魂のゆくえ  リュドミラ・ペトルシェフスカヤ『私のいた場所』
430920631X私のいた場所
リュドミラ・ペトルシェフスカヤ 沼野 恭子
河出書房新社 2013-08-26

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 『私のいた場所』(沼野恭子編訳 河出書房新社)は、現代ロシアの女流作家、リュドミラ・ペトルシェフスカヤの幻想的な短編を集めた作品集です。「幻想的」とはいっても、例えば童話風だったり、実話風だったり、寓話風だったりと、その「幻想」の質はさまざま。
 傾向別に4章に分けて作品が並べられていますが、特に面白く読めたのは、1章≪不思議な場所≫と2章≪東スラヴ人の歌≫です。
 1章では、死んだ娘を生き返らそうと奔走する父親の物語『噴水のある家』、青年に生まれ変わった父親が、かっての妻と息子に再会し愛情をそそぐ『新しい魂』が面白いですね。
 2章≪東スラヴ人の歌≫は、かって『東欧怪談集』(沼野充義 河出文庫)にも収録された、怪談的要素の強い作品群。どれも短めですが、簡潔なだけに力強い印象を与えます。とくに2章最後に収録された『復讐』は、アパートの隣に住むシングルマザーとその子供を憎む女の狂気を描いています。短めながらも強烈なインパクトのサイコスリラーです。
 ちなみに、3章≪お伽噺≫は、お伽噺をモチーフにした作品群、4章≪死の王国≫は、生と死の狭間を描く作品を集めています。
 いわゆる「ジャンル作家」ではないので、きっちりとSFやファンタジーに分類はできないのですが、作品内に流れる独特の空気は非常に魅力的です。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

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