山本迪夫監督≪血を吸うシリーズ≫3部作
 ホラー映画が大好きでよく観るのですが、欧米の作品がメインで、日本の作品はあまり観ていませんでした。正確に言うと、近年の作品はちょこちょこ観ているのですが、過去の古典的作品はほとんど未見です。
 そんなわけで、日本の古典ホラー映画を観てみよう!と思い立ちました。いちばん気になる作品は、山本迪夫監督の≪血を吸うシリーズ≫3部作です。DVDが出ていたっけと調べると、近年廉価版が出ていて、手ごろな価格で手に入ります。



B00DNTSOBC幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形 【期間限定プライス版】 [DVD]
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山本迪夫監督『幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形』(1970年)
 婚約者の夕子に会うため、山奥の屋敷を訪れた青年和彦は、夕子の母親から、彼女が事故で死んだことを知らされます。屋敷に泊まることになった和彦は、深夜死んだはずの夕子の姿を目撃します。
 やがて兄が戻らないことを心配した和彦の妹、圭子は、恋人とともに屋敷に向かいますが…。
 ≪血を吸うシリーズ≫の第1作です。夕子は生きているのか死んでいるのか? 母親はなぜ娘を隠すのか? 和彦はどこに消えたのか? ヒロインと恋人が謎を調べていくという、典型的なミステリ・タッチで話は進みます。
 ムードのすばらしい作品です。シリーズの他の2作もそうなのですが、まさに「怪奇映画」としかいいようのない雰囲気がたまりません。ポーの作品に触発されたとおぼしい結末もひねりが効いていて見事です。



B00DNTW3BO呪いの館 血を吸う眼 【期間限定プライス版】 [DVD]
東宝 2014-02-07

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山本迪夫監督『呪いの館 血を吸う眼』(1971年)
 秋子は、成人した今もなお、幼いときに目撃した男の恐怖感に悩まされていました。周りの人間からはただの悪夢だと決め付けられ、本人も夢だと思い込もうとしていたのです。
 ある日、全身から血液を抜かれた若い女性が発見されたのを皮切りに、異様な事件が秋子のまわりで頻発し始めます。やがて妹の夏子の様子がおかしくなったのを心配した秋子は、すべての原因が幼い日の記憶にあることを感じ取り、催眠療法で記憶を呼び出そうとしますが…。
 序盤から吸血鬼の姿を出してしまうので、これが吸血鬼ものであることはわかってしまいます。なので、登場人物たちが吸血鬼の脅威からどうやって逃れるのか、というサスペンスで引っ張る映画です。
 ヒロインの幼い日のトラウマ、姉妹間の確執など、いろいろな要素が盛り込まれているうえに、ストーリーも凝っていて、最後まで飽きさせません。クライマックスの館のシーンの緊張感も素晴らしく、吸血鬼を演じる岸田森の演技も絶品。



B00DNU8SXU血を吸う薔薇 【期間限定プライス版】 [DVD]
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山本迪夫監督『血を吸う薔薇』(1974年)
 教師の白木は、山奥にある女子短大に赴任します。直後に学長から、自分が次期学長候補として招聘されたと聞かされた白木は驚くと同時に、学長自身に怪訝な思いを抱きます。
 白木は、校医の下村から、毎年何人かの生徒が消えてしまうこと、前の学長候補の男は発狂したこと、そしてこの土地に伝わる吸血鬼の伝説を聞かされます。
 やがて白木を慕う女生徒の様子がおかしくなり始めますが…。
 3部作の最終作です。山奥の学園という、イタリアン・ホラーを思わせる舞台で物語が展開されます。序盤から岸田森が登場するので、2作目を観ていると、吸血鬼は誰だかすぐにわかってしまうのはご愛嬌ですね。
 今回の吸血鬼は夫婦で登場し、それぞれがそれぞれの思惑で動くという、なかなか複雑なプロットになっています。吸血鬼たちの目的が単なる吸血行為だけではないということ。彼らの悲しい出自もはさまれるなど、ヴァラエティ豊かな要素が盛り込まれています。


 3部作に共通するのは「バタ臭さ」。ホラーを日本の土壌で展開するというよりは、洋風ホラーを日本でやってみたという、ある種の「翻案」といっていいでしょうか。それが上手くできていて、嫌みを感じさせないところが見事です。
 日本作品で吸血鬼を正面から取り扱って、馬鹿らしくならないのは、主演の岸田森の魅力によるところも大きいのでしょう。
 1作目では「親子愛」、2作目では「姉妹愛」、そして3作目では「夫婦愛」と、隠し味的に仕込まれたテーマが感じ取れるところも実によく出来ています。
 3作ともそれぞれ工夫がしてあって、どれも面白かったのですが、いちばん面白かったのは1作目の『血を吸う人形』でしょうか。厳密には吸血鬼ものではなく、オカルト・スリラー的な作品です。上記に「バタ臭さ」と描きましたが、この作品の結末で明かされる、どろどろした情念はやはり日本のもの。そのあたりの組合わせも魅力の要因かもしれません。


 あと日本の古典ホラー作品で気になる作品はといえば、ウィリアム・ホープ・ホジスンの短篇を映画化したという『マタンゴ』(本多猪四郎監督)、和製ボディ・スナッチャーもの『吸血鬼ゴケミドロ』(佐藤肇監督)、江戸川乱歩の同題作品を映画化した問題作『盲獣』(増村保造監督)あたりでしょうか。これらの作品については、また別個に語りたいと思います。

テーマ:ホラー - ジャンル:映画

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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
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