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異界からの眺め  アーチ・オーボラー『悪魔の館』
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 12歳の少年マーク・イライアスは、発明品で多額の奨学金を獲得したことで話題になっていました。マークとその家族を取材に訪れた女性記者ロビンは、マークとその妹シャーリーに対して、異常な雰囲気を感じとりますが、その直後に、マークの伯父の一人が不審な死を遂げます。
 ロビンと一緒に取材を行った放送局員トニーは、マークの家族にまつわる過去の事件を話します。亡くなったマークの祖母は支配的な人物で、過去に無実になったものの、殺人事件を引き起こしており、そのために祖父は自殺しているというのです。
 ロビンとトニーは、マークの家族について調べはじめますが、その間にもマークの伯父や伯母たちが次々と不審な死を遂げていきます…。

 1969年発表のアーチ・オーボラー『悪魔の館』(広瀬順弘訳 角川文庫)は、悪魔的な幼い兄妹のせいで周りの人間が次々と死んでいく…という物語。
 読んでいく内に、子供たちは悪魔的な人物だった祖母に操られているのではないかという疑いが生まれてきます。この祖母が、とんでもない人物だったことが明らかにされていくのです。
 作品が始まった時点ですでに故人でありながら、子供であるマークの親の世代に対して、未だに精神的な支配を及ぼしています。そして、祖母に預けられていた兄妹も何かがおかしくなっているのに、親たちは気付きます。祖母の目的とは一体何なのか?

 祖母に支配されていた子供たちのゆがんだ人生の回想、ロビンやトニーの、失った恋人をめぐる過去や宗教的な信念など、各キャラクターの描写も丁寧で読ませます。
 超自然現象に対しても適度に曖昧に描かれており、不気味な雰囲気を出すことに成功しています。マークが作る、死者と交信できるテープレコーダーといったガジェットも印象的です。
 「悪霊もの」とも「悪魔もの」とも微妙に異なるアプローチの作品で、これは恐怖小説の傑作の一つといっていいかと思います。親子間の問題や、宗教的な信仰や信念の問題など、いろいろなテーマも盛り込まれた意欲作です。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
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