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モダンホラー1987
 1987年は《モダンホラー・セレクション》など、早川書房がモダンホラー作品に力を入れていた時期です。奇しくも同書房の二大雑誌『ミステリマガジン』『SFマガジン』両方で、モダンホラー特集がされていました。軽く紹介したいと思います。


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『ミステリマガジン1987年8月号』

 「幻想と怪奇特集」として「モダンホラー・ベスト30」の紹介記事が載っています。ランキングは、作家・評論家・翻訳家13人によるアンケートが元になっています。いわゆる「プロ」によるベストですね。
 ベストの内容を挙げておきます。

1.アイラ・レヴィン『ローズマリーの赤ちゃん』
2.クライヴ・バーカー『血の本』
3.スティーヴン・キング『呪われた町』
4.ロバート・ブロック『サイコ』
5.スティーヴン・キング『シャイニング』
6.ジョン・ソール『暗い森の少女』
7.シャーリイ・ジャクスン『山荘綺談』
8.トマス・トライオン『悪魔の収穫祭』
9.シオドア・スタージョン『きみの血を』
10.ディーン・R・クーンツ『ファントム』
11.リチャード・マシスン『地球最後の男』
12.ピーター・ストラウブ『ジュリアの館』
13.ジェームズ・ハーバート『霧』
14.フリッツ・ライバー『闇の聖母』
15.リチャード・マシスン『13のショック』
16.F・ポール・ウィルソン『城塞』
16.リチャード・マシスン『地獄の家』
18.W・ピーター・ブラッティ『エクソシスト』
18.キリル・ボンフィリオリ『深き森は悪魔のにおい』
20.ジョン・ファリス『フューリー』
20.アン・ライス『夜明けのヴァンパイア』
22.クエンティン・クリスプ『魔性の犬』
23.フランク・デ・フェリータ『ゴルゴタの呪いの教会』
24.ジェフリイ・コンヴィッツ『悪魔の見張り』
25.仁賀克雄編『幻想と怪奇2』
26.レイ・ブラッドベリ『10月はたそがれの国』
26.スティーヴン・キング『デッド・ゾーン』
26.ダフネ・デュ・モーリア『鳥』
29.フェリス・ピカーノ『透きとおった部屋』
30.スティーヴン・キング『深夜勤務』
30.ロバート・ブロック『血は冷たく流れる』

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 「モダンホラー」のベストなので、対象は戦後の作品に絞られています。ただ、この手のベストではバリバリの「新作」はなかなか入ってこないものだと思うのですが、その中でまだ新しかったキング作品がいくつも入っているのは流石ですね。
 あと、リチャード・マシスン作品が複数入っているのは、識者の評価の高さを示しているようです。10位までは今見ても、順当なベストという感じですね。

 ただ、ベストに挙げられている作品、キング作品を除けば、今現在ほとんど入手難になっているのではないでしょうか。そうした点を含めて、今同じようなベストを選んだら、キング以外はがらっと変わるのでは…と思います。シャーリイ・ジャクスンなどはもっと高順位になっていそうですが。
 当時刊行中だったシリーズ《モダンホラー・セレクション》(ハヤカワ文庫NV)の広告ページがあったので、参考に載せておきますね。
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HORROR MAGAZINE (S-Fマガジン1987年7月臨時増刊号 (通巻355号))
『HORROR MAGAZINE ホラー・マガジン』

 『SFマガジン』の1987年7月臨時増刊号として出された号です。一冊まるごとホラー特集で、ファンにはたまらない構成です。
 「10人の恐怖の担い手」として、スティーヴン・キング、ピーター・ストラウブ、ジェームズ・ハーバート、ジョン・ソール、ディーン・R・クーンツ、クライヴ・バーカー、チャールズ・L・グラント、ラムジー・キャンベル、ダン・シモンズ、ショーン・ハトスンが紹介されています。
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 SFマガジン編集部編「保存版 怪奇幻想小説年表」が今でも参考になります。『SFマガジン』だけに、怪奇幻想小説だけでなく「SFおよび主な文学作品」の欄が設けられているのが面白いですね。この欄の作品の大部分も、広義の「幻想文学」に入る作品が多いのではありますが。
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 この号の収録短篇は次の通り。
スティーヴン・キング「箱」
村田基「白い少女」
ピーター・ストラウブ「将軍の妻」
とり・みき「隣の女」
夢枕獏「すいき」
デイヴィッド・マレル「嵐」
チャールズ・L・グラント「秘密」
ダン・シモンズ「黄泉の川が逆流する」
ディーン・R・クーンツ「ひったくり」
ラムジー・キャンベル「身代わり」
栗本薫「猫目石」

 特集・増刊がされているのが、それぞれミステリ・SFの専門誌で、ホラー専門誌が創刊されるわけではなかったところに、当時のホラー小説の置かれた位置を感じないでもありません。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
モダンホラー・セレクションの装丁、素晴らしい!
三津田先生は怪異十三でした、申し訳ありません。クライブ・バーカーやピーター・ストラウブの新刊を、この10年見ていないのが淋しいです。キング御大は現在でもコンスタントに新刊が出ているのが帝王の面目躍如。頭木弘樹さんが編集している絶望系アンソロジー収載作品もモダンホラーと重なるような気がします。
【2019/02/14 09:10】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]


キング以外のモダンホラー勢は壊滅といっていい状態ですね。アンソロジーも古典怪奇は出るけれど、モダンホラー系のものは最近見ていない気がします。
以前に出た『厭な物語』とか頭木さん編のアンソロジーなどで、ちょっとホラー系とかぶる作品が読めるのが救いでしょうか。
【2019/02/15 20:14】 URL | kazuou #- [ 編集]


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Author:kazuou
男性。本好き、短篇好き、異色作家好き、怪奇小説好き。
ブログでは主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。twitterアカウントは@kimyonasekaiです。
怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。twitter上の怪奇幻想ジャンルのファンクラブ「 #日本怪奇幻想読者クラブ 」主宰。
『ミステリーズ!vol.96』(東京創元社)に怪奇小説の翻訳概況を書きました。
同人誌『海外怪奇幻想小説アンソロジーガイド』『物語をめぐる物語ブックガイド』『迷宮と建築幻想ブックガイド』『イーディス・ネズビット・ブックガイド』『夢と眠りの物語ブックガイド』『奇妙な味の物語ブックガイド』「海外怪奇幻想作家マトリクス・クリアファイル」を刊行しました。



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