物語の作り方の楽しみ方  エンタテインメントとしての創作ガイド
 作家の頭の中はどうなっているの? どうやってアイディアを考えているの? 本好き、物語好きの人なら、一度は考える疑問でしょう。そうした要望に答えてか、世の中には、小説の書き方の本、指南書というものが多く存在します。
 僕は、この手のジャンルの本を見つけると、思わず手にとってしまいます。時には、作品を読んだことがない作家の本も読んでしまうぐらいです。やはり小説好きにとって、作家の頭の中、創作法というのは、非常に興味を惹かれるテーマなのでしょう。
 今回は、このジャンルの中で、エンタテインメントとして面白く読んだ本について、いくつか紹介していきたいと思います。
 

448807068X[最新版]ミステリを書く! 10のステップ (創元ライブラリ)
野崎 六助
東京創元社 2011-10-21

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野崎六助『ミステリを書く! 10のステップ』(創元ライブラリ)
 実践的な小説の書き方の本として、第一に挙げたい本です。
 ステップごとに、具体例(主に自作)を挙げて、小説の書き方を解説しています。理論的でわかりやすいのですが、紹介されている著者の作品があまり読みたくならないあたり、理詰め過ぎるというか、頭でっかちの感がありますね。



4041102529小説講座 売れる作家の全技術 デビューだけで満足してはいけない
大沢 在昌
角川書店(角川グループパブリッシング) 2012-08-01

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大沢在昌『小説講座 売れる作家の全技術』(角川書店)
 実際に生徒に書いてもらった小説を題材に、どこが駄目なのかなど、具体的に添削していくという講義スタイルの本。作品を書く上での技術だけでなく、作家として生きていくための指針や世渡りについてなど、過不足なく書かれた良書だと思います。



4309014984何がなんでも作家になりたい!
鈴木 輝一郎
河出書房新社 2002-09

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鈴木輝一郎『何がなんでも作家になりたい!』(河出書房新社)
 創作法ではなく、作家として生きていくための実務面に軸足を置いて書かれたユニークな本です。職業としての作家がいかに厳しいかがはっきりと書いてあり、これを読んで作家をあきらめた人もいるのでは? と思わせます。未読ですが、続編もあるようです。



4087205487小説家という職業 (集英社新書)
森 博嗣
集英社 2010-06-17

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森博嗣『小説家という職業』(集英社新書)
 職業としての作家を、著者なりの捉え方で論じた本、といっていいのでしょうか。作家を「ビジネス」としてとらえているという点で、「ビジネス書」的な側面の強い本です。斬新ではありますが、独特の考え方が多く、本好きの人には受け入れにくいかもしれません。



4334766943努力しないで作家になる方法 (光文社文庫)
鯨 統一郎
光文社 2014-02-13

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鯨統一郎『努力しないで作家になる方法』(光文社文庫)
 著者が作家になるまでを、読み物風に描いた自伝的作品です。状況は厳しいにもかかわらず、主人公(著者)が楽観的なのに驚きます。良くも悪くもフィクション的な美化が強い感じがしますね。



4828413987小説家になる方法
清水 義範
ビジネス社 2007-11-07

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パスティーシュと透明人間 (新潮文庫)
パスティーシュと透明人間 (新潮文庫)清水 義範

新潮社 1995-09
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清水義範『小説家になる方法』(ビジネス社)
 著者が小説家になるまでを描いた回想録的な作品です。著者はパスティーシュ小説の名手だけに、そうした小説技術的な内容を期待してしまいますが、そうした技術に関する部分はほぼ皆無です。
 かといって、かなり真面目に書かれているのもあって、小説としても微妙な感じになってしまっています。むしろ創作的な内容では、『パスティーシュと透明人間』(新潮文庫)あたりが、面白く参考にもなります。



4022643005物語の体操―みるみる小説が書ける6つのレッスン (朝日文庫)
大塚 英志
朝日新聞社 2003-04

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4048674153ストーリーメーカー 創作のための物語論 (アスキー新書 84)
大塚 英志
アスキー・メディアワークス 2008-10-09

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大塚英志『物語の体操』(朝日文庫)
大塚英志『キャラクター小説の作り方』(角川文庫)
大塚英志『物語の命題 6つのテーマでつくるストーリー講座』 (アスキー新書)
大塚英志『ストーリーメーカー 創作のための物語論』 (アスキー新書)
大塚英志『キャラクター小説の作り方』(星海社新書)ほか
 大塚英志の創作に関する本は、小説の書き方の技術をシステマチックに解説する、といった要素が強いです。何冊かタイトルを挙げましたが、このジャンルに関する著書が多くあります。
 どれもなるほどと思わせる内容なのですが、この方法で書かれた作品が面白くなるかはちょっと疑問に思ってしまうところがあります。



4094026266ミステリを書く! (小学館文庫)
綾辻 行人 法月 綸太郎 山口 雅也 大沢 在昌 笠井 潔 柴田 よしき 馳 星周 井上 夢人 恩田 陸 京極 夏彦 千街 晶之
小学館 2002-02

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4094028366ホラーを書く! (小学館文庫)
朝松 健 瀬名 秀明 森 真沙子 井上 雅彦 菊地 秀行 篠田 節子 皆川 博子 飯田 譲治 小野 不由美 小池 真理子 東 雅夫
小学館 2002-06

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『ミステリを書く!』 (小学館文庫)
『ホラーを書く!』 (小学館文庫)
 タイトルは書き方の本のようですが、創作法ではなく、作家個人に対するインタビュー集です。インタビュー自体は、掘り下げが深く、面白く読むことができます。創作に関する話も出ますが、一般的なものではなく、作家個人のものなので、それぞれの作家に対する興味がないと、読むのが難しいかも。



4344019156ミステリーの書き方
日本推理作家協会
幻冬舎 2010-12

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日本推理作家協会編『ミステリーの書き方』(幻冬舎)
 ミステリジャンルの作家43人が、それぞれ創作法について語った本です。1冊のコンセプトがあって、項目別にそれぞれの作家が担当しているというような作り方ではなく、それぞれの作家が自分の創作法を好き勝手に語るというスタイルです。ひとつひとつがエッセイとしても楽しめるようになっています。ストーリーテラーと目される作家の章は、もっと読みたいと思わせるところが流石ですね。



4150304092スペース・オペラの書き方―宇宙SF冒険大活劇への試み (ハヤカワ文庫JA)
野田 昌宏
早川書房 1994-10

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4150309329スペース・オペラの読み方 (ハヤカワ文庫JA)
野田 昌宏
早川書房 2008-08

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野田昌宏『スペース・オペラの書き方』(ハヤカワ文庫JA)
 SF愛があふれており、読んでいてとても楽しい本。創作に役立つかは別として、エッセイとしても読めます。姉妹編の『スペース・オペラの読み方』(ハヤカワ文庫JA)も併せて読みたいですね。



4022611561ベストセラー小説の書き方 (朝日文庫)
ディーン・R. クーンツ Dean R. Koontz
朝日新聞社 1996-07

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ディーン・R・クーンツ『ベストセラー小説の書き方』(大出健訳 朝日文庫)
 ベストセラー作家、クーンツの文字通り「ベストセラー」を書くための指南書です。基本的に大衆受けする娯楽作品を書くのが主眼の本なので、読んでいて受け入れにくい人もいるかも。
 小説作品と同じく、ユーモアを交えながら軽く読んでいけるあたりは、やはりプロのエンタテインメント作家ですね。



4562035994ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門
ローレンス ブロック Lawrence Block
原書房 2003-01

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ローレンス・ブロック『ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門』(田口俊樹・加賀山卓朗訳 原書房)
 クーンツと同じく「ベストセラー」の名を冠しているものの、はるかに面白く読める本です。小説技法の紹介の仕方がものすごく洗練されています。他作家の作品を俎上に上げて紹介する際も、その作品が読みたくなるという語り口の上手さ。ウィリアム・トレヴァーを絶賛するなど、ブロックの読み巧者としての一面も窺えます。エンタテインメントとして読める創作本として、いちばんにオススメしたい本です。



4152034173ミステリの書き方
H.R.F.キーティング H.R.F. Keating 長野 きよみ
早川書房 1989-11

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H・R・F・キーティング『ミステリの書き方』(長野きよみ訳 早川書房)
 ミステリのジャンルについて、広く俯瞰した本です。範囲が広いだけに、それぞれの項目の掘り下げが浅いのが玉に瑕ですね。基本図書として読むべき本でしょう。



4062638576ミステリーの書き方 (講談社文庫)
アメリカ探偵作家クラブ 池上 冬樹
講談社 1998-07-15

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ローレンス・トリート編『ミステリーの書き方』(大出健訳 講談社文庫)
 名だたるアメリカのミステリ作家たちが、それぞれの創作法について語った本。上述の日本版『ミステリーの書き方』と同じような方針でまとめられています(というか日本版の方が、この本を参考にしているのではないでしょうか。)
 どの作家の章も、それだけでまるで短篇を読んでいるかのような面白さ。プロ作家の面目躍如ここにあり、といった感じの本です。フレドリック・ブラウン、スタンリイ・エリン、ヘレン・マクロイなど、ミステリ短篇の名手の章は圧倒されます。



4061885537SFの書き方 (How to write books)
アメリカSF作家協会 小隅 黎
講談社 1984-08

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アメリカSF作家協会編『SFの書き方』(小隅黎訳 講談社)
 上の『ミステリーの書き方』のSF版といった感じの本です。面白く読めますが、ミステリ版ほどではないでしょうか。ケイト・ウィルヘルム、ポール・アンダースン、ガードナー・ドゾア、ジョージ・R・R・マーティンなどの名前が見えます。



4488015093SF作法覚え書―あなたもSF作家になれる (Key library)
ベン・ボーヴァ 酒井 昭伸
東京創元社 1985-12

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ベン・ボーヴァ『SF作法覚え書―あなたもSF作家になれる』(酒井昭伸訳 東京創元社)
 かなり実用的に書かれた本ですが、SFへの興味がないと、ちょっとつらいかもしれません。

 日本のものでは、日本推理作家協会編『ミステリーの書き方』、海外のものでは、ローレンス・トリート編『ミステリーの書き方』、ローレンス・ブロック『ローレンス・ブロックのベストセラー作家入門』がオススメでしょうか。この3冊はまだ在庫があるようです。


テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

ブロックの「ベストセラー作家入門」読みました。
原題しかなくて、実際は翻訳があるもの等、補足してほしかったなと思っちゃいました。
【2015/02/12 20:04】 URL | fontanka #- [ 編集]

>fontankaさん
そもそも、索引とかつけた方がいいタイプの本だと思うんですけどね。
【2015/02/12 21:20】 URL | kazuou #- [ 編集]


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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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