2015年を振り返って
幽霊海賊 (ナイトランド叢書) 失われた者たちの谷〜ハワード怪奇傑作集 (ナイトランド叢書) 七つ星の宝石 (ナイトランド叢書) 異次元を覗く家 (ナイトランド叢書) エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿 (ナイトランド叢書)
 嬉しかったのは、ホラー専門誌『ナイトランド・クォータリー』の新装復刊と、海外ホラーを集めたシリーズ《ナイトランド叢書》の刊行でしょうか。
 『ナイトランド・クォータリー』は、創刊準備号は出ていたものの、本格的に始動したのは春から。基本的には、休刊前と変わらぬテイストが継続されていて、安心しました。また、以前よりも「クトゥルー色」が薄れて、「ホラー全般」的な味わいが強くなっているように感じました。
 一方、《ナイトランド叢書》は、以前のトライデント・ハウス版タイトルよりも、古典作品を中心に構成されたラインナップでした。以下のものが既に刊行されています。

ウィリアム・ホープ・ホジスン『幽霊海賊』(夏来健次訳)
ロバート・E・ハワード『失われた者たちの谷 ハワード怪奇傑作集』(中村融訳)
ブラム・ストーカー『七つ星の宝石』(森沢くみ子訳)
ウィリアム・ホープ・ホジスン『異次元を覗く家』(荒俣宏訳)
アリス&クロード・アスキュー『エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿』(田村美佐子訳)

 基本的には、20世紀前半までの古典ホラーが中心になっています。ホジスンやストーカーの作品に関しては、本国でも古典として知られる作品で、邦訳が待たれていたものです。『エイルマー・ヴァンスの心霊事件簿』に関しては、知られざる名作といった感じで、これまた嬉しい紹介になりました。
 それにしても、刊行のスピードが非常に速いのは、嬉しい驚きでした。第一弾の『幽霊海賊』が出たのが7月、ほぼ月1冊のペースで刊行されています。
 すでに、《ナイトランド叢書》の二期も刊行が決まっているらしく、情報が少しづつですが、出ているようです。

 クラーク・アシュトン・スミス『魔術師の帝国』
 マンリー・ウェイド・ウェルマン『ジョン・サンストーンの事件簿』(仮)
 オーガスト・ダーレス『ミスター・ジョージ』(仮)
 M・P・シール『紫の雲』(仮)
 E・F・ベンスン『塔の中の姫君』(仮)
 アルジャーノン・ブラックウッド『ウェンディゴ』(仮)

 これまた、驚きのラインナップになっています。スミスの『魔術師の帝国』は、昔、創土社から出た作品集の再編のようですが、他は全て本邦初訳、新訳のようです。
 ウェルマン『ジョン・サンストーンの事件簿』は、オカルト探偵物の連作短篇集ですね。ダーレス、ベンスン、ブラックウッドに関しては、傑作集になるようです。
 いちばん衝撃的なのは、やはりM・P・シール『紫の雲』。SF史やホラー史では、必ず取り上げられる有名作です。非常に翻訳が難しいということで、何度も邦訳が取りざたされては、消えていました。実際に刊行されれば、記念すべき作品になりそうですね。
 来年も、本誌ともども、《叢書》の方も応援していきたいと思います。

 あとは、2015年度刊行で面白く読んだものなどを。


ぼぎわんが、来る 二階の王 美しい果実 (幽BOOKS) 誰かの家 (講談社ノベルス) 親しい友人たち (山川方夫ミステリ傑作選) (創元推理文庫)
 日本の作品としては、今年のホラー小説大賞作品の澤村伊智『ぼぎわんが、来る』(角川書店)と名梁和泉『二階の王』(角川書店)が良かったです。
 『ぼぎわんが、来る』は、妖怪を扱ったモダンホラーですが、構成の妙と直接的な怪物描写が組み合わさって、エンタテインメントとして秀逸な快作。
 『二階の王』は、現代の社会問題とからめたクトゥルーものという、アイディアの光る逸品でした。
 唐瓜直『美しい果実』 (幽BOOKS) は、食を扱った幻想小説ですが、妙なユーモアと色気があり、読んでいて心地よさを感じた良作でした。
 オーソドックスな怪奇小説を集めた、三津田信三『誰かの家』(講談社ノベルス)、短篇の名手のミステリ作品を集めた、山川方夫『親しい友人たち』(創元推理文庫)も良かったですね。


黄金時代 パインズ -美しい地獄- (ハヤカワ文庫NV) 聖ペテロの雪 スウェーデンの騎士 モレル谷の奇蹟
 海外作品、長編では、博物誌的な幻想小説として世界観が魅力だった、ミハル・アイヴァス『黄金時代』(阿部賢一訳 河出書房新社)、エンターテインメントの要素をこれでもかと詰め込んだSFホラー《パインズ三部作》(ブレイク・クラウチ 東野さやか訳 ハヤカワ文庫NV)が面白かったです。
 新刊に再刊と、今年何冊も訳書の刊行されたレオ・ペルッツの印象も強いですね。『スウェーデンの騎士』(垂野創一郎訳 国書刊行会)は、波乱万丈の冒険物語。『聖ペテロの雪』(垂野創一郎訳 国書刊行会)は、モダンな幻想小説でした。
 《ナイトランド叢書》のウィリアム・ホープ・ホジスン『幽霊海賊』(夏来健次訳 アトリエサード)も、本格的な怪奇小説で堪能させてもらいました。
 素朴なイラストとホラ話が渾然一体となったディーノ・ブッツァーティ『モレル谷の奇蹟』(中山エツコ訳 河出書房新社)も忘れられません。

 短篇集は、いくつも素晴らしい作品集を読めた気がします。順不同で並べてみます。


予期せぬ結末3 ハリウッドの恐怖 (扶桑社ミステリー) 動きの悪魔 元気で大きいアメリカの赤ちゃん 薔薇とハナムグリ~シュルレアリスム・風刺短篇集~ (光文社古典新訳文庫) 紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 街角の書店 (18の奇妙な物語) (創元推理文庫) 地球の中心までトンネルを掘る (海外文学セレクション) 12人の蒐集家/ティーショップ (海外文学セレクション) コドモノセカイ いま見てはいけない (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)

 ロバート・ブロック『予期せぬ結末3 ハリウッドの恐怖』(井上雅彦編 植草昌実他訳)
 ステファン・グラビンスキ『動きの悪魔』(芝田文乃訳 国書刊行会)
 ジュディ・バドニッツ『元気で大きいアメリカの赤ちゃん』(岸本佐知子訳 文藝春秋)
 アルベルト・モラヴィア『薔薇とハナムグリ』(関口英子訳 光文社古典新訳文庫)
 ケン・リュウ『紙の動物園』(古沢嘉通訳 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)
 中村融編『街角の書店 18の奇妙な物語』(創元推理文庫)
 ケヴィン・ウィルソン『地球の中心までトンネルを掘る』(芹澤恵訳 東京創元社)
 ゾラン・ジヴコヴィッチ『12人の蒐集家/ティーショップ』(山田順子訳 東京創元社)
 岸本佐知子編『コドモノセカイ』(河出書房新社)
 ダフネ・デュ・モーリア『いま見てはいけない』(務台夏子訳 創元推理文庫)

 ポーランドの怪奇小説作家、グラビンスキ『動きの悪魔』は鉄道をテーマにした怪談集ですが、怪奇小説ながらテーマに広がりがあり、今読んでも充分に楽しめる本でした。グラビンスキはもっと邦訳を出してほしいですね。
 シュルレアリスム系の短篇を集めた、アルベルト・モラヴィア『薔薇とハナムグリ』も寓話的な作品が多いだけに古びておらず、今読んでも充分に魅力がありました。
 奇妙な味の短篇を集めた、中村融編『街角の書店 18の奇妙な物語』は、アンソロジーというよりは雑誌の〈奇妙な味〉特集を読んでいるような楽しさでした。異色短篇ファンにはたまらない贈り物。
 個人作品集としては、発想は独特ながら身につまされる話が多い、ケヴィン・ウィルソン『地球の中心までトンネルを掘る』、異色短篇の理想形ともいうべき、ゾラン・ジヴコヴィッチ『12人の蒐集家/ティーショップ』、重厚な心理サスペンス集である、ダフネ・デュ・モーリア『いま見てはいけない』が素晴らしかったです。

 コミックもいくつか。


魔物鑑定士バビロ 1 (ジャンプコミックス) 5秒童話 (ジャンプコミックス) 百万畳ラビリンス(上) (ヤングキングコミックス) あもくん (幽COMICS) 異神変奏 時をめぐる旅 (幽ブックス) ダンジョン飯 1巻<ダンジョン飯> (ビームコミックス(ハルタ))
 少年漫画ながら、あまりにダークな、西義之『魔物鑑定士バビロ』(集英社ジャンプコミックス)、落下する5秒間でストーリーを展開させるという第年秒『5秒童話』(集英社ジャンプコミックス)には、驚かされました。
 「迷宮」の魅力をこれでもかと放り込んだ、たかみち『百万畳ラビリンス』(少年画報社ヤングキングコミックス)は、この手のテーマが好きなら見逃せない作品。
 諸星大二郎『あもくん』(角川書店幽COMICS)は、序盤の実話怪談風のテイストが後半になるにしたがって、ファンタジー性を増していくところが魅力的でした。
 近藤ようこ『異神変奏 時をめぐる旅』(幽ブックス)は、一組の男女が輪廻転生を繰り返しながら、いろいろな時代や国で出会うというスケールの大きな物語。
 大分メジャーになってしまいましたが、RPG風ファンタジーにグルメマンガを合わせた、ユニークな作品、九井諒子『ダンジョン飯』(エンターブレイン)も挙げておきたいと思います。

 続きもののコミックは、続刊を読んでみないと、はっきり評価しにくいものも多いのですが、とりあえず、現在刊行中で追いかけていきたい作品をいくつか挙げておきましょう。


ハピネス(1) (週刊少年マガジンコミックス) ワンダーランド 1 (ビッグコミックス) 辺獄のシュヴェスタ(1) (ビッグコミックス) 魔女のやさしい葬列 1 (リュウコミックス) 堕天作戦(1) (裏少年サンデーコミックス)
 押見修造『ハピネス』(講談社コミックス)は、いじめられっ子が吸血鬼になるという異色の青春マンガ。襲っていくる吸血鬼の戦慄度がすごいです。刊行ペースが遅いのが気になりますが、続きが気になる作品。

 石川優吾『ワンダーランド』(小学館ビッグコミックス)は、突然町の人々の体が小さくなり、動物に襲われ始めるというSF作品。小さくなった人々が生き延びるためにサバイバルをしていくと同時に、小さくなった理由を探っていきます。リチャード・マシスンの『縮みゆく人間』を思わせます。

 竹良実『辺獄のシュヴェスタ』(小学館ビッグコミックス)は、魔女狩りで家族を亡くした少女が、修道院に収容されますが、家族を殺される原因となった修道院長を殺すために、緻密な管理体制の間をぬって、仲間を集め復讐計画を練ります。
 少女版『モンテ・クリスト』というべき復讐物語です。主人公の鉄の意志がすさまじく、熱気にあてられたように読んでしまう快作。

 黒釜ナオ『魔女のやさしい葬列』(徳間書店 リュウコミックス)は、19世紀イギリスを舞台に不死の怪物の謎が展開される伝奇ロマン。

 山本章一『堕天作戦』(裏少年サンデーコミックス)は、未来とも異世界ともつかない世界が舞台ですが、なんとも魅力的な題材を扱っています。
 歴史上、わずかしか確認されていないという不死身の能力を持つ男アンダーは、世界に絶望し生きる意志を失っていました。捕らえられた彼は、実験として何度も残虐な処刑にあいますが、ことごとく体が再生して元に戻ってしまいます。
 彼の処刑を暇つぶしにしか考えていない業火卿ピロは、アンダーを気球で空に飛ばすという処刑を科しますが、上空で起こった出来事はアンダーを変えることになります…。
 序盤はほとんど、トム・ゴドウィン『冷たい方程式』を思わせるような衝撃的な展開です。絵柄に多少クセがあり、好き嫌いが分かれそうですが、これは傑作といっていいかと思います。

 それでは、2016年もよろしくお願いいたします。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

確かに今年の快挙は叢書併せて「ナイトランド・クォータリー」の驚くべき(!)順調なスタートですね。出ると店頭ですぐ買いして積読が溜まる(笑)
高踏に淫せず、通俗に流れず、親しみやすい編集ぶりで好感が持てます。今後の継続におおいに期待です。

今年も楽しく読ませていただきました。
来年もよろしくお願いします。
【2015/12/27 12:18】 URL | 迷跡 #- [ 編集]

>迷跡さん
迷跡さん、来年もよろしくお願いします。


アトリエ・サードって、今までノーマークの出版社だったのですが、このところの《ナイトランド》関連の出版を見ていると、すごいスピードとバイタリティですよね。これ、普通の出版社だったら、数年がかりの企画ですよ。
これだけ、一挙に海外ホラーが出たのって、《ドラキュラ叢書》や《アーカム・ハウス叢書》以来じゃないでしょうか。怪奇幻想ファンとしては、うれしい限りです。
【2015/12/27 13:55】 URL | kazuou #- [ 編集]

今年は豊作?
ナイトランドの件を除いても、ハヤカワ文庫からのコンテンポラリー・ホラーセレクションとでもいった作品の刊行が継続されていたり、幻想的要素が大きい純文学系作品・SF作品が増えたのに呼応して短編集が多く出たりで、ホラーファンには嬉しい動きが結構見られた気がします。
シリーズ刊行されたペルッツのほか、ジヴコヴィッチ、デュ・モーリアにジャクスン、ミルハウザーなどなど、(個人的に)気になっていた作家たちの作品刊行が相次いだのも嬉しい驚きでした。振り返ってみると当たり年だったと言えるのかも。

お勧めを頂いて読んだ「スウェーデンの騎士」は大変印象の強い1冊になりました。読んで何故だか、往時の文豪のドラマティックな作品、「モンテ・クリスト伯」だの「レ・ミゼラブル」だのといった作品を読んだ時の印象に近いものを感じて、何か懐かいような気持でした。
話自体はさほど大壇上にドラマ性を振りかざしてはいないので、何故そう感じたのだろうと不思議に思いましたが、登場人物の運命が大きく変わるこの感じは現代の小説では味わえない感覚なのかもしれないということをちょっと考えました。
これは「聖ペテロの雪」も買いですね…

もう一つ意想外に面白かったのが「薔薇とハナムグリ」。最初の2、3編を読むと、愉しく読める寓話だなという感じでしたが、どの作品も単なる寓話の域を超えた幻想性や物語性があって、暴走して最後にはナンセンスやホラーになるものも結構あったりで、物語を上手くドライブさせる作者の能力に脱帽でした。
他の作品はジャンル違いな感じで手を出すかどうかは決めかねていますが(そもそも現在は買えないか・・)、それを検討させるくらい面白かったです。こちらもご紹介に感謝です。

ケン・リュウは心を打つような作品が印象的でしたが、短編集全体を読んで残る印象は、作家性というよりとても器用な作家だなという感じでした。なんでもあり、なんでも書けるような感じ(基本シリアスですが。)なのですが、そうなると短編集として、あるいは作家性という辺りの印象はぼやけてしまう感じ。すぐれた作家さんなのは間違いないと思うのですが。
デュ・モーリアは、世俗的なメロドラマの筋立てを、あまり通俗感、下世話さを感じさせずに提示するのが上手い作家だなぁと、今回の短編集では特にそのことを強く感じました。表題作なども、着地点はまぁ読めるのですが、あまりその辺りを意識させずに話が進むので、いつの間にかその地点に連れて行かれる感じ。
「~アメリカの赤ちゃん」は、ちょっと風刺の部分が強く見え過ぎて、そこを離れては読めないような感じだった分、こちらにはちょっと面白いとは言い難かったかも。普通ではありえない魅力的な設定はあっても、結局あぁこれはこういうことが言いたいんだなというところに着地してしまうので、読書体験としてはそこ止まりだったんですよね・・・

ジヴコヴィッチは(結局名前は「~不思議な世界」と東欧SF短編集の中間形になっていますが、その結果、全作名前がばらばらになってしまいましたね・・・)現在読んでいるところですが、期待にたがわぬ面白さですね。
何れの話も、最終的には存在や命をかけたような話になってくるあたりは、らしさ、なのかなぁと思いましたがどうでしょう?ただ、連作短編集だからか小粒な感じの作品が多い気はしました。星新一を連想と言うのにはなるほどと。
また英語からの重訳に戻ったのは、翻訳者が足りないということか、小説を訳す技量のある人が少ないということなのか・・・ 何れにしても、また次の作品が邦訳されるのを期待します。
「街角の書店」はノーマークで買い漏らしていました。買わなくては。「コドモノセカイ」もそこまで注目していなくて買っていませんが、どんな感じだったのでしょう?(岸本編短編集ということで、何となくこんな感じかなというイメージだけはありますが)
アイヴァスはお勧めを受けて買ってあるのですが、今のところまだ未読です。お正月用かな。

コミックは今年もほとんど読めず(読まず)じまいでした。
これまでご紹介頂いた分も含め、まとめて注文して読んでみようかと検討中ですが・・・
日本の作家では「ゾンビ・アパート」を手にしたくらい。結構面白く読みましたが、ここでリストに挙がったものは手に取れていないですね・・・ こちらでご紹介頂いてとてもよかった日本作家の作品がこれまで結構あったので、ここにリストアップ頂いた分くらいは手に取りたいなとは思っていますが。。。

中小出版社の情報まで全然目がいかないため、贔屓の作家の作品でも、kazuouさんの情報に助けられて読めた本がいくつかありました。じつはミルハウザーの新作(読みかけで正月用にしています)もこちらの情報で知りましたし、ミラーの邦訳(「雪の墓標」)が出ると知ったのもここででした(いつもの、何が謎なのか霧の中をさまようような作品で、個人的にはかなり堪能しました。あまり邦訳に恵まれない作家だという印象があったのですが、巻末のリストを見ると、既に大部分の作品が邦訳刊行されていることに驚きました。クリスティーに一目置かれていた作家だったというのも最近知りましたし)。ブッツァーティも愉しかった。
こちらも感謝です。

そんな状況ですからこちら独自の情報などない状態ですが、世間で話題だった作品ではカズオ・イシグロの「忘れられた巨人」を読んでいますが、老夫婦のロード・ノヴェルとして面白く読みましたが、こちらもやはり
文学的な感興がメインの作品で、ファンタジーの設定はあくまでそれに奉仕するためだけのものですね。あと昨年の作品ですが「その女アレックス」。もちろんとても面白く読んだのですが、メインの謎そのものは中盤に差し掛かる前に察することが出来た感じ。
今年読んだ昨年の作品といえば、気になる新刊に挙げてあった「ラブスター博士~」が意外な面白さでした。始め風刺コメディみたいな感じかなと思うのですが、その設定には裏があり、更にはところどころで物語が妙に暴走する箇所があるのも読みどころでした。

…それにしても、振り返っても私はもともと勘違いとか書き間違いのコメントが多かったりしますが、前回のは藤原研究室を藤沢研究室とか、スタア来臨をスタァ誕生とか(往時のTV番組??)、取り急ぎ出見直していなかったとはいえひどいのが多かったですね・・・ 特にコメントの記載の正確さを当てにされていることもないだろうとは思うものの、(これまでの分も合わせ)失礼いたしました。
(でもこれからも撲滅は難しいかも・・・)

もう1コメントぐらいさせて頂くかもしれませんが、とりあえずここでご挨拶を。
来年も楽しみに拝見させて頂きます。
まずはよいお年を。
【2015/12/31 15:45】 URL | Green #mQop/nM. [ 編集]

>Greenさん
いつもいろいろ感想など書いていただき、ありがとうございます。
来年もよろしくお願いいたします。


ハヤカワ文庫で出ているホラー系の作品は、けっこう渋いものが多かった印象です。他の出版社でも、いくらなんでもマニアックすぎでは…というようなものが、コンスタントに出ている現状を見ると、ホラー・幻想文学ファンにとっては、いい時代なのかも。

ペルッツは、短くてもかちっとまとまっているところが好きです。現代の作家が書いたら上下巻になりそうな題材をさらっと描いている感じですね。
「ドラマティックな作品」というのは同感ですが、個人的にはスティーヴンソンとかライダー・ハガードとかを思い浮かべました。創元の《世界大ロマン全集》的な作品というか。

ケン・リュウは、某有名人のオススメもあって、かなり売れたようですね。日本人的な感性というかウェットな面が受けたのかもしれません。

ジヴコヴィッチ、本当に面白かったので、邦訳はもっと出してほしいものですね。「東欧のボルヘス」とか、大上段に構えるのではなくて、もっと単純に、面白いショート・ショート作家みたいな売り方をした方が売れるんじゃないでしょうか。

『街角の書店』はオススメですよ。『コドモノセカイ』は、広義の「奇妙な味」作品集(不条理ホラー寄り)といった感じで読みました。エンタテインメントを志向しているわけではないので、人によっては期待はずれに感じるかも。

『忘れられた巨人』はそんな感じでしたか。ファンタジー要素が強いとは聞いていましたが。イシグロ作品は、毎回微妙にSFとかファンタジーとかジャンル小説的な要素があって、読んでみようかなという気にはなるのですが、なかなか手が出ません。『わたしを離さないで』は面白く読んだんですが。
『ラブスター博士』は積んであるので、近々読みたいと思います。
【2015/12/31 18:08】 URL | kazuou #- [ 編集]

いつ読むのをやめたらよいか?
実はこの期間、読書についても躓いていた時期があって(というか、それ以来、今現在もあまり読書できていないのですが…)、何故かといえば2つの大作を読むのに非常に時間がかかっていたのでした。
1つはミルハウザーの「ある夢想家の肖像」、そしてもう1冊がアイヴァスの「黄金時代」。
「~夢想家~」の方は、作家のファンであることもあり、時間がかかっても、展開としてはあまり大きな動きが無くても、それなりに楽しんで読めて読了できたのですが、問題はアイヴァスの方で実はまだ読み終わっていません。
斜め読みも出来ないまま、現在凍結中。

個人的にはこの作品、ちょっと苦手としているプリーストの作品(「無限諸島から」限定?)と同じ感じかなぁという印象です。抽象的なことをいろいろ書いているけれど、実際作者はそれを具体像として思い描いてはいないんじゃないかという。
島の人間を例えるのに日本人を持ち出していたりと、日本が意識されている西洋の「偽中国誌」みたいなものかという点など若干興味を引かれたとはいえ、それだけではちょっと読み進められず…
中で、イメージが具体的で面白く感じたのは書き足されていく本という概念で、そこだけは結構読めたのですが、それが終わったところで読書は停滞…

単純に相性だと思うのですが、kazuouさんは相性のよくない作品を途中まで読んだ場合、どうしていらっしゃいますか? 今まで私は斜め読みしてでも強行突破…していたのですが、ちょっと今回はかかる時間に引き合わなく思えてきて、止めるかという感じになってきています。恐らく、先まで読み進むと全体が把握できてくるとか、ストーリーが流れ出して面白くなる、といった類の本ではないと予想しているので…(系統としては「見えない都市」なんかと同じで、初めから終わりまで同じ調子で進むものですよね…)
【2016/08/21 09:04】 URL | Green #mQop/nM. [ 編集]


アイヴァス作品が、プリーストと感触が似ているというのは同感です。
正直、僕も『黄金時代』を読みきれているのかというと、たぶん読みきれてないと思います。前半はかなり退屈な描写も続くし、眠くなるところも多いんですが、時折ハッとするような部分があって、そういうところは熱心に読む…といった感じでしょうか。

エンタテインメント作品(本格ミステリとか)だと、後半面白くなることもあるので、前半がつまらなくても、我慢して読むということはありますね。
文学寄りの作品だと、前半の調子がずっと続いていくのが予想できる場合は、すっぱり読むのをやめてしまうことが多いです。世間で「名作」「大作」とされている作品でも、そんな感じで読めなかったものが結構あったりしますし。
【2016/08/21 13:07】 URL | kazuou #- [ 編集]


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プロフィール

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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