ナイトビジョンその7
 今週放送分の『ナイトビジョン』のレビューです。

「憎まれ人形」
 アンディは、弟との待ち合わせに向かう途中、電話に気をとられ大男にぶつかってしまう。飲み物を相手にかけてしまったアンディはとっさに謝るが、大男は意味不明の外国語でわめいた後、まじないのような仕草をして去ってゆく。
 弟は、それは呪いの言葉なのではないかという。ウェイトレスが自分に異様な敵意を示すのを見て、不審に思うアンディだが、いつの間にか弟の態度も豹変している。
 会社では上役に突然クビにされ、帰り道では工事現場の連中に殺されそうになる。警官にそのことを訴えてみても、相手にしてもらえない。しかも警官は意外なことを告げる。アンディの話は、ベストセラーになっている小説と全く同じだというのだ!
 本屋でその小説、ウィリアム・プライスの「憎まれ人形」を手にしたアンディは愕然とする。主人公の名前も表紙の写真も自分にそっくり。そして小説の主人公は、自分に起きたのと全く同じ出来事に出会っていた! ようやくアンディは大男によって呪われたことを確信する。それは周りの人々に憎悪をかき立ててしまうという呪いだった。
 しかも、その小説と全く同じような出来事が、現実に起こり続ける。家に戻ったアンディは、妻にそれまでの経緯を話すが信じてもらえない。そして妻もまたアンディに憎悪を剥き出しにし、拳銃で襲いかかる。揉み合った際に妻を射殺してしまったアンディは、すべては小説家プライスのせいだと考え、彼の自宅に侵入する。アンディは、プライスに小説を書き直せと命令する。すべては夢だったということにしろ、と…。
 アンディにふりかかる、あまりに不条理な出来事。飲み物をかけてしまったぐらいで、何でこんな目にあわなければならないの?というくらいの災難の連続が見ていて痛々しいばかり。最初は、呪いをどうやって解くのか?という方向に進むのかと思いきや、思わぬ方向へストーリーがねじれていくあたり、実に面白いです。
 小説に書かれたことが現実になる…というメタフィクション的作品。アンディに起こった出来事が、あくまで妄想だと信じる小説家プライスが更に不条理な目に会う、という二段構えのサプライズ・エンディングになっています。アンディを操るプライスもまた一段上の現実の操り人形でしかないという、入れ子形式のホラー。ちなみに原作はホラー作家トマス・F・モンテレオーニの作品です。

「暗闇」
 ハーロウ・ウィントンは、それまで存在すら知らなかった大叔父の遺言により、広大な屋敷を相続することになる。遺産相続の条件は、その屋敷にハーロウが住むこと。仕事から解放されたハーロウは喜ぶが、屋敷のおかしなところに気がつく。屋敷の中は照明やライトだらけなのだ! 聞けば、大叔父は暗闇を恐れ、屋敷中に照明をつけさせたのだという。
 弁護士はウィントン家の先祖について、気になる話をする。労働者から苛酷な搾取を行っていたウィントン家の先祖は、人々から相当恨まれているのだという。弁護士は屋敷を市に寄付すべきであると提案するが、ハーロウは歯牙にもかけない。
 ある日、ネズミが「影」に襲われ絶命するのを見てハーロウは驚愕する。弁護士は言う。「影」はウィントン家に恨みを持つ人々の怨念が集まったものだ、と。再び屋敷を寄付することを提案する弁護士だが、ハーロウはあくまで財産を手放すことを拒否する。
 光を集中的に浴びせれば「影」が殺せることに気づいたハーロウは、屋敷に巨大な照明を設置し「影」を殲滅しようと考える。そして深夜、「影」をうまくおびき寄せたアンディだったが…。
 人々の怨念が主人公を襲うのですが、富への執着のため彼は屋敷を手放すことを肯んじない、という話。傲慢な主人公が罰を受けて終わり、という因果応報的な物語かと思いきや、具体的な手段を持って、あくまで対決姿勢を見せる主人公が目新しいところです。
 ただ、なぜ先祖の罪を子孫が受けなければならないのか?という疑問は残ります。作中でも主人公がそのことを指摘していますし。罰を受ける伏線として、主人公がだんだんと傲慢になってゆく描写を加えていますが、ちょっと必然性に欠けるという感じは否めません。屋敷をそれまで知らなかった親戚が相続する、という設定があんまり生かされていないような気がします。
 「影」のビジュアルは、安っぽくて大したものではありませんが、人間関係のドラマで興味を引いているので、あんまり気になりません。

テーマ:海外ドラマ(欧米) - ジャンル:テレビ・ラジオ

この記事に対するコメント
遺言もの
「暗闇」のレビューを読みながら思ったのですが、ミステリィに限らず海外の小説に遺言がポイントになっているものがけっこうありますね。個人的に「遺言もの」と名づけています。
日本人の感覚からするとぴんとこないのですが、遺言執行人が目を光らせていて、遺言に違背したら即相続財産を取り上げてしまうということが契約社会では当然の如く行われているのでしょうか。遺言をテーマにしたアンソロジィを編むのもおもしろいかも。
【2006/04/15 22:14】 URL | 迷跡 #- [ 編集]

そうかも
たしかに欧米ものだと、遺言がやたらと出てきますね。「鍵をかけていなければ盗まれてもしょうがない」みたいな感覚なのでしょうか。
奇矯な富豪が、とんでもない遺言を残して混乱に陥る、という話もよく見かけます。これって考えようによるとSFの「エキストラポレーション」と似たようなものとも言えますよね。物語世界の前提条件を都合良く導入する手段、とでもいいましょうか。例えば以前このブログで紹介した『魔性の犬』なんかで言うと、犬に遺産を相続させる、という設定が物語を面白くしていますよね。
「遺言もの」アンソロジーは、面白そうです。ミステリに限るなら、候補作品が山ほどあるでしょうし。
【2006/04/15 22:25】 URL | kazuou #- [ 編集]


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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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