2月の気になる新刊と1月の新刊補遺
1月28日刊 デイヴィッド・リンゼイ『アルクトゥールスへの旅』(文遊社 予価3465円)
1月31日刊 バロネス・オルツィ『隅の老人 完全版』(作品社 予価7140円)
2月6日刊 カミ『機械探偵クリク・ロボット』(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価756円)
2月6日刊 アヴラム・デイヴィッドスン『どんがらがん』殊能将之編(河出文庫 予価998円)
2月7日刊 『もっと厭な物語』(文春文庫 予価683円)
2月13日刊 マシャード・ジ・アシス『ドン・カズムッホ』(光文社古典新訳文庫)
2月19日刊 諸星大二郎『稗田の生徒たち 1 夢見村にて 妖怪ハンター』(集英社 840円)
2月22日刊 ダリオ・トナーニ『モンド9 (モンドノーヴェ)』(シーライトパブリッシング 予価1890円)
2月24日刊 『文藝別冊 夢野久作』(河出書房新社 予価1260円)
2月26日刊 ブライアン・エヴンソン『遁走状態』(新潮社 予価2205円)
2月28日刊 メイ・シンクレア『胸の火は消えず』南條竹則編訳(創元推理文庫 予価1323円)
2月28日刊 紀田順一郎編『書物愛 (海外篇)』(創元ライブラリ 予価1050円)
2月28日刊 紀田順一郎編『書物愛 (日本篇)』(創元ライブラリ 予価1050円)


 バロネス・オルツィ『隅の老人 完全版』は、今まで未訳だった作品を含む、全38篇の全集。「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」のなかでは、いちばん好きなシリーズなのですが、値段が値段だけに、購入は考えてしまいますね。
 『厭な物語』が好評だったようで、続編のアンソロジー『もっと厭な物語』が登場です。前回のアンソロジーも面白かったのですが、収録作品自体は手に入りやすい作品が多かったので、もっと珍しい作品を発掘してくれると嬉しいです。
 ダリオ・トナーニ『モンド9 (モンドノーヴェ)』は、現代イタリアSF作家の短編集だそうで、気になります。最近は、ヨーロッパ系のSFがめっきり紹介されることがなくなったので、貴重な翻訳ですね。
 2月のイチオシはこれでしょうか。メイ・シンクレア『胸の火は消えず』。怪奇小説ファンにはお馴染みのメイ・シンクレアの怪奇小説集です。シンクレアの怪奇小説は、単なる幽霊話に終わらないところが魅力的です。
 以前に晶文社から出た書物をテーマにしたアンソロジー『書物愛』が創元社から文庫化になります。本好きの人なら楽しめる作品揃いなのでぜひ。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

いろいろと楽しめそうです。
メイ・シンクレアを1冊で読むのもけっこう、こわいものみたさ・・・です。
【2014/01/25 17:20】 URL | fontanka #- [ 編集]


はじめまして。『Mondo9』の訳者です。関心を持っていただきありがとうございます。イタリアSFがどこまで日本で受け入れられるのか未知数ですが、今後も仕掛けていきたいと思っていますので、お楽しみに。
【2014/01/26 14:16】 URL | koji_k #1wIl0x2Y [ 編集]

> fontankaさん
メイ・シンクレアの怪談集が出版される日が来るとは、感無量です。国書刊行会からはジョン・メトカーフも出ますし、怪奇小説ファンにとっては、いい時代です。
【2014/01/26 14:50】 URL | kazuou #- [ 編集]

>kojiさん
はじめまして。
訳者さんなのですか。イタリアのSFといえば、昔ハヤカワから出ていたリーノ・アルダーニぐらいしか読んだことがないので、今回の『Mondo9』は楽しみにしています。
ぜひ、他のイタリア作品も紹介してほしいです。
【2014/01/26 14:53】 URL | kazuou #- [ 編集]


>kazuouさん
ありがとうございます。今後もイタリアSFいろいろ出せるように頑張ります。
【2014/01/27 10:41】 URL | koji_k #1wIl0x2Y [ 編集]

メイ・シンクレア楽しみです。
「怪談の悦び」の「天国」が面白く、あの支配的なお母さんは
現在でもあるある!と頷いてしまいます。訳も同じ南條先生なんですね。
南條先生は還暦手前の筈ですが、文章が戦前の旧制高校の香りがする
ような気がしませんか?滋味溢れる美しい日本語で・・・。
【2014/02/07 12:00】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]

シンクレア
『天国』、ユニークな作品でしたね。
メイ・シンクレアの作品って、「ゴースト・ストーリー」的な面と「心理小説」的な面が上手く組み合わさっていて、独自の魅力を放っているような気がします。
南條氏の訳文は、若いころから「老成」していて、すごいです。たしかに「旧制高校」的な感じがありますね。
【2014/02/08 08:26】 URL | kazuou #- [ 編集]

魔性の夫
「怪談の悦び」のエリザベス・ボウエン「魔性の夫」を読んで「はて、どこかで読んだなあ」
と調べてみたら、「20世紀イギリス短編選」「ボウエン幻想短編集」ミネルヴァ書房の選集に岩波少年文庫のホラー短編集まで、多数の選集に載る有名なお話だったんですね。
訳者によって少しずつ読後感が異なるのが面白かった。「陽気なる魂」も西崎先生の訳では話し手は女性のようなのに、太田先生の訳では「僕」となっていて、違う話のようでした。
ボウエンは数冊の選集が出ていて嬉しいです。
【2014/02/12 12:39】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]


『魔性の夫』は、有名なアンソロジー・ピースですね。翻訳は元来訳者によって、印象がずいぶん違うものですが、怪談はとくにそうですね。
訳文の印象といえば、ちくま文庫から出ていたジョン・コリアの短編集(旧サンリオの再刊)の訳文がすごくスラップスティックな感じで、以前に読んでいた早川の短編集と印象がまるで異なっていたので、驚いたおぼえがあります。
【2014/02/15 11:32】 URL | kazuou #- [ 編集]

もっと厭な物語
「皮を剥ぐ」は食事前に読めません。前作の「厭な物語」に
載っていた「シーズンの始まり」は大丈夫だったのに。
「著者謹呈」が面白かった。グリモアに使い魔ときたら
「よんでますよ、アザゼルさん」を思い出します。
ちょっと「デスノート」っぽくもあるし。
【2014/02/16 19:34】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]

書物愛を図書館で借りました。晶文社のデザイン素敵
書物愛の海外篇「シジスモンの遺産」に笑い転げました。
訳されたのが生田耕作御大というのがまた・・・。
生田先生も愛書狂の重症患者ですものね。
エレオノール嬢の復讐がふるっています。
「書痴メンデル」でメンデルの運命に涙し、在りし日のカフェー・グルックのある
天国に召されて、心ゆくまで書物に埋もれて下さいと祈りたくなります。
【2014/02/23 14:42】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]


『書物愛』は、テーマがテーマだけに、文庫より、ハードカバーで持っていたい本ではあります。
生田耕作は、自身で編んだ愛書狂アンソロジーも何冊か出ていましたね。
【2014/02/23 15:34】 URL | kazuou #- [ 編集]

胸の火は消えず
挿絵が付いているんですね。登場する物品や衣装はさすがに古いですが
心理描写は現代女性作家と比べても違和感が無く150年前に生れた女性が書いた作品
だとは意識されないぐらいです。「胸の火は消えず」を読んで篠田節子先生の「38階の黄泉の国」にそっくりだなあと思いました。あと「ジョーンズのカルマ」が胸に迫りました。
【2014/03/01 12:56】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]


『胸の火は消えず』、もう読まれたのですか。
入手はしたのですが、もったいなくて、まだ読んでいません。
ボリュームも結構あって、楽しみです。
【2014/03/02 08:03】 URL | kazuou #- [ 編集]

悪夢のような話
思い立って「モンド9」の内容を調べてみたら、悪夢のような世界(観)を描いた作品のようで、うまく訳されていたらその世界観を堪能できるかもと思い、買う方に気持ちが傾いています。。ただ、立ち寄ることのできた書店には置いていなさそうでしたが… あと「胸の火は消えず」は高額ですが文庫なんですね。

「遁走状態」は買ってありますが、その前にMonkeyなる雑誌(というかほとんど短編集)に訳されたエヴンソン短編は、かなり「厭な」感触の話でした。残酷な場面の直接的な描写こそないものの、後味が長時間心に残ってくるような・・・(人の心に植え付けられた歪みのタネが、成長した後改めて気付いた時どうなっているか・・・)
短編集1冊を読むのが楽しみのような、怖いような感じです。

(その"Monkey"にはミルハウザー短編も載っていて、話の筋そのものには幻想的な要素は全くなかったですが(久しぶりに家に立ち寄った男が、どうやら既に痴呆が進行しているらしい一人暮らしの母親とコミュニケーションを取ろうとする話)、読むとやはりそこはミルハウザーの世界でした)

『ドン・カズムッホ』は、内容を調べても、普通の古典文学っぽいけれど、どこがポイントなのだろうと思ったのですが、同じ著者のその前に出た『ブラス・クーバスの死後の回想』がどうも破天荒な内容で面白そうですね(それでのご紹介なのでしょうか?)。
【2014/03/15 22:43】 URL | Green #- [ 編集]


『遁走状態』は読みました。独創的なのは確かなのですが、エンタテインメントとして読むには、ちょっときつめな感じがしました。時折すごくいい作品はあるんですけど。

『ドン・カズムッホ』は、作者の意図とは別に、別の解釈が可能なミステリ的読み方ができる、ということで、ミステリ畑から注目されつつある作品みたいです。
【2014/03/16 07:27】 URL | kazuou #- [ 編集]


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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
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