最近読んだ本

4150409897黒蝶 (ハヤカワ文庫NV)
グレアム マスタートン Graham Masterton
早川書房 2001-09

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グレアム・マスタートン『黒蝶』(務台夏子訳 早川文庫NV)
 主婦のボニーが仕事にしていたのは、人が死んだ後の部屋を清掃するという業務でした。そんなある日、仕事の現場で耳にしたのは、愛する家族を殺したという凄惨な事件。そこでボニーが見つけたのは、見慣れない虫でした。
 家族のために必死で働くボニーでしたが、やがて夫と息子が姿を消してしまいます…。
 短めの中篇ホラー作品です。作中で起こる現象が、超自然的ともそうでないとも取れるようになっています。序盤にして、主人公が置かれた状況が既に絶望的なのですが、その中で気丈に振舞う主人公に、読者は感情移入してしまいます。それを踏まえた後半の展開が読みどころでしょう。
 後味は非常に悪いのですが、適度な長さといい、モダンホラーとしては佳作かと思います。



4594070450予期せぬ結末3 ハリウッドの恐怖 (扶桑社ミステリー)
ロバート ブロック 井上 雅彦
扶桑社 2014-05-31

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ロバート・ブロック『予期せぬ結末3 ハリウッドの恐怖』(井上雅彦編 植草昌実他訳)
 異色作家の短篇を集めた《予期せぬ結末》シリーズの3弾目は、ロバート・ブロックです。悪趣味すれすれのユーモア、皮肉のきいたオチと、娯楽に徹したその作風はまさにエンタテインメントの鑑というべきでしょうか。
 自作の登場人物である殺人鬼が現実に現れるという作家に対し、陰謀を企む妻を描いた『殺人演技理論』。冒頭のこの作品からして、ブロック節が炸裂です。
 身に着けた人間が吸血鬼になってしまうという『マント』、アーサー・マッケン風の幻想小説『牧神の護符』、ノスタルジアあふれる叙情的なファンタジー『ムーヴィー・ピープル』など、バラエティ豊かで楽しませてくれます。



4488748015時が新しかったころ (創元SF文庫)
ロバート・F・ヤング 中村 融
東京創元社 2014-03-22

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ロバート・F・ヤング『時が新しかったころ』( 中村融訳 創元SF文庫)
 白亜紀に調査のために赴いたカーペンターは、恐竜の闊歩する土地で、なんと人間の女の子と男の子を見つけます。二人は、この時代の火星の王国の王女と王子だというのです。やがて二人の境遇に同情したカーペンターは、拉致しようとする連中から逃げ出そうとしますが…。
 知的興奮とか目新しさは皆無ですが、読んでいてとにかく楽しい。高慢でカーペンターを鼻にもかけない王女ディードレが、やがてカーペンターに惹かれていく過程が読みどころです。アクション場面も多く、古き良き冒険SFとして楽しめますね。



4488748023宰相の二番目の娘 (創元SF文庫)
ロバート・F・ヤング 山田 順子
東京創元社 2014-10-31

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ロバート・F・ヤング『宰相の二番目の娘』( 山田順子訳 創元SF文庫)
 歴史上の人物を展示する催し物のため、タイムマシンで過去に飛び、実在の人物を拉致する。それが主人公の仕事でした。《千夜一夜物語》の場面を再現するため、9世紀へ行き、本物のシェヘラザードを連れ帰ろうとした主人公は、間違えて妹のドニヤザードをさらってしまいますが…。
 アラビアンナイトの世界を舞台にしたSFロマンスです。ヤング作品にはよくあるのですが、魔術や魔神など、作中で起こる超自然的な現象に、いちおう科学的な説明が与えられるところがミソです。「科学的」といっても、たいした説得力がないので、正直、ファンタジーとして描いてもよかったのではないかと思います。
 SF的な解釈部分が非常に古いタイプのSFなのですが、そうした部分を含めて楽しむべき作品なのでしょう。ヤングのロマンスが好きな読者には、無条件で楽しめます。



4047301531ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス)
九井 諒子
KADOKAWA/エンターブレイン 2015-01-15

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九井諒子『ダンジョン飯』(エンターブレイン)
 地下に眠る謎の王国の遺産を求め、ダンジョンに挑んでいたライオス一行でしたが、ドラゴンに襲われ全滅の危機に襲われます。妹のファリンの魔法によって辛くも地上へ脱出した一行でしたが、ドラゴンに食われてしまった妹のみが帰還できません。
 ドラゴンに消化される前に助ければ、生き返る可能性があることに賭け、ライオスは再び助けに向かおうとします。しかし仲間も減り、食料の備蓄もなくなってしまったのです。そこでライオスが思いついたのは、とんでもない手段でした。なんと、ダンジョンの途中で魔物を倒し、それを食料にしようというのです…。
 RPGゲームを題材にしたファンタジー漫画、のように見えますが、これは非常に斬新な作品ですね。パーティーを組む冒険者、ダンジョンに出没する魔物と、いわゆるRPGのステレオタイプを逆手にとった異色の漫画になっています。
 架空のモンスターに対し、実在の生物のように生態や特徴を解剖したり、料理の仕方を事細かに考えたりと、よほどの想像力がないと発想できるものではありません。白眉は、魔法で操られていると思われていた「動く鎧」が、群生した軟体動物だったと判明するエピソード。
 また、ダンジョンの罠を利用して肉を切ったり、揚げ物をしたりするシーンなどは笑いが止まりません。RPG的な世界観が苦手な人でも楽しめる作品だと思うので、オススメしておきたいと思います。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

はじめまして。いつも更新を楽しみにしています。

豊富な読書量ですが、毎月結構本数はこなされますか?
自分も本は大好きなのですが、最近は忙しいを言い訳に機会が減少傾向です…
Kazuouさんは、どんな時に読まれたり、習慣にされているんですか?
【2015/01/31 17:12】 URL | ゆうた #8xoi63zg [ 編集]

>ゆうたさん
ゆうたさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

僕も平日はなかなか読書時間が取れないので、主に短篇集を読んでいます。短篇を日に一、二篇ぐらいづつ読んで、平日5日で短篇集一冊といった感じでしょうか。並行してエッセイやノンフィクションを少しづつ読んでいることもあります。
あと、土日で長編を一冊か二冊読みますね。

ちなみに、短篇集は最初から読むのではなくて、タイトルの気に入ったものや面白そうな題材のものを先に読んでいます。こうすると、最初の一篇があまり面白くなくて、後の方に面白い短篇があった場合、読み逃すことが少なくなるので。
【2015/01/31 19:58】 URL | kazuou #- [ 編集]


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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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