最近読んだ本

4594073859ジグソーマン (扶桑社ミステリー)
ゴード・ロロ 高里 ひろ
扶桑社 2015-12-02

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ゴード・ロロ『ジグソーマン』(高里ひろ訳 扶桑社ミステリー)

 妻子を失って以来、酒におぼれ、路上生活者となっていたマイケル。自殺を試みようとした彼の前に一人の男が現れ、提案を持ちかけます。右腕を一本200万ドルで売らないか?、と。
 富豪でもある医師が、研究のために必要だという話を信じ、男と一緒に、医師が住む館を訪れたマイケルを待っていたものとは…。
 猟奇的なホラーサスペンスです。タイトルから想像がつくように、スプラッター度の高い作品なのですが、意外に直接的な描写は少ないです。悲惨な状況に陥った主人公が、その状況から脱出できるのかという、サスペンス的な興味で読ませます。
 主人公がだんだんと体を傷つけられていくのですが、どこまで体を失わずに脱出できるかという、究極のタイムリミット・サスペンスとして読める作品。敵方のマッドサイエンティストや用心棒のキャラも立っています。



448801053910の奇妙な話
ミック・ジャクソン デイヴィッド・ロバーツ
東京創元社 2016-02-13

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ミック・ジャクソン『10の奇妙な話』(田内志文訳 東京創元社)

 《奇妙な味》の短篇を集めた短篇集です。どれも読みやすく、よく出来た短篇が並んでいます。
 初老の孤独な姉妹が、海で溺れた青年を助けたことから起こる出来事を描く『ピアース姉妹』、眠り続ける少年と周りの人間たちを描く『眠れる少年』、引退した初老の男が地下室で舟を作り始めるという『地下をゆく舟』、気まぐれな金持ち夫婦に「隠者」として雇われたものの、やがて心を病んでしまう男を描いた『隠者求む』などが面白いですね。
 蝶の標本を見た少年が、蝶たちを修復しようと考える『蝶の修理屋』、お気に入りのボタンを飲み込んでしまった馬から、ボタンを取り返そうと考える少女を描いた『ボタン泥棒』などは、ヤングアダルト色が強い感じです。



4062199513楽しい夜
岸本 佐知子
講談社 2016-02-25

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岸本佐知子編訳 『楽しい夜』 (講談社)

 岸本さんの今までのアンソロジーとは異なり、テーマ不定で集められたアンソロジーなので、バラエティに富んでいます。実験的なもの、文学味の強いものが多い印象なので、好き嫌いは分かれるかもしれません。
 突然、ボブ・ディランを連れてきた妹と、出兵しようとする兄を描く、奇妙な家族小説、マリー=ヘレン・ベルティーノ『ノース・オブ』、有名な俳優と、飛行機の中で隣り合った女性を描く、ミランダ・ジュライ『ロイ・スパイヴァ』、伝染病の犬に娘を殺された家族たちが、周りの人間たちを扇動するようになるという、ジョージ・ソーンダーズ『赤いリボン』など。
 とくに面白かったのは、アリッサ・ナッティングの2篇。人間の体内に他の動物を寄生させることになった世界を舞台に、骨の中にアリを飼うことになった女性を描く『アリの巣』、髪を吸うと記憶を読み取ることができる青年を描く『亡骸スモーカー』。どちらもヘンテコな発想の面白い作品でした。



4047308048異世界の色彩 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス)
田辺 剛
KADOKAWA/エンターブレイン 2015-09-26

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4047308382闇に這う者 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス)
田辺 剛
KADOKAWA/エンターブレイン 2016-03-25

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田辺剛『異世界の色彩 ラヴクラフト傑作集』(エンターブレイン)
田辺剛『闇に這う者 ラヴクラフト傑作集』(エンターブレイン)

 田辺剛は、初期にも『アウトサイダー』の漫画化作品などがありますが、このところ、集中的にラヴクラフト作品のコミカライズに取り組んでいます。黒の多い画面構成や繊細な描線は、ラヴクラフト作品によく合っていると思います。
 『異世界の色彩』は、正体不明の隕石が落下したあとに、農夫とその家族が変質していく過程をじっくり描いた作品。非常に完成度が高いです。
 『闇に這う者』の方は、『ダゴン』『闇に這う者』を収録しています。『ダゴン』の怪物、『闇に這う者』の教会の描写など、ラヴクラフト作品の香気を体現した作品になっています。
 ラヴクラフト作品に限らず、他の怪奇小説の漫画化作品も読んでみたい作家ですね。



406388113Xカナリアたちの舟 (アフタヌーンKC)
高松 美咲
講談社 2016-01-22

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高松美咲『カナリアたちの舟』(講談社アフタヌーンKC)

 高校生の宇高ユリは、ある日空に現れた巨大な飛行物体を目撃します。気を失ったユリが意識を取り戻したのは、異様な世界でした。家族や周りの人間たちも全くいない世界で唯一出会ったのは、北沢千宙という男でした。冷めた世界観を持つ北沢に対し、懸命に生きようとするユリでしたが…。
 ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』を思わせる、植物的な世界が舞台です。異星人にさらわれたという設定なのですが、基本的に異星人は登場せず、登場人物はほぼ二人きりです。
 生き残った二人の男女が、どうサバイバルし、どう生きていくのかを描いたSF作品になっています。考え方の違う男女の、感情のもつれやぶつかりあいを描いた前半も良いですが、新たな真実が明かされる後半には、SF的な設定が導入され、思いもよらぬ結末が待っています。
 詩的かつ静謐な雰囲気を持ったSF漫画です。

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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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