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アクションホラーの痛快作  スティーヴン・ローズ作品を読む
 スティーヴン・ローズはイギリスのホラー作家。日本では二作の長篇が紹介されたきりで、それらも既に品切れになって久しい作家です。ただ、この二作、どちらもエネルギーに満ちた痛快作で、非常に面白いエンタメ作品なのです。紹介していきましょう。



4488800238ゴースト・トレイン〈下〉 (創元ノヴェルズ)
スティーヴン ローズ 古沢 嘉通
東京創元社 1989-09

by G-Tools

『ゴースト・トレイン』(古沢嘉通訳 創元ノヴェルズ)

 列車から落ちて記憶を失った主人公は、子供の頃からの悪夢を再び見始めます。精神的なトラウマかと考えますが、娘までもが同じヴィジョンを見ていることが判明します。一方、異様な殺人事件が頻発する事件を追っていた警官は、犯人たちが共通して同じ列車に乗車していたことを付き止めます。
 人知を超えた存在を認識した主人公たちは、それを倒すために列車に乗り込みますが、敵は一般人を操り攻撃をしてきます。主人公たちは世界を救えるのか…?

 乗車した者は何かに取り憑かれてしまうという、呪いの列車をめぐるモダンホラー。敵が「神」レベルの能力を持っていて、あっという間に洗脳されてしまいます。対抗できるのは、かって操られ免疫を得た主人公と、悪魔祓いの技能を持つ神父のみ。少数精鋭で乗り込んだのはいいものの、列車の乗客ほぼ全員が襲いかかってくるうえに、幻覚をはじめとする精神攻撃が襲ってきます。
 かなり大雑把な設定や、ギャグ擦れ擦れのシーンなどもあるのですが、とにかく勢いがあるので気になりません。クライマックス、超スピードで疾走する列車の中で繰り広げられるアクションは爽快感たっぷりです。これほど爽快なホラー作品はなかなかないのではないでしょうか。



4488800327スペクター (創元ノヴェルズ)
スティーヴン ローズ 古沢 嘉通
東京創元社 1990-02

by G-Tools

『スペクター』(古沢嘉通訳 創元ノヴェルズ)

 離婚したばかりの講師のリチャードは、学生時代、友人グループで撮った集合写真をふと見返します。グループの一人の姿が消えかけているのを発見したリチャードは、その友人が後日死んだことを知らされます。その後も、次々と友人が謎の死を遂げると同時に、写真から姿が消えていきます。
 怪奇現象の原因が、学生時代のグループ〈バイカー団〉にあることを察知したリチャードは、親友のスタン、恋人のダイアンとともに、かっての友人たちを探しますが…。

 『ゴースト・トレイン』同様、推進力のあふれるエンタメ・ホラー作品です。黒魔術や怪物の登場する正統派オカルトホラーアクションになっています。
 理由がわからぬままに姿が消えていく友人たち、だんだんと暴かれる過去の事実、そしてその合間にも襲ってくる謎の怪奇現象。序盤こそ静かに始まりますが、すぐにトップスピードになる展開は、読んでいて爽快です。『ゴースト・トレイン』も爽快感は抜群なのですが、こちらの『スペクター』はさらにそれを上回る爽快感です。アクションホラーの佳作といっていいかと思います。


 このスティーヴン・ローズ、邦訳された2作品がこれだけ面白いのに、続けて邦訳が出なかったのが不思議ですね。ちなみに『ゴースト・トレイン』は原著が1985年、邦訳は1989年、『スペクター』は原著が1986年、邦訳は1990年です。
 『スペクター』の方に関しては2000年に一度復刊されています。解説に未邦訳のローズ作品の紹介が載っているのですが、中からいくつか紹介しておきましょう。
 未訳作はどれも面白そうです。中では、禁断の杭を抜いたために村全体が阿鼻叫喚になるという『The Wyrm』、迷路状の要塞に隠棲する男が七人の招待客を招き悲劇が起こるという『Daemonic』、未確認飛行物体が墜落し多数の死者を出すが少数の生存者は超能力を得るという『Somewhere South of Midnight』、大地震によって隔絶された町で、深淵から押し寄せてくる異形のものと戦うという『Chasm』などが気になりますね。邦訳を期待したいところです。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

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怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
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