1月の気になる新刊と12月の新刊補遺
12月18日刊 巖谷國士監修『Scope 桑原弘明作品集』(平凡社 定価2100円)
 1月 8日刊 デイヴィッド・イーリイ『タイムアウト』(河出文庫 予価998円)
 1月 8日刊 スティーヴン・キング『夜がはじまるとき』(文春文庫 予価750円)
 1月 9日刊 シーベリイ・クイン『悪魔の花嫁』(創元推理文庫 予価966円)
 1月13日刊 吉村正和『心霊の文化史 スピリチュアルな英国近代』(河出ブックス 1365円)
 1月19日刊 フリッツ・ライバー『跳躍者の時空』(河出書房新社 予価1995円)
 1月25日刊 エドワード・D・ホック『夜の冒険』〈現代短篇の名手たち8〉(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価882円)
 1月刊    諸星大二郎『MADMEN 最終版 THE DIRECTOR'S CUT』(光文社 予価2800円)


 まだ現物を確認していないのですが、桑原弘明の作品集『Scope 桑原弘明作品集』が平凡社から今月刊行です。「スコープ」とは、小箱の中に極小の部屋を作り、レンズ越しに中を覗くという、魅惑的なオブジェ。そんな「スコープ」を作り続ける桑原弘明の作品集です。同じく「スコープ」を扱った作品集『スコープ少年の不思議な旅』(パロル舎)が以前に出ていますが、あれも素晴らしい本でした。
 イーリイ『タイムアウト』は、晶文社から出た短編集『ヨットクラブ』の文庫化。とくに増補改訂はないようです。
 《ウィアード・テイルズ》で活躍したB級作家の雄、シーベリイ・クインの長編『悪魔の花嫁』が、創元推理文庫から登場。以前に《ダーク・ファンタジー・コレクション》から出た短編集が呼び水になったんでしょうか。できれば《ウィアード・テイルズ》とか《アーカム・ハウス》系統の作品を、どんどん出してほしいところですね。
 1月の目玉はこれ、《奇想コレクション》の新刊、フリッツ・ライバー『跳躍者の時空』。猫ものとして有名な〈ガミッチ〉シリーズ連作を中心としたセレクションとのこと。これは楽しみ。
この記事に対するコメント

kazuouさん、新刊情報をありがとうございます。魅力的なラインナップですね~。どの作品も気になります。

桑原弘明さんのスコープ・オブジェいいですね。インスタレーション作品なのでちょっと違うのですが、デュシャンの「遺作」を思いだしました。覗き穴から見る、というのがなんともいい感じです。
【2009/12/20 02:03】 URL | progfanta #2oWVJYvU [ 編集]

>progfantaさん
桑原弘明氏の「スコープ」は、写真でしか見たことがないのですが、それでも素晴らしく魅力的です。実物も機会があったら、ぜひ見てみたいですね。
そういえば、デュシャンの作品も、「覗き穴」という発想は共通してますね。もしかしたらインスピレーション元のひとつなのかもしれません。個人的には「覗き穴」といえば、江戸川乱歩を思い浮かべてしまいますが…。
【2009/12/20 08:18】 URL | kazuou #- [ 編集]

スコープ少年再び
こんにちは。
桑原弘明さんのスコープ作品集がまた出るのですね。
新しい作品ばかりなのか、『スコープ少年の不思議な旅』のものも含まれるのか、どういう内容なんでしょうね。
調べたら、種村季弘氏と四谷シモン氏の寄稿もあるようで、それも楽しみです。
【2009/12/20 10:31】 URL | タツナミソウ #- [ 編集]


早川書房、東京創元社、新潮社、文藝春秋の新刊などは毎月チェックしているのですが、デイヴィッド・イーリイ『タイムアウト』は知りませんでした。
イーリイは名前こそ知っているのですが、まだ読んだことがないので、読んでみたいですね。
まだ知らない作家の長篇だと読むまでに時間がかかりますが、短篇集だと気軽に手に取れるのでいいです。まあ、知らなくても、「ウィアード・テイルズ」系の作家の長篇は読みますが。映画でも小説でもB級のホラーは大好きなので。その点では、「ウィアード・テイルズ」系の作家のアンソロジーとかを個人的にはもっと出してほしいですね。
【2009/12/20 14:18】 URL | save #eqP7eH0Y [ 編集]


「タイムアウト」→文庫だと買っちゃうシリーズです。タイトルを変えるのは珍しいですね。
ホックはどんなものが収録されるんでしょうね。
ホックは好きなんでたのしみです。
【2009/12/20 18:06】 URL | fontanka #- [ 編集]

>タツナミソウさん
本日、書店に行って『Scope 桑原弘明作品集』入手しました。
新作が中心になってます。今回は、前作品集のような詩文とのコラボレーションではなく、純粋な作品集なので、収録点数もかなり大目で嬉しいです。
まだパラパラと見ただけですが、これは素晴らしいですね。作品自体の魅力ももちろんですが、本の作りも装釘も見事な出来。監修の巖谷國士のほか、種村季弘、四谷シモンの解説もついていて、前作以上の仕上がりかと思います。
【2009/12/20 20:06】 URL | kazuou #- [ 編集]

>saveさん
イーリイは、《異色作家短編集》に入ってもおかしくない作家なので、この系統のファンなら、絶対好きになる作家だと思いますので、ぜひ。
短編集だと、すべてがハズレということは滅多にないので、ある程度安心して読める、というのはありますよね。
【2009/12/20 20:10】 URL | kazuou #- [ 編集]

>fontankaさん
今回は、タイトルだけ変えた文庫化のようですね。作品の差し替えとか、ボーナストラックがあったりすると、ハードカバーで買ってしまう人間としては、ちょっと腹が立つんですが、かといって何もないのもどうかな、と思ってしまいます(笑)。

ホックは、キャラクターものではない、ノン・シリーズ短篇中心みたいですね。創元で出た『夜はわが友』あたりと似たテイストじゃないでしょうか。
【2009/12/20 20:13】 URL | kazuou #- [ 編集]


シオドア・スタージョンの短篇「それ」に魅力をまったく感じず、半分嫌いになりかけているのですが、シオドア・スタージョンの作品でこれなら絶対に面白い! といえる作品があったら教えていただきたいのですが。
ちなみに、文庫で「不思議のひと触れ」だけは(なんと白石朗が三篇翻訳しているということで)買ったのですが、どうも手を付けられずにいます。
おすすめなどがあれば教えていただけたら幸いです。
【2009/12/22 23:52】 URL | save #eqP7eH0Y [ 編集]

スタージョン
『それ』は、個人的には嫌いではないんですけど、あんまりスタージョンらしくないB級短篇ですよね。この作品だけで、スタージョンを見限ってしまうのは、もったいないと思いますよ。邦訳されているものでは、『それ』以外はたいてい面白いと思ってます。
『不思議のひと触れ』は、傑作揃いだと思ってますので、まずはこの短編集をお読みになるといいんじゃないでしょうか。この本の収録作品では、『もうひとりのシーリア』『雷と薔薇』『孤独の円盤』などはすごい作品だと思います。
あとは、『一角獣・多角獣』(早川書房)収録の『熊人形』『ビアンカの手』『監房ともだち』『考え方』、『輝く断片』(河出書房)収録の『輝く断片』『ミドリザルとの情事』『ルウェリンの犯罪』なんか素晴らしいと思います。
どれか一冊と言われたら、やっぱり『一角獣・多角獣』でしょうか。これはすさまじいレベルの短編集だと思います。
作品単位で言うなら、上で挙げたものとかぶりますが、順不同で『熊人形』『ビアンカの手』『監房ともだち』『輝く断片』『ショットルボップ』『極小宇宙の神』あたりは、文句なく面白いと言えますね。
【2009/12/23 08:35】 URL | kazuou #- [ 編集]


やっぱりそうですよね。
海外作家として日本でも人気が高いようですし、海外でもブラッドベリ、キング、ヴォネガットが絶賛していて、「それ」より面白い(というか、自分の肌に合う)作品もあると思ったのです。で、聞いてみたわけですが、「もうひとりのシーリア」「雷と薔薇」「孤独の円盤」が傑作ですか。1月中には読んでみようと思います。
『一角獣・多角獣』、あれはたしかミステリマガジンで絶賛されていたような記憶があります。異色作家短篇集シリーズのなかでも、とくに人気が高いようですね。しかし『一角獣・多角獣』は年代的にちょっと古い訳なので、『不思議のひと触れ』のあとに読んでみようと思います。はじめて読んだのが40年くらいの訳だと、印象が悪くなる恐れがありますので。
丁寧にご紹介くださり、有り難うございます。
【2009/12/23 12:26】 URL | save #eqP7eH0Y [ 編集]


1月はライバーが楽しみですねー。今『放浪惑星』を読んでいます。
kazuouさんと同意見でスタージョン『不思議のひと触れ』『一角獣・多角獣』が入りやすいと思います。前者では「孤独の円盤」、後者では「ビアンカの手」が特におすすめでしょうか。個性の強い作家ですが、慣れてくるとどれもよくなってくるんですよ。個人的には『海を失った男』の「墓読み」が好きですね。
【2009/12/23 17:22】 URL | さあのうず #- [ 編集]

>さあのうずさん
ライバーは、すごく楽しみです。たぶん、来バーの現行で読める短編集って一冊もないですよね。個人的にはホラー系統の作品に期待したいです。

スタージョンは、はっきり言って「わからない」作品もけっこうありますけど、この作家の持ち味に慣れてくると、それもまた魅力に感じられてくるんですよね。『墓読み』なんかも、正直理解できてるとはいえないんですが、なんとも言えない凄みがありますし。
【2009/12/23 18:18】 URL | kazuou #- [ 編集]


こんにちは。
イーリイ『タイムアウト』は文庫まちしていたので、楽しみです。
ライバーは…今持っているのが『闇の聖母』だけで、しかも未読。。。

スタージョンは「ビアンカの手」が素晴らしすぎて、読んだとき固まってしまいました。思わず本を閉じてしまった…。その後、本を開いては同じ短編を読み返し、というのを何回か繰り返したのち、やっと次の話に進んだくらいの一編です。なのですが、私が読んだのは『海を失った男』のほうで『一角獣・多角獣』では読んでいないのですが、だいぶ違ったりするのでしょうか。
【2009/12/26 22:06】 URL | green-flow #- [ 編集]

>green-flowさん
イーリイ『タイムアウト』は、傑作揃いなのでオススメです。
ライバーは、すごく器用な作家で、作品ごとにかなり印象が異なる作家ですね。長編は好き嫌いが分かれると思いますけど、短編集だったら躊躇いなく勧めたいです。

『ビアンカの手』は僕も傑作だと思います。おそらく、訳の正確さでは『海を失った男』の若島正の方が上なんでしょうけど、文章の美しさという点では、『一角獣・多角獣』の小笠原豊樹訳の方が印象に残ってますね。
【2009/12/26 23:11】 URL | kazuou #- [ 編集]


持っている本も読んでいないのに買うのはどうか、と思っていましたが、言われてみれば、短編集から読んでみるのもひとつの手ですね。引き出しの多い作家は、(好みの)当たり外れがあるかもしれませんが、ハマった時の当たりは大きいので楽しみでもあります。

なるほど『一角獣・多角獣』も読んでみようと思います。自分の語学力では英文との比較は無理なので、あとは好みでしょうか。私はもともとエッセイなどでも若島正氏が好きなので、もしかしたらひいき目が入るかもしれませんけど。でも複数の人の訳で読めること自体が幸せなことですよね。
【2009/12/27 18:17】 URL | green-flow #- [ 編集]

よけいな心配
このラインナップだと『悪魔の花嫁』(そういえば、同題のコミック持ってました)が一番楽しみになるわけですが、この手の本、売れてる?
最近の創元推理文庫、ホラー小説ファンにとってありがたい作品が並びますが、大丈夫? と余計な心配をしてしまいます。
どこか別のところで稼いでいるのでしょう、きっと。
【2009/12/27 22:37】 URL | 迷跡 #8Vfzr.cc [ 編集]

>迷跡さん
創元は、ホラーに限らずクラシックをコンスタントに出してくれていますよね。正直、売れているとは思えないんですけど、とにかくありがたいことです。
シーベリイ・クインだけでなくて、ウィアード・テイルズ系の作品がもっと出ると嬉しいんですけどね。
【2009/12/28 19:23】 URL | kazuou #- [ 編集]

展示会の思い出…
桑原さんの件、コメントされたところだとテーマ外かなと思ってこちらに。

桑原さん(氏?先生?敬称がむずかしいのですが、とりあえずさん付けで…)の作品を観たのは、もう5年ほど昔のこと。
新聞記事を見て、これは面白そうだと思って行ったのですが、小さなギャラリーの一角で、展示販売といった趣だったので、初めはちょっと面くらい、入るときちょっと迷いました(笑)
幸い、ここは展示員が入り口で強引な勧誘をしたり、(しつこく)購入を勧めたりするようなところではなかったので(といってもそういう所に行った経験もないのですが)、安心して作品鑑賞できました。
ほかにも2名ほどの方の作品展示も行われていましたっけ…

桑原さんご本人がおられるのは予想外(まぁ、そもそも何の予想もしていなかったのですが…)でしたが、
気さくで温和な感じで対応して下さり、作品を手ずから見せていただきました。
例えば、この作品のこの場合の光の感じは、なんだかフェルメールみたいな印象なのですけど、そんなことを考えられたりするのですか?みたいなことを訊いたら、やはり意識されたようなお返事をいただいたり、
どういう話の流れだったか、愛犬がいるような話もされていましたっけ…

作品の価格は… 記憶が微妙で、桁がひとケタ違っていたりするかもしれないので記憶を書くのはやめておきますが、5年前の時点では、手が届かないことはなかったです。
当時、貯金を半分はたけばこれも買える…などと思ったのを覚えていますので。(光の入り口が3つか4つの作品で、入り口2つの小さな作品などはもっと安かった…)
「『やっぱり、お金を貯めて買いに来ました!』っていう若い方も多いんですよ」と桑原さんご本人もおっしゃってました。(さりげない勧誘ですね(笑))

買ってしまおうか、と思わなくもなかったのですが、(たとえば一時的に飽きたりしても)ちゃんと作品管理ができるのか、夏に40度になったりする自室に置いて問題ないのか、そもそもどのくらいもつものなのか、それに今貯金を半分はたいてしまっていいのか、などなど、さんざん悩んだ末あきらめましたが、まぁ作品管理を考えると、妥当な判断だったのかも…

展示をしていたギャラリーはここで、その後も定期的に桑原さんの展示会をしているみたいですね…
割と最近まで知らなかったこともあって、行っていませんでした… 

 http://www.gallery-tsubaki.jp/

東京近郊の方であれば、チェックして行ってごらんになっては、と思います。
本まで2冊も出た今、(価格も含め)昔と同じ状況である保証はないのですけど、
昔と変わっていなければ、桑原さんと直接お話しできるかもしれません。
あと上記にも載っていますが、東京・江戸川の競艇場でも展示されているみたいですね… こちらもまだ行けていません。

最新の記事も大変面白かった(面白そうだった)のですが、「面白そう、読みたい!」以上に書くことがないので、そちらにはコメントできませんでした…
やはりSFでもなんでも、生きていくことの意味を問うような作品、また描写のすばらしい作品は面白いですよね。
コメントしたところに載っている、「跳躍者の時空」も気になるところですが。

…本当に長くなって、失礼しました。。。
【2010/01/12 02:40】 URL | Green #- [ 編集]

>Greenさん
いえいえ、感想を聞かせていただいて、ありがとうございます。桑原氏の作品は、実際に手にとってみたときにいちばん魅力がわかるんでしょうね。フェルメールの影響もやっぱりあるみたいですね。作品集の解説には、デュシャンの影響もあるとかありましたけど。
僕も買えるものなら欲しいですけど、やっぱりちゃんとした管理ができる自信はないなあ…。
常設展示をしているところもあるんですね。そのうち行ってみたいと思います。


「面白そう、読みたい!」だけでも全然かまいませんよ。それだけでも、コメントしてくださると嬉しいです。
そうなんですよね。「生きていくことの意味を問うような作品」はジャンルに関わらず素晴らしいと思います。重厚な大長編小説の意義は否定しないけれど、SFやファンタジーの掌編でも、素晴らしいものはたくさんあります。
『跳躍者の時空』も、もう少しで発売ですね。楽しみにしています。
【2010/01/12 22:22】 URL | kazuou #- [ 編集]

イーリイ作品
直接の関係はないのですが、イーリイつながりで一筆。
インターネットの古書店で購入した「蒸発」を先日読了したのですが、読後感はよくないですが傑作でした。
どうしてこれだけ復刊されなかったのかと… 早川は文庫化の戦略を誤った気がしました(笑)

短編集についても、『大佐のイノシシ狩り』もさして話題にはならなかったですが、傑作短編が結構あると思うので復刊して多くの方に読んでほしいです。
【2010/01/31 04:33】 URL | Green #- [ 編集]

蒸発
同じ叢書で出たリッチーとか、カーシュとかはかなり話題になりましたが、比べるとイーリイは、それほど評判にならなかったような…。彼らに比べて、イーリイは一見地味な作風だから、損をしている面もあるような気がします。
『蒸発』も面白い作品ですよね。「アイデンティティー」がテーマになってるので、今読んでも古びていないと思います。
『ヨットクラブ』文庫化で、読者が増えることを祈ってます。
【2010/01/31 07:51】 URL | kazuou #- [ 編集]


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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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