『新トワイライトゾーン』第1シーズン完結
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 DVDマガジンが刊行中の『ミステリーゾーン』、68巻にて『新トワイライトゾーン』の第1シーズンが完結しました。第1シーズンに関しては、日本でもビデオ化されていたため、ほぼ再見になります。ただ、観たのは30年近く前なので、初めて観るような気分で楽しめました。
 第1シーズンの総括的な意味で、ちょっとまとめておきたいと思います。

 全体的に玉石混交だな、というのが正直な感想です。エピソードごとの出来不出来が、非常に激しいのです。旧シリーズ(『ミステリーゾーン』)のように、ロッド・サーリングという強烈な個性が仕切っているわけではないので、シリーズを通して一貫性のようなものが少ないのですよね。
 逆に言うと、バラエティに富んでいる、ともいえます。SF、ファンタジー、ホラーと、いろいろなジャンルの作品を詰め込んでいて、ある種、何でもありの楽しさがあります。旧シリーズでは少なかったコメディタッチの作品や、本格的な怪奇物があったりするのも嬉しいところです。

 印象に残ったエピソードを挙げておきましょう。以前の記事で、序盤のいくつかのエピソードを紹介しているので、それ以降の作品を挙げてみます。

『復讐のハイヒール』
 気弱な女性マディは古着屋で働いています。ある日、店に亡くなった女性の遺品が送られてきますが、その中にあったハイヒールを履いたマディは、態度が豹変してしまいます…。
 チャールズ・ボーモント脚本の旧シリーズ作のリメイクですが、設定だけを使い、中身は全く別の話になっています。旧作と比べると、やはりモダンな印象です。この設定、話に広がりがあるので、映画化したら面白くなりそうな感じがしますね。

『解禁日』
 親友カールの妻サリーと不倫をしているジョーは、猟の解禁日にカールを殺害してしまいます。しかし気がつくと、自分はサリーと結婚しており、子供たちは自分のことを父親と呼ぶのです…。
 結局、誰が誰を殺したのか…? 主人公が体験する出来事は真実なのか? ミステリアスかつ幻想的な雰囲気のエピソードです。シリーズ屈指の作品ではないでしょうか。

『時空を超えて』
 常に怒りを抱えている作家のガスは、ささいなことから、子供時代から大切にしているオモチャを壊してしまいます。少年時代をすごしたオハイオに行くことを思い立ったガスは、そこで孤独な少年と出会い、親交を深めることになります…。
 少年時代の自分と向き合うことになるという、オーソドックスなテーマながら、味わいのあるエピソードです。原作はハーラン・エリスン。

『さまよえる魂』
 二人の科学者ケビンとダンは、ホログラムの研究を行っていました。ある日、プログラムした覚えのない人間の胎児がプロジェクターに現れ、だんだんと成長をしていきます。ケビンは、亡くなった女性の魂が機械に紛れこんだのではないかと考えますが…。
 あっという間に歳をとるホログラム内の女性に対し、思い入れをしてしまう科学者。必ず来る別れのときを、彼はどう迎えるのか? 壊れかかった夫婦の仲をからめて描く、意欲的なヒューマン・ストーリーです。監督は、ウェス・クレイヴン。

『コピー』
 秘書のカレンは、職場のボスから酷い扱いを受けていました。クリスマスの日に、大量のコピーをいいつけられたカレンは、見慣れないコピー機でコピーをとりますが、その直後から彼女を見る周りの目が変わったことに気がつきます…。
 異世界を行き来できるコピー機を扱った、コミカルなファンタジーです。

『現像』
 写真家のダニエルは、祖母の遺品の中から、フィルムが入ったままの古いカメラを見つけます。そのフィルムには、過去に行われた先住民族調査の記録が残っていました。彼らは、写真を写されると魂を奪われると信じていたというのですが…。
 写真によって魂を奪われる、というアイディア・ストーリー。後半の緊迫感はなかなかです。

『時のすきま』
 若夫婦が目を覚ますと、玄関の方で物音がしているのに気がつきます。黒ずくめの男たちが家具をどんどん運びだしているのです。夫婦が止めようとしても、彼らは気にかけません。外に出た夫婦は、周りの家には住民がおらず、自宅と同じように、黒ずくめの男たちが片づけをし続けているのを見て驚きますが…。
 時間のはさまに落ち込んでしまった夫婦を描くコミカルSF作品。馬鹿らしいアイディアながら、観ていてじつに楽しいエピソードです。原作はシオドア・スタージョン『昨日は月曜日だった』

『無視刑囚』
 その社会では、冷淡な人間は周りの人間から無視をされる「無視刑」を科されていました。無視刑囚となったミッチェルは、やりたい放題を繰り返しますが、やがて孤独から精神を病んでいきます…。
 人間は孤独では生きていけない…というテーゼをわかりやすく描いた作品です。盲人が主人公と会話をしている最中に、突然気がついて立ち去る…というシーンが印象的です。ヒューマニズム溢れる結末も見事ですね。原作はロバート・シルヴァーバーグ。

『意識の空白』
 技術者のフォアマンは、不治の病のため、冷凍睡眠に入っていました。未来で目覚めた彼が目にしたのは、科学ではなく精神的能力で運営されている社会でした。隕石衝突を防ぐために、彼の技術が必要だと知ったフォアマンは協力を惜しみませんが…。
 科学技術の発展を棄てた未来社会で、過去の価値観に囚われた男は社会に順応できるのか? そして彼の使命とは…? 文明批判の趣もある本格SFストーリーです。

『おばあちゃん』
 少年ジョージィは、兄の見舞いに出かけた母親の留守中に、祖母の面倒を見るように言いつけられていました。常日頃、祖母を怖がっているジョージィは、母親が帰ってくる前に、祖母が死んだらどうしようかと不安にかられます…。
 過去に暗いうわさの耐えなかった祖母の最期とは…。クトゥルー神話のバリエーション作品ですね。原作は、スティーヴン・キング『おばあちゃん』。近年、『スティーヴン・キング 血の儀式』として映画化もされています。

『銀貨の横顔』
 ハーバード大学教授フィッツジェラルド。彼は200年未来からやってきた時間旅行者でした。先祖でもあるケネディの暗殺を調査しにやってきていたのです。暗殺現場に立ち会った彼は、衝動的にケネディの暗殺を阻止してしまいますが、それが原因で歴史が変わりつつありました…。
 時間改変もの作品です。ケネディの死は避けられないという歴史的事実と、先祖でもあるケネディを助けたいという思いの葛藤が見所です。

『欲望のボタン』
 いさかいの耐えない夫婦のもとに送られてきた謎のボタン。やってきた男が言うには、そのボタンを押せば、誰か見知らぬ人間が死に、その代わりに大金が手に入る、というのです。妻は、考えた末にボタンを押してしまいますが…。
 見知らぬ人間であれば死んでもいいのか? という倫理的なテーマをはらみながらも、自分も他人にとっては「見知らぬ人間」に過ぎないのではないか…という疑問を抱かせる演出もなかなか。リチャード・マシスンの原作とは異なる結末ですが、これはこれで味わい深いですね。

『恐怖のメッセージ』
 とある町で広がっているという伝染病について調べるため、派遣された調査員エドワード。あらゆる人間に感染するというその病は、人の正気を失わせるというのです。病の元が、かって東洋を研究していた男にあることを突き止めたエドワードでしたが…。
 人間の正気を失わせる「恐怖のメッセージ」。メッセージの内容は全く描かれず、ただ狂気が伝染してゆくという、淡々とした演出が恐怖感を高めます。原作は、シドニー・シェルダン。

『赤い雪』
 北極圏で党員が謎の死を遂げたことから、調査に派遣されたKGBのウラノフ。調査の結果、党員の死は殺人であったことを知ります。過酷な村に隠された秘密を知ったウラノフは、自らの理想と義務に向き合うことになりますが…。
 管理された社会、過酷な僻地の生活。理想に破れた男が出会った真実とは…? 社会批判的なテーマもはらんだ本格怪奇譚です。映像的な見せ場も多く、密度の高いエピソードです。

『永遠のエンターティナー』
 トップコメディアンのビリーは、銃を持った売れないコメディアンともみ合いになった結果、撃たれてしまいます。薄暗い場所で気がついたビリーは、見知らぬ男に舞台に立たされることになりますが、そこでは、自分の罪を告白するたびに、観客が拍手喝采するのです…。
 これは試練なのか、それとも罰なのか…? 華やかな舞台が絶望に変わるラストシーンは印象的です。皮肉に満ちたエピソード。

『ライフ・ライブラリー』
 個人図書館で働くことになったエリーは、蔵書が全て人の名前になっていることに気がつきます。本には、生きているあらゆる人間の人生が描かれているのです。本に改ざんを加えると、その人の人生が変わってしまうことを知ったエリーは、他人の人生を変え始めますが…。
 ほころびを繕うために行った改ざんが、さらに事態を悪化させていきます。やっかいな隣人の人生を変えたと思ったら、その影響が別の人間に影響し、と連鎖的に世界が変わってしまうという設定が面白いですね。

『ナイトメア』
 アダム・グラントは被告席で死刑を宣告されますが、これは自分の夢に過ぎないと言い張ります。自分が死ねば、この世界そのものが消えるのだと。彼の言葉を信じる弁護人は、検察官を説得して死刑を中止させようと奔走しますが…。
 旧作シリーズのリメイクです。脚本はチャールズ・ボーモント、原作小説は『トロイメライ』
 舞台となる刑務所の描写がリアルで緊迫感があります。死刑執行時間までに事態を止められるか? といったタイムリミット・サスペンスの要素もあります。旧シリーズ版同様、リメイク版もなかなかの傑作エピソードだと思います。

 さて、次巻より第2シーズンが始まります。69巻の収録エピソードには、シオドア・スタージョンの名作『孤独の円盤』のタイトルも見え、観賞が楽しみです。

テーマ:海外ドラマ - ジャンル:映画

この記事に対するコメント

最近、『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』で「昨日は月曜日だった」を読んだので、「時のすきま」に興味津々。
あのドタバタ感はたまらないです。
【2016/04/22 20:58】 URL | 迷跡 #- [ 編集]

>迷跡さん
作業員たちが手作業で「時間」を作っていく…というアナログ感が楽しいです。今、映像化したら、CG全開になってしまうかもしれないですね。

スタージョンって、ときおりスラップスティックなユーモア作品があったりするところが侮れないです。『裏庭の神様』なんてのも楽しい作品でした。
【2016/04/22 21:27】 URL | kazuou #- [ 編集]


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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
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