怪奇幻想読書倶楽部 第5回読書会 開催しました
 3月19日の日曜日、JR巣鴨駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第5回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め9名でした。
 テーマは、第1部「リドル・ストーリーと結末の定まらない物語」、第2部「ブックガイドの誘惑」です。参加してくださった方には、お礼を申し上げたいと思います。
 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。

 今回も、参加者全員のプロフィールをまとめた紹介チラシを作りました。チラシをPDFにしたものを、メールにて事前に配信しています。
 第1部、第2部ともに、オススメ作品などがあれば、タイトルを挙げてくださいとお願いしていました。それらの文章をまとめたものと、主催者が独自にまとめたリドル・ストーリー作品ガイドを資料として配布しました。

 プラスチック製ネームプレートを、参加者それぞれの前に立てたうえで、参加者を紹介しておきます。新規の方のみ主催者から紹介し、2回目以降の参加者には、軽く自己紹介をしてもらいました。

 リドル・ストーリーというテーマはちょっと難しいかなと思っていたのですが、意外に意見が出たのはよかったです。脱線話を含みつつ、全体的にはまとまりのある話になったのかなという気はしています。
 ブックガイドに関しては、やはりお好きな方が多く、お気に入りの本をいろいろ紹介してもらいました。個人的にも気になるブックガイドがあったので、探してみたいと思います。

 以下、順不同で話題になったトピックの一部を並べてみます。例によって、記憶に残っているものだけですが。

第1部
・リドル・ストーリーの定義について。
・フランク・R・ストックトン『女か虎か』について。非常によくできた作品だが、結末がわかってしまうと、凡庸な話になってしまうのではないか。結末を削ったからこその作品。
・『女か虎か』の続編について。 ジャック・モフィット『女も虎も』など。やはり解決編になってしまうと、魅力が薄れる。ストックトン自身による続編『三日月刀の督励官』は、謎をさらに謎かけで煙に巻くという作品だが、結末を書かないという点では、上手くできている。
・フェルディナント・フォン・シーラッハ『テロ』について。ハイジャックされた旅客機がスタジアムに突っ込む前に撃墜するという事件の物語。多人数を救うために少人数の犠牲は許されるのか?というテーマ。有罪と無罪の正反対の結末が並置されている。作者が弁護士であることも関係? 作品として作者の主張は出すべきとの意見もあり。ただ、シーラッハの短篇では、結末を明確にしない作品も多い。
・オムニバスドラマシリーズ『if もしも』と、そのノベライズ作品について。毎回、ドラマの途中で分岐点が発生し、2通りの選択肢を選んだ場合を交互に描くという作品。1990年代前半に放映されたシリーズで、趣向は面白いが、ドラマ自体は凡庸なものが多い。
・アーロン・フリッシュ作、ロベルト・インノチェンティ絵『ガール・イン・レッド』について。赤ずきんを現代を舞台に置き換えた絵本。ハッピーエンドとバッドエンドが並置される構成。バッドエンドの方は子供向けとは思えない残酷な結末になっている。
・マーク・トウェイン『恐ろしき、悲惨きわまる中世のロマンス』について。『女か虎か』同様の、二者択一型リドル・ストーリー。『女か虎か』では片方の選択肢は命が助かるが、トウェイン作品では、どちらを選んでも死が待っているという構成。『女か虎か』よりも強烈な作品だと思う。
・ある事情のために主人公が動けなくなる…というモチーフでは、ノエル・カレフ『死刑台のエレベーター』も似たテーマの作品だった。
・トウェインでは、『天国だったか? 地獄だったか?』という短篇もリドル・ストーリー形式の作品だった。死にゆく姪に対して善意の嘘をつき続けた伯母たちに罪はあるのか?という倫理的テーマの作品。この作品が収録された傑作集『百万ポンド紙幣』(理論社)も非常にいい作品集だった。
・クリーヴランド・モフェット『謎のカード』について。〈三大リドル・ストーリー〉のうち、これだけ毛色が違う。この作品をはじめて読んだときの印象は怪奇小説に近い。実際、作者自身による解決編では、オカルト要素の強い怪奇小説になっている。ただ、やはり解決編を読むと、拍子抜けしてしまうのも事実。
・ディーノ・ブッツァーティ『なにかが起こった』は、イメージ喚起力が強く秀逸な作品だと思う。紀田順一郎編『謎の物語』には、この作品がリドル・ストーリーとして入っているが、そうするとブッツァーティの多くの作品がリドル・ストーリーになってしまう?
・ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の映画『CUBE』も、謎が多くてリドル・ストーリーっぽい。続編ではいろいろ後付の種明かしがされてしまうのは残念。
・ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の短篇映画『エレヴェイテッド』は、怪物の姿を見せず、それを見た人々の反応だけで構成された異色の作品。何やらブッツァーティの作品を思わせる。
・ジャン= バティスト・アンドレア&ファブリス・カネパ監督の映画『-less レス』について。全編暗闇でスプラッターシーンもないが、終始サスペンスの途切れない面白い映画作品。謎を残したまま進む展開はリドル・ストーリー的。
・最近出た『別冊映画秘宝 謎の映画』の紹介。リドル・ストーリー的な作品の紹介かと思ったら、忘れられた作家や作品についての紹介記事が主だった。『サスペリア』の謎とか、夢オチ映画についてのエッセイは面白かった。
・ダリオ・アルジェントの映画作品について。ストーリーが破綻していてもやはり好きな人は好き。『インフェルノ』などは破綻しきっている話だが、面白い映画だと思う。
・アルジェント監督『サスペリアPART2』はミステリファンから非常に評価が高い。有名なトリックがあるが、本格ミステリ的な意図があったかは微妙。殺しの趣向なども、けれんに満ちているが、そこが面白い。人形はトラウマになりそう。
・ゾンビについて。ホラーの怪物の中でもマイナーなジャンルだったのに、ここ20年ぐらいで一気にメジャーになった感がある。ホラーアイコン化? オールドホラーファンとしては、走るゾンビは好きではない。最近のゾンビはウィルス感染型が主流? ゾンビのキャラクターを利用したコメディなどもあり。
・バリイ・ペロウン『穴のあいた記憶』について。すごい密室トリックを考え付いた作家がその記憶を失ってしまい、アイディアを話したはずの男を探す話。トリックそのものは示されないという、『謎のカード』型の作品。
・ペロウン作品に似ているのが、ロード・ダンセイニ『書かれざるスリラー』。こちらでも画期的な殺人方法を思いついた男が、それを使って殺人を行う。
・服部まゆみ『この闇と光』について。お伽話的な舞台がひっくり返る物語。チャールズ・ボーモントの『ロバータ』に似た印象。
・多重解決ミステリについて。アントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件』、コリン・デクスター、芦辺拓『異次元の館の殺人』など。推理が次々とひっくり返されるという構成の作品があるが、最終的な推理が魅力的かというとそうでもないことが多い。
・エリック・ブレス/J・マッキー・グラバー監督『バタフライ・エフェクト』について。ループもの作品だが、試行錯誤して事態を改善しても、別の面で事態が悪化していまうという作品。行き詰まり感がすごい。
・日本のミステリは叙述トリックがやたらと多い。日本独自の現象?
・リドル・ストーリーは長編では難しいと思うが、それに近いのが、クレイ・レイノルズ『消えた娘』。娘が行方不明になり数十年間も待ち続ける母親の物語。
・ウイリアム・アイリッシュ『死者との結婚』について。アイリッシュ(ウールリッチ)作品の中ではそんなに有名ではないが、非常にいい作品。
・ウイリアム・アイリッシュ『誰かが電話をかけている』について。事件が解決したと思ったら、結局解決していなかったというバッドエンド。サスペンスホラー映画『暗闇にベルが鳴る』も似たテーマの作品。
・スティーヴン・バーの短篇『目撃』について。
・ジョン・クラッセンの絵本『どこいったん』について。ひねりも効いていて面白い作品。
・アイリッシュ(ウールリッチ)作品の魅力について。サスペンスの原型的な作品を多く書いている。『裏窓』など。映画化作品やその影響下にある作品は多く、知らずに触れている人も多いのではないか。白亜書房から出た『コーネル・ウールリッチ傑作短篇集』(門野集編)は、いい企画だった。
・創元推理文庫の『アイリッシュ短編集』も、品切れの巻があるので、ぜひ復刊してほしい。
・紀田順一郎編『謎の物語』に入っている、ウォルター・デ・ラ・メアの『なぞ』は、魅力的な作品。ただ、この作品をリドル・ストーリーとしていることによって、リドル・ストーリーの適用作品が一気に広がっている感じがある。
・城昌幸『古い長持』は、長持に入った妻が消えてしまうという話だが、デ・ラ・メアの『なぞ』とそっくりな作品。影響関係があるのだろうか?
・ハーヴィー・ジェイコブズ『おもちゃ』は非常にいい作品。
・ホーソーン『牧師の黒のベール』について。黒いベールをかけつづけた牧師の話。宗教的な解釈ができるのだろうが、不気味さは比類がない。
・ホーソーン『ウェイクフィールド』について。妻のそばで隠れ住みつづける男の奇妙な物語。解釈が示されないので、いっそう不気味さが増す。
・スティーヴン・ミルハウザー『夜の姉妹団』について。秘密結社について、いろいろと情報が積み重ねられていくが、それゆえにますますわからなくなるという作品。同じ作品集に収録された『私たちの町の地下室の下』でも、謎めいた雰囲気が強い。
・ジャック・ケッチャム作品について。『隣の家の少女』『オフシーズン』など。精神的に「嫌な」物語。
・アルフレッド・ノイズ『深夜特急』について。子供の頃読むとトラウマになりそうな作品。
・子供のころから気になっているがタイトルが思い出せない作品について。周囲の人間が止まっていて、全く動かない…と思っていたら毎日少しずつ動いているのに気づく…という話は、広瀬正の『化石の街』? 別世界につながる扉の出てくる話は、マレイ・ラインスター作品っぽい。
・石川達三『神坂四郎の犯罪』について。真相は藪の中に終わるという作品。
・有吉佐和子『悪女について』について。主人公の人物像について、いろいろな人間からの印象が描かれるという作品。アンドリュウ・ガーヴ『ヒルダよ眠れ』に近い印象?
・パット・マガー『被害者を探せ』について。被害者を探すという趣向の作品。マガー作品は、どれも趣向が楽しい。
・赤瀬川原平の写真集『正体不明』について。撮った写真の中で、正確に分類できず「あいまいなもの」というグレーゾーン的な観点から集めた作品集。
・高木こずえの写真集『MID』について。作者によると、MIDとは生と死の中間とのこと。
・スワニスワフ・レム『捜査』について。ミステリの分野でも取り上げられる作品。不条理性が強い。
・アゴタ・クリストフ『悪童日記』三部作について。
・ポール・オースター『シティ・オブ・グラス』について。
・ジェイムズ・ホッグ『悪の誘惑』。信頼できない語り手の早い時代の実例。真相がぼやかされる。
・筒井康隆作品『熊ノ木本線』『三丁目が戦争です』などについて。
・『うる星やつら』、映画版『ビューティフル・ドリーマー』と、その原型的作品、テレビシリーズのエピソード『みじめ!愛とさすらいの母』について。テレビエピソードの方は、よく放映できたと思えるほど不条理性の強い作風だった。

第2部
・風間賢二『ホラー小説大全』と尾之上浩司編『ホラー・ガイドブック』は、この分野の定番的ブックガイド。
・荒俣宏『世界幻想作家事典』について。書誌的には足りないところが多いが、著者の評価の入った文章は読んでいて面白い。
・荒俣宏『空想文学千一夜』について。怪奇幻想系の評論を集めた本。この分野の道標的な本。
・ジャック・サリヴァン編『幻想文学大事典』について。狭い意味での怪奇小説だけに絞っている代わり、この分野の情報量はすごい。未訳の作品についての情報も多し。
・「幻想文学」編集部編『幻想文学1500 ブックガイド』について。国別・テーマ別にあらすじが載っていて、自分の興味のあるものを探せる。利便性の高いブックガイド。
・山本弘『トンデモ本? 違う、SF だ!』と、その続編『トンデモ本? 違う、SF だ!RETURNS』について。〈パラノイアSF〉など、ぶっとんだアイディアのSF作品についてまとめた面白い本。
・小鷹信光『〈新パパイラスの舟〉と21 の短篇』について。テーマ別に仮想のアンソロジーを作るという体裁で作られたブックガイド。ミステリのテーマだけでなく、SFやファンタジー的なテーマもあるのが楽しい。
・松村喜雄『怪盗対名探偵』について。フランスミステリのガイドブックだが、マルセル・シュオッブ、モーリル・ルヴェル、カミなど、異色の作家にも筆が割かれていて、面白い本。
・角川文庫のカルチャー探偵団の『○○の快楽シリーズ』について。何十冊も出たが、どれもそれぞれ面白かった。未訳の作品についてもガンガン取り上げる著者もあって意欲的だった。
・佐藤圭『100冊の徹夜本』について。定番作品でないものも含めて紹介してくれているのが貴重。アーヴィング・ウォーレス作品についてなど。
・文藝春秋編『東西ミステリーベスト100』について。オールタイムのミステリが取り上げられており、オーソドックスだがいいガイド。
・『別冊宝島63 ミステリーの友』について。いろいろな著者がエッセイの形で書いた文章を集めたもの。網羅的なものではないが、拾い読みするのが楽しい。
・霜井蒼『アガサ・クリスティー完全攻略』について。個人の作品でこれだけ網羅しているのはすごい。
・ジョン・ラフリー『別名S・S・ヴァン・ダイン ファイロ・ヴァンスを創造した男』について。ヴァン・ダインの伝記作品。
・フランシス・M・ネヴィンズJr.『コーネル・ウールリッチの生涯(上・下)』と『エラリー・クイーン 推理の芸術』について。伝記部分だけでなく、作品論も丁寧にされている労作。
・『映画秘宝EX 最強ミステリ映画決定戦』。選ばれている作品が偏っていたりするが、面白いガイド。
・『戦慄のホラー読本』について。モダンホラー系作品が多く取り上げられている。
・ジョン・カッツェンバック『旅行者』について。女子学生に記録係をさせる殺人鬼の話。
・都築響一『誰も買わない本は、誰かが買わなきゃならないんだ』について。あまり取り上げられない本ばかり取り上げた異色のガイドブック。
・『J'sミステリーズ King and Queen 海外作家編』について。ライターによって出来不出来があるのと、基本的な書誌データの間違いも見受けられるが、全体的に有用なガイドブック。折原一による偏愛作品リストは愉しい。
・吉野朔美の書評エッセイと映画評エッセイについて。必ずしも、取り上げている作品についての情報がはっきり書かれているわけではないが、エッセイとしては魅力的。
・阿刀田高『恐怖コレクション』について。恐怖の原風景に関するエッセイ集。異色作家作品も多く取り上げられており面白い。
・豊崎由美/岡野宏文『百年の誤読 海外文学編』について。10年毎に10冊の、時代を代表する名著について、思うままに語った本。読み逃していた「名作」に手を伸ばすきっかけになりそうな本。
・伊藤典夫編『SFベスト201』について。SFをかなり広義に解釈していて、ホラーやファンタジー方面も取り上げられている。歴史的な意義より、読んで面白い本中心に選ばれている感じがある。
・新しい世代の書評家というのは育っているのか? ホラー分野ではあまり思い当たらない。
・先鋭的な作風の作家も、ベストセラー作家になると、皆作風が変わってしまう。なぜか皆、最終的に時代小説に行ってしまう印象がある。
・クトゥルー神話の大衆化について。コミックやライトノベルには拡散している印象があるが、原典のラヴクラフトは読んでいる人が少ないのではないか。

二次会
・ジョン・ディクスン・カー『火刑法廷』について。カーの怪奇趣味は他作品にも見られるが、これに限ってはミステリ・怪奇小説どちらとも解釈できるようになっている。怪奇小説としても秀作。
・写真集について。森山大道、中平卓馬『決闘写真論』『なぜ、植物図鑑か』、サラ・ムーン、梅佳代など。
・村上春樹の最高傑作は『ノルウェイの森』?
・レイ・ブラッドベリ『すばらしき白服』について。SFではないが味のある作品だと思う。
・レイ・ブラッドベリ『火星年代記』について。年代記風につながれた連作短篇集。滅びゆく美しさがある。結末の情景も感動的。
・ブラッドベリのオススメは? 『火星年代記』『10月はたそがれの国』など。
・SF作品は名作とされていても、古びてしまって、現代ではつまらなくなっているものもある。ハインライン作品はその手の作品が多いように思える。
・SFの古典はアンソロジーなどで、名作短篇を一通り読むほうが良い。河出文庫の『20世紀SF』はその点オススメのアンソロジー。
・SFはサイバーパンクの登場あたりから一気にとっつきにくくなった感がある。1980年代はSF不毛の時代ではないか。
・SFベストに毎回、ハインライン『夏への扉』が出てくるのはどうかと思う。
・W・H・ホジスンは、主だった作品がほぼ訳出されてしまった。
・『怪奇小説傑作集』のうち、フランス編は読みにくい。これに限らず、フランス文学は他の国に比べて、とっつきにくいのは事実。肌に合うか合わないかだと思う。
・マルキ・ド・サド作品はわかりにくい。
・泡坂妻夫『しあわせの書』について。トリックと仕掛けはものすごい。労力はすごいと思うが、物語自体はそんなに面白くないのでは。
・江戸川乱歩作品では何が面白いか? 初期短篇、『陰獣』『孤島の鬼』『猟奇の果』など。
・稲垣足穂作品について。『弥勒』『ヰタマキニカリス』『一千一秒物語』など。ヴァリアントが多いのは、金銭的な目的?
・電子書籍で本を読むことについて。旅行先へ持っていくなどの利便性はともかく、本としての「味わい」が薄い。
・本の物理的側面について。本を読むとき、物理的な手触りや版面の印象も含めて記憶に残る。そうした記憶のインデックス的な側面が電子書籍にはないのではないか。
・本は背表紙が見える形で本棚に置くべき。
・本の「自炊」について。是か非か? 100円均一のベストセラーはともかく、マイナーなジャンルの本を壊すのは気分的に無理。


第6回読書会は、4月下旬に予定しています。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
今回もお疲れさま+ありがとうございました
今回も、紹介本の梗概フォロー(「この闇と光」、「恐怖コレクション」その他…)などいろいろお世話になりました。
寝不足+花粉ということだったのか、体調がちょっと微妙で2次会はパスしてしまいましたが、楽しく過ごさせて頂きました。
(2次会ではPさんの参加団体のお話なんかも出たんでしょうか…)

ただ、それに加え、今回は話が本筋から脱線することも多くて(話題が自走しているということなので盛り上がった証拠ですが)、何となくいろいろとぼーっと聞き流してしまった面があり、記憶を手繰ってもあのとき何が話されていたっけ・・・? というところが多々あるという…
あと丁度話題が盛り上がっていたせいもあるのですが、S1さんが花粉症をおして後から参戦して下さったときに、そういえば自己紹介して頂くのを忘れていて申し訳なかったなぁとか… 発言の機会が少なかった方を置き去りにしていないかとたまに殊勝なことを思っても、どうしたら良いのかこれと言って妙案もないままずるずると… そのまま自分が楽しむことに専念してしまっていたかなぁ、とも。

今回は、kazuouさんが先導する中、suさんが要所で話題をリードして下さり、更に随所でYさんがフォロー、所々で他のメンバーが参戦するといった感じでしたね。
若干懸念を持っていたリドル・ストーリーの方も話題が途切れることはなく、脱線を重ねつつも最終的には時間が足りないくらいだった感があります。
話題が拡散してしまったのは(日本の叙述トリックもの多用事情の話ですとか、可能性総当り型のミステリについてですとか、いろいろ… まさかのケッチャムや、更にこんな感じで早稲田大学収蔵の資料を参照できます…という話題まで出ましたね…)、狭義のリドル・ストーリーはごくわずかだけれど、逆にリドル・ストーリーを広義に解釈し始めるときりがないよね(「謎のカード」ってリドル・ストーリーなの?)、という話が出てしまったためというのもあったかも知れないですね。

ガイドブックに関しては、自分の知らないもので、これは面白いですよね、と合意が取れているようなものがちらほらあって勉強になりました。

(それにしても、いつもながらkazuouさんは良く覚えていらっしゃる・・・)

そんな感じでしたので、ここでは自分の発言についてのフォローだけを少々…


●ジョン・クラッセン作品の原書プロモーション映像
お持ちした絵本「どこいったん」と関連作品(帽子シリーズとして現状三部作として扱われています)、発行元のクレヨンハウスには特設サイトがあって、そこでそれぞれの原書のプロモーション映像が見られます。

 http://www.crayonhouse.co.jp/boushi/about.html

どれもいい感じですが、新しい作品ほど長くて、最新作(カメが出てくるのでゆっくりしている…)のは音楽もゆったりしてどこか夢見心地に… 話の内容は結構サスペンスだったりもするのですが。
特設サイトでは著者インタビューも読めて作品の成立過程などが分かりますが、更に興味があれば別所のインタビュー(作者や訳者の)なんかも検索して読むと、実は大阪弁翻訳は出版社(訳者?)が勝手にやっていて、著者は当初は心配していた(原書ではごくノーブルな話し方)とか、"eat" の訳語を出版社の意向で直接的でない表現に変更した、といった裏話も見られます。
(ということは・・・)

●アイリッシュ=ウールリッチの長編の長所(?)
kazuouさんもsuさんも、アイリッシュは短編ですよ。という結論だったのですが、実際、アイリッシュは長編が不得手で、短編を組み合わせたか、引き延ばしたような構成になると言われていますね。
ただ、今回「死者との結婚」を持ちこんだ者としてフォローするなら・・・
短編作品は、ミステリとしての長編処女作の「黒衣の花嫁」の前に書かれたものが多いです。「喪服のランデヴー」のあとがきで小泉喜美子氏も書いておられますが「黒衣の花嫁」は "まだ後年のウールリッチぶしになりきらない、そっけないくらいの冷たい文章が見られる" 面があり、短編も同傾向かなと。
ミステリ界のブラッドベリ的な面も… と発言しましたが、ブラッドベリなんかは若いころの作品に素晴らしいものが多く、後になるほど密度が薄れる傾向にありますが、"ウールリッチ節" の全盛期は後年、この「喪服のランデヴー」「死者との結婚」の頃ではなかったかな、と思っています。(以降はその輝きが見られる場面が急速に減って行くのですが)
短編作品でも、「さらばニューヨーク」その他、抒情豊かな作品は多々あるのですが、代表的な長編作品では、「幻の女」や「喪服のランデヴー」もそうですが、「死者との結婚」でも要所でのオノマトペや視覚的な文字の使い方、同種のフレーズや場面を、部分的に変更しながら繰り返すことで心象風景の変化を効果的に見せて行く手法などなど、彼の様々なテクニックがより豊かに味わえる気がします。
(あと、短編は結構乱造したため、同種の作品が結構あったりもしますよね)

●カッツェンバックの「精神分析医」
「旅行者」の話が出た際(何故出たのでしたっけ…?)、こんな作品もありましたよねと話に出してみたものの、怪訝そうというか何言ってるんだこいつ的な(?)反応を受けて、「特に前半部分が匿名性の優位と恐怖を描いて面白かった」みたいなことを言ってみたかったのですが、続けられなかったという…(笑)
流れにそぐわなかったんだと思いますが、本人的には状況が分からず不思議だった件。
因みに内容はこんな感じです
 https://books.google.co.jp/books/about/%E7%B2%BE%E7%A5%9E%E5%88%86%E6%9E%90%E5%8C%BB.html?id=7dbBAAAACAAJ&redir_esc=y
【2017/03/20 14:20】 URL | Green #mQop/nM. [ 編集]

参加したい~
こんにちわ、ハルバルです。
コメントは久しぶりですが、ブログはいつも興味深く拝見しております。
当方、遠方の為、読書会には参加できないのですが、毎回開催レポートを見ては、「自分が知らないだけで面白そうな本はまだまだあるんだな」と感心しています。
読みたい本がますます増えて大変ですが(笑)
私はジャンルとしてのホラーに開眼したのはごく最近でして、まだまだ不勉強なので、ガイドブックは重宝します。
とりあえず「ホラー小説大全」を見て面白そうなのは片っ端から読んでますね。
今回のガイドブックでは
都築響一『誰も買わない本は、誰かが買わなきゃならないんだ」のタイトルにやられましたね。
私もみんなが読んでるベストセラーより、「誰が読むんだよ!? 」みたいな奇書に惹かれてしまうので、思わず読みたくなりました。
これからも面白い怪奇幻想系の本をチェックするのにとても便利なこのブログを陰ながら応援していくつもりです。
読書会の主宰、大変でしょうが頑張ってください。
【2017/03/20 16:26】 URL | ハルバル #- [ 編集]

>Greenさん
今回も、ご参加ありがとうございました。
突発的な脱線も多かったですが、全体的には面白い話ができたのでは、と思います。
そういえば、S1さんの紹介を忘れてしまってましたね…。申し訳なかったです。

リドル・ストーリーは実のところ、明確な定義がなく、人によっていろんな解釈があるんですよね。僕は、ジャンルとかカテゴリーは広くとって、いろんなものがあるよ、という方が面白いとは思うのですけど。厳密な意味でのリドル・ストーリーは、結局『女か虎か』ほか、数篇なんだと思います。

ガイドブックは、それぞれの分野で、定番本とそうでないものとが挙がったのではないかなと思います。SF系の参加者が今回いなかったので、そちら方面の話があまり出ませんでしたが。

クラッセンは、僕も未見だったのですが、味わいのある作品が多そうですね。タイトルが特徴的でしたが。

アイリッシュは、ブラッドベリと違って、晩年まで質が落ちていない印象がありますね。僕も長編は全部読んでいるわけではないですが、『喪服のランデヴー』『死者との結婚』は非常にいい作品だと思います。
確かに、短篇は似たような作品があるかも。

カッツェンバックは、『戦慄のホラー読本』に紹介されていた、という流れだと思います。『精神分析医』は僕も知らなかったのでお話できなかったのですが、面白そうな作品ではありますね。
【2017/03/20 18:58】 URL | kazuou #- [ 編集]

>ハルバルさん
ハルバルさん、こんにちは。
応援ありがとうございます。
読書会は、やっぱり参加者との生のコミュニケーションなので、ブログと違って、
なかなか難しいところがありますね。

個人的には、ガイドブック系の本はとりあえず買っておけ!派です。漫然と眺めていても、作家名や作品名は何となく記憶に残るし、それで出遭える本もあると思います。
怪奇幻想系では、風間賢二『ホラー小説大全』、尾之上浩司編『ホラー・ガイドブック』は基本図書ですね。
興味があったら、以前に書いた怪奇系ブックガイドの記事ものぞいてみてください。
http://kimyo.blog50.fc2.com/blog-entry-610.html
【2017/03/20 19:12】 URL | kazuou #- [ 編集]


ダリオ・アルジェントの話も出ましたか。
小さい頃よく見ていた「フェノミナ」が懐かしい。ジェニファー・コネリーが綺麗で。
兄が監督のファンで、その他作品を見せられましたが、
よくよく考えてみれば、幼少期にはちときつかった。リアルタイムでも何でもないし。
アーティスト繫がりですが、玉置浩二「プルシアンブルーの肖像」、
レベッカのNOKKO「スウィート・ホーム」もお気に入りでした。(これのDVD出てほしい)
今でこそ兄に感謝できますが、余りこどもには見せない方が良いですね(笑
【2017/03/20 19:40】 URL | ぽんぽこ狸 #- [ 編集]

>ぽんぽこ狸さん
ホラー映画でも、ある程度健全なものとそうでないものがありますが、アルジェント作品は明らかに後者ですね。『フェノミナ』なんか、その最たるものだと思います。子供に見せるには確かにきつい作品かも。個人的には好きですが。
アルジェントは、ミステリマインドが多少あるので、その点ミステリファンにも受けるのかもしれないですね。

『スウィート・ホーム』は小学生のころ見ましたが、かなり怖かった覚えがあります。今見たらそれほどでもないんでしょうが。そういえば、これ、未だにDVDが出てないんですね。
【2017/03/20 21:07】 URL | kazuou #- [ 編集]


>Greenさん
「旅行者」の話を出したのは私です。すいません、あの日はいろいろ話出すだけ出して収拾せず、また他の話に飛んだりとか、申し訳なく、反省してます…。
「精神分析医」ですか、面白そう。できたら入手して読んでみたいです。

ホラー映画の話題…でノリノリだったのは私のせいかと(笑。
普段、なかなか出ない話題だったのですね。すみません。
でも「バタフライエフェクト」とか「-less」はホラーというより、奇妙なとか、不気味な内容だと思うので…ホラー苦手な人にもオススメです。

また出来たら参加したいな~と思っております。皆様、ありがとうございました。
【2017/03/21 08:12】 URL | ゆきやまま #M8wPbJsk [ 編集]

>ゆきやままさん
映画の話題は、毎回ちょこちょこ出ますね。ホラーじゃないものが多いですけど。
僕はホラー映画大好きなので、話題としてはもっとやりたいんですけどね。1回ぐらいホラー映画をテーマにしてもいいぐらいです。
ホラーが苦手な人でも、アイディアが優れているホラー作品は、面白く見れると思います。『-less』もそうですし、他にも『トライアングル』とか『スケルトン・キー』とか。

また、お暇なときにご参加ください。
【2017/03/21 18:45】 URL | kazuou #- [ 編集]


先日は長丁場、お疲れさまでした&ありがとうございました。
ぼくはミステリーには疎いので、いろいろと参考になる話が聞けました。
写真集の話も、興味深かったです。

SFのブックガイド、そういえばあまり出ませんでしたね。
ミステリに負けないくらい、いろいろ、あるんでしょうけどね。
基本図書としての「十億年の宴」とか。
まあ、だけどあれはブックガイドというより、SFの歴史書かな。
古いやつだと、筒井康隆の「SF教室」とか小松左京の「SFセミナー」とかありましたけど、
まあ、そのあたりはさすがにもう古いかな。

脱線した話は、ぼくは結構楽しく聞かせていただきました。
ゾンビの話とか、おもしろかったですよ。
そのうち、第二部あたりで、「最近読んだ中で、特に印象に残った本(あるいは映画)を、(もしよかったら)それぞれ紹介してください」とか、そういうテーマでやるのもいいかもしれないですね。
【2017/03/21 21:53】 URL | shigeyuki #- [ 編集]

(名前が出たので一応…)
カッツェンバックの「精神分析医」に関して、多分ご挨拶的にご反応頂けているんだと予想しますが、
でもこの作品、読んだ当時、結構感銘を受けたんですよね・・・・
「旅行者」みたいな素材としての面白さこそないものの、
特に前半、主人公が死へとどんどん追い込まれていく部分のサスペンスは、比ではないくらい強烈だったと思います。
匿名の攻撃者の恐ろしさ…、というよりは個人情報を知られてしまっている人間とは、知られていない人間に対してかくも弱いものかと…
(だから自己紹介のあの流れの中でも本名を出さなかった…という訳ではないのですが(笑)。)
確か当時、かの豊崎由美さんも、年末ぎりぎりで出版されたためか年次のベスト投票に入って来ていないことを、ちょっと悔しがっていたような。

>ゆきやままさん
いえ、むしろ今回のキーパーソンのお一人だったかと。
やはり男性同士で話していると、抽象的な話に終始してしまうようなところがあるので(それはそれで面白いのですが)… ゆきやままさんのお話で、あの場に率直な実感と熱量を注入して頂けていたんではないかな…と個人的には感じていました。
(「精神分析医」にまつわる話は、「あれ、おかしいな、こんなはずでは…」というぼやき程度に受け取って頂ければ…)
わたしは映画自体あまり見ない人なので(ホラー映画もサスペリアとかハロウィンとか、ごくごく基本的なものの一部しか見ていないんですよね。嫌いなわけではなく(例えば挙げた2作は大好きです)、単純に映画を追う体質でないというか…)、ほとんど反応できずにいますがお話自体は愉しく聞かせて頂きました。

…そういえばガイドブック「○○の快楽」シリーズの中には、確か作家の吉本ばななさんがホラー映画のベストを挙げていたのもあった記憶が(ホラー映画マニアみたいです)… 例えばクローネンバーグで挙げていたのは確か「ヴィデオドローム」辺りだったような… ジョン・カーペンターでは「パラダイム」(「ゼイリブ」も文中に挙げていたような…?)だったか… 自分が知らない世界なのでこう言って正しいのかすらよく分かりませんが、結構マニアックな選択だった気がします。

* * *

参加者つながりでいうと、shigeyukiさんがらみで一つ心残りなのが、折角お持ちになっていた本2つ、説明はまぁいいか的に説明抜きで回してしまっていらっしゃいましたが、多分分かる方には分かるのでしょうけれど、こちらはどこにフォーカスを当ててみたら良いのかよく分からないまま、ぼっとした頭で漠然と眺めてしまっていました。
ある意味もったいなかったなぁと。
(あの時ちょっと私が長めに話してしまっていたタイミングなので、時間配分からみて自分は良いか…と思われたのでしたら申し訳ないです・・・)

あと、発言はされなくてもOKという会の趣旨なのでまったく無問題なのですが、とはいえほとんど発言が聞けない方がおられると、面白いと思っておられるんだろうか、もし違っていたら自分の気になる部分についての質問を投げてみたり、気になる方向に話題を誘導してもいいのに…(長時間ですし…) とか勝手に思ってしまったりも…
ただ聞き流して面白かった部分だけ心に留めるというやり方もありますし、余計なお世話なんでしょうけれどもね・・・
【2017/03/22 06:10】 URL | Green #mQop/nM. [ 編集]

>shigeyukiさん
今回もご参加ありがとうございます。
わりとミステリ寄りの話題になってしまいましたが、リドル・ストーリーは一度やってみたいトピックだったので、とりあえず良かったかなと。

SFはガイドブックも種類があるので、もうちょっと話が出ても良かった気もします。SF作家が書いたガイドもいっぱいありますし。

ゾンビで思いつきましたが、「怪物」テーマとかでやっても面白いかもしれないですね。「最近面白かった本」とかでやってみてもいいと思いますが、結構、皆さんテーマに関係ない(ほどではないんですが)本を紹介したりもしているので、特別そういう枠を作らなくてもいいのかな、という気はしています。
【2017/03/22 20:53】 URL | kazuou #- [ 編集]


Greenさん。

何の説明もなく本を回して、困惑させてしまったようで、申し訳ないです。
別にたいした意味もないんですが。
ガイドブックがテーマということで、まず思ったのが、定番のガイドブックはだいたい誰でも知っているだろうしなあということでした。じゃあ、何を持ってゆこうかと考えて。
それで、今のうようにネットで情報を探せるうようになる前はと考えて、だいたいぼくは雑誌で知識を知ったことが多かったなあと。安原顕さんじゃないけど、昔の雑誌って、雑誌によっては結構編集長に個性があって、雑誌と読者がひとつの集団になっているような側面もあった。「遊」なんて、その最たるものだったし。で、個性的な雑誌ばかりを集めた本を持って行ったんです。
もう一冊は、SF特集だけど、巻末に古書の目録が載っていて、こういう目録も、結構いろいろと参考になっていたなあと。
まあ、ちょっと変わったものを持ってゆこうと。それだけのことでした(笑)。
【2017/03/23 23:46】 URL | shigeyuki #- [ 編集]


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