貪欲な読書術  荒俣宏『喰らう読書術 ~一番おもしろい本の読み方~』
4847065506喰らう読書術 ~一番おもしろい本の読み方~ (ワニブックスPLUS新書)
荒俣 宏
ワニブックス 2014-06-09

by G-Tools

 荒俣宏といえば、今や「知の巨人」といってもいい人です。それだけに、読んでいる本の数も半端ではありません。そんな著者の読書術について語った本が刊行されました。それがこれ、『喰らう読書術 ~一番おもしろい本の読み方~』(ワニブックスPLUS新書)です。
 荒俣さんの著書は膨大で、「本」についての著書もたくさんあります。ですが意外にも、「読書術」について語った本は、今までほとんどなかったように思います。
 媒体が新書だということもあり、内容は実践的・実用的なものになっています。本を読むことのメリットとデメリット、そして読書そのものの楽しみ方などが、丁寧に語られます。
 ただ、実用的とはいいつつも、教養が身につくなどの具体的な効能は否定しているところがミソです。

 で、ここが一番、読者のみなさまには気にかかるところでしょうが、そんなに毎日読書をして、お前はいったいどんな偉い人間になったのだ、という疑問が残りますね。
 正直に、はっきり申します。聖人にも、悪人にも、また偉い物識りにもなれません。ただ一つ、メリットといえば、人生に退屈せずに済んだことです。


 ずいぶん冷めた意見です。ただ、それでも本の紹介部分になると、熱が入ってくるところは流石です。紹介されている本やエピソードを読んでいくと、実際に本を読みたくなってくるというあたり、やはり凡百のガイドとは一線を画していますね。
 博物学関係の話題など、この人の著書を愛読している方ならおなじみのテーマが出てくるので、そういう面での目新しさはありません。ジャンル小説ファンなら期待する、幻想文学関連の話題もほんの少しだけ、稲垣足穂やダンセイニについて軽く触れられる程度です。
 ですが「ノウハウ本」の形をとりながらも、エンタテインメントとして楽しめてしまうところが、荒俣さんの真骨頂。まるでエッセイ集のように楽しむことも可能です。
 先月から刊行中の大アンソロジー『怪奇文学大山脈』といい、70に近い年齢になりながらも、まだまだ衰えていないようです。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

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