『新トワイライトゾーン』第3シーズン完結
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 DVDマガジンで刊行されてきた『ミステリーゾーン』にて、『新トワイライトゾーン』の第3シーズンが完結しました。第3シーズンは、大部分がカナダで作成されたシリーズらしいのですが、一番の特徴は、J・マイケル・ストラジンスキーが脚本家として関わっているということ。
 ストラジンスキーは、自らの脚本をノベライズした短篇集『新トワイライトゾーン』(扶桑社ミステリー)を刊行しており、日本でも1991年に邦訳が刊行されています。この作品集が非常に面白かったため、第3シーズンが実際に視聴できる日を心待ちにしていました。
 以下、面白かったエピソードを紹介しておきたいと思います。

『猿の大群』
 ある夜、突然、年配の女性が目がおかしいと、病院に駆け込んできます。診察を待つ間に失明してしまった女性に驚く医者でしたが、翌日から世界中で同じように失明してしまう人間が現れ始めます…。
 なぜ、大量の人間が失明し始めたのか? 寓意性の強いミステリアスなエピソードです。

『テレビタレント』
 平凡な男ジョンは、洗面所で髭を剃っていた際に、ふとしたことから隠しカメラを見つけます。なんと彼の日常生活はテレビで放映され、いつの間にかスターになっていたのです…。
 映画『トゥルーマン・ショー』の先駆といえるアイディアが使われています。自分の人生そのものが虚構なのではないか…?という、深いテーマを含んだ佳作。

『特異な症例』
 精神科医のもとに、女性たちが相談に訪れます。エドガー老人が様々ながらくたを溜め込んだうえに、さらに新しいがらくたを探しているというのです。老人によれば、それらの品物は世界を救うために必要だというのですが…。
 世界のバランスはがらくたの上にできている…という、冗談のようなコメディSF。

『曲がり角』
 小児病棟を建設するために奔走している神父のマークは、あるとき、一台の赤い車が事故に遭い炎上するところを目撃します。しかしその光景はマークにしか見えないのです…。
 自分のなすべきことは何なのか? 罪の意識が見させる幻影なのか? 静けさに満ちた作品です。

『不思議な旅』
 治療士メアリーの仕事は、催眠術により患者の前世の記憶を呼び起こし治療するというものでした。ある日目覚めると、メアリーは、あらゆる人間が自分の前世について知っているという世界に転移していたのです…。
 主人公の設定もユニークなのですが、その設定を反転させたかのような別世界を登場させるという、アイディア勝ちのようなエピソードです。

『生への執念』
 老婦人セリーナは、死に直面していました。彼女の面倒を見るためにやってきた姪のデボラの手をつかんだ直後、セリーナは元気を取り戻します。セリーナが活気を取り戻すにしたがって、デボラは衰弱してきますが…。
 ロッド・サーリングの原案を、ストラジンスキーが小説化したという、文字通りサーリングの「新作」というべきエピソード。ゴシック風の雰囲気といい、ストーリーは面白いのですが、やはり尺が足りない憾みが残りますね。

『怒りの化身』
 主婦ルイーズは、夫から日常的に虐待を受けていました。ある日以来、ルイーズが怒りを感じると、本物のドーベルマンが現れるようになりますが…。
 ドーベルマンは、自分でも制御できない怒りの象徴なのか? 現代的なテーマを扱った意欲作。

『トランク』
 ホテルで働く純朴な青年ウィリーは、ある日、客室に置き忘れたトランクを見つけます。そのトランクは願えば、願ったとおりのものが現れるという不思議な力を持っていたのです。トランクの力を使い、いろんな品物を用意した彼はパーティを開いて、周りの人間たちを招待しますが…。
 本当の幸福は物質的なものにはない…という作品。

『約束』
 心臓移植の手術を終えたトムは、以前とは変わった行動を取るようになっていました。そして、散歩中に見かけたある女性に妙に心を惹かれるようになります。ウエイトレスとして働く女性のお店に通い、アプローチを続けるトムでしたが、相手には全くその気はありません…。
 序盤からネタが割れるような話ではあるのですが、当然ハッピーエンドになるのだろうな…という結末がそうならないところに、妙なオリジナリティを感じます。ある意味モダンな結末ですね。

『宇宙の法則』
 宇宙船のパイロット、トーマスは、熱病の血清をある星に届ける任務に当たっていました。最速で薬を届けるため、船には余計な荷物はなく、燃料も必要最低限しか積んでいません。ところが、その船に兄に会うために密航した少女がいることが発覚しますが…。
 少女の命と大量の人々の命、どちらかを捨てなければならないとき、人はどうすべきなのか? 究極の決断を描いた、トム・ゴドウィンの傑作短篇『冷たい方程式』の映像化作品です。シンプルな構造の原作だけに、映像化しても心に沁みる作品でした。

『壁の中の顔』
 ある療養所に赴任してきた精神科医マロリー。そこで出会った患者のジャロンは、部屋のシミや服の柄などに極度の恐怖を抱いていました。彼女の恐怖の秘密を探ろうと考えるマロリーでしたが…。
 壁の中には何がひそんでいるのか…? 正体がはっきりしないだけに、なかなか不気味なホラー・ストーリーでした。

『危険なチャレンジ』
 自分をビリヤードの達人と信じるジェシーは、今は亡き伝説の名人ビッグ・ブラウンの名を叫び、自分と勝負しろと叫びます。すると死んだはずのビッグ・ブラウン本人が現れ、彼と命をかけた勝負をしようと持ちかけてきますが…。
 オリジナル版の1エピソードのリメイク的作品ですが、なんとオリジナルとは異なる結末になっています。作品単体としてはどうということはないのですが、オリジナルエピソードを見ていると楽しめる作品ですね。

『信念の脱出』
 戦争につながる研究をしていたマーティンは、その研究を狙う組織に監禁され、拷問されていました。ある時、同じ独房に投獄されてきた男は、彼を助けに来たと放します。彼によれば、精神的な力でいつでも別の世界に脱出できるというのです。半信半疑のマーティンでしたが…。
 なんとなくオチの予想はつくのですが、さらにそれをひっくり返すオチがつくという、なかなか面白い作品です。精神的な脱出というテーマは、ジャック・ロンドン『星を駆けるもの』を思わせます。

『記憶の値段』
 失職したフォスターは、金を引き換えに質屋に記憶を売ってしまいます。ほんの少しだけと思いながら、何度も記憶を売っていった彼は大部分の記憶を失ってしまいますが…。
 アイディアはいいのですが、記憶のディテールが粗かったりと演出面で弱く、インパクトの薄い作品になっています。もったいない作品ですね。

『霊界のランデブー』
 老女バーバラは、死に取り憑かれていました。無関係な人の葬式に現れては、感銘を受けていたのです。自らも死を望む彼女の態度は、息子からも非難を受けていました。ある夜、瀕死の強盗が家に侵入しますが、バーバラは、彼が死にかけているのを静かに見つめ続けます…。
 死を追い求める老女という、何やらブラッドベリ風の空気に満ちたファンタジー。

『生の証明』
 79歳の経営者ダリアスは、本来なら死んでいたところを、人工の脳と体を手に入れることによって甦ります。精力的に働き始めた彼に対し、父親は死んだと信じるマイケルは、訴訟を起こしますが…。
 機械化された人間は本当に人間といえるのか…? 人工の脳は人間と見なせるのかという、現代的なテーマを扱った作品。30分で終わらせるにはもったいないですね。

 第3シーズンは、正直、平凡な作品が多かった印象です。ストラジンスキーが絡んだ作品はそれなりに面白く観れるのですが、小説版を先に読んでいると、やはり描写の足りないテレビ作品の方は貧弱に感じられてしまいますね。

 とりあえず、これで『ミステリーゾーン』『新トワイライトゾーン』のシリーズは全て視聴したことになります(未収録のエピソードも何話かありますが)。シリーズ開始から完結まで、3年半ぐらいでしたでしょうか。非常に長かった。
 ロッド・サーリング、リチャード・マシスン、チャールズ・ボーモントといった異色作家たちによるエピソードは、今観ても非常に面白いものが多かった反面、非常に古びてしまったエピソードも多かったです。
 時代的には新しい1980年代の『新トワイライトゾーン』のエピソードの方が、『ミステリーゾーン』のエピソードよりも古びているパターンもあり、それだけに、オリジナル版におけるサーリングの存在感を認識させられました。
 全体的に見ると、やはり一つ一つのエピソードの完成度は『新トワイライトゾーン』よりも、オリジナルの『ミステリーゾーン』の方が遙かに高い、というのは事実だと思います。
 ただ、『新』を含めて、観る《異色作家短篇集》とでもいうべきこのシリーズを通して視聴できたことは、このジャンルのファンとしては、長年の課題の一つを解決できたようで、ちょっとホッとしています。

テーマ:海外ドラマ(欧米) - ジャンル:テレビ・ラジオ

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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
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