ミステリーゾーン、佳境へ
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 DVDマガジンが刊行中の『ミステリーゾーン』(アシェット・コレクションズ・ジャパン)。全84巻予定と長大なシリーズなのですが、最新刊は53巻と、今のところ順調に刊行されてきています。
 刊行予定リストを見ると、57巻で旧『ミステリーゾーン』は完結。58巻から『新トワイライトゾーン』のエピソードが収録されることになっています。
 最新刊までは追いつけていないものの、現在52巻まで、順番に視聴してきました。今見ると、さすがに玉石混交ではあるものの、ところどころで素晴らしいエピソードに出会えるのは、さすがロッド・サーリングというべきでしょうか。

 50年以上前の作品ですし、低予算のテレビシリーズということもあり、特撮部分が今現在見ると、非常に貧弱という弱点はあります。SF的な設定のエピソードが多いだけに、未来社会や宇宙船などのテクノロジーの描写が多く出てくるのです。
 この点で、今見るとちょっと芝居がかって見えてしまうシーンも多くなっています。例えば『2万フィートの戦慄』に登場する怪物の造形だとか、『遠来の客』の宇宙人の描写だとか。
 ただ、それらの弱点を差し引いても、物語の魅力というのは突出しています。今見ても「お話が面白い」のです。またサーリング脚本のエピソードに顕著ですが、非常に強いテーマ性が感じられるのも特徴でしょう。
 電気トラブルから町の人間たちの猜疑心が高まっていくという『疑惑』や、荒野のような惑星に移住した人々と指導者との軋轢を描く『太陽が二つかがやく』なんかは、もう社会派ドラマといっていいほどの重厚さです。
 『暗黒の死刑台』というエピソードでは、無罪の可能性のある人間を死刑にしてしまった町が闇に閉ざされるのですが、これなんか、話としては完全に社会派ドラマで、背景となる、闇に閉ざされた町というのは、登場人物たちの心の闇の比喩なんだろうと思います。

 全体を見渡してみると、やはり第一シーズンの作品が今でも楽しめる作品が多いように感じました。本好きには有名な伝説的エピソード『廃墟』、悪夢のような航海を描く『審判の夜』、帰還した宇宙飛行士が次々と消えていくという『誰かが何処かで間違えた』、謎のヒッチハイカーに追い回される女性を描いた『ヒッチハイカー』、バスを待つ女性を襲う怪奇現象を描いた『めぐりあい』、デパートの存在しないはずの階を訪れた女性の物語『マネキン』など、綺羅星のようなエピソードが並びます。


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 『ミステリマガジン 2000年8月号』(早川書房)が「トワイライトゾーンへの招待」として 『ミステリーゾーン』の特集を組んでいるのですが、この号には全エピソード・リストが載っています。当時は、実際の映像はほとんど見たことがなく、ビデオで発売されていた傑作選でいくつかのエピソードを見ただけでした。こんなに話数があったのかという驚きと、実際にはほとんど見ることができないんだろうな、という諦めがあっただけに、今現在の状況は嬉しい限りですね。
 ちなみに、このトワイライトゾーン特集号、全てのエピソード・リストが載っているのは嬉しいのですが、あくまでタイトルや製作関係者のクレジットだけなので、話の内容はわかりません。原作がある場合、マシスンやボーモントのあの作品か、と想像はつくものの、それ以外のエピソードに関しては、内容はわかりません。


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 内容がわかるものはないかなあ、と調べているうちに知ったのが、ツルモトルームから刊行されていたSFヴィジュアル誌『スターログ』の1984年2月号です。この号に『ミステリーゾーン』の特集があるらしく、早速取り寄せてみました。
 読んでみると、おお! 全エピソードのあらすじが載っていました。今ならネットである程度の情報も調べられますが、当時としてはこれは重宝したのではないでしょうか。今現在でも、エピソードを概観するのに非常に便利です。
 ほかに、興味深く読んだのが、放映時に日本版のプロデューサーだった木曽山康治さんへのインタビューです。ちょっと引用してみましょう。

木曽山 そんなに爆発的な好視聴率を上げたというものではないんですよね。だけどね、よく我々は固定客というんだけれども、毎週必ず見てくれる視聴者がいたという確かな反応はありましたね。
 いま思い出すんですけれど、もう亡くなられた“SFマガジン”の福島正美さん、あの方が毎週必ずおいでになって試写を御覧になってましたね。初めひとりでいらして自己紹介されて「お宅の会社にこういうシリーズが入るから、それを見る機会を与えてほしい」とおっしゃってね。


 リアルタイムで見ていない後の世代からすると、『ミステリーゾーン』は当時すごい人気だった、みたいなイメージを抱いてしまうのですが、実際はそれほどでもなくて、やはりコアなファンが支えていたという感じですね。福島さんのエピソードも意外でした。

 『ミステリーゾーン』の完結も近いことですし、ここらで一冊、参考図書が欲しいところです。ホラー映画のガイド本なんかで、ちょこっと触れられたりすることはあるものの、このシリーズを大々的に取り上げた本って、日本では未だにないんですよね。本国ではガイドや研究書も出ているみたいなので、邦訳を期待したいところです。

テーマ:海外ドラマ(欧米・イギリスetc) - ジャンル:テレビ・ラジオ

この記事に対するコメント

スターログ流れではありましょうが、中子真治編著「FilmFantastic」2(講談社1500円-昭和60年)
が全エピソードあらすじ入ってます。
107話「物言わぬ少女」(「MUTE」マシスン原作脚本)の物語が好きですね(ドラマの出来はともかく)

個人的に、時々SFやホラーの短編小説の映像化を探したりしてます。
【2015/09/06 11:07】 URL | mmnuzri #- [ 編集]

>mmnuzriさん
『物言わぬ少女』も名作エピソードのひとつですね。『ミステリーゾーン』でも、マシスン脚本のものは、外れがほとんどなかったように思います。

ご教示ありがとうございます。「FilmFantastic2」は手に入れてみたいと思います。
【2015/09/06 15:53】 URL | kazuou #- [ 編集]


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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
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