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ロシアン・ファンタジー  西周成編訳『ロシアのおとぎ話』

 西周成編訳『ロシアのおとぎ話』(アルトアーツ)を読了。ロシア作家の未訳の珍しい童話作品を集めたアンソロジーです。

ウラジーミル・ダーリ「カラス」
 他の鳥に悪さをするカラスが、鳥たちの裁判にかけられてしまう…という物語。
 嘘をついたりすると酷い目に会う、という教訓要素の強い作品です。

ウラジーミル・オドエフスキー「耳の悪い四人 インドのおとぎ話」
 羊の面倒を見ていた、耳の悪い牧夫は、家に食事に戻るため、羊たちを見てくれるよう、近くにいた番人に頼みます。しかし耳の悪い番人には話が通じていませんでした。
 戻った牧夫は番人にお礼を言いますが、相手は文句をつけていると思い込みます…。
耳の悪い人同時が話をしますが折り合わず、調停人を入れますがその人も耳が悪くて話が通じない…というコミカルな寓話作品です。

ウラジーミル・オドエフスキー「オルゴールの中の街」
 父親が持ってきた飾りのついたオルゴールに魅了された少年ミーシャ。オルゴールを見つめている内に、小さな少年が現れ、彼についていくと、いつの間にか不思議な町の中に立っていました…。
 オルゴールの中の街に入り込んでしまうというファンタジーです。オルゴールの部品である、ベルやハンマー、シリンダーなどが、街の住人として擬人化されているのが楽しいですね。

リディヤ・チャルスカヤ「ふしぎな星」
 エゾリダ姫は、この世にないような不思議な品物ばかりを欲しがっていました。姫に仕える騎士たちは命を懸けて品物を持ってきますが、そのたびに姫はもういらないと突っぱねるのです…。
 人を人とも思わない姫が、誠実な人々を見て改心する、という物語。前半で犠牲になった人々が結局そのまま助からない…という展開もちょっと微妙ですね。

ミハイル・クズミン「金の服」
 とあるシリアの街では雨が降らず渇きに苦しんでいました。主教のもとを訪れた天使は、歌や踊り・服などのはかない楽しみをあきらめる娘がいれば、雨は降ると言い残します。話を聞いた、体の不自由な娘マラが自ら犠牲を申し出ることになりますが…。
 体の不自由な健気な娘が結局役に立たず、華美で美しい娘が街を救う…という、ちょっと逆説的な物語。「自分に必要ないものをあきらめてもしょうがない」というテーマには、なかなか味わいがありますね。

ミハイル・レールモントフ「アシク=ケリブ」
チフリスの街に住む貧しい青年アシク=ケリブは、裕福なトルコ人の一人娘マグリ=メゲリに恋をします。アシク=ケリブは七年間旅をして富を蓄えるつもりだと話すと、マグリ=メゲリは七年後に戻ってこなければ、求婚者と結婚すると答えます…。
 魔法が登場するのですが、それが使われるタイミングが妙だったり、主人公を陥れようとした恋敵が幸せになったりと、ユニークな展開のおとぎ話です。エキゾチックな世界観も楽しいですね。

アレクサンドル・クプリーン「デミル=カヤ 東方の伝説」
 東方で強盗を続けていた盗賊デミル=カヤは、皇帝の軍隊に取り囲まれ命からがら逃げ出した直後に、天使アズライルと出会います。彼によれば、東の地にオアシスとなる旅館を作り、人に尽くせば神に許されると言うのですが…。
 改心した強盗の慈善が思わぬトラブルでふいになってしまいますが、それさえも神の御心のうちだったという、宗教説話的作品です。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

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Author:kazuou
男性。本好き、短篇好き、異色作家好き、怪奇小説好き。
ブログでは主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。twitterアカウントは@kimyonasekaiです。
怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。twitter上の怪奇幻想ジャンルのファンクラブ「 #日本怪奇幻想読者クラブ 」主宰。
『ミステリーズ!vol.96』(東京創元社)に怪奇小説の翻訳概況を書きました。
同人誌『海外怪奇幻想小説アンソロジーガイド』を2019年8月に刊行しました(完売しました)。
「海外怪奇幻想作家マトリクス・クリアファイル」、同人誌『物語をめぐる物語ブックガイド』『迷宮と建築幻想ブックガイド』『イーディス・ネズビット・ブックガイド』を盛林堂書房さんで通信販売中です。



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