死後さまざま   デイヴィッド・イーグルマン『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』
4480878270脳神経学者の語る40の死後のものがたり
デイヴィッド・イーグルマン 竹内薫
筑摩書房 2010-10-09

by G-Tools

 死んだら、人間はどうなるのか? 昔から人間を悩ませてきた、永遠のテーマです。このテーマについて書かれたユニークな作品が、デイヴィッド・イーグルマン『脳神経学者の語る40の死後のものがたり』(竹内薫・竹内さなみ訳 筑摩書房)です。
 著者のイーグルマンは脳神経学者なので、死後の世界を科学的に探求したノンフィクションなのかと思いきや、案に相違して、これはフィクションなのです。
 著者が空想した死後の世界が、フィクションの形で書かれているのですが、どれも上質のショート・ショートになっていて飽きさせません。タイトル通り、40種類の物語が収録されていますが、それが全て死後の世界について書かれているというのがすごいですね。
 動物への生まれ変わりを望んだために訪れる皮肉な結末がおかしい『種はすべりおちる』、他人が覚えている限り人は存在できるという『死は鏡のなかの世界』
 コンピュータに遺された自動返答アルゴリズムが、本人が生きているフリをするという『死のスイッチ』、物質的なものだけでなく精神的なものまで持ち込めるため、人間が創造した神々までもが天国にいるという『神々の墓地』
 天国や地獄があったり、それが思いもかけない場所であったり、神様がいたり、それが意外な形で存在していたり、そもそも死後の世界はなかったり、と考えられるいろいろなシチュエーションの物語が展開されます。同一テーマにもかかわらず、バラエティに富んでいるのが実に見事。ちょっと皮肉が利いている作品が多いのも洒落ています。
 収録作品が同じシチュエーションといえば、例えば星新一『ノックの音が』(新潮文庫)なんて作品を思い浮かべますが、コンセプトといい、収録作品の肌触りといい、星新一を読むような楽しさがあります。アイディアに富んだショート・ショートを読みたい方はぜひ。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

新聞でこの広告を見たばかりなんですが、
竹内薫さんが訳されておられるので、
科学エッセイのようなものかと思ってました。
そういうのも好きなので、書店で見てみるつもりでした。
【2010/10/25 02:44】 URL | kenn #NV6rn1uo [ 編集]

>kennさん
「科学的な死後の世界の探求」的な感じのものなら、僕も手に取らなかったと思うのですが、たまたま新刊で並べられていたのを拾い読みして面白そうだったので購入しました。
シリアスなものではなくて、かなりお遊びが強いものなんですが、これ、ショート・ショートが好きな方なら、すごく楽しめると思いますよ。
【2010/10/25 12:23】 URL | kazuou #- [ 編集]


この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://kimyo.blog50.fc2.com/tb.php/436-c50a85de
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

kazuou

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する