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生きている屋敷  ロバート・マラスコ『家』
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家 (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)
ロバート マラスコ 小倉 多加志
早川書房 1987-12

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 主婦マリアンは、夫と息子と共に、手狭になったアパートで暮らしていました。ある日新聞で貸別荘の広告を見た夫婦は、破格の安値であったことからその家を借りることになります。しかしそれには条件が一つありました。所有者である老兄妹の母親の面倒を見てほしいというのです。ただ生活の世話はいらず、三度の食事のみを部屋の前に置いておけばいいという話でした。
 不審に思ったものの、家の魅力に惹かれた夫婦はその条件を飲みます。夫の伯母を含め4人で引っ越してきた一家でしたが、やがて、家族はみな異常な心理状態を経験するようになります。この家を出るべきだと主張する夫に対し、マリアンはなぜか反対しますが…。

 ロバート・マラスコ『家』(小倉多加志訳 ハヤカワ文庫NV)は、正統派といっていい幽霊屋敷小説です。
 主人公たちが立派な屋敷を借りることができたと喜んだのもつかの間、家族のそれぞれが、突然激高したり残酷な行為を行ったりと、異常な心理状態になっていきます。勘がいい夫は屋敷のせいではないかと考えますが、妻は気のせいだといって取り合いません。
 住んでいるはずの家主の母親は全く姿を見せず、本当に存在するのかどうかもわからないのですが、主人公マリアンはだんだんと影響を受け始め、ついには家族を捨ててでも彼女に尽くすべきだと考えるにいたるのです。

 明確な心霊現象はあまり起こらず、登場人物たちがだんだんと精神的に追い詰められていくという展開なので、地味といえば地味なのですが、非常に「怖さ」の感じられる作品です。家族が弱っていくたびに、屋敷の部屋や調度が新しくなっていったり、過去に死んだ人物の写真が現れたりという描写は、なかなかインパクトがあります。
 幽霊屋敷ホラーの傑作の一つといっていいのではないでしょうか。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
映画のラストが怖かった!
ごみごみした生活音溢れる住宅密集地から、プールや温室まである広壮な屋敷でゆっくり過ごせるとなったら一も二もなく飛び付きますよね。小説の方が細部の描写が丁寧ですが映画の方がラストがショッキングでした。最初に話を持ち掛けてきた所有者も屋敷の僕で、これからも同じ事が続いていくのでしょうか?
【2017/12/20 13:16】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]

>奈良の亀母さん
これは映画版の方が有名かもしれませんね。当時のオカルトホラー作品の中では、名作の一つといっていいかと思います。登場人物の人間たちは、あくまで屋敷の奴隷に過ぎない…という、後味は悪いものの、ある意味ホラーの正統的な作品ですよね。
【2017/12/20 20:55】 URL | kazuou #- [ 編集]


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怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
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