怪奇幻想読書倶楽部 第1回読書会 開催しました
 11月13日の日曜日、高田馬場駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第1回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め10名でした。
 当初の予定では2時間ほどの会だったのですが、延長し、約3時間半の長丁場となりました。おつきあいいただいた参加者の皆さま、ありがとうございました。
 僕自身、主催者が初めてということもあり、段取り的には、かなりぎこちない面があったかと思います。ただ、第1回目の会を開催してみて、何となく自分のやりたい読書会というものが見えてきたような気がしています。
 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。

 あらかじめメールにて、参加者の皆さんにアンケートをお願いしていました。そこから名前(ハンドルネーム)と好きな作家・作品・ジャンルを抜き出して、参加者全員のプロフィールをまとめたチラシを作りました。
 チラシは、PDFにして1週間ほど前にメールで配信しています。参加者の方には、自分以外の参加者の人数とプロフィールが、事前にわかる仕組みです。

 当日、参加者が揃ったところで、全員の紹介を行います。その際、事前に配信していたチラシの紙プリント版と、参加者の名前(ハンドルネーム)の入った名札を渡します。
 チラシを見ながら、主催者が名前を呼び、それに返事をしてもらう形で点呼を取ります。特別、自己紹介は行いませんので、これで顔を名前を一致させてもらいます。

 そしてメインのフリートークの時間です。第1回のテーマは「怪奇幻想小説のアンソロジーをめぐって」。とっかかりがないと話しづらいかと思い、日本で刊行された怪奇幻想小説のアンソロジーのリストを作り、配布しました。
 基本的には、話したい人が自由に発言してOKです。別に話さず、聞いているだけでも構いません。
 アンソロジーに関わる話題とはしましたが、厳密にそれにこだわる必要はありません。収録作品や作家の話でも構いませんし、お気に入りの本を持ってきた方は、それを紹介してもらっても構いません。本に関する思い出話でもいいし、入手に苦労した話でも構いません。
 結果として、多彩な話題が出てきたと思います。順不同で話題になったトピックを並べてみましょう。沢山の話題が出たので、記憶にあるものだけですが。

『怪奇小説傑作集』について。どの巻がいちばん面白いか? 4巻フランス篇の独自性について。
・怪奇小説は筋が覚えにくいものが多い? 雰囲気だけで怖い作品、ギルマン『黄色い壁紙』、ウェイクフィールド『赤い館』など。ミステリやSFとの比較。
・怪奇小説は、押さえるべき古典作品の数が少ないので、後発でも網羅が可能?
・怪奇小説は、時代が下るにつれて、物理的な恐怖が心理的な恐怖に変わってくる。ジャクスン『たたり』、ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』など。
・オカルト探偵ものの特徴について。超自然だけでなく、人間の仕業というものも多い。ホジスン《カーナッキ》、ホック《サイモン・アーク》など。
・超常現象を背景としたミステリについて。ストリブリング《ポジオリ教授もの》など
・ジェイコブス『猿の手』について
・「悪魔との契約もの」について。風間賢二編『天使と悪魔の物語』など。
・風間賢二編『クリスマス・ファンタジー』について。シーベリイ・クインの『道』の素晴らしさ。
『ミステリマガジン』の特集について。《幻想と怪奇》特集のこと。
・新人物往来社『怪奇幻想の文学』について。奇跡譚を集めた6巻の紹介。ロバート・リンドナー『宇宙を駆ける男』について。
・鮎川哲也、芦辺拓編『妖異百物語』の面白さ。
・スタニスワフ・レムについて。『ソラリス』のロマンス性。『宇宙創世記ロボットの旅』、レムの自伝について
・フィリップ・K・ディックについて。初期短篇の素晴らしさと後期作品の難しさ。仁賀克雄編の短篇集など。
・仁賀克雄編『幻想と怪奇』について。ロバート・ブロック好き?
『ミステリーゾーン(トワイライトゾーン)』について。
・中田耕治編『恐怖通信』について。
・翻訳について。平井呈一の訳文。村上春樹訳のチャンドラーについて。
・差別表現の表記について。昔の少年小説の例など。
・新しい世代の幻想小説家は出てきているのか? ケヴィン・ブロックマイヤーの作品について。『終わりの街の終わり』『第七階層からの眺め』など。
・スティーヴン・キングとジョー・ヒルの短篇について。『ナイト・フライヤー』など。
・ロード・ダンセイニの作品について。
・江戸川乱歩の映画化作品について。
・幻想文学ファンは『ハリー・ポッター』を読んでいるのか?
・トールキン『指輪物語』、ルイス『ナルニア国物語』、ル・グィン『ゲド戦記』などについて。
・ラヴクラフト作品の特徴。「名状しがたいもの」について。全集を読むのはつらい?
・パルプマガジン作品について。その面白さとは?
《ウィアード・テールズ》について。国書刊行会版『ウィアード・テールズ』についての感想。
・モーリス・ルヴェルとその作品について。ルヴェルの残酷性と叙情性など。
・モーリル・ルナールの作品について。
・ロアルド・ダールについて。
・ロバート・エイクマン作品の面白さ。短篇集『奥の部屋』『鳴りひびく鐘の町』、刊行予定の自伝について。
・国書刊行会《ドーキー・アーカイヴ》について。
・シャーリイ・ジャクスンの魅力。『ずっとお城で暮らしてる』の解釈について。『たたり』『野蛮人との生活』など。
・アンソロジーシリーズ《ナイトヴィジョン》の魅力。『スニーカー』『ハードシェル』について。
・戦前の猟奇的な作品について。
・論創社ミステリについて。収録作品は玉石混淆。
・戦前の探偵作家について。今でも面白く読めるものがある?
・古い翻訳について。当時の外国文化はどう訳されているか?
・短篇集の読み方について。収録順には読まない!
・翻訳作品は今でも読まれているのか?
・翻訳作品の出版部数について。
・各出版社の文庫の書体の読みやすさ。
・個人の蔵書数とその扱いについて。

 課題図書のないフリートークということもあり、間が持つかな、と不安に思っていたのですが、杞憂でした。参加者が全員、怪奇幻想プロパーのファンというわけではなく、また怪奇幻想ジャンルのファンであっても、やはり読んでいる本や好きな作家は異なります。ミステリファン、SFファン、海外文学ファンと、微妙に読書背景の違う人たちが集まったことで、逆に多彩な話題が出てきたのかな、という気はします。

 以前に書いたように、毎回テーマを設定してジャンルを絞るというのは、方針として変わっていません。ただ、そのテーマに引っかかる形で思いついた話題を、主催者だけでなく、参加者の方がどんどん出していく、という形で行うと、フリートークでも、すごく盛り上がるのですよね。
 その時々で出た話題に関して、人によっては絡みにくいものや興味のないものもあるかと思います。ただ、どんどん話題を出すことによって、どんな人でも、何かしらの興味を持ってもらえる話題がいずれ出てきます。話題を出して、あんまり話が広がらなくてもそれはそれでOKで、また違った話題をどんどん出していく…と。
 結果的に、参加した人が、何かしら面白いものや話題を持ち帰れる、おもちゃ箱のような読書会ができたらいいな…と考えています。

 とりあえず、12月中に第2回目の開催を目指して、準備していきたいと思います。第2回目のテーマとして、今考えているのは、「《異色作家短篇集》と<奇妙な味>の作家たち」。ただ、怪奇幻想アンソロジーについては、とても1回でまとめきれる内容ではなかったので、続けてテーマにしてもいいのかなとは思います。もしくは、少し間を空けて、再度取り上げるのもありかもしれません。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
読書会
参加出来ない者にとって読書会の報告をアップして下さるのは有り難いです。事前にメールやアンケートを送信したり資料を作成したりするだけでも手間がかかりますし。本当に様々な話題が出たんですね。古典からモダンホラーまで興味はつきません。
【2016/11/14 23:53】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]

学際的
参加者の方のバックボーンが様々なので、本当にいろんな話題が出ました。他ジャンルからみた怪奇小説とか、大げさな言い方だと「学際的」とでも言うような感じですね。
この方面をもっと広げていけば、面白い試みができそうな気がしています。
【2016/11/15 08:16】 URL | kazuou #- [ 編集]


もう(失礼!)開催されたんですね。素晴らしいです。
参加できなくても、こっそり、となりのテーブル(?)で聞いていたかったです。(怪しすぎ?)

内容の紹介→ものすごい範囲ですね。もう「素晴らしい」の一語です。
【2016/11/15 21:52】 URL | fontanka #- [ 編集]

>fontankaさん
記憶にある限りなので、実際はもっとたくさんの話題が出てました。予想以上に、広い範囲の話題が出て、バラエティ豊かな会になったように思います。面白い話をしてくれる方が何人もいてくれて、嬉しかったです。
【2016/11/15 22:45】 URL | kazuou #- [ 編集]

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【2016/11/19 02:08】 | # [ 編集]

熱意
先ずはお土産話、ありがとうございます。
楽しい経験で、更にそれを共有したいなという気持ちがあっても、それを期日をおかずに更に文章化するとなると手間だし時間もとられることですし。
(静かな)熱気と盛り上がり、楽しい雰囲気、伝わりました。

それにしても、私も何だか、「いつ開催です!」みたいな感じでもう一回告知があってから開催かななどと勝手に思っていたので、おや、もうやったんだなどと唐突に感じてしまいました(よく考えてみれば、個別にお知らせをしていればブログ上での告知など別に必要ない訳ですが…)。
参加者のプロフィールの事前紹介は、バックボーンやキャラクターを知らせ、発言の意図や背景を汲み取りやすくし、また親しみを感じさせる心憎い配慮だと感じました。多分、そのことも各々が(早く)自由な発言をしやすくすることに結構寄与したんではないかと思いますし、事前準備の周到さにkazuouさんの意気込みも感じます。

それにしても、3時間半という時間と、多岐にわたる内容を見るにつけ、皆さん、本当にこのジャンルについて話すことに飢えていたんだなぁと、畏敬の念すら覚えます。
話題を拝見すると、アンソロジーがテーマだったと思うのですが、もう長編の話もバンバン出ていたみたいですし、ジャンル・サブジャンルの傾向の話や個別の作家さんについての話題も出ていて・・・「幻想」の守備範囲とはいえ、ハリー・ポッターに指輪物語、果てはソラリスの話まで出たんですね・・・
かと思えば、結構マニアックな(多分)、こちらの存じ上げない作家名もちらほら(となると結構ナイトランド読者なんかも多かったりしたんでしょうか…)。新しい作家さんなのか、あるいはパルプマガジン系なのか・・・
もうこの1回で語りつくしてしまおうというくらい内容が豊富で、皆さんが語り合うことを楽しんでいたこと、何より話してみたいことがあったのだということがひしひしと伝わってきました。

そうは言ってもやはり子細に検討してみると、この分野とかこのジャンルの話は出ていないよなという部分もそれなりにはあって(まぁ一日の対話にこれ以上を求めるのも何ですが…)、続きが行われたら、また別の方面から盛り上がれるんではないかと思いました。
個人的に、あれ、この話題出なかったのかというのが、マンガ・絵画・絵本等ビジュアル系の話題ですね。あと(翻訳もののファンが楽しめる)邦人作家たちとか、昨今多く刊行される、純文学系の境界作品の話題とか…。お勧め本っぽい話題が出たのかどうかはリストからだけだと推測が難しいですね…
アンソロジーの話に絞っても、例えば「闇の展覧会」とか朝日ソノラマ系・扶桑社系の作品集とか、あるいは岸本さん編の短編集とかの話はあったんだろうかとちょっと思いました。といっても短い時間の中でもどうしても話したい、というほどの思い入れがある訳でもないので、話題として出なくてもある意味妥当だったのかもしれないですが。
アンソロジー関連で、仮に参加していたら個人的に聞いてみたかったことというと…「ファンタジーへの誘い」はご存じ?とか(他の方の、「これはご存じ?」とか)、星新一編の「ショートショートの広場」の印象とか、スプラッタパンク以降の作品集で(「999」とか「シルヴァー・スクリーム」とかそれ以降の作品ですかね・・)特に印象的なものがあるか、とか邦人もののお勧めアンソロジーとか。参加者の方にマイ・フェイバリット・アンソロジーを編んでもらうというのも一つですが、事前作業を強いるようなものなのでまぁ止めておいた方がいいですかね・・
確かにアンソロジー一つとってもまだまだ話題は尽きなそうですね…

あとちょっと感じたのがその熱意とブログ上での表出との落差というか、こういった会の後は挨拶文がコメント欄に並んだりするものですが、そういったことがあまり見られないのは(恐らくメールなどでは直にご挨拶されたりしているのだろうなと思いますが)、皆さんとても用心深いのか、それが今の時代なのか、あるいは文章が苦手あるいは面倒なのか、それともこういったところで書き込んだりするのははしたなく見えるのか・・・なんてこともチラッと…
(これだけ交流に熱意のある方々でも、コメント欄などではあまりお見かけしない訳で・・・)

次回、異色作家短編集、そういえばそのものは今回、意外にも話題に上らなかったようにも見えますね… 作家名としてダールの名が出たり、ジャクスンの長編が話題に上ったりはしたみたいですが…(ブログのプロフィールを考えるとちょっと意外な気もしました)。
異色作家短編集に他の作家を追加したら…とか、別途(あるいは今)そのような作品集を編むとしたら…といった辺りは定番の話題かなと思いますが、どんな風に展開するのかは、今回の状況を見る限り、これはもうその場の成り行き次第な感じですが、そこもまた楽しみなところですね。何が出てくるかな・・・
(異色作家短編集自体、恣意的なくくりなので、現代でまた別の「魅力的なくくり」を考えるとしたら…どんな形がありうるだろう…というのはふとした思いつきですが、これは人に答えを求めるようなものじゃないですね…)
【2016/11/19 15:26】 URL | Green #mQop/nM. [ 編集]


自分の記憶が新しいうちにまとめておこうかと思って、早めにレポートを書いたつもりですが、熱気がうまく伝わったかは、心もとないです。

告知はしようかなと思ったのですが、参加者にはメールで詳細を伝えていました。参加しないブログ読者にわざわざ記事を使って告知するのもどうかな、と思っていました。
事前のプロフィール紹介は、緊張をほぐすのと、同じ趣味を持つ人が多いですよ、という参加者のモチベーションを高めるためにやってみました。

もうちょっとテーマに沿った展開になるのかな、と思っていたので、自分でも話の流れの自由さにはビックリしました。とくにそれを矯正したりしなかったのも、逆に良かったのかなと。

ビジュアル系の話題は、マンガや絵本だけでなくて、映像ものとかも含めて、いずれ単体でテーマに取り上げたいな、と思ってます。

アンソロジーは古典の話が主で、モダンホラー系はあまり出なかったので、次回開催時にその辺の話もできたらいいなと思っています。

何人かの方は、お好きなアンソロジーや今読んでいる本の面白さについて語っておられましたよ。僕も特定のアンソロジーについて話題を振ってみたものもありますが、やはり古いアンソロジーになると、ほとんど読まれていないものもあったりして、なかなか難しいですね。

メールでは、熱意ある文章もいただいてますよ。参加者の方は、もともとネット上の活動をしていない方が多いので、あまりそういう習慣がないんじゃないかと。

いろんな話題が出たものの、当然1回で話しきれるわけでもなく、たしかに《異色作家短篇集》もあまり話題にならなかったのですが、今回テーマにする関係上、その方が良かったかもしれません。
現代に同種のアンソロジーを編むとすると?というのは定番かもしれませんが、面白そうですね。
本当に何が出てくるかわからない…というのも、また楽しみです。
【2016/11/19 17:22】 URL | kazuou #- [ 編集]


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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
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