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カリブ海の惨劇  ロバート・R・マキャモン『ナイト・ボート』
ナイト・ボート (角川ホラー文庫)
 ロバート・R・マキャモンの長篇小説『ナイト・ボート』(嶋田洋一訳 角川ホラー文庫)は、ブードゥーの呪いによって、ナチスの潜水艦乗組員たちが蘇り、カリブ海の小島を襲う…というB級テイストあふれるホラー作品です。

 資産家の家に生まれながらも妻子を失ったショックから、カリブ海の小島コキーナ島に一人住み着くことになった男デヴィッド・ムーア。彼は海に潜っている際に、沈没したナチスの潜水艦Uボートを発見します。
 引き上げられたUボートから物を盗もうとした男が死体となって発見されたのを受け、ムーアは友人である警察署長キップと共に潜水艦内部を調査します。そこでは、かっての乗組員の死体がミイラ化していました。しかもその死体が動きはじめているのに二人は気がつきます…。

 ブードゥーの呪いによって、ナチスの潜水艦の死体が蘇って襲ってくる…というB級ホラーそのもののような作品です。妻子を失った過去を持つムーアや、魔術師だった育ての親との確執を持つ警察署長キップなど、意味深な設定付けがされているものの、正直そのあたりの設定はあまり生かされていません。
 ただナチスの死体(これはゾンビといっていいんでしょうか)が動き出してからのテンションは高く、B級ホラーとして非常に楽しい作品になっています。それまでの描写から後半の活躍を期待されたキップがほとんど活躍せず、後半になってからようやく顔を出すインディアンの族長シェインがいいところを持っていってしまうのも含めて、この手のホラー小説が好きな人には楽しめるでしょう。

 物語自体はB級ながら、「ゾンビ」が人を襲うシーンにはもの凄く精彩があるのは、やはり著者の筆力といっていいのでしょうか。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

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男性。本好き、短篇好き、異色作家好き、怪奇小説好き。
ブログでは主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。twitterアカウントは@kimyonasekaiです。
怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。twitter上の怪奇幻想ジャンルのファンクラブ「 #日本怪奇幻想読者クラブ 」主宰。
『ミステリーズ!vol.96』(東京創元社)に怪奇小説の翻訳概況を書きました。
同人誌『海外怪奇幻想小説アンソロジーガイド』を2019年8月に刊行しました(完売しました)。
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