間ではなく、アマゾンの奥地からやってきた謎の生物だった…という伝奇ホラー的な作品です。
 前半は、殺人を繰り返す怪物の正体について、主人公たちが調査を重ねていく様子が描かれます。学者が集まっているという博物館だけに、いちおう学問的なアプローチが進められていくことになります。コンピュータで怪物の正体を解析していくあたりは、ハイテクスリラーっぽいですね。
 後半、怪物が正面きって現れてからは、スペクタクル満開で面白くなります。誤ってセキュリティが破壊され、人々も分散して逃げるなか、どこから怪物が襲ってくるかわからないというシチュエーションは魅力的ですね。
 この怪物が強力で、骨が硬すぎて拳銃も貫通しないという強靭さ。どうやって勝つんだろうと思っていたら、意外にあっさりと決着がついてしまうのには驚きました。
 題材はB級ながら、なかなか面白い作品なのですが、やはり、後半の怪物との対決までの間がかなり長いので、そこまでに退屈してしまう人もいるかもしれません。
 ただ、謎の生物「ンヴーン」の正体にひとひねりが加えられているのには感心しました。


※今回取り上げた2冊は、Greenさんの好意でお貸しいただいた本です。面白い作品を読む機会をいただき、ありがとうございました。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

9月の気になる新刊と8月の新刊補遺
8月26日刊 本の雑誌編集部編『別冊本の雑誌 古典名作本の雑誌』(本の雑誌社 予価1728円)
8月28日発売 『ナイトランド・クォータリーvol.10 逢魔が刻の狩人』(アトリエサード 予価1836円)
8月29日刊 ポール・ウィリアムズ『フィリップ・K・ディックの世界』(河出書房新社 予価3024円)
9月4日刊 『月岡芳年 月百姿』(青幻舎 予価2484円)
9月6日刊 小酒井不木『疑問の黒枠』(河出文庫 予価864円)
9月6日刊 鼓直編『ラテンアメリカ怪談集 新装版』(河出文庫 予価842円)
9月6日刊 スティーヴン・キング『死の舞踏』(ちくま文庫 予価1620円)
9月8日刊 C・S・ルイス『ナルニア国物語5 ドーン・トレッダー号の航海』(光文社古典新訳文庫)
9月11日刊 レイ・ヴクサヴィッチ『月の部屋で会いましょう』(創元SF文庫 予価1188円)
9月12日刊 日下実男『絵ときSF もしもの世界 復刻版』(復刊ドットコム 予価3996円
9月20日刊 アメリア・グレイ『AM/PM』(河出書房新社 予価1728円)
9月21日刊 フィリップ・K・ディック『去年を待ちながら 新訳版』(ハヤカワ文庫SF 予価1123円)
9月21日刊 G・K・チェスタトン『ブラウン神父の醜聞 新版』(創元推理文庫 予価799円)
9月23日刊 木犀あこ『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』(角川ホラー文庫 予価562円)
9月23日刊 名梁和泉『二階の王』(角川ホラー文庫 予価821円)
9月25日刊 『ミステリマガジン11月号 幻想と怪奇 ノベル×コミック×ムービー』(早川書房 1296円)
9月29日刊 柳下毅一郎監修『J・G・バラード短編全集4』(東京創元社 予価3888円)

9月下旬発売 創元推理文庫・SF文庫 復刊フェア
ウィリアム・アイリッシュ『黒いカーテン』
F・W・クロフツ『チョールフォント荘の恐怖』
エリザベス・フェラーズ『猿来たりなば』
マーガレット・ミラー『殺す風』
ルース・レンデル『死が二人を別つまで』
中野善夫・吉村満美子編訳『怪奇礼讃』
平井呈一『真夜中の檻』
ロバート・A・ハインライン『宇宙の呼び声』
エドガー・R・バローズ『時間に忘れられた国』
ジェイムズ・P・ホーガン『仮想空間計画』


 『ナイトランド・クォータリー』最新号は、ゴースト・ハンターものの特集。翻訳は、グリン・オーウェン・バーラス、カイトリン・R・キアナン、アラン・バクスター、H・S・ホワイトヘッド、キム・ニューマン、シーベリー・クインらの作品を収録とのこと。

 鼓直編『ラテンアメリカ怪談集 新装版』は、1990年代初めに出ていた河出文庫の怪談集シリーズ、ラテンアメリカ編の新装版。「怪談」というよりは、奇想にあふれた異色短篇集といった趣のアンソロジーで、何より「お話」が面白いのが魅力です。
 収録作品を挙げておきます。

レオポルド・ルゴネス『火の雨』
オラシオ・キローガ『彼方で』
ホルヘ・ルイス・ボルヘス『円環の廃墟』
M・A・アストゥリアス『リダ・サルの鏡』
シルビナ・オカンポ『ポルフィリア・ベルナルの日記』
マヌエル・ムヒカ=ライネス『吸血鬼』
エンリケ・アンデルソン=インベル『魔法の書』
ホセ・レサマ=リマ『断頭遊戯』
フリオ・コルタサル『奪われた屋敷』
オクタビオ・パス『波と暮らして』
アドルフォ・ビオイ=カサレス『大空の陰謀』
アウグスト・モンテローソ『ミスター・テイラー』
エクトル・アドルフォ・ムレーナ『騎兵大佐』
カルロス・フェンテス『トラクトカツィネ』
フリオ・ラモン・リベイロ『ジャカランダ』

 この怪談集シリーズ、他にいろいろな国のものがあり、どれも特色のあるアンソロジーでした。このシリーズについては、昔書いた簡単な紹介を載せておきます。

「怪談集」とはいうけれど…  -河出文庫『怪談集』シリーズ-

 スティーヴン・キング『死の舞踏』は、キングが影響を受けたホラー作品について語った大部の評論書。小説作品だけでなく、ラジオドラマやテレビ、映画などへの言及が非常に多いのが特徴ですね。
 何度か復刊されていますが、今回は「2010年版へのまえがき」が新たに付くとのことです。

 木犀あこ『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』は、第24回日本ホラー小説大賞・優秀賞受賞作品。「新人ホラー作家の熊野惣介は、毒舌担当編集者・善知鳥と小説のネタ探しのため心霊スポットを巡るなかで、奇妙な音を出す霊と遭遇し――。霊の見える作家と見えない編集者が「究極のホラー小説」を目指す!」という話だそうで、気になる作品です。

 名梁和泉『二階の王』は、引きこもりをめぐる家庭内の不和が世界の危機につながっていくという、何とも奇妙なテーマの作品で、なかなか面白い作品でした。2015年度刊行作品の文庫化ですが、オススメしておきます。

 今年も、創元推理文庫・SF文庫の復刊フェアの季節になりました。お勧めは、中野善夫・吉村満美子編訳『怪奇礼讃』と平井呈一『真夜中の檻』でしょうか。
 『怪奇礼讃』は、クラシカルなゴースト・ストーリーのアンソロジー。この本でしか読めない作品が多数収録されています。
 『真夜中の檻』は、怪奇小説の名訳者、平井呈一の創作とエッセイを集めた本です。『怪奇小説傑作集』の愛読者だった人なら、必読でしょう。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

8月の気になる新刊
8月7日刊 『月岡芳年 妖怪百物語』(青幻舎 予価2484円)
8月8日刊 ヴァレリー・シュール=エルメル『幻想版画 ゴヤからルドンまでの奇怪コレクション』(グラフィック社 予価3024円)
8月8日刊 コードウェイナー・スミス『三惑星の探求 人類補完機構全短篇3』(ハヤカワ文庫SF 予価1512円)
8月8日刊 アン・モーガン『わたしはヘレン』(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1361円)
8月8日刊 『日本SF傑作選1 筒井康隆 マグロマル/トラブル』(ハヤカワ文庫JA 予価1620円)
8月8日刊 澁澤龍彦『バビロンの架空園』(河出文庫 予価950円)
8月9日刊 A・メリット『魔女を焼き殺せ!』(アトリエサード 予価2484円)
8月10日刊 ロバート・ルイス・スティーヴンスン&ロイド・オズボーン『引き潮』(国書刊行会 2700円)
8月10日刊 ジュール・ヴェルヌ『蒸気で動く家』(インスクリプト 予価5940円)
8月12日刊 東雅夫編『文豪妖怪名作選』(創元推理文庫 予価929円)
8月22日刊 アンドルー・ラング『夢と幽霊の書』(作品社 予価2592円)
8月22日刊 小泉喜美子『殺さずにはいられない 小泉喜美子傑作短篇集』(中公文庫 予価886円)
8月25日刊 ステファン・グラビンスキ『火の書』(国書刊行会 予価2916円)
8月25日刊 セルジュ・ブリュソロ『闇夜にさまよう女』(国書刊行会 予価2700円)
8月31日刊 ヘレン・マクロイ『月明かりの男』(創元推理文庫 予価1080円)
8月31日刊 ジョー・ウォルトン『わたしの本当の子どもたち』(創元SF文庫 予価1404円)
8月31日刊 中村融編訳『猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる』(竹書房文庫 予価1188円)
8月下旬刊 『月岡芳年 月百姿』(青幻舎 予価2484円)


 ヴァレリー・シュール=エルメル『幻想版画 ゴヤからルドンまでの奇怪コレクション』は、無気味で幻想的な版画を集めた画集。これは面白そうです。

 《ナイトランド叢書》の新刊は、エイブラム・メリットの『魔女を焼き殺せ!』。1960年代に邦訳が出たものの、稀書になっていた作品なので、新訳刊行は嬉しいですね。
 メリットは、20世紀初頭に活躍したアメリカの作家。『イシュタルの船』『蜃気楼の戦士』など、秘境や異世界を舞台にしたヒロイック・ファンタジーで名をなした作家です。
 『魔女を焼き殺せ!』は、ファンタジーではなく現代ホラー作品のようですが、名作の評価も高いので、読むのが楽しみです。

 『引き潮』は、スティーヴンソンと義理の息子ロイド・オズボーンの合作になる海洋冒険小説。この親子の合作では、過去に『箱ちがい』『難破船』が邦訳されていますが、どちらも非常に面白かったので、こちらの作品も期待大ですね。

 8月の新刊で、イチオシはやはりこれです。ステファン・グラビンスキの怪奇幻想作品集第3弾である『火の書』。〈火〉 をテーマとする短篇小説と、自伝的エッセイ、インタビューを収録とのことです。版元のページでは内容が既に紹介されていますので、転載させていただきます。

赤いマグダ
白いメガネザル
四大精霊の復讐
火事場
花火師
ゲブルたち
煉獄の魂の博物館
炎の結婚式
有毒ガス

[エッセイ]
私の仕事場から
告白

[インタビュー]
ステファン・グラビンスキとの三つの対話
一九二七年/一九三〇年/一九三一年

 セルジュ・ブリュソロは、児童向け作品がいくつか訳されている作家ですが、『闇夜にさまよう女』は、あらすじを見る限り、ちょっと面白そうな作品です。「頭に銃弾を受けた若い女は、脳の一部とともに失った記憶を取り戻そうとする。「正常な」世界に戻ったとき、自分が普通の女ではなかったのではと疑う。追跡されている連続殺人犯なのか? それとも被害者なのか? 」

 中村融編訳『猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる』は、猫をテーマにしたSFアンソロジー。収録作品はまだわかりませんが、編者はアンソロジストとして定評のある中村さんなので、期待大です。ちなみに、収録作家がシオドア・スタージョン他となっているのですが、スタージョン作品は、雑誌に訳載されたきりの『ヘリックス・ザ・キャット』あたりでしょうか。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学



プロフィール

kazuou

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する