ナイトビジョンその5
 今週放送分の『ナイトビジョン』のレビューです。

「罪の収穫」
 偏屈者のジェニングズ老人。彼の母親は魔女だったという噂があり、ジェニングズ自身にも怪しげな噂が流れていた。隣に住む一家の息子シェーンは好奇心から、立ち入り禁止になっているジェニングズの敷地内に侵入する。
 ジェニングズに見つかったシェーンは逃げだす。追いかけたジェニングズはよろけた拍子に、脱穀機にはさまれ、両手を失う大けがを負う。おびえるシェーンだが、ジェニングズは怪我の原因を誰にも話していないと聞き、不審の念を抱く。
 退院したジェニングズは、シェーンの父親に会いに来る。彼は意味ありげな笑いをうかべながら、敷地内で勝手に釣りをしたシェーンに罰として、二週間ほど自分の家の手伝いに来て欲しいという。真実を話せないシェーンは仕方なくジェニングズの手伝いをすることになる。復讐におびえるシェーンだが、ジェニングズはシェーンを責めることもない。
 ある日ジェニングズが病院に出かけた際に、シェーンはふと土が盛り上がった部分を見つけ、掘り返し始める。そこには以前なくなった馬の毛布が。そして毛布に包まれたものは、なんとジェニングズの切断された腕だった! ジェニングズは魔術で復讐しようとしているのか? シェーンはびくびくしながらも、無事二週間が過ぎる。その夜シェーンが世話にかかりきりになっていた馬が産気づくが、生まれた子馬にはある奇形が…。
 罪の意識に苛まれた少年が、ジェニングズ老人の目におびえ続けるという心理的なサスペンスが素晴らしいです。はしごから落ちそうになったり、脱穀機に腕を巻き込まれそうになるのを、冷ややかに見守る老人の姿が、寒気を感じさせます。老人はこれで復讐するつもりなのか!と思わせぶりな描写がいくつも続き、それがことごとく外されていくのがサスペンス豊かに描かれます。
 結末まで、結局老人の復讐はなされません。これはもしかして感動ものの話なのか、と思いかけた矢先のブラックな落とし穴。これはうまい! 淡々とした演出がラストを際だたせる秀作です。今まで見たエピソード中で一、二を争う傑作。

「生と死の境」
 森の別荘にバカンスに訪れたジュリー一家。専横的な母親、母親にいいなりの父親、甘やかされた弟。反抗期のジュリーは家族を嫌っていた。しかも弟は火遊びが好きだという問題児だった。注意しても母親に取り入る弟は、叱られもしない。
 そんな彼女の話し相手はテープレコーダーだけ、自分の思いを日々レコーダーに吹き込む毎日だった。彼女の慰めは、時々現れては庭仕事をしていく若いハンサムな男だった。しかし彼はジュリーが話しかけても無視し続ける。
 ある日ジュリーは、男に話しかけようとするが、なんと男はジュリーの体を突きつけていってしまう。彼は幽霊なのか? それからも男はジュリーの前に現れつづける。部屋に現れ、大工仕事を始めた男をじっと見つめるジュリーは不思議なことに気づく。男の顔にひげ剃り傷があったのだ。彼が死ぬ前の傷だろうか? そのとき男はジュリーに気がつき恐慌状態になる。そして消えてしまう。
 男が自分に気がついたのは、何か原因があるはず、幽霊でもいいから彼と触れあいたい、と考えたジュリーは男が車に乗り込む際にそっと同乗する。そしてジュリーに気がついた男は再び驚愕し、車は横転してしまう…。
 話しかけても気がつかない男の幽霊ときて、これはもしやと思ったらやっぱり例のネタでした。しかし演出が手堅いので楽しめます。主人公を神経過敏な思春期の少女にしているところが一番のミソ。そして彼女の話をまるで信じない家族、というのもお約束ながらうまいです。
 そして火遊びを好むわがままな弟の描写が、伏線になっています。弟以外にも、性格をかなりデフォルメすることによって、家族それぞれの特徴が、短い時間の中でもうまく印象づけられるようになっています。妻に頭のあがらない父親が、いくぶん猫背気味に歩くところなど、実に印象的です。
 上にも挙げたように、オチは有名なものですが、そのオチの後の収束のさせ方が特徴的。同じネタでも作り方によっては、面白くすることができるという見本のような作品です。

テーマ:海外ドラマ(欧米) - ジャンル:テレビ・ラジオ

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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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