最近読んだ本など(まとめて)
 最近忙しく、本の感想を書く時間もなかなかありません。そういうわけで、まとめて簡単に。


4042980015地球の静止する日 (角川文庫)
南山 宏
角川グループパブリッシング 2008-11-22

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『地球が静止する日』(角川文庫)
 創元の同名アンソロジーと同じく、映像化された短篇SFを集めたアンソロジーです。表題作の『地球が静止する日』(ハリー・ベイツ)は、展開が地味だというのを除いても、かなり古びてしまってますね。本好きにはたまらない、『ミステリーゾーン』原作の『廃墟』(リン・A・ヴェナブル)、そして『ターミネーター』のネタ元として有名な、『38世紀から来た兵士』(ハーラン・エリスン)が楽しめます。『闘技場』(フレドリック・ブラウン)は何度目かの再読になりますが、やっぱり名作だと思います。



4488715036時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)
中村 融
東京創元社 2009-10-10

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中村融編『時の娘 ロマンティック時間SF傑作選』(創元SF文庫)
 巻頭作の、『チャリティのことづて』(ウィリアム・M・リー)は、かってオムニバスドラマシリーズ『新トワイライト・ゾーン』で映像化されたこともある作品。オーソドックスながら味わいのある佳作です。
 『台詞指導』(ジャック・フィニイ)や『時が新しかったころ』(ロバート・F・ヤング)は、それぞれの持ち味が出た安定した作品。『時の娘』は、ハインラインの『輪廻の蛇』を思わせる、タイム・パラドックスを使った怪作でした。全体に、あまり斬新な作品は見当たらないのですが、ロバート・M・グリーン・ジュニア『インキーに詫びる』は、じつに独創的な時間SFで、驚かされました。
 個人的には満足できたアンソロジーなのですが、人によっては食傷気味になってしまうような気もします。



4152088222ミスフォーチュン
Wesley Stace
早川書房 2007-06

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ウェズリー・ステイス『ミスフォーチュン』(早川書房)
 ひょんなことから、富裕な貴族ラヴホール家の当主に拾われた主人公ローズは、跡取り娘として何不自由ない生活を送ります。しかし、レディとして育てられたローズは、実は「男」だったのです。長じるにしたがって、違和感に苦しむローズ。そして、その秘密を知った親戚たちは、遺産を横取りするために館に乗り込んできます…。
 19世紀初頭、イギリスを舞台にしたディケンズ風大河小説です。とにかく、波瀾万丈で最後まで飽きさせません。主人公が、父親を失ったあと、あれよという間に邸や財産を乗っ取られるなど、展開はオーソドックスで、新味はありませんが、安定した出来で楽しめます。最後の方の展開に、かなりご都合主義的なものが続くのはちょっと気になりますが、それを差し引いても充分良質なエンタテインメントと言えるかと思います。
 作者がミュージシャンだけあって、作中で、歌が重要な役割を果たすのも読みどころ。



4043943180嘘神 (角川ホラー文庫)
角川書店(角川グループパブリッシング) 2009-10-24

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三田村志郎『嘘神』(角川ホラー文庫)
 主人公のコーイチは、ある日気づくと、高校の仲間5人とともに、見たことのない部屋に閉じ込められていました。「嘘神」と名乗る存在から、「ゲーム」に勝てば、この部屋から生きて帰れると、いくつかのルールを提示されます。しかし、そのルールの中には、ひとつだけ嘘があるというのです。最初は協力し合っていた仲間たちは、やがて仲間割れを起こして、殺し合いが始まります…。
 極限状況でのサバイバルを描く、いわゆる「デスゲーム」小説です。正直、人物描写が全体に浅いのが気になります。わざとなのかもしれませんが、会話もちょっといただけません。趣向自体は面白いと思いますが、「小説」としてはかなり落ちる作品。



4047260851芋虫 (BEAM COMIX)
エンターブレイン 2009-10-26

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丸尾末広『芋虫』(エンターブレイン)
 江戸川乱歩の『芋虫』を漫画化した作品です。戦傷で両手両足を失った夫を介護する妻という、原作からしてドロドロの情念に満ちた作品なのですが、この漫画化作品では、それがさらに倍加された感じです。独特の文章のトーンにくるんで語られる原作小説に比べ、具体的な映像表現を使わざるを得ない漫画では、あまりに身も蓋もない描写になってしまうので、「幻想」や「ファンタジー」の入る余地がないんですよね。
 これはこれで傑作だと思うのですが、個人的には、前作『パノラマ島綺譚』のような幻想的な味を、もう一度味わいたいと感じてしまいます。

 
4152087110アトモスフィア〈1〉 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
早川書房 2006-03

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西島大介『アトモスフィア』(ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)
 ある時を境に、世界中に人々の「分身」が現れます。自分と入れ替わろうとした「分身」から、すんでのところで「守る会」に助けられたヒロインは、「会」に参加します。しかし分身現象はまったく収まらず、コピーは増え続けていきます…。
 「分身」現象の原因を合理的に解き明かすとか、「分身」たちと本体たちとの壮絶な戦いを描くとか、そういう方面の話ではありません。世界にも自分にもまったく「期待しない」という、空虚なヒロインが、世界や自分に対して折り合いをつけるという、いわゆる「セカイ系」の物語。
この記事に対するコメント

こんばんは。なかなか忙しくて&図書館の予約の順番がまわってこなくて、本が読めない状態です。
時の娘はとても楽しみです。
【2009/11/09 20:54】 URL | fontanka #- [ 編集]

>fontankaさん
『時の娘』はとてもよかったですよ。
やっぱり、こういうウエットなタイプのSFって日本人好みなんだなあと感じました。
【2009/11/11 12:18】 URL | kazuou #- [ 編集]


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Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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