最近読んだ本

4150413541ラスト・タウン (―神の怒り―)
ブレイク・クラウチ 東野さやか
早川書房 2015-08-07

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ブレイク・クラウチ『ラスト・タウン ―神の怒り―』( 東野さやか訳 ハヤカワ文庫NV)
 『パインズ』『ウェイワード』に続く、三部作の完結編。前2作に続き、リーダビリティは抜群です。1作目の謎の真相が2、3作目につながっているので、あらすじが語れないのがもどかしいですが、1、2巻の結末の吸引力は強烈ですね。
 最終作『ラスト・タウン』では、町が崩壊の危機にさらされるという、スペクタクルに富んだ展開になっています。
 『シックス・センス』のM・ナイト・シャマラン監督によるテレビドラマ化が完成したそうですが、確かにシャマラン好みのテイストかと思います。映像化作品も楽しみですね。



4488206042いま見てはいけない (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫)
ダフネ・デュ・モーリア 務台 夏子
東京創元社 2014-11-21

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ダフネ・デュ・モーリア『いま見てはいけない』(務台夏子訳 創元推理文庫)
 デュ・モーリアの短篇集です。もやもやした不穏な雰囲気の作品が多く、特定のジャンルに属するというよりは、サスペンス風味の純文学といった方が近いでしょうか。
 いちばんの傑作は、表題作の『いま見てはいけない』。旅行先のヴェネチアで、霊能力者を名乗る老姉妹に出会ったことから狂いだす夫婦の日常を描いています。老婦人から、亡くした娘の霊がそばにいると聞かされたことから、オカルティックな方向に進むのかと思いきや、あまりに唐突な結末には驚かされます。
 娘が出会った父の旧友は、精神を病んでいた…。女優である能力を活かし、追い詰められた状況を打開しようとする、サスペンス味の強い作品『ボーダーライン』、人間の生命のエネルギーを取り出そうと実験を繰り返す科学者たちを描く『第六の力』などが楽しめます。



4488016588地球の中心までトンネルを掘る (海外文学セレクション)
ケヴィン・ウィルソン 芹澤 恵
東京創元社 2015-08-12

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ケヴィン・ウィルソン『地球の中心までトンネルを掘る』(芹澤恵訳 東京創元社)
 奇想に富んだ着想の短篇が多く含まれる作品集なのですが、読んでみると、地に足の着いた作品が多く、全体的に、青春小説・成長小説としての要素が強いです。
 例えば、表題作の『地球の中心までトンネルを掘る』は、ある日突然仲間たちと共に、地面に巨大なトンネルを掘り始めた青年を描く作品ですが、そこで超自然的な現象が起こるわけではなく、青年はやがて現実に直面することになります。
 また、『替え玉』の主人公は、代理祖父母派遣会社で「祖母」として働く女性です。着想こそ突飛なものの、プロの「祖母」として働く主人公が出会うのは、それぞれの問題点を抱えた普通の家庭ばかりなのです。
 オススメは、少年期に与える「姉」の影響をユーモアたっぷりに描いた『今は亡き姉ハンドブック:繊細な少年のための手引き』、拳銃で頭を打ち抜くショーに魅せられた男を描くホラー味の強い『弾丸マクシミリアン』あたりでしょうか。
 


4344028031記憶破断者
小林 泰三
幻冬舎 2015-08-06

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小林泰三『記憶破断者』(幻冬舎)
 前向性健忘症により、記憶が数十分しか持たない男と、記憶を自由に上書きし、思い通りに操ることのできる能力を持つ殺人者の戦いを描く作品です。
 この作者らしいというべきか、殺人者の人物像が非常に俗っぽく描かれているのが特徴です。恐るべき能力を持ちながら、その使い方は幼いというアンバランスさ。一方、主人公の男も、自らの陥った状況に対してあっけらかんとしており、妙なユーモアが感じられます。このあたりの作品の雰囲気に対して、好き嫌いが分かれそうな作品かと思います。



40888052325秒童話 (ジャンプコミックス)
第年秒
集英社 2015-07-03

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第年秒『5秒童話』(集英社ジャンプコミックス)
 中国出身の新人漫画家によるマンガ作品です。マンションの屋上から落下する少年が、5秒の間に体験する物語を描くという、何とも斬新な設定の作品です。
 なぜ自分が突き落とされることになったのか、犯人は誰なのか?といった、いくつかの伏線が、最終的には綺麗に解決する構成が見事です。
 毎夜、少しづつビルから墜落していく夢を見るという、ジョン・コリア『夢判断』を思い出しました。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
デュモーリアは食事のシーンが美味しそう。
図書館が曝書期間に入る前にドリフトグラスを借りることが出来ました。9月末迄じっくり読みます。ラストタウンのラストびっくりさせられました。
いま見てはいけない、買う価値がありました。来月末に刊行予定のシャーリージャクソンも楽しみです。
【2015/09/14 14:41】 URL | 奈良の亀母 #ff.uBqoo [ 編集]


シャーリイ・ジャクスンは楽しみにしています。
創元は少し古い時代の作品を継続的に出してくれるので、ありがたい限りです。
【2015/09/16 20:57】 URL | kazuou #- [ 編集]


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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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