最近の読書環境など
 またずいぶん間が空いてしまいました。震災の影響で、仕事の方が極端に忙しくなり、毎日帰ってくるとすぐ寝てしまう、といった毎日が続いています。いきおい、読書の時間もほとんどとれないような状態です。
 ただその反動で、買い込む本は増えているという悪循環(!)。

 結局、最近は短時間で読めるような、マンガ作品や絵本、ヴィジュアル系の本主体の読書になっています。
 その中でいくつか良かった作品をご紹介します。


433605293Xひとりぼっち (BDコレクション)
クリストフ・シャブテ 中里 修作
国書刊行会 2010-12-13

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クリストフ・シャブテ『ひとりぼっち』(中里修作訳 国書刊行会)
 容貌魁偉に生まれたために、両親の配慮によって灯台で生まれ育った男。親がなくなったあとも、ひとりぼっちで絶海の孤島に暮らす彼の楽しみは、たった一つの辞書の中の言葉をランダムに拾い、空想を繰り広げることだけでした…。
 主人公の男が辞書の中から拾った言葉に対し、空想を広げるのですが、生まれてから外界を知らずに育った男には、極端に知識が少なく、結果的に生まれる想像はいびつなものにならざるを得ないのです。
 絵自体はそんなに上手いものとは思えないのに、このリアリティはどうでしょうか。テーマにあった絵柄という意味では、それぞれが有機的に結びついている作品といっていいかと思います。傑作。


4061826387一角獣幻想 (講談社ノベルス)
中島 望
講談社 2009-03-06

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中島望『一角獣幻想』(講談社ノベルス)
 幻想・恐怖小説を集めた短編集です。事故後、脳に障害を負った母親の願いが現実化するという『母願う』、核戦争勃発を受け、シェルターに隠れた若者たちの間に殺人が起こる『方舟荘殺人事件』、古代日本らしき国にたどりついた少女が巫女としてあがめられるようになる『卵生少女』あたりが秀作。とくにタイムとラベルものかと思わせておいてひねる『卵生少女』が傑作ですね。


4199502319妖精消失(リュウコミックス)
安堂 維子里
徳間書店 2011-03-12

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安堂維子里『妖精消失』(リュウコミックス)
 軽やかな幻想ファンタジーコミック集『世界の合言葉は水』が素晴らしかった安堂維子里の新作です。妖精界と人間界をめぐる人々を描く連作短編です。雰囲気的には、川原由美子『観用少女(プランツ・ドール)』あたりを思わせるので、同作品がお好きな方なら、気に入ると思います。将来が楽しみな作家ですね。


4023308986おかしな本棚
クラフト・エヴィング商會
朝日新聞出版 2011-04-20

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クラフト・エヴィング商會『おかしな本棚』(朝日新聞出版)
 「金曜日の夜の本棚」「買えなかった本棚」「兄の本棚・弟の本棚」など、独自のコンセプトによってセレクションされた本棚を写真とともに紹介する本です。正直、本のセレクション自体に独創性を感じるわけではないのに、すごく想像力をそそられます。自分だけの「本棚」を作りたくなる一冊。


4344402146暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)
乙一
幻冬舎 2002-04

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乙一『暗いところで待ち合わせ』(幻冬舎文庫):
 警察に追われている青年が住みついたのは、目の見えない若い女性の家でした。互いにおびえる二人は、やがて心を通わせはじめ…。
 盲目の女性の家に住み着いた容疑者。こんな都市伝説みたいなテーマを使って、これほど繊細な作品を書けるとは驚きです。外界に受け入れられない人間の孤独さを描かせると、著者の筆は一流ですね。
 とりあえず、これで乙一の作品はすべて読破したことになります。
この記事に対するコメント
「一角獣幻想」読みました
 なかなか雰囲気があり、一人暮らしで夜中に読んだら、背筋が寒くなりました。
一冊読み終えてみると、「母願う」が一番強烈だったかと思います。無意識に自分の母親と重ねていたのかも知れません…。「方舟荘殺人事件」はオチが読めてしまったのがイマイチだったかも。
 少し展開がベタかもしれませんが「花いちもんめ」が怖かったですね。あと短いながら「敗北」「終わりなき夏」の二作は傑作だと思います。
【2012/02/15 21:35】 URL | Bear13 #PTRa1D3I [ 編集]

>Bear13さん
『一角獣幻想』は、収録作品がどれも水準以上の出来だと思います。「母願う」は、感情移入しやすいという面もありますし、読者にうったえるところがありますね。
【2012/02/17 22:36】 URL | kazuou #- [ 編集]


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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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