最近読んだ本

4892570842永遠のアダム
ジュール・ヴェルヌ 江口清
文遊社 2013-06-03

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 ヴェルヌの短編を集めた作品集です。表題作『永遠のアダム』は、地球の大地のほとんどが水中に没してしまい、生き残った人間たちが新たな世界を作るという話です。これをさらに未来の人間の目を通して語る…という、スケールの大きな物語。
 ヴェルヌの長編に比べ、短編はコンスタントに面白く読めるような気がします。創元文庫から出ていた『オクス博士の幻想』もいまは入手が難しいようですが、面白い短編集でした。



4594068057予期せぬ結末1 ミッドナイトブルー (扶桑社ミステリー)
ジョン・コリア 井上 雅彦
扶桑社 2013-04-30

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 短編の名手コリアの粒ぞろいの作品集。未訳作品、そして雑誌のバックナンバーに訳載されたきりの短編など、単行本未収録短編が多く収録されており、コリアファンにとっては感涙ものの短編集です。
 どれも面白いのですが、オススメは『恋人たちの夜』。人間の美女に化けた天使と悪魔が恋の駆け引きを繰り広げるという、コリアの真骨頂である≪天使と悪魔≫もの短編です。
 シリーズの次の配本は、チャールズ・ボーモントだそうで、これも楽しみです。



4878923261ラヴクラフトの世界
スコット・デイヴィッド アニオロフスキ
青心社 2006-09

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 ラヴクラフトが言及した都市や地名にインスピレーションを受けて書かれた作品を集めるというコンセプトのアンソロジーです。ラヴクラフト風味にはなっているものの、全ての作品が、必ずしもクトゥルー神話ものになっているというわけではありません。
 玉石混交ですが、見たものを死に追い込む謎の絵を扱った『ファン・グラーフの絵』(J・トッド・キングリア)、怪物に支配されたパラレルワールドに迷い込んだカップルを描く『闇のプロヴィデンス』(ドン・ダマサ)、農場で暮らす夫婦が変調をきたしていく様子をじっくりと描いた力作『ポーロス農場の変事』(T・E・D・クライン)などが印象に残ります。
 


4861824419都会の蜃気楼
岡野 薫子
作品社 2013-05-24

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 著者は、児童文学の分野ではベテラン作家。大人向け作品を集めた作品集だということです。SFやファンタジーというほどのジャンル味はありませんが、いわゆる「奇妙な味」が楽しめる作品が多く収録されています。画家の仕事を始めた女と、画廊に現れた幼馴染との不思議な関係を描く『青いピエロの少年』、妻が飼っていた空想上の犬がやがて迷い込んできた現実の犬と一体化する『ジェミーのクリスマス』など、例えばパトリシア・ハイスミスやルース・レンデルにも似た味わいです。



4047289299魔女マリー 上巻 (ビームコミックス)
天乃タカ
エンターブレイン 2013-05-15

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4047289302魔女マリー 下巻 (ビームコミックス)
天乃タカ
エンターブレイン 2013-05-15

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 これはコミック。心を奪う代わりに、あらゆる願い事をかなえるという魔女マリーをめぐるオムニバス・ストーリーです。願い事をする各話のゲスト・キャラクターの人間性を描くのと平行して、魔女マリー自身の謎をからめていく展開はなかなか見事。
 かわいい絵柄なのですが、物語は非常にシリアスで読みごたえがあります。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

「予期せぬ結末」本当に感涙ものです。
コリア→「ナツメグの味」が(たしかに絶版になっていたとはいえ)、殆どが再録だったので、あの時のショックははてしなかったのですが、今回は、本当にありがたかったです。

シリーズ今後に期待です。
【2013/07/07 19:22】 URL | fontanka #- [ 編集]


『ナツメグの味』はたしかに既訳ものが多かったような気がします。
でもこれで、『炎の中の絵』『ナツメグの味』『ミッドナイト・ブルー』の現役本3冊で、コリアの代表的な短編は読めるようになった感じでしょうか。
【2013/07/07 20:41】 URL | kazuou #- [ 編集]

『魔女マリー』
 ご無沙汰しています。
『魔女マリー』をご紹介いただき、ありがとうございます。悪魔との契約の変型みたいですけど、死後の魂と心では、似ているようで全く違いますね。どんな内容なのか興味を惹かれ、本日、買ってきました。ぼちぼちと読み進めようと思います。
 マンガって、ほとんどアンテナに引っかかってこないので、こういうご紹介は嬉しいです。これからもよろしくお願いします。
【2013/07/14 19:34】 URL | 高井 信 #nOdkmSi2 [ 編集]

>高井 信さん
『魔女マリー』は、「悪魔との契約」のバリエーションですね。魔女本人の意思とは無関係に、願いをかなえてしまう…という設定が面白かったです。

コミック作品でも、短編集とか連作短編集とかが新刊で出ているのを見つけたら、なるべく購入するようにしています。もちろん玉石混交ですが、たまにすごい作品に出会えることもあります。
【2013/07/14 20:07】 URL | kazuou #- [ 編集]

結婚は人生の墓場?
ミステリマガジンの特集も「天使と悪魔」で面白かったです。
コリアは恐妻ものが多くて、女性としては複雑な心境になります。
【2013/07/15 18:39】 URL | 奈良の亀母 #- [ 編集]

>奈良の亀母さん
『ミステリマガジン』の特集も良かったですね。コリアの掲載短編も、このテーマで思い浮かべるような典型的な作品で、面白かったです。
コリアは、たしかに「妻殺し」テーマが多いですよね。
【2013/07/18 06:49】 URL | kazuou #- [ 編集]


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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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