7月の気になる新刊と6月の新刊補遺
発売中 ダニイル・ハルムス『ハルムスの世界』(ヴィレッジ・ブックス 1995円)
6月下旬刊 ダニイル・ハルムス『ズディグル アプルル』(未知谷 予価2310円)
7月8日刊 H・G・ウェルズ『盗まれた細菌/初めての飛行機』(光文社古典新訳文庫)
7月9日刊 G・K・チェスタトン『新ナポレオン奇譚』(ちくま文庫 予価840円)
7月9日刊 東雅夫編『文豪怪談傑作選 芥川龍之介集 妖婆』(ちくま文庫 予価924円)
7月10日刊 レイ・ブラッドベリ『火星年代記 新版』(ハヤカワ文庫SF 予価903円)
7月14日刊 金原瑞人編訳『八月の暑さのなかで ホラー短編集』(岩波少年文庫 予価714円)
7月20日刊 テリー・ビッスン『平ら山を越えて』(河出書房新社 予価2205円)
7月22日刊 ロバート・W・チェイムバーズ『黄衣の王』(創元推理文庫 予価1260円)
7月25日刊 中村融編『宇宙開発SF傑作選 ワイオミング生まれの宇宙飛行士』(ハヤカワ文庫SF1050円)
7月27日刊 大森望・日下三蔵編『量子回廊 年刊日本SF傑作選』(創元SF文庫 予価1365円)

 ダニイル・ハルムスは、前衛的なロシアの作家。彼が多く書いたナンセンスな掌編は、今で言うショート・ショートに近いものになっています。断片的な翻訳は続けられてきたものの、単行本としては『ハルムスの小さな船』(以前、こちらの記事でも紹介しています)があるくらいでした。それがここに来て、突如2冊の作品集の邦訳が出るのには驚かされました。ヴィレッジ・ブックスの『ハルムスの世界』は、68篇の掌編を収録。こちらの方は、既に店頭に並んでいるところもあるようです。一方、未知谷の『ズディグル アプルル』は、100話を収録だそうで、こちらも楽しみです。
 光文社古典新訳文庫では既にお馴染みになった感のある、南條竹則訳の最新作は、H・G・ウェルズの短編集『盗まれた細菌/初めての飛行機』。SFだけでなく、普通小説も収録されるようです。
 ブラッドベリの名作『火星年代記』の新版は、序文と2短編が加わったバージョンだそう。
  〈奇想コレクション〉の最新刊は、テリー・ビッスンの短編集第2弾『平ら山を越えて』。ヤングの『たんぽぽ娘』はまだまだみたいですね。
 今月の一押しは、これでしょうか。ロバート・W・チェイムバーズ『黄衣の王』。ラヴクラフトの「ネクロノミコン」のモデルとも言われる、呪われた本をめぐる連作短編集です。ラヴクラフト以前の作品ですが、クトゥルー神話に組み込まれることもある古典的作品です。以前出た、C・A・スミスの作品集にも劣らぬ好企画だと思います。
 ハヤカワ文庫の『宇宙開発SF傑作選 ワイオミング生まれの宇宙飛行士』は、 〈SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー〉全3巻の1巻目。宇宙開発テーマの作品を集めています。この企画も楽しみですね。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント
なかなか充実!
そういえば、『黄衣の王』は実在の書物でしたね。楽しみです。
『火星年代記 新版』は、小笠原豊樹でない他の翻訳者による2編追加であれば、ちょっとなあ…という気はしますね。
ダニイル・ハルムス以外は全部購入してしまいそうなラインナップではあります。
【2010/06/20 11:25】 URL | 迷跡 #8Vfzr.cc [ 編集]

>迷跡さん
来月の新刊、SF・ホラーファンにとっては、魅力的なラインナップですね。とくに『黄衣の王』は楽しみにしています。作者名の表記が「チェイムバーズ」になってるのが気になりますが…(訳者の大瀧氏のいつもの原音主義でしょうが)。

ブラッドベリには、『火星年代記』収録作品以外にも、「火星もの」がいくつかあったはずなので、それを組み込むのかな、と考えてます。正直、近年のブラッドベリにはあまり魅力を覚えないので、書き下ろし短編だと個人的にはちょっと…という気になってしまいますね。
【2010/06/20 12:34】 URL | kazuou #- [ 編集]


「文豪怪談傑作選」に期待です。

過去に「文豪ミステリ・・・」は出ていたと思いますが、これって新しい試みでしょうかね。
「火星年代記」は、TVドラマの印象が強くて、本は忘れてしまいました。再読もよいかも。
などなどです。
【2010/06/20 16:30】 URL | fontanka #- [ 編集]

>fontankaさん
ちくま文庫の《文豪怪談傑作選》はもうずいぶん続いているシリーズですね。タイトル通り、「文豪」の作品が多くて、僕もあんまり読んでいないのですが、『小川未明集』とか『吉屋信子集』は面白かったですよ。

『火星年代記』、僕はドラマ版を見たことがないので気になってます。原作は超のつく名作だと思うので、この機会に再読もいいかもしれません。
【2010/06/20 21:15】 URL | kazuou #- [ 編集]

やっぱり…
ダニエル・ハルムス、どっかで聞いたような…もしかして…と思いつつも確認せずにいるうちに日が過ぎましたが、柴田元幸さん編の『昨日のように遠い日』に収録されていたあの作家なんですね!
掲載作品はナンセンスな子供のコント(屁理屈?)、という感じでしたが、何の引っ掛かりもなく読めて楽しかった。。。
(詩も載っていましたが、なんともコメントのしようがないというか…)
ただ、短くて似たような作品を大量に読んだ場合、面白かった以上にうんざりしてしまうこともあるので、作品のバラエティーはどうかな?という辺り、ちょっと気になります。
買ってみたくなるくらいには、気になったのですが。。。ちょっと立ち読みしてみようか…

『黄衣の王』は迷うところ。この時代の作家は、古い分だけ(趣向の)合う合わないがはっきりしてしまうので…(自分だけかもしれませんが)。でも面白そう。
因みにスミスの「ゾティーク…」は読んでいて、結構楽しめました。古典的な趣向の作品も楽しかったですが、地下空間の中を浮遊する光る生物のイメージが個人的には強烈でした。。

少年文庫のホラーってどんな内容のものになるんだろうと、何だか気になります。成人向けのものだと大体想像がつくのですが、子供向けといったときどんな作家の作品が載るのか、どんな人が選者でどんな作品を選ぶのか、見当がつかないので逆に面白そうに感じたり…
あと、芥川作品はそもそも不気味な雰囲気のものが多い気がするので、特にホラーと謳った選集だとどんな内容の作品が選ばれるんだろうかと…

ハヤブサ君が活躍した分、興味を持った人の目がSFに向くことは期待できるんでしょうかね…?(笑)
【2010/06/30 04:13】 URL | Green #- [ 編集]

>Greenさん
ハルムス、面白いのですが、確かにいっぺんに読むと疲れるところはありますね。もともと決まった方向性があるような作家ではないので、バラエティーという面では安心していいと思います。

『黄衣の王』のチェンバーズは何編か邦訳があって、それを読んだ感じとしては、かなり古風な怪奇ロマンス系の作家みたいです。個人的にはすごく好きなタイプですが、現代の人から見ると、かなり古くさく感じるかも。

金原瑞人氏は、以前から少年ものホラーに関しては、一家言ある方なので、期待しています。
【2010/07/03 07:24】 URL | kazuou #- [ 編集]


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クトゥルフ神話について悩みを解決するには、まずはクトゥルフ神話についての正しい知識が必要です。そこで、クトゥルフ神話についての情報を集めました! クトゥルフ神話について調べて、クトゥルフ神話に関する悩みを解決しちゃいましょう! クトゥルフ神話 関連のア... なるほどキーワード【2010/06/21 12:26】

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kazuou

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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