2月の気になる新刊
2月9日刊 今泉文子編『ドイツ幻想小説傑作選 ロマン派の森から』(ちくま文庫 予価1260円)
2月10日刊 SFマガジン編集部編『SFが読みたい!2010年版』 (早川文庫SF 予価735円)
2月10日刊 SFマガジン編集部編『ゼロ年代SF傑作選』 (早川書房 予価819円)
2月13日刊 中井英夫『とらんぷ譚2 悪夢の骨牌』(講談社文庫)
2月18日刊 デイヴィッド・アンブローズ『リックの量子世界』(創元SF文庫 予価1008円)
2月25日刊 恒川光太郎『南の子供が夜いくところ』(角川書店 予価1575円)
2月25日刊 大森望編『不思議のトビラ 時を超える愛編』(角川文庫 予価540円)
2月中旬刊 タイガー立石『TRA (トラ)』(工作舎 5250円)
2月刊 ピーター・アントニイ『べヴァリー・クラブ』(原書房 予価2310円)

 来月の新刊いちおしはこれでしょうか。今泉文子編『ドイツ幻想小説傑作選 ロマン派の森から』。タイトルからして、どうやらドイツ・ロマン派中心のアンソロジーのようですね。ホフマン、ティーク、アイヒェンドルフ、ノヴァーリスあたりの時代の作家が収録されるのだと思います。
 毎年ブックガイドとしても重宝している、『SFが読みたい!』の新年度版、『SFが読みたい!2010年版』が登場。ベスト作品や、特集の方も楽しみですが、じつはいちばん役だっているのが、毎年載っているSF関連映画のガイド。書籍はともかくジャンルを絞ったDVDガイドって、あんまりないですし。見逃していたマイナージャンル映画鑑賞のよきガイドになっています。
 SFマガジン編集部編『ゼロ年代SF傑作選』は、日本作家のセレクションのようです。昔出ていた『SFマガジン ベストセレクション』みたいな感じになるんでしょうか。
 すごく変な作品ばかりを書く作家、デイヴィッド・アンブローズの『リックの量子世界』は、「愛する妻が自動車事故に。ショックと怒りのあまり天に向かって男が叫んだ瞬間、妻の手が動いた。生きていたのだ! だがこれが男の想像を絶する奇妙な体験の始まりだった。 」という、これまたおかしなテイストを予感させる作品です。この作家、「パラレルワールド」とか「仮想世界」テーマが好きなので、たぶんそういう系統の作品だと思います。すでに邦訳のある『迷宮の暗殺者』とか『偶然のラビリンス』なども、「バカミス」すれすれながら、アイディアの面白さとリーダビリティの高さで、読ませる作品になっていたので、今回も期待大ですね。
 刊行が遅れていた、大森望編『不思議のトビラ 時を超える愛編』は、どうやら日本作家中心のセレクションのようです。大森氏は最近アンソロジーづいていますね。
この記事に対するコメント

「ドイツ幻想小説・・」→ドイツ系ってなかなか難しいというイメージがありますが、読んでみようと思います。
アンソロジーたのしいですね
【2010/01/23 09:16】 URL | fontanka #- [ 編集]

>fontankaさん
たしかにドイツものっていうと、固いイメージがありますよね。でもドイツの幻想小説って、素敵なものが多いですよ。とくにドイツ・ロマン派の時代の「メルヒェン」は、文章もやさしいし、面白いものが多いです。ものすごく「残酷」な「現実」をメルヒェンに持ち込んだルートヴィヒ・ティークとか、官能性に満ちたアイヒェンドルフ、お話の楽しさを追求したヴィルヘルム・ハウフ、ファンタジーの一つの極致ともいえるホフマンとか、魅力的な作家が多いです。
ドイツもののアンソロジーって、あんまりないので、貴重な一冊ですね。
【2010/01/23 09:27】 URL | kazuou #- [ 編集]


ドイツの小説ですかー。
わたしは日本とアメリカとイギリスの小説しか読んだことがないので、面白そうですねー。
ドイツとかの小説はここで紹介されていたりしない限り、無視する可能性があったりするので、有り難いです。
ドイツというと、いまのところヒットラーのイメージしかありませんね。ディックの『高い城の男』の表紙とかね(笑)。ジョーク抜きでそんな感じです。
わたしの眼は常に一カ所にあるので、視野が限られており、インターネットででそれを補うというのが現状。有り難いです、このサイトは。
【2010/01/24 02:17】 URL | save #- [ 編集]

『ドイツ幻想小説傑作選 ロマン派の森から』
ドイツ幻想小説、侮り難し、ですよね。
収録作品がとても気になります。
ロマン派というのはよくわからないのですが、エーヴェルスもその一派なのでしょうか。
ドイツもののアンソロジーは、たしかにあまり見かけませんよね。
河出文庫の『ドイツ怪談集』なんか良いアンソロジーでした。
【2010/01/24 11:51】 URL | タツナミソウ #- [ 編集]

>saveさん
ドイツの幻想小説は、英米とはまた違った魅力がありますよ。もともと神秘主義的な面が強いお国柄なので「雰囲気」という点では、英米型よりも優れた作品があったりします。
【2010/01/24 13:20】 URL | kazuou #- [ 編集]

>タツナミソウさん
ドイツの「ロマン派」は、狭義では19世紀前半の作家たちを指すようです。エーヴェルスとかマイリンクとかシュトローブルといった20世紀に活躍した怪奇作家たちを呼ぶ決まった名前は、今のところないみたいです。
河出文庫の『ドイツ怪談集』は、バランスのとれたいいアンソロジーでしたね。ドイツもののアンソロジーはどれも特色があって好きなのですが、国書刊行会から出ている『現代ドイツ幻想短編集』と『独逸怪奇小説集成』がやはり決定版でしょう。そういえば、どちらも前川道介氏の編集ですね。種村季弘を除けば、ドイツの怪奇幻想小説紹介は、ほとんどこの方ひとりでやってきた印象があります。
【2010/01/24 13:33】 URL | kazuou #- [ 編集]


コメント欄に出てきた『現代ドイツ幻想短編集』、確か、ベルゲングリューンという作家の「踊る足」という話が、派手ではないのですが感慨深く印象に残っています。
「ドイツ幻想…」は、1260円だと、それなりの厚みがあるものになるんでしょうね。
ドイツというと… クービン「裏面」とかノヴァーリス「青い花」とかは読みましたが、やっぱり訳文のせいかちょっと硬めの印象があります。
(「ブリキの太鼓」が積読中。あと、隣国オーストリアの作家ですがマイリンクの「ゴーレム」が印象に残っています。)

アンブローズは結構好きなのですが、こちらも1000円超だと、結構分厚くなりそうですね。
その長さでもあのサスペンスを維持できているのか、読んで確かめます(笑)。
【2010/01/31 04:15】 URL | Green #- [ 編集]

現代ドイツ幻想短編集
そうです。ベルゲングリューンは『現代ドイツ幻想短編集』の収録作ですね。この人の作品、味があって好きなんですよね。他にもマイリンク、エーヴェルス、シュトローブルとドイツ御三家が入っていたりと、いいアンソロジーでした。
『ドイツ幻想小説傑作選』、ちくま文庫の定価は最近かなり高いので、この値段といえど、そんなに厚みはないような気がします(笑)。

クービンとかノヴァーリスって、もともと原作自体が硬質な作品ですからね。翻訳によっては、かなり読みにくくなってしまいますよね。その点ドイツものは翻訳に恵まれていないような感じはします。

Greenさんもアンブローズお好きでしたか。変な作風ですが、こうして翻訳が継続して出ることを考えると、わりとファンがいるものと見えますね。今回の作品も楽しみにしています。
【2010/01/31 08:04】 URL | kazuou #- [ 編集]

ホフマン
『ドイツ幻想小説傑作選 ロマン派の森から』、まだ購入してないのですが、なんとホフマンの「ファールンの鉱山」が収録されているんですね!
kazuouさんに以前紹介していただいて(腐らない死体関連(笑))読んだ、あの作品ですね。
【2010/02/14 19:12】 URL | タツナミソウ #- [ 編集]

>タツナミソウさん
ちょうどそのアンソロジーを読み終えたところなのですが、たしかに『ファールンの鉱山』も入ってました。収録作品が5編ほど、そのうち既訳が3編と、コストパフォーマンスとしてはあんまり良くないのですが、翻訳も上質だし、解説も懇切丁寧で、いいアンソロジーでした。何より『ファールンの鉱山』についての解説が充実しているのが嬉しいところです。
もう少し収録作品を多くしてほしかったというのが本音ですが、本邦初訳の、アルニムの作品がすごく良かったので、これだけで自分としては満足してしまいました。
【2010/02/14 19:42】 URL | kazuou #- [ 編集]


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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
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