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恐怖のオムニバス  ダン・カーティス監督『恐怖と戦慄の美女』
 ダン・カーティス監督のオムニバス映画『恐怖と戦慄の美女』(1975年 アメリカ)は、リチャード・マシスンの短篇が原作の三話からなるホラー・ムービーです。

第一話「ジュリー」
 英語教師のジュリーは、生徒であるチャドに恋人になってほしいと迫られ、それを断りますが…。
 生徒である少年に脅されてしまう女性教師を描いていますが、実は…という作品です。結末は非常にブラック。

第二話「ミリセントとテレーズ」
 真面目で貞淑な姉ミリセントと、奔放で色情狂の妹テレーズ。代わる代わる男を連れ込むばかりか、黒魔術にまで手を出しているテレーズを、ミリセントは憎んでいました。彼女は妹について主治医のラムジー博士に相談しますが…。
 対照的な姉妹を描いたサイコ・スリラー作品。妹に憎悪をふくらませていく姉は、とうとう妹を始末しようと考えます…。意外な結末が楽しいエピソードですね。

第三話「アメリア」
アメリアは母親の元を離れて、一人でマンションに住んでいました。毎週金曜日には淋しがる母親と共に過ごす約束でしたが、その日はある男性と食事の約束をしていたために、母親との約束を断ろうとして口論になってしまいます。
アメリアはボーイフレンドへのプレゼントとして、古道具屋でズーニ族に伝わる呪いの人形を購入していました。付属の紙には、人形に付けられた金の鎖が外れてしまうと、魂が入り込み人形が動き出す…ということが記されていましたが、アメリアは本気にしません。ふとした拍子に鎖が外れてしまった人形は動き出し、刃物を持ってアメリアに襲いかかります…。
 人形が女性を襲うというショッキングなエピソードです。演出の上手さもあり、かなり怖いお話になっています。人形がどこから襲ってくるかわからず、ドアを破ったり、トランクに閉じ込めてもこじ開けてきたりと、その力とエネルギーも強烈。
 登場人物はヒロイン一人なので、人形との一人芝居になるわけですが、主演のカレン・ブラックの演技力もあり、恐怖感の醸成が巧みです。『チャイルド・プレイ』を始めとする、後年の人形ホラー作品にも影響を与えたといわれる作品で、確かに今見ても傑作と言っていい作品だと思います。

 この『恐怖と戦慄の美女』、三話がそれぞれ違ったテーマで構成されていて、バラエティに富んでいるのも魅力ですね。三話とも主人公を女優のカレン・ブラックが演じていて、同じ人とは思えないほどの演じ分けがされているのも凄いです。特に第三話「アメリア」での演技は見事ですね。
 もともとテレビ用に作られた作品だそうですが、小粋な秀作として、今でも楽しめる作品だと思います。

原作となるエピソードは全て邦訳があります。
紹介しておきますね。

第一話 「ジュリー」
原作:リチャード・マシスン「わが心のジュリー」(尾之上浩司訳 ジェフ・ゲルブ編『震える血』祥伝社文庫収録)

第二話「ミリセントとテレーズ」
原作:リチャード・マシスン「針」(尾之上浩司訳 尾之上浩司編『運命のボタン』ハヤカワ文庫NV 収録)

第三話「アメリア」
原作:リチャード・マシスン「狙われた獲物」(仁賀克雄訳『不思議の森のアリス』論創社 収録)

テーマ:怪談/ホラー - ジャンル:小説・文学

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Author:kazuou
男性。本好き、短篇好き、異色作家好き、怪奇小説好き。
ブログでは主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。twitterアカウントは@kimyonasekaiです。
怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。twitter上の怪奇幻想ジャンルのファンクラブ「 #日本怪奇幻想読者クラブ 」主宰。
『ミステリーズ!vol.96』(東京創元社)に怪奇小説の翻訳概況を書きました。
同人誌『海外怪奇幻想小説アンソロジーガイド』『物語をめぐる物語ブックガイド』『迷宮と建築幻想ブックガイド』『イーディス・ネズビット・ブックガイド』『夢と眠りの物語ブックガイド』『奇妙な味の物語ブックガイド』「海外怪奇幻想作家マトリクス・クリアファイル」を刊行しました。



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