9月の気になる新刊
発売中 ジェイムズ・ヒルトン『失われた地平線』(河出文庫 735円)
9月7日刊 東雅夫編『女霊は誘う 文豪怪談傑作選・昭和篇』(ちくま文庫 924円)
9月13日刊 ボリス・ヴィアン『うたかたの日々』(光文社古典新訳文庫 960円)
9月13日刊 つばな『第七女子会彷徨4』(徳間書店リュウコミックス 通常版620/限定版880円)
9月13日刊 つばな『見かけの二重星』(講談社KCデラックス 620円)
9月15日刊 ジャン・トゥーレ『ようこそ、自殺用品専門店へ』(武田ランダムハウスジャパン 予価1785円)
9月16日刊 ティツィアーノ・スカルパ『スターバト・マーテル』(河出書房新社 1680円)
9月17日刊 ゲーテ/ハリー・クラーク画 荒俣宏訳『ファウスト』(新書館 予価3990円)
9月22日刊 グレッグ・イーガン『プランク・ダイヴ』(ハヤカワ文庫SF 予価945円)
9月23日刊 市川春子『25時のバカンス 市川春子作品集(2)』(講談社 予価620 円)
9月29日刊 高野史緒編『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』(東京創元社 予価2625円)
9月下旬刊 ジェフ・ニコルソン『装飾庭園殺人事件』(扶桑社ミステリー)
9月刊 ジャック・ヴァンス『奇蹟なす者たち』(国書刊行会 予価2625円)

 9月の一押しは、創元社の高野史緒編『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』です。かって創元SF文庫から30年ぐらい前に出ていた『東欧SF傑作集』以来の、東欧SFのアンソロジーです。具体的な収録作家名などは公開されていないようですが、タイトルからして現代作家中心の収録になるのだろうと思います。これは期待大ですね。
 もう店頭に並んでいるだろうと思いますが、ジェイムズ・ヒルトン『失われた地平線』は、秘境冒険小説の名作ですのでぜひ。有名な「シャングリ・ラ」というユートピアが出てきます。あまり派手な展開はないですが、滋味のある作品です。
 ジャン・トゥーレ『ようこそ、自殺用品専門店へ』は、初紹介の作家だと思いますが、あらすじが面白そうです。「老舗の「自殺用品専門店」に大問題発生!店を営む超ネガティブ一家に、無邪気な明るい赤ちゃんが生まれ、店は経営危機に…」。ブラックユーモア作品のようですね。
 マンガ作品では、市川春子『25時のバカンス 市川春子作品集(2)』とつばなの『第七女子会彷徨』の4巻がオススメ。つばなは、別作品『見かけの二重星』も同時発売です。
この記事に対するコメント

こんばんは。

 創元の『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』、面白そうですね。
 近所の本屋に入荷しない気しかしなかったので、Amazonさんに予約を入れてしまいました。
 昔に出た『東欧SF傑作集』も気になってはいるのですが、上下巻という量の多さに二の足踏んだままです。
 クラーク画の『ファウスト』もそそられますが、これは実物見てから考えたいですね。しかしこれまた近所の本屋には入荷しない予感しか……。
 大きな本屋の近所に住む人が羨ましい限りです。
【2011/09/05 01:22】 URL | 春色 #z7XDr28E [ 編集]


こんにちは。

『失われた地平線』は、なつかしいですね。
こういうテンポは、いまではかえって新鮮かも。

『うたかたの日々』は、映画では見ましたが、原作は読んでいないのです。
映像向きの作品のような気もしますけど…

『第七女子会彷徨』というのは知りませんでした。
尾崎翠の『第七官界彷徨』がからんでいるんでしょうか? 
第七官界のほうも積ん読状態なので、そろそろ読むころかもしれません。
【2011/09/05 18:37】 URL | kenn #NV6rn1uo [ 編集]

>春色さん
『東欧SF傑作集』は、なかなか面白いアンソロジーでしたよ。出版当時としても、収録作家の年代がかなり古い感じはしましたが、「SF」というよりは「幻想小説」に分類していいような、いわゆる「境界線上」の作品が多かった気がします。
正直、東欧系の作家は紹介の機会自体が限られてしまっているので、今回の『時間はだれも待ってくれない』は楽しみにしています。
【2011/09/05 22:39】 URL | kazuou #- [ 編集]

>kennさん
そうなんですよね。『失われた地平線』、かなりテンポがのんびりしていて、そういう意味では「冒険小説」というのも憚られる感じはします。ただ読んでいて心地よい作品ではありました。ヒルトンは創元文庫から出ていた「鎧なき騎士」というのもありましたが、こちらもずいぶんスローテンポな作品でしたね。
『第七女子会彷徨』、タイトルもとは『第七官界彷徨』かららしいです。ただ内容はまったく関係ないんですけどね。
【2011/09/05 22:42】 URL | kazuou #- [ 編集]


『鎧なき騎士』は読んでいないと思いますが、『チップス先生さようなら』や『心の旅路』など、
ヒルトンは守備範囲が広い感じで、もう少し読んでみたい気もします。
『心の旅路』は映画も見ましたが、さすがに原作通りでは映像化は無理だったみたいですね。
筒井康隆の『ロートレック荘事件』(だったと思うんですが)の映像化も無理かなぁ。
『転校生』のようなのを、ラジオドラマでやるとしたら、どうやればいいんでしょうね。

なんだかまとまりのないコメントになってしまいました。
【2011/09/06 17:50】 URL | kenn #NV6rn1uo [ 編集]

「早稲田文学 4号」いよいよ
こんにちは、気になる新刊が気になり、毎月楽しみにしています。
自分は風間賢二ミーハーなのでこの人の翻訳本、推薦本を数多く持ってるんですが
最近(っていうか、ここ数年)ホラーよりなのが残念。
そんなわけで『装飾庭園殺人事件』はとても楽しみです。

しかしそれより楽しみなのが中旬に発売予定の「早稲田文学 4号」です。
「青脂」もいよいよ完結するみたい、あと数日の辛抱です。
kazuouさんは「青脂」みたいな変態小説読まないかな?
【2011/09/11 11:33】 URL | monk #- [ 編集]

>kennさん
ヒルトンは、ジャンル小説以外もいろいろと書いているみたいですね。正直、派手さはないけれど、味のある作家だと思います。
『ロートレック荘事件』とか、叙述トリック的な仕掛けのある作品の映像化は難しいですよね。この手の作品では、個人的に、服部まゆみ『この闇と光』が大好きなんですが、これも根本的に映像化が無理な作品だと思います。
【2011/09/11 20:15】 URL | kazuou #- [ 編集]

>monkさん
monkさん、こんにちは。

風間賢二氏は、以前から面白そうな作品をいっぱい紹介してくれてますよね。僕も大好きです。
もともとホラー好きなので、その点「ホラーより」なのは、嬉しいところです。

「青脂」は、寡聞にして知りませんでした。あらすじはどんなのかな、と調べてみたら、すごく「変」で面白そうな作品ですね。機会があったら読んでみたいです。
【2011/09/11 20:20】 URL | kazuou #- [ 編集]

kazuouさん
こんにちは。またお邪魔させてもらいます。
先日書店へ行ったらなんとクノー・コレクションのパンフレットが置いてありました。
これにはkazuouさんからの引用ですが寡聞にして知りませんでした。
9月から刊行予定とあるけどもう並んでるなかな。
それに全巻予約すると特典が。詩は全然わからないけどやはりほしいです。

これで風間賢二推薦の「青い花」読めそうです。
【2011/09/14 10:59】 URL | monk #- [ 編集]

>monkさん
クノー・コレクション、すごい企画ですね。
クノーは翻訳不能な作品が多いという話を聞いていましたが、これだけまとめて作品集を出す、というのは本当にすごいと思います。
【2011/09/17 20:15】 URL | kazuou #- [ 編集]

ジフコヴィッチ?
「時間はだれも待ってくれない」はもう出ているんでしょうか。
ジフコヴィッチ(ジブコヴィチ?)の作品が載ると目されているのはこの本ですよね!
他の作品ともども楽しみです。
以前紹介された「ハルムスの世界」を読んで思ったのですが、ハルムスみたいな不条理な作品などは
個人短編集として一度に読むと、だんだんと同じようなものが延々と並んでいる感じに見えてきてしまう部分もあって・・・
その意味で、東欧物はこうしたアンソロジーとして紹介されるのに適しているのでは、という気もします。
『失われた地平線』は私でも名前は知っているのだから有名作品。。どうしようかな、と迷い中。
「うたかたの日々」、ずっと単行本だけでしたが遂に文庫化か・・・・

8月分もまとめて。
『アンドロギュヌスの裔』、どこかで名前を目にしていたはずなのですが、どこでだったのか思い出せずにいます。
千街さんの「怪奇幻想ミステリ…」かなと思ったのですがどうやら違うみたいで・・・
でも文庫で1500円というのは、分厚そうだなぁ。でも読んでみようと思っているところです。もし読みどころやこんなところが面白い作家さんだというのがありましたら、是非。
『チリの地震』、初めて目にしますが、楽しみに買って読もうかと思います。
6月お勧めの「ロコス亭」、実はここでご紹介があったことをすっかり忘れた状態で、書店で帯を目にして買いました。
文庫で薄いのに結構高かったですが(今では標準?)、楽しみに待機中です。
(そういえば「トランプ譚」も先日購入、近く読む予定です)
『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』は読んでいて、分類がちょっと個性的だなぁなどと。
ホラー小説好きの間では打率が低いと目されている(と思う)キング原作の映画に1章が割かれていたりするんですよね。
【2011/09/25 18:29】 URL | Green #- [ 編集]


「時間はだれも待ってくれない」は書店には、まだ並んでないようです。
ハルムス短篇集を続けて読むと、単調に感じる…というのは同感ですね。アンソロジーとか、雑誌とかにあれが1、2編載ってたら、すごく印象的だと思うんですけど。ジャンルは違いますけど、ジャック・リッチーの短篇集なんかも、多少その気があるような気がします。

「ロコス亭」は絶対のオススメなのでぜひ。創元ライブラリはこのところ、いい作品を出してますね。創元ライブラリでは、エリック・マコーマック 『パラダイス・モーテル』の文庫化も予定されているみたいです。

『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』は、意外と「マニアック」ではないところに、ちょっと驚きました。キング原作の映画にけっこうページを割いているのは、その最たるものですよね。ホラー通の人って、もっと一般的でないセレクションをしそうなんですけど、わりと一般を意識してるんでしょうか。、
【2011/09/25 19:25】 URL | kazuou #- [ 編集]

やはりジブコヴィチ
「時間はだれも待ってくれない」を読みました。
感想としては、各国の状況を伝えたいとか代表的な作家を紹介したい、
というのがまずあってのセレクションなのかなぁ、というのが先ずあって・・・
私の読解力もありましょうが、面白さ優先のセレクションには、あまり感じられなかったんですよね。。
まぁ普通にアンソロジーとして楽しく読みましたけれども、ちょっと期待負けしてしまったところも。

(余談ですが、「とらんぷ譚」を読んだ時にも感じたのですが、昔(学生時分?)だったらこれも楽しんで読めたろうに。。という作品もいくつか。。
一定時間、昔の街が出現する話とか、昔だったらもっと楽しめたろうなぁと)

各国の政治状況を反映したような、リアルな状況に一部SF的設定を加えただけのような作品群と、
純幻想もののような作品群とで構成されている感じで、「いかにもSF」な感じの作品はほとんどなかったですね。。
リアルな感じの作品では、チェルノブイリを題材にした作品に結構感じるものがありました。
幻想ものは、「幻想文学」というかんじの文体や雰囲気で、ちょっと硬い晦渋な感じも受けたものが結構あったかと。

そんな中でトリのジブコヴィチを読みましたが、やはり別格で面白かったという印象。
これは個人的な相性なのか何なのかわからないですが、他作品とは読みごごちが全然違って感じました・・・
ストーリー自体は、他にも似た話はあるかなぁという気もしましたが、
それはそれとして読んでいて面白かった。
原語からの直訳ということで、黒田藩プレスの作品とは印象が変わるかな、などと思ってもいましたが、
そんなことはなかったので、やはりストーリーテリング、文章の構成力に非凡なもの(あと英米作品に近い要素)があるのかと。
また訳されてくれるのを期待しています・・・
【2011/11/23 07:46】 URL | Green #- [ 編集]

ジブコヴィチ
僕も通読していちばん良かったのは、ジブコヴィチ(ジフコヴィッチ)でしたね。期待も大きかったのもあるんでしょうが、全体を通して面白かったか、と考えると、ちょっと微妙な作品集ではありました。
「リアルな状況に一部SF的設定を加えただけのような作品」というのは同感です。これらがあちらの作品の持ち味といえばそれまでなんでしょうが、正直、ジブコヴィチみたいな作品を期待してしまっていたので…。
【2011/11/23 18:40】 URL | kazuou #- [ 編集]


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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



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