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霊能者の世界  嶺里俊介『霊能者たち』

霊能者たち Kindle版


 嶺里俊介『霊能者たち』(光文社)は、霊能者たちを描くホラー・ミステリ連作です。彼らが行う霊視や除霊などが一つの技術として描かれ、またそうした技術にも科学同様、しっかりとした法則性が設定されているという、面白い作品です。

 中心となる複数の霊能者たちが、霊にかかわる事件を捜査したり、彼らの周囲の人物が事件に巻き込まれたりと、全体は緩やかにつながっています。個々の霊能力者たちの「技術」もシステマチックなのですが、霊能者たちが組織化され、相互のネットワークが作られていたりする部分も含めて中心となる複数の霊能者たちが、霊にかかわる事件を捜査したり、彼らの周囲の人物が事件に巻き込まれたりと、全体は緩やかにつながっています。 個々の霊能力者たちの「技術」もシステマチックなのですが、霊能者たちが組織化され、相互のネットワークが作られていたりする部分も含めてその点、幽霊現象に対する恐怖感は薄く、その分それらに関わる霊能力者たちの日常にスポットが当たるという感じの作品になっていますね。

 複数の霊能者たちが登場しますが、メインで活躍するのは、霊視を行う未亡人長谷川祐子、代々能力者を輩出する名門、大道寺家の娘である玲奈とその婚約者勝也でしょうか。特に、玲奈と勝也のカップルは除霊を主な仕事にしているだけあり、目立って活躍していますね。
 玲奈と勝也が初登場する二篇目「霊能者の矜恃」では、彼らの仕事ぶりが描かれるのですが、そこで描かれる除霊の様子は独特でインパクトがあります。この手の霊能力者が描かれる作品で、こうした異様な描写は見たことがありません。
 霊能力者たちの除霊活動は、だいたいにおいて無機質で機械的なものとして描かれるのですが、扱う事件とその人間関係には温かみがあり、全体にヒューマン・ストーリー的な色彩が濃いのも、独特の味わいですね。オカルティックではありながら、オカルトにならない…というのも面白いところです。


テーマ:怪談/ホラー - ジャンル:小説・文学

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Author:kazuou
男性。本好き、短篇好き、異色作家好き、怪奇小説好き。
ブログでは主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。twitterアカウントは@kimyonasekaiです。
怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。twitter上の怪奇幻想ジャンルのファンクラブ「 #日本怪奇幻想読者クラブ 」主宰。
『ミステリーズ!vol.96』(東京創元社)に怪奇小説の翻訳概況を書きました。
同人誌『海外怪奇幻想小説アンソロジーガイド』『物語をめぐる物語ブックガイド』『迷宮と建築幻想ブックガイド』『イーディス・ネズビット・ブックガイド』『夢と眠りの物語ブックガイド』『奇妙な味の物語ブックガイド』「海外怪奇幻想作家マトリクス・クリアファイル」を刊行しました。



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