ブログ開設10周年とテーマ別検索の話
 このブログを開設してから、ちょうど10周年になります。
 細々とですが、なんとか続けてくることができました。いつも応援してくださる読者の方々には、あらためてお礼を申し上げたいと思います。

 ブログを始めたころの記事をいくらか見直してみたのですが、今現在とほとんど趣味趣向が変わっていないものですね。
 とはいえ、多少の変化はあって、小説以外のジャンルの本、ノンフィクションやポピュラー・サイエンス、経済の本などもかなり読むようになりました。こちらはこちらで、また違った読書の楽しさがありますね。
 以前に天文関係のガイドを記事にしたこともありますが、いずれノンフィクションの本なども、まとめて紹介したいと思っています。

 この10年を振り返ってみると、ネット環境もずいぶん変わってきました。スマートフォンが急激に普及し、それに伴ってSNSの利用者が増えてきました。
 ブログを書いていた人も、ツィッターやフェイスブックに移行してしまい、ブログを更新しなくなる…というパターンも多いようです。ブログというメディアも衰退してきたといっていいのでしょうか。
 ただ、本について紹介したり、書いたりする。そういう用途に関する限り、今でもブログは有効なメディアだと、僕は思っています

 ある本の内容について知りたいなと思っても、それが絶版だったり、マイナーなジャンルの本だったりすると、ネットで調べても、意外と情報は出てこなかったりします。
 結局、ネット時代になっても、言及される話題は限られていて、別にマイナーなものがメジャーになるわけではないんですよね。情報が少ない本に関しては、何年経っても、そう情報量が増えているわけではありません。
 実際、10年前に書いた記事にコンスタントにアクセスがあったりしているのを見ると、こんなブログでも需要があって、少しは皆さんのお役に立てているのかな、と嬉しくなります。

 さて、小説や物語についてネットで調べるときに、いつも思うことがあります。具体的なタイトルや、あらすじを知っているものについて調べるときはいいのですが、「こんな話が読みたい」「こういうテーマの物語はないかな」というような、抽象的な要望だけがあった場合、目当ての情報を見つけるのが、すごく難しいということです。
 面白い小説作品を読んだ後、いちばんに思うのは、これと似たような感じの作品はないかな、ということでしょう。
 例えばSFなんかは、サブジャンルとかテーマがはっきりしていることが多いので、それがわかっていれば調べやすいですね。「タイムトラベル」とか「宇宙からの侵略」とか。 ただ、具体的なジャンルやテーマに当てはまるものがない場合、お手上げです。
 ネット上に情報が蓄積していけば、そういう検索もいずれ可能になるのかもしれませんが、今のところ、そうはなっていません。

 言ってみれば、小説や物語の「テーマ別検索」「要素別検索」ができないか?という話だと思うのですが、そういうサービスはあるのでしょうか。
 自分が知っている範囲では、神山重彦さんが作成されている『物語要素事典』(http://www.aichi-gakuin.ac.jp/~kamiyama/)というのがありますね。テーマや要素別に物語を分類したものです。非常な労作だと思いますが、古典や文学作品が中心で、エンタテインメント方面はかなり弱いようです。
 本(エンタテインメント分野)で言うと、間羊太郎『ミステリ百科事典』(文春文庫)や、小鷹信光『〈新パパイラスの舟〉と21の短篇』(論創社)、ブライアン・アッシュ編『SF百科図鑑』(サンリオ)などが、それに当たるでしょうか。

 本にしろ、ウェブにせよ、個人で作っている場合、ネックになるのは、やはり数だと思います。世の中の膨大な小説・物語群を分類することになるわけですから、個人でできるわけがない。
 単純な語彙検索であれば、すでにグーグルなどでもやっていますが、作品の内容で調べたい、となったときには、なかなか難しいですよね。

 更新の止まってしまったホームページやブログを見て思うのは、もったいないな、ということです。それらのページは、いずれ消えてしまう可能性が高いと思うのですが、それまでに書かれたレビューや感想などの情報は、残しておけば非常に有用なのではないでしょうか。
 そうしたネット上の遺産を上手く生かした情報検索ができるようになれば、もっと個人個人の読みたい物語が、手に届くようになると思うのです。ウェブページの意味を解釈して検索するという「セマンティック・ウェブ」という概念がありますが、それが実現された暁には、そうした検索も可能になるのかもしれませんね。

 さて、連想の赴くまま、いろいろ書き連ねてしまいましたが、続けられる限り、このブログは続けていきたいと考えています。これからも、応援をよろしくお願いいたします。
この記事に対するコメント
10周年おめでとうございます。
本業の傍ら、これ程密度の濃いブログを継続なさるのは並大抵の事ではありません。個人だと自分や家族に何かあると忽ちブログどころではなくなります。これからもkazuou様と御家族が健康で平穏な毎日を過ごされ恙無くブログが更新される事を祈ります。密林とかではタイトルさえ分かれば瞬時に検索してくれますが、そこにアクセスする以前の興味を惹かれる段階で同好の士と話し合いたい。ネット以外で好みのものを見つける能力が衰えてしまいました。長々すみません。
【2016/02/08 12:38】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]

>奈良の亀母さん
奈良の亀母さん、お褒めの言葉、ありがとうございます。
やっぱり続けられるのは「好きだから」というのもあると思います。
これからも、よろしくお願いします。

ネットの場合、自分の興味のあるものしか見ない傾向があるので、思わぬ発見、といったものが少なくなりがちですよね。
そういう意味で、本で言えばガイドやリファレンス、ネットで言えば上に挙げた『物語要素事典』みたいなツールは、非常に有用なのではないかと思います。
【2016/02/08 21:23】 URL | kazuou #- [ 編集]


10周年おめでとうございます。
本を調べると、kazuouさんのブログがヒットする事が多く、前から拝見しているにもかかわらず。
新たな発見があります。

アンソロジーがこんなに出るようになって感激しています。
これからも頑張ってください。楽しみにしています。
【2016/02/09 21:42】 URL | fontanka #- [ 編集]

>fontankaさん
fontankaさん、ありがとうございます。

ひところに比べて、アンソロジーや短篇集もずいぶん多く出るようになった気がします。
「ロングテール」ではないですが、マイナー作家や作品が、読者の元に届きやすくなっているという点では、いい時代だと思います。
これからも、このブログでも、アンソロジーや短篇集は積極的に取り上げていくつもりです。
【2016/02/09 21:54】 URL | kazuou #- [ 編集]


10周年おめでとうございます!
こちらで知った本も多く、いつも参考にさせてもらっています。
ぜひこれからも頑張ってください!
【2016/02/09 23:51】 URL | sugata #8Y4d93Uo [ 編集]


10周年おめでとうございます。

このブログが更新するのを、いつも楽しみにしてます。
現在は、すみにえさんや、フクさん等々の多くの書評ブログが停止状態のなか、10年も続けておられ感動してます。

kazuouさんの言う様にネットで調べても、情報は出てこなかったりしますね。
ネットで調べれば何でもわかると思ってましたが、なかなか思うような情報にヒットしません。
そんななか、kazuouさんのブログは大変ありがたいです。

藤原編集室のTwitterでも、このブログ取り上げられてましたね、すごいです。
これからもぜひ頑張ってください、応援してます。


【2016/02/10 18:25】 URL | つくばのガマ #17ClnxRY [ 編集]

>sugataさん
sugataさん、ありがとうございます。

こちらでも、sugataさんのブログ、参考にさせていただいています。
お互い長く続けていきたいですね。
【2016/02/10 21:29】 URL | kazuou #- [ 編集]

>つくばのガマさん
つくばのガマさん、ありがとうございます。

すみにえさんのところは、僕もよく読んでました。更新が止まっていても、たまに読み返すブログやサイトはちょくちょくあります。自分のブログも、そういう風に読んでくれる人がいたら嬉しいな、と思っています。

もう、ネットなしは考えられないような時代になりましたが、検索技術はまだまだ発展途上だと思います。検索では得られない情報もたくさんあって、実際に本を読んでみないとわからないものも、やっぱりありますよね。
【2016/02/10 21:42】 URL | kazuou #- [ 編集]

10周年!
 おめでとうございます。
 拙ブログは今月で7年経過。月末には8年目に突入します。ショートショートのブログを標榜してスタートさせたのですが、開始当初とはずいぶん変容しちゃって、いまやぐだぐだ(苦笑)。惰性で続けている感が強いです。
 それと比べてkazuouさんのブログは変わらないレベルを維持されていて、素晴らしいと思います。これからも楽しみにしています。
【2016/02/11 10:16】 URL | 高井 信 #nOdkmSi2 [ 編集]

>高井さん
高井さん、ありがとうございます。

『ショートショートの…』は、いつも拝見しています。ショートショート以外の話題も楽しく読んでますよ。短篇集リストも参考にさせてもらっています。

そういえば、短篇集やアンソロジー中心のレビューサイトやブログって、あんまりなかったりしますね。


【2016/02/11 13:49】 URL | kazuou #- [ 編集]

祝10周年!
当初のスタンスをブレることなく貫いてらっしゃることに驚きます。
志の持続は難しいもの。
ネットの海も現在の検索機能であればムダにバベルの図書館モドキですよね。
AIウェブ司書の開発を期待したいところ。
ともあれ、結局ブログが過不足の無い理想的なツールのような気がします。
【2016/02/11 14:42】 URL | 迷跡 #- [ 編集]

>迷跡さん
迷跡さん、ありがとうございます。

ブログって、やっぱり頻繁に更新しようとすると、「日常ブログ」になりがちなんですよね。
「日常ブログ」を否定するわけではありませんが、このブログで取り扱うのは、本と映画の話題に限ろうと、自分で決めています。

これからも、自分なりに長く続けていきたいと思います。
【2016/02/11 19:12】 URL | kazuou #- [ 編集]

おめでとう、と言う以上に…
先ずは10周年、おめでとうございます。

こういうご挨拶は簡潔で良いからとにかく早く!が鉄則なのは分かってはいたのですが… ご提示頂いた話題も面白いし何か書き添えたいなと思うと何となくずるずると・・・(笑) という訳で、今回も遅参の客となってしまいました…。もっとも、その割には大したことも書けそうにないのですが。

こうした記事にコメントするのにもそれなりの気力がいることを考えると、10年続けてこられたのは素晴らしいと思います。
特にこういう記事の場合は情報や記述、言葉の使い方や意味にも一定の正確さを求められるものでしょうし、また好きなようにやってよいとは言っても、多少忙しかったり気が乗らない状況下でも読者サービスを考えて記事をアップするようなこともあったりするものなのではと。継続には結構な努力と時間が必要で、そのために要したものも少なくなかったのではなどあれこれ考えると、おめでとうなどという言葉よりもお疲れ様ですといった言葉の方が妥当ではと思えるほど。その意味では、10年の継続の持つ重みを誰よりもkazuouさんが感じておいでなのではないでしょうか。

こういったブログは、各個人の嗜好の情報を蓄積してくれるので、自分と同じような嗜好の人とその選択を探索する重要な情報源となってくれています。googleなんかによる検索機能の向上は、そうしたブログを探しやすくはしてくれているのかなという気はしますが、「好きな本」「似た傾向の本」を見つける上で参考になるのが、(百科辞典的なものの他には)そうした "属人的な" 情報しかない感じなのは、今も昔も変わっていない気がします。百科辞典やブックガイドなどの内容自体が編纂する人の資質に負っていたりもしますしね・・・

要素別検索のお話ですが、「物語要素事典」を見て思うのは、これは読みたい本を探すことより、この話何ていう話だっけ?と思いだすよすがや、作品の分析、「~もの」の本を探すときなどに有用なんじゃないかということでした。例えば、ネコが出てくる作品と言っても使われ方も、ネコ自身の性質も様々なら、物語中の役割も、そしてもちろん、物語そのものの内容・雰囲気・構造などもバラバラだろうと予測されますし。ホラー等のサブジャンルや道具立てについては、幻想文学1500とかホラーガイド本などがジャンル分け作品紹介などをしていますが、読みたいかどうかは分類そのものというより、ホラーであること、あるいは粗筋や紹介文の内容などが決めているような気がします。
ガイドブックやベストものの一部に、サスペンスとか意外性などの読みどころの評価を評点やアイコンなどで入れているものも見られますが、あれにしても客観的なものというよりは評した人の(属人的な)判定内容ですよね。

読みたい本の探索機能に近いものにAmazonなんかの、購入経歴に応じたお勧めなんかがありますが、他人のブログの場合もそうなのですが、出てくるのはあくまでその人(当人およびデータの元になった人)が興味を引かれて購入した・読んでみた本であって、中身が本当に目的にかなった内容であったかどうかまでは判断してくれないんですよね。例えば、フェイクなタイトルに同じように騙されて購入した人が多数いたら、それもお勧めされてしまう(と思われる)とか・・・(あまり無いような例ですが…)

そういった難しさがあることもあって、面白そうな本を見つけるにあたっての、こうすりゃいいじゃないか、こういうのがあればいいじゃないかという即効性のある妙案は当方は持ち合わせていないのですが、ビッグデータの解析が進み、人工知能が進化して人間の預かり知らない法則性を解析するようになっているらしい昨今、数年するうちには新しい動きがみられるかも… といってもあまり経済的に潤っているとは言いかねる出版業界の更にマイナーなこの分野では、その恩恵にあずかれるかは微妙かもしれませんが。

・・・ともあれ、面白い本を見つけるにあたって、自分独自のアンテナを磨くことも必要なところですが、本を探す上での情報をこちらに頼る比率は年々あがってしまっている気もします。ビジュアル系の本、(ほとんど見ないものの)映像系の情報、ノンフィクション系などバラエティに富んでいるのも嬉しく、また翻訳もの好きの人間にとっての面白く読める邦人作家の本を見つける上でもいろいろお世話になっています。
これからも楽しみに拝見いたします。
【2016/02/14 14:52】 URL | Green #mQop/nM. [ 編集]

>Greenさん
Greenさん、今回のコメントもそうですが、いつも真摯な感想を寄せてくださり、ありがとうございます。
こちらとしても、Greenさんの意見を聞いて、触発されることも少なくからずあり、感謝しています。

自分の興味がある分野について知りたければ、その分野のガイド本やレファレンス本に目を通すのが早道だと思いますが、やっぱり、その著者の選択眼や批評眼に多くを負う場合が多いですよね。
ガイド本は客観的な視点が求められると思いがちですけど、多少の思い入れや好き嫌いを反映したほうが面白いし、興味を持ちやすいのではないかと思っています。
例えば、荒俣宏の『世界幻想作家事典』なんか、かなり主観的な評が多いと思いますし。

この人が勧める作品なら面白いに違いない!と思えるレビュアーや評者を見つけろ、といわれることがありますが、そういう意味では"属人的な"情報が、今でも有効ではありますね。
レビューサイトやブログで言えば、そのサイトに、好みの本が一定数取り上げられていれば、その人の取り上げる本は、波長が合う可能性が高いと思います。ネットの時代でも「クチコミ」が有効である証拠と言えるのでしょうか。

「物語要素事典」は面白い試みだと思うんですけど、読みたい本を探す目的には、確かに使いにくいですね。どんな物語にもいろいろな見方や要素があるので、それをなるべく細分化して要素を抽出し、それをタグのような形で埋め込めば、物語要素で検索しやすくなるんじゃないでしょうか。
僕が思い描いているのは、主人公が~な人物で、~な出来事が起こって、とか、好みの要素の組み合わせで物語が検索できるようなものです。それをするには、その本を読んであらすじをまとめ、要素を抜き出さないといけないと思うのですが、手間が相当かかりますよね。コスト的に見合わないので、難しいのでしょうか。
そういうコストを読者に負担させてしまおうというのが、アマゾンやネット書店のユーザーレビューだと思いますが、結局質的なものの管理は全くできませんしね。本を売る側、出版社などが、合同でそういうシステムを立ち上げたらいいんじゃないかと思うんですが。

【2016/02/14 18:02】 URL | kazuou #- [ 編集]

10周年おめでとうございます!
ブログ10周年、おめでとうございます!
いつも、参考にさせて頂いております。感謝、感謝ですm(_ _)m
私のブログも10周年ですが、こちらのようにコンスタントに更新されているのは凄いことですね。
これからも頑張って下さい(^-^)/
【2016/02/22 15:24】 URL | めとろん #nzfQoPME [ 編集]

>めとろんさん
めとろんさん、ありがとうございます。
「めとLOG」も、ちょくちょく覗かせていただいています。
そういえば、ブログを始めた時期も、ちょうど同じぐらいでしたよね。

お互い、20周年も目指したいものですね。
【2016/02/22 20:50】 URL | kazuou #- [ 編集]

おめでとうございます
遅ればせながら、10周年おめでとうございます。
ブログって面白いと思っても、更新されなくなったりしているのもあって、
その情報量、たしかに残念ですよね。
私も自戒もこめて、今やってるのは細々でも続けていきたいなぁと(笑。

広いWEB世界を探しても、こういう怪奇・幻想小説について書いている方って、
少なくて、とにかく参考・勉強になります。
これからも更新楽しみにしています。
【2016/04/07 12:42】 URL | ゆきやまま #M8wPbJsk [ 編集]

>ゆきやままさん
ゆきやままさん、ありがとうございます。

ブログだけではなくて、資料性の高い研究サイトなども、いつの間にか消えてしまっていることがあります。本や資料の場合、公共機関や、場合によっては第三者が保管や保存をしてくれることがありますが、ネットの場合、個人が管理しなくなれば、すぐに消えてしまうんですよね。
昨今、本の保存について問題になっていますが、ネットの文章の保存というのも、これからの課題だと思います。

怪奇・幻想分野に関しては、ネットでも情報が少ないのですよね。同好の士を増やすという意味でも、これからも発信を続けていきたいと思います。
【2016/04/07 20:28】 URL | kazuou #- [ 編集]


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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



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