ゆがんだ記憶  ホルヘ・ドラド監督『記憶探偵と鍵のかかった少女』
B00QTFIB88記憶探偵と鍵のかかった少女 ブルーレイ&DVDセット (初回限定生産/2枚組) [Blu-ray]
ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 2015-03-04

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 ホルヘ・ドラド監督『記憶探偵と鍵のかかった少女』(2013年 アメリカ)は、タイトルにもある「記憶探偵」を主人公としたSFミステリー作品です。「記憶探偵」とは、人間の記憶に入り込み、事件を解決するための情報を探し出す探偵のこと。この世界では、そうした特殊能力を持った少数の人間がいるのです。
 有能な記憶探偵であるジョンは、妻の死により、精神的なショックを受け、仕事の一線から離れていました。復帰するための仕事として依頼を受けたのは、引きこもった少女に対するケアでした。彼女の記憶から原因を探り出し、拒食症を直すことを目的に、その少女アナの記憶をのぞき始めます。
 なんと、その記憶の中には、クラスメイトに対する殺人未遂の記憶が含まれていたのです。アナの無実を信じるジョンは、真実を探ろうと、記憶の中をめぐりますが…。
 
 人間の記憶や深層意識に入り込むという、いわゆる「サイコダイブ」のテーマを扱った作品です。記憶探偵は、あくまで傍観者として記憶に潜入し、そこで何か影響を与える、ということはできません。その意味で、過去に起こった事実を淡々と調べていく、といった感じになります。
 探偵のジョンが妻の死の影響で、水があふれるイメージに遭遇すると、自分を制御できなくなってしまうという設定もあり、事件の調査も一筋縄ではいきません。
 頭が良く誤解されやすい多感な少女アナの印象が、後半になるにしたがって、平気で犯罪を犯すサイコパスなのではないかという疑惑に変わっていきます。天才的な犯罪者なのか、無垢な少女なのか、二転三転するのが見所です。
 記憶を覗き見るという、SF的な設定が使われていますが、記憶内の世界は、基本的には現実世界の記録であって、超自然的な現象が起こるわけではありません。その点派手さに欠けるのは確かですが、演出が上手いので、飽きさせません。
 映像はスタイリッシュ、テーマも面白いのですが、脚本上の矛盾点というか弱さがあります。記憶は主観的なものなので、その点で、メタな視点のトリックがあるのではないかと疑って観ました。確かにそうした方面でのトリックはあるのですが、肝心なところが説明不足なように思います。
 ミステリのファンには受けが悪いかもしれません。論理的整合性にこだわらず、ホラーやサイコスリラーとして観たほうが楽しめる作品でしょう。
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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
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