6月の気になる新刊と『シュオッブ全集』のこと
6月2日刊 シェリー・ディクスン・カー『ザ・リップッド 上・下』(扶桑社ミステリー)
6月4日刊 トマス・フラナガン『アデスタを吹く冷たい風』(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価907円)
6月4日刊 レイ・ブラッドベリ『歌おう、感電するほどの喜びを! 新版』(ハヤカワ文庫SF 予価1188円)
6月5日刊 ロマン・プエルトラス『エッフェル塔くらい大きな雲を呑み込んでしまった少女』(小学館文庫 予価756円)
6月11日刊 スティーヴン・キング『ドクター・スリープ 上・下』(文藝春秋 予価各1944円)
6月11日刊 エミール・ゾラ『オリヴィエ・ベカイユの死 ゾラ短篇集』(光文社古典新訳文庫)
6月20日刊 『別冊太陽/こわい絵本100 おとなと子どものファンタジー』(平凡社 予価2376円)
6月26日刊 『マルセル・シュオッブ全集』(国書刊行会 予価16,200円)
6月25日刊 フィオナ・マクファーレン『夜が来ると』(早川書房 予価2376円)
6月24日刊 グレッグ・イーガン『ゼンデギ』(ハヤカワ文庫SF 予価1188円)
6月25日刊 『諸星大二郎 『妖怪ハンター』 を旅する』(平凡社 〈太陽の地図帖〉 予価1296円)
6月25日刊 マーク・トウェイン『マーク・トウェイン ユーモア傑作選 スケッチと短編』(仮題)(彩流社 予価2700円)

 シェリー・ディクスン・カー『ザ・リップッド』は、なんとジョン・ディクスン・カーの孫娘が書いたミステリ、らしいです。
 トマス・フラナガン『アデスタを吹く冷たい風』は、過去のポケミス復刊などでも人気の高かった一冊ですが、とうとう文庫化。名短篇集だと思うので、この機会にぜひ。
 ブラッドベリの『歌おう、感電するほどの喜びを!』も新版で登場。ブラッドベリの作品集の中では、それほどの出来ではないと思うのですが、『明日の子供』『夜のコレクト・コール』『火星の失われた都』などの良質なファンタジーが含まれるので、読んで損はないと思います。

 6月の新刊の中でいちばんの要注目はやはりこれ、『マルセル・シュオッブ全集』。けっこうな価格なのですが、この作家の全作品を読めると思えば、むしろ安いと思います。

 マルセル・シュオッブ( 1867年~ 1905年)は、ボルヘスにも多大な影響を与えたフランスの小説家です。作品の大部分は短篇ですが、膨大な学識に裏打ちされた凄みがあります。作品の舞台は古代だったり、超未来だったりと、融通無碍。大部分の作品は、短いながらも奥行きの深さが感じられます。
 本格的な紹介としては、古くは矢野目源一の翻訳になる『黄金仮面の王』があります。表題作は、江戸川乱歩の『黄金仮面』のインスピレーション元にもなりました。
 戦後はアンソロジーなどでぽつぽつと訳されています。『列車081』(澁澤龍彦編『怪奇小説傑作集4』創元推理文庫収録)、『木乃伊をつくる女』(日影丈吉編『フランス怪談集』河出文庫収録)、『吸血鳥』(種村季弘編『ドラキュラドラキュラ』河出文庫収録)など。
 1970年代の終わりに南柯書局から《シュオブ小説全集》が企画され、何冊かは刊行されましたが、結局途絶してしまいました。
 近年の翻訳としては、国書刊行会の『黄金仮面の王』(大濱甫訳 フランス世紀末文学叢書2)や、『少年十字軍』(多田智満子訳 王国社)あたりが挙げられるでしょうか。これらも既に絶版になって久しいようなので、今回の全集刊行はじつにうれしい限りです。
 本造りには定評のある出版社だけに、装丁や造本にも期待が膨らみますね。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

「アデスタ・・・」が文庫化される日がくるとは思いませんでした。
復刊アンケートを書いた気がします。昔。
【2015/05/27 08:30】 URL | fontanka #- [ 編集]

タニス・リー
まだ70歳にもなっておられないのに「平たい地球」の世界に逝ってしまわれた・・・。
多作なのに、どれも素晴らしい作品ばかりでした。母と娘の一筋縄ではいかない愛情
の「雨にうたれて」が大好きです。諸星先生は長生きして下さい。毎月、諸星先生関連の
書籍が出るなんて夢のよう。
【2015/05/28 14:47】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]

>fontankaさん
『アデスタ』は、むかしポケミスの復刊アンケートでも高順位でしたよね。実際ポケミスでは復刊されてますし。
最近では、ポケミスより文庫の方が早く店頭から消えてしまうので、文庫化されてもずっと手に入る状態にあるかは微妙ですけど。
【2015/05/28 18:59】 URL | kazuou #- [ 編集]

>奈良の亀母さん
僕もタニス・リーって、そんなに読んでないんですけど、『雨にうたれて』は印象に残っている作品です。河出書房の叢書でも一巻が当てられていましたし、短篇の書き手としてもいい作家ですよね。

諸星先生は、現在でもコンスタントに新作を発表されていて、すごいバイタリティです。ずっと追いかけていきたいと思います。
【2015/05/28 19:04】 URL | kazuou #- [ 編集]

巨匠とマルガリータ
岩波文庫の下巻が図書館に入ったので読みました。上巻はよく分からなかったのですが
下巻は面白かったです。アザゼッロのクリームが欲しい!皺もシミも消えてお肌スベスベ
髪はフサフサ、10歳若返るなんて。「すばらしいクリーム!」。「原稿は燃えないものなのです」という名台詞よりも印象に残りました。
【2015/07/14 08:44】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]


ブルガーコフは、何冊か読みましたが、あんまり肌合いが合わないんですよね。
『犬の心臓』なんかは、面白かった記憶はあるのですが。
【2015/07/14 21:10】 URL | kazuou #- [ 編集]


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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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