8月の気になる新刊
8月6日刊 小山正編『天地驚愕のミステリー』(宝島社文庫 予価480円)
8月6日刊 小山正編『奇想天外のミステリー』(宝島社文庫 予価480円)
8月10日刊 ロバート・A・ハインライン『夏への扉 新訳版』(早川書房 予価1575円)
8月10日刊 ジャック・ヴァンス『ノバルガース』(ハヤカワSF文庫 予価714円)
8月上旬刊 東雅夫編『文豪てのひら怪談』(ポプラ文庫 予価588円)
8月11日刊 ピーター・プレストン『51番目の州』(創元推理文庫 予価1029円)
8月25日刊 ドナルド・E・ウェストレイク『泥棒が1ダース』〈現代短篇の名手たち3〉(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価840円)
8月28日刊 ヘレン・マクロイ『幽霊の2/3』(創元推理文庫 予価903円)
8月28日刊 クラーク・アシュトン・スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』(創元推理文庫 予価1260円)
8月下旬刊 P・G・ウッドハウス『ジーヴスの帰還』(国書刊行会 予価2310円)
8月刊 スチュワート・ケリー『ロストブックス 未刊の世界文学案内』(晶文社 予価2310円)

 宝島社文庫から刊行予定の、小山正編の二冊は気になりますね。アンソロジーなのか、それともブックガイドなのか、どちらにしても「バカミス」提唱者でもある著者だけに、要チェックではあります。
 早川書房からは、名作『夏への扉』の新訳が登場。定価が高めかと思ったら、文庫ではなくてハードカバーみたいですね。福島正実の旧訳は、批判されるところもあるけれど、個人的には好きです。
 早川の文庫の方では、ジャック・ヴァンスの未訳作と、ウェストレイクの短編集が要チェック。ウェストレイクは、〈ドートマンダー〉ものだけを集めた作品集のようです。
 創元社からは、とうとう伝説的作品のヘレン・マクロイ『幽霊の2/3』が刊行。数十年、古本めぐりをしていても、一回もお目にかかったことがないぐらいですから、そのレア度は折り紙付き。素直に復刊を喜びたいです。
 個人的に8月の新刊でいちばんの要注目本は、これ。クラーク・アシュトン・スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』です。訳者は大瀧啓裕氏だけに、充実した作品集が期待できそうです。既訳も混じってそうですが、スミスの作品自体ほとんど入手困難になっているので、これは問題ないでしょう。今現在、手に入るのは、近年復刊された『イルーニュの巨人』(創元推理文庫)ぐらいじゃないでしょうか。
 この作家、舞台を異世界や古代にとることが多いので、ジャンルとしては「ハイ・ファンタジー」に分類されるんでしょうが、肌触りが「ファンタジー」というよりは、確実に「怪奇小説」のそれなんですよね。「小説の上手くなったラヴクラフト」といった感じの作家なので、この手のジャンルが好きな方はぜひ。
この記事に対するコメント
小説の上手くなったラヴクラフト!
あ、もう8月ですか。
私も『ゾティーク幻妖怪異譚』が一番楽しみです。
それにしても“小説の上手くなったラヴクラフト”とは…言いえて妙なだけに、ラヴクラフトファンとしては苦笑。
『文豪てのひら怪談』は、「文豪」の作品から、「800字」かつ「怪談」を集めたのでは。力業というか気合の入った遊びというか。ちなみに、本家ちくま文庫の文豪怪談シリーズの8月は、個人的に待望の太宰治です。
【2009/07/11 22:19】 URL | 迷跡 #- [ 編集]

>迷跡さん
最近、ラヴクラフトの作品を何冊か読む機会があって、改めて感じました。異様な雰囲気とか熱気は感じるものの、やっぱり「小説」としては、上手いとはいえないんですよね。『ウルタルの猫』とか『エーリッヒ・ツァンの音楽』とか、好きな作品もけっこうあるんですけど、好きな作品を見回してみると、ラヴクラフトの作品の中でも短か目で、わりと軽妙なタイプの作品ばっかりでした。
その点、やっぱりスミスの方が、文章力といい構成力といい、ラヴクラフトよりは上手ですね。
『文豪てのひら怪談』は、たぶんショート・ショートっぽいアンソロジーになるのではないかと思いますが、これは楽しみにしています。太宰治の方は、あんまり好きではないので、購入するかどうかは微妙ですね。
【2009/07/11 22:38】 URL | kazuou #- [ 編集]

幽霊の2/3
読んでますが、やはり「思い入れ」で一番の楽しみな作品です。
「マクロイ絶版三部作」と命名した3冊が、やがて全部復刊される日がくるのかと
楽しみにしてます。
【2009/07/12 09:22】 URL | fontanka #- [ 編集]

>fontankaさん
「幻の名作」って、読んでみたら大したことなかった、ってパターンがけっこうあるんですけど、この作品はどうなんでしょうね。とりあえず読めるようになるだけでも、慶賀すべきことだと思います。
『殺す者と殺される者』は、復刊は決まってるんですよね。あとは『暗い鏡の中に』でしょうか。
【2009/07/12 18:49】 URL | kazuou #- [ 編集]

マクロイ
「幽霊の2/3」は水準いっていると思います。
後のマクロイの「読後消却のこと」にも通じる作家という職業の描写もなかなかとおもっています。
「殺す者と殺されるもの」は、イントロの部分(お経?)が、どんな風に訳されるのかも興味があります。→あと、時代的にはやはり「古くなった部分」が否めませんから
「暗い鏡の中」は早川なんで微妙ですよね。でも今、出せば売れると思うんですよね。
(同趣向の短編があるのが、ちょっとネック(でも絶版)かも)
「水平線の男」もこのタイミングでないと復刊できないと思うきもするんですが。。。
【2009/07/12 19:45】 URL | fontanka #- [ 編集]

水平線の男
マクロイは『ひとりで歩く女』は面白かったけれど『家蠅とカナリア』はいまいちでした。けっこう当たり外れがあるような気がします。というよりあんまり「本格謎解き」に興味がないから楽しめないんでしょうか。『幽霊の2/3』と『殺す者と殺される者』は、わりと幻想味が強そうなので、その点で期待しているんですけどね。
個人的には、マクロイよりも「水平線の男」を復刊してほしかったです。
【2009/07/12 20:05】 URL | kazuou #- [ 編集]

ホラーや怪奇
クラーク・アシュトン・スミスって、幻想より怪奇寄りな感じですか? ホラーや怪奇にはほとんど縁がなくて、たまにはそういう違ったジャンルのものも読んでみたいのですが、定番ものとかでおすすめがあったら教えていただけるとうれしいです。(あつかましいお願いですいません)
【2009/07/13 22:36】 URL | green-flow #- [ 編集]

×%○&△$!!!
↑文字化けじゃございません、言葉にならなかったんです(笑)。
だってウェストレイクの短編集が出るんですよ?!
ウェストレイクファンにとってこんな嬉しいことはありません(TT)。
といいつつkazuouさんのこちらのレビューで初めて知ったんですが^^;

これに収録されてるのは他のアンソロジーなどに入ってないものかしら?
どっちにしろドートマンダーの短編集は読んだことがないので今から楽しみです。
これは図書館頼みではなく私的には買いです^^
8月25日ですね、メモメモ。
【2009/07/13 22:54】 URL | TKAT #- [ 編集]

>green-flowさん
クラーク・アシュトン・スミスやラヴクラフトは、ちょっとクセのある作家なので、怪奇ものが好きな人でも、ちょっと好き嫌いが分かれるかもしれませんね。
個人作家の作品よりも、アンソロジーでまず気に入った作家を見つけて、そこから芋づる式に読んでいく、というのがいちばん無難な読み方だと思います。
というわけで、定番のアンソロジーとして『怪奇小説傑作集』(創元推理文庫)、『恐怖の愉しみ』(創元推理文庫)、『幻想と怪奇』(ハヤカワ文庫NV)、あと最近出た『新・幻想と怪奇』(ハヤカワ・ミステリ)あたりが入手もしやすいし、いいと思います。
なかでは「異色短編」を集めた『幻想と怪奇』(ハヤカワ文庫NV)が、起承転結の利いた話が多いので、これがいちばん読みやすいんじゃないでしょうか。
いずれブログの記事でも、入門的なものをまとめてみようかなと考えてます。
【2009/07/14 06:45】 URL | kazuou #- [ 編集]

>TKATさん
ウェストレイクの短編集って、むかしハヤカワから出た『ウェストレイクの犯罪学講座』以来でしょうか。個人的にはシリーズものだけ、というのはちょっと残念な気がするのですが、とりあえず買いでしょう。
短編好きとしては、〈現代短篇の名手たち〉シリーズには、たいへん期待してます。
【2009/07/14 06:48】 URL | kazuou #- [ 編集]

アンソロジー
そうですね、最初に個性の強い作家のものだと、短編集の途中で挫折しそうです。
『幻想と怪奇』のタイトルは何回か聞いた覚えがありますが、いままで気にせずにいました。怖いものがダメなわけではないのですが、なんとなくそっち系を読まずにきてしまって…。本屋で探してみますね、ありがとうございます。
入門編もぜひぜひ! 楽しみにしています。
【2009/07/14 22:50】 URL | green-flow #- [ 編集]


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男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
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