異端の映画ガイド  稲生平太郎+高橋洋『映画の生体解剖 ~恐怖と恍惚のシネマガイド~』

4800302838映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~
稲生 平太郎 高橋 洋
洋泉社 2014-03-25

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 稲生平太郎+高橋洋『映画の生体解剖 ~恐怖と恍惚のシネマガイド~』(洋泉社)は、英文学者にして作家の稲生平太郎と、映画『リング』『女優霊』の脚本で知られる脚本家、高橋洋の映画に関する対談をまとめた本です。
 映画ガイド本はあまたありますが、本書のような本は初めて読みました。本書のユニークな点は、まず映画が、監督やジャンルではなく、テーマ別に語られていること。そしてそのテーマの切り口が非常に独特なところです。
 テーマの例をいくつか挙げると、「放電」「手術台」「水」「パラノイア感覚」「姉妹」「フィルムの中のフィルム」など。「パラノイア感覚」「姉妹」などはともかく、「放電」や「手術台」でテーマを立ててしまうところに驚かされます。
 そして各テーマで取り上げられるのは、娯楽映画、ジャンル映画に限りません。また、欧米の作品だけでなく、邦画、インド映画など、国籍も多数。
 著者二人とも、膨大な数の映画を鑑賞していることがわかるのですが、やはり稲生平太郎の該博な知識と独特の見識が目立ちます。ラヴクラフトの某作品が映画の影響で発想されたのではないか、などハッとするような指摘もあります。
 ジャンル映画を専門に語った本ではないので、ジャンル映画のガイドとして読むのとはちょっと違うのですが、とにかく取り上げられる映画作品が多種多様で、観てみたい作品が増えるのは確実です。
 互いに怪奇幻想に造詣が深い著者だけに、ホラー作品に言及される部分も多く、その意味でホラーファンにも楽しんで読めると思います。
この記事に対するコメント
すぐに探しました!
いつも楽しみに拝読しております。

わたくし映画オタクでもありまして、こちらを速攻でネットで検索しました。
お値段が[いい]お値段なので、手を出したいけれど、現在はちょっと我慢してしばらく様子うかがいしています。

ホラー映画について書いている本はボチボチ出てきているものの、著者の視点と力量が問われるようになっているので、読者としても目が少し肥えてきました。
この本は、素晴らしい!!
読んでみたいーっ!!

いつも情報発信頼りにしております。
【2014/04/15 01:02】 URL | みん #- [ 編集]

恐怖と恍惚、その心は…?
新しい切り口からジャンル横断して作品紹介してくれるようなガイド本なら大歓迎です。
ご紹介を見ると、確かに切り口はちょっと独特な感じがしますね。
(「恐怖と恍惚の」というと、いわゆる文芸チックなもの・人生ものより"扇情的な"作品がメインでしょうか)
あるジャンルの作品のどんなところに強い印象を受けたり、好感をもったりするかは、多分人によってまちまちで、
その特性を持った作品の存在も、またジャンルを横断して存在していると思うので・・・
(ただ、ここでのテーマの選び方はちょっとホラー的な感じは受けますが)

既存のジャンルに沿った紹介は、もう一通り見た気でいて、それはもうあまり見る気がしないというのはありますが。・・
【2014/04/15 03:10】 URL | Green #- [ 編集]

>みんさん
この本はオススメですよ。こんな捉え方があったのかと、驚くような指摘があちこちにありました。
本書の小説版のような本があるといいんですけどね。
【2014/04/15 22:56】 URL | kazuou #- [ 編集]

>Greenさん
サブタイトルには「恐怖と恍惚」とありますが、特別ホラーに特化した内容ではないし、「恐怖」も「恍惚」も特にないような気が…。
稲生平太郎の映画に関する独特の見方を楽しむ、というのがこの本の読み方のような気もします。
【2014/04/15 22:59】 URL | kazuou #- [ 編集]


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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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