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愛と孤独  バリ・ウッド『殺したくないのに』
4087600823殺したくないのに (集英社文庫)
ウッド 高見 浩
集英社 1983-02

by G-Tools

 ニューヨーク市警の刑事スタヴィツキーは、ずっと追い続けていた凶悪犯ロバーツが死んだという報告を受けます。ロバーツは、仲間とともに、ある資産家の家に強盗に入った際、突然、首の骨を折って死んだというのです。しかし検死の結果、首の骨は常識ではありえないような力が加えられた結果、折れているということがわかります。しかも相当苦しんだはずだということも。
 調査を続けていくうちに、資産家の夫人ジェニファーの周囲では、過去に何度も不可解な死亡事故が多発していることが判明します。スタヴィツキーは、ジェニファーが超能力による殺人を行ったのではないかと考えますが…。

 バリ・ウッド『殺したくないのに』(高見浩訳 集英社文庫)は、超能力者を扱ったユニークなサスペンスホラー作品。超能力によって殺人が行われたのではないかと考えた刑事が、容疑者の女性ジェニファーの過去を調べていくうちに、彼女の生涯をたどっていくことにもなり、いつの間にか彼女に惹かれるようになる…というストーリーです。
 もちろん、最初から超能力の存在が肯定されるわけではなく、過去の死亡事故や彼女の能力を調べた学者たちなどの話を聞いていくうちに、刑事は確信を深めていくことになります。
 ジェニファーの幼少期から現在までの、過去のエピソードが少しづつ明かされ、超能力者ゆえの孤独をかかえていることが示されます。例え超能力を使わないにしても、彼女には普通の人間をよせつけない雰囲気が生まれつき備わっており、親でさえ彼女を怖がっているのです。
 彼女の人生の悲しさ、孤独さを知った刑事スタヴィツキーは、それでも調査を続けます。やがて彼女を追い詰めることになりますが、最終的にスタヴィツキーとジェニファーはわかりあうことができるのでしょうか?
 過去に数件の死亡事故を起こしている彼女も、そのほとんどは不可抗力の結果であり、好んで人を殺しているわけではないのです。その意味でタイトルの「殺したくないのに」は、実にぴったりなタイトルと言えますね。
 哀感にあふれたサスペンス・ホラーの名品です。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

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怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
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