11月の気になる新刊
11月上旬刊 『ロシアSF短編集』(アルトアーツ 1188円)
11月8日刊 『谷崎万華鏡 谷崎潤一郎マンガアンソロジー』(中央公論新社 予価1080円)
11月9日刊 『伊藤典夫翻訳SF傑作選 ボロゴーヴはミムジイ』(ハヤカワ文庫SF 予価1058円)
11月10日刊 『定本 夢野久作全集 第1巻』(国書刊行会 10,260円)
11月11日刊 ジョナサン・オージエ『夜の庭師』(創元推理文庫 予価1253円)
11月11日刊 アンドリュー・カウフマン『奇妙という名の五人兄妹』(東京創元社 予価2160円)
11月15日刊 戸川安宣『ぼくのミステリ・クロニクル』(国書刊行会 予価3240円)
11月18日刊 ジュール・ヴェルヌ『名を捨てた家族 1837-38年 ケベックの叛乱』(彩流社 予価3024円)
11月19日刊 G・K・チェスタトン『詩人と狂人たち 新訳版』(創元推理文庫 予価864円)
11月22日刊 ロード・ダンセイニ『二壜の調味料』(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価972円)
11月22日刊 バリントン・J・ベイリー『ゴッド・ガン』(ハヤカワ文庫SF 予価1080円)
11月25日刊 シャーリイ・ジャクスン『鳥の巣』(国書刊行会 予価2592円)
11月30日刊 ブライアン・エヴンソン『ウインドアイ』(新潮社 予価2160円)
11月30日刊 シャーリイ・ジャクスン『処刑人』(創元推理文庫 予価994円)
11月刊 フランシス・M・ネヴィンズ『エラリー・クイーン 推理の芸術』(国書刊行会 予価3888円)

 アルトアーツの『ロシアSF短編集』は、本邦初訳の作品ばかりを集めたロシアの古典SFアンソロジー。オドエフスキー、ボグダーノフ、ステーチキン、クプリーン、ズゾーリャ、アレリスキーらの作品を収録。ちなみに、こちらの作品集は、基本的にアルトアーツのサイトからの受注生産になります。

 『伊藤典夫翻訳SF傑作選 ボロゴーヴはミムジイ』は、伊藤典夫翻訳のSF短篇を集めたアンソロジーのようです。表題作は、ルイス・パジェット(ヘンリー・カットナー)の名作短篇。他の収録作品は不明ですが、表題作だけでも買いのアンソロジーだと思います。

 寓意に満ちたファンタジー『銀行強盗にあって妻が縮んでしまった事件』の作者アンドリュー・カウフマンによる邦訳2作目『奇妙という名の五人兄妹』は、これまた奇妙な味の作品のようです。「13日後に死ぬと予言した祖母の指示で、ウィアード家の末娘は兄と姉二人、弟を探す旅に出る。」

 チェスタトン『詩人と狂人たち 新訳版』は、ミステリと幻想小説の境目にあるような味わいの作品ですが、難解な面もあったので、新訳は歓迎したいところですね。

 ダンセイニの奇妙な味のミステリ『二壜の調味料』が文庫化。詳しい紹介は過去の記事を参照ください。
→ 「黄昏のミステリ   ロード・ダンセイニ『二壜の調味料』」

 バリントン・J・ベイリー『ゴッド・ガン』は、単行本未収録のベイリーの短篇を集めた傑作集。これは楽しみです。

 シャーリイ・ジャクスンの作品がなんと2冊刊行です。国書刊行会の『鳥の巣』と、創元推理文庫の『処刑人』『処刑人』の方は、すでに邦訳が出ている『絞首人』と同じ作品ですね。〈ドーキー・アーカイヴ〉の『鳥の巣』は、多重人格を扱った作品だそうです。




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未知の力  ステファン・グラビンスキ『狂気の巡礼』
4336060746狂気の巡礼
ステファン・グラビンスキ 芝田文乃
国書刊行会 2016-09-23

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 ポーランドの怪奇小説作家ステファン・グラビンスキによる短篇集『狂気の巡礼』(芝田文乃訳 国書刊行会)が刊行されました。鉄道をテーマにした怪奇小説集『動きの悪魔』に続く、第2集になります。
 大まかに2部からなり、それぞれグラビンスキの本国版短篇集《薔薇の丘にて》全六篇と、《狂気の巡礼》からの八篇で構成されています。

 《薔薇の丘にて》は、壁に囲まれた庭園で漂う薔薇の香りから始まる幻想物語『薔薇の丘にて』、無性に神経を逆なでする男をめぐる物語『斜視』、森に迷い込んだ男が森小屋の窓から見たシルエットはまさに殺人現場だった…という『影』、精神感応を扱った『海辺の別荘にて』などを収録しています。
 全体に神経症的な雰囲気に支配された幻想小説集で、エドガー・アラン・ポーを思わせる作りになっています。中でも、『影』は、「影」が作る過去の惨劇のイメージと、それに囚われる人間の狂気を描いており、一読の価値があります。

  《狂気の巡礼》収録作品は、『動きの悪魔』に近い味わいの作品が多いですね。
 『灰色の部屋』は、こんな物語。不快だった前の部屋を離れ、新しい部屋に移り住んだ男。しかし、その部屋でも同じような不快感が取れないのです。調べたところ、前の住人は、男が前に住んでいた部屋の前の住人と同一人物だったのです。前の住人の精神的な力が部屋に残っているのではないかと考える男でしたが…。
 霊が憑いているのでは…という心霊実話テイストのような始まりから、グラビンスキ流の怪異の解釈が面白い作品です。
 物語の起伏に富み、集中いちばん読ませるのが『チェラヴァの問題』です。夜になると高名な学者の家に出入りする、浮浪者然とした粗暴な男。学者の妻は、2人の関係を懸念しますが、なぜか2人が同時に起きて話をしているところは見たことがないのです。妻から依頼を受けた主人公は、彼らの関係を探りますが…。
 学者の裏の顔は希代の犯罪者なのか? それとも二重人格なのか? グラビンスキ版『ジキル博士とハイド氏』ともいうべき力作です。

 本作品集でも、『動きの悪魔』収録作同様に、過去の情念や未知の力が、場所や人に影響を及ぼす…というグラビンスキ独特のテーマがまま見られます。怪異現象を、超自然的現象と見なすのではなく、人間が認識できないだけではないか、という疑似科学的な姿勢が見られますが、かといってそれらを解明が可能なものとも考えていない…という微妙なバランス感がまた、グラビンスキ作品の魅力でもありましょうか。

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読書会について(参加者募集です)
 ブログを始めて、約10年。ネット上では、いろんな方とお話したり、コメントしたりと、コミュニケーションを取ってきました。それはそれで楽しいのですが、最近ちょっと物足りない気がしています。端的に言うと、実際に人に会って話したいな、という気持ちが強くなってきたのです。

 かといって、身の回りには、趣味の本について話せるような人もいません。本について話せる集まりはないだろうか?と、探してみると、ちまたでは「読書会」というものがあるそうです。
 もともと、自分はものすごい人見知りで、初対面の人に会って話すのは、かなり抵抗があります。ですが、勇気を出して、良さそうと思われる読書会に参加してみました。
 いわゆる「一般向け」の読書会だったのですが、何か違和感を感じてしまい、結局一回限りの参加になってしまいました。
 会の内容は、次のような感じでした。

・開催頻度は、月に1回程度。
・全体で40~50人規模。
・7~10人ぐらいの小グループに分けて討論する。毎回くじ引きで、異なる組み合わせになる。
・小グループ内で、まず自己紹介を行う。名前を札に書き、自分の机の前に立てる。
・小グループそれぞれに進行役の人がいる。
・1人ずつ、自分の好きな本を5分~10分程度で紹介する。
・本を紹介した後に、他の人から、その本の内容についての質問や意見を募る。
・本のジャンル・冊数は問わない。マンガもOK。
・小グループ内の紹介が終わったら、最後に全体に向けて、1人ずつ、1~2分程度で簡単に自分の本を紹介する。
・会が終わるまで約4時間ぐらい。

 システムとか運営上は、よく考えられていたと思います。個人的に合わなかっただけともいえるのですが、この会に参加して、思ったことをまとめてみます。

・人数が多すぎて、内気な人は発言しにくい(小グループでも人数が多い気がする)。
・本の趣味がそれぞれ違いすぎて、話がかみ合わない。
・興味がない分野の本については、質問や意見が出てこない。
・一人一人、本を紹介するのが必須なので、「発表」が苦手な人は続かない。
・「発表」前提なので、「好きな本」よりも「説明しやすい」本を、選択してしまう可能性がある。
・全体に「勉強会」のような雰囲気になってしまう。
・オールジャンルOKになると、明らかに「本好き」ではない人が増えてくる。

 ジャンル不問だと、ジャンルがばらけすぎて、話が全然かみ合いません。小説好きがビジネス書の話をされても、興味は持ちにくいでしょう。
 「本好き」というくくりは、実際のところ、かなり粗いくくりだと思います。例えば「スポーツファン」同士が話しても、片方が「野球ファン」で、もう片方が「アイスホッケーファン」だとして、話がかみ合うか、といったら、疑問ですよね(たまたま趣味がかぶる場合はあるでしょうが)。
 本好きで、他人と本について話したいという人がいるとき、正確には「自分が好きなジャンルの本について話したい」のだと思うのですよね。自分の関心外のジャンルについて聞かされても、楽しくないことが多いかと思います(もちろん、別分野に興味が湧く可能性は否定しません)。

 「紹介」タイプの読書会のほか、「課題図書」タイプの読書会というのもあるようです。課題となるタイトルが決まっているものですね。こちらは、ジャンルや作家が決まっているので、関心のある人が集まるという意味では、いいと思います。
 ただ、人によっては、興味を持てない課題図書もあるでしょうし、もっとゆるく話したい、という人には敷居が高いです。

 やはり、基本的には、ジャンルを絞った集まりでないと、参加しにくい気がします。ただ、僕の好きなジャンル、怪奇小説・幻想文学方面(とくに翻訳もの)についての集まりって、探した限り、全然見つからないのですよね。
 自分の理想の読書会がないなら、自分で作れないだろうか。そう考えて、自分なりに、本について語れる場について考えてみました。

・扱うジャンルは限定する。ジャンルの中でも細分化を行う。
・参加者それぞれについて、「発表」は必須にしない。というか「発表」形式にする必要はないと思う。
・参加人数は少人数。4~5人程度がいいと思う。増えても7~8人。
・基本はフリートーク。完全なフリーにすると、やりにくい場合もあるので、大まかなテーマは決めてもよし。
・発言を強要はしない。自分は話さなくて、聞いているだけの人がいてもいい。

 長々と書いてきましたが、要は、自分の好きなジャンルについて、楽しくおしゃべりできる場が作れないかな、と考えているのです。「読書会」というほど大げさなものではなく、「読書サロン」みたいなものでしょうか。
 怪奇小説・幻想文学ファンって、ミステリファンやSFファンなどと比べて、わりと引っ込み思案な人が多いような気がしています(自分がそうですから)。そういう人たちの集まる場所を作りたいな、というのも目的のひとつとしてあります。
 形式として考えているのは、あらかじめ、大まかなテーマを決めておいて、それを軸にフリートークでおしゃべりをするというもの。テーマは、いろいろ考えられると思います。
 例えば、物語の主題的なもの、「変身」とか「分身」とか。または、ジャンルやサブジャンル、「ゴースト・ストーリー」であるとか「リドル・ストーリー」とか。
 叢書やシリーズをテーマにしてもいいですね。《世界幻想文学大系》とか《ナイトランド叢書》とか。
 『ミステリマガジン』でやっていた企画 『「新・世界ミステリ全集」を立ち上げる』にならって、『「新・世界幻想文学大系」を立ち上げる』なんてのも面白いでしょうか。あとは、架空のアンソロジーの目次を考えるとか。

 まだ何も決まっていない段階なのですが、参加してくれる方がいくらかいるようであれば、具体的なことを詰めていきたいと思っています。
 以下のような条件で、一緒に話してもいいよ、という方がおられたら、メッセージをくださると嬉しいです。

・怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)について話したい、もしくは関心がある。
・場所は東京都内のどこか。
・人見知り歓迎です(別に人見知りでなくても構いません)。

 以下のどれかでご連絡ください。
 ・コメント欄
 ・メールフォーム(ブログ画面右側に設置しています)
  メールフォーム使用の際は、メールアドレスを入れていただければ、個々に返信いたします。
 ・メール → kimyonasekai@amail.plala.or.jp

 もし、このような場が実現できるとして、大まかなテーマとして考えているものを挙げておきます。

・怪奇小説のアンソロジーをめぐって
・「新・世界幻想文学大系」を立ち上げる
・ゴースト・ストーリーの巨匠たち
・架空のオリジナル・アンソロジーについて考える
・《奇妙な味》と異色短篇
・ループものについて
・夢をめぐる幻想小説
・奇想小説について
・多重人格の物語
・記憶の不思議
・江戸川乱歩と怪談入門
・微小と極大の物語
・架空と実体
・迷宮の物語
・ユーモアと幻想
・異世界とパラレルワールド
・リドルストーリーについて
・パラノイアSFとサイコ・ストーリー
・魔術と魔法
・幻想ミステリについて
・仮想世界の物語
・ブックガイドの楽しみ      など


10/18追記

 読書会について、たくさんのお問い合わせをいただきました。実際人が集まるんだろうか?と半信半疑で記事を書いていただけに、驚くと同時に、大変嬉しく思っています。本来なら、参加を希望される方全員を受け入れたいところなのですが、もともとの趣旨からして、少人数を企図していましたので、とりあえずこれで第1回分の参加希望は締め切らせていただきたいと思います。
 現時点で、11名の方から参加の意志をいただいています。お問い合わせくださった方、ありがとうございました。

 なお、キャンセルする方や参加できない方がいた場合、追加で募集することもあるかと思います。その際は改めて告知しますので、お問い合わせください。

 さて、これから、開催に向けて具体的なことを詰めていきたいと考えていますが、会の名前もないのもどうかと思うので、とりあえず、名前だけ決めておきたいと思います。

 あまり工夫もない名前ですが、会の名前は「怪奇幻想読書倶楽部」で、いきたいと思います。

 ついでに、第1回のテーマも決めておきましょう。

 第1回のテーマは「怪奇幻想小説のアンソロジーをめぐって」

 例えば『怪奇小説傑作集』。例えば『幻想と怪奇』。例えば『闇の展覧会』。古典的な傑作集から、先鋭的なテーマ・アンソロジーまで、怪奇幻想小説を扱ったアンソロジー(傑作集)は、数多く存在します。
 古典的なゴースト・ストーリーから、《奇妙な味》の作品、モダンホラー、硬質な幻想小説、テーマ別のアンソロジーなど、あなたのお気に入りアンソロジーがきっとあるはず。アンソロジーのコンセプトについて語るもよし。収録作品の是非について語るもよし。個々の短篇の面白さについて語ってもかまいません。
 そうしたアンソロジーの楽しみや面白さについて、じっくり語り合いたいと思います。

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最近読んだ本

B01KNLFH8Uハリー・オーガスト、15回目の人生 (角川文庫)
クレア・ノース 雨海 弘美
KADOKAWA / 角川書店 2016-08-25

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クレア・ノース『ハリー・オーガスト、15回目の人生』(雨海弘美訳 角川文庫)
 1919年生まれのハリー・オーガストは、死んでも再び生まれ変わる能力を持っていました。自分の能力を認識したハリーは、人生のたびごとに様々な経験を重ねていきます。能力の存在を他人に漏らしたことから、拷問にかけられることになったハリーを救ったのは、自分と同じ能力を持つ人間たちの組織「クロノス・クラブ」でした…。

 何度も生まれ変わって人生をやり直すという「リプレイもの」作品です。このジャンルの特徴である、人生のトライアル・アンド・エラー部分ももちろん面白いのですが、この作品の興味深いところは、リプレイ能力の特質を組織的に研究し、活用している、というところでしょうか。
 能力者たちが記憶を持って生まれ変わり、話せるようになった直後に、その時点で老齢の別の能力者に情報を伝えていけば、どんどん過去に情報を伝達することができる…という壮大なテクニックが使われています。
 そして、それにより未来の可能性が閉ざされることを知ったハリーは、それを防ぐために活動を始めるのです。
 殺せないはずの能力者の殺し方が判明するなど、能力者同士の殺し合いやスパイ活動などのアクション場面も登場します。他にも、主人公が体験する様々な異国や体験、家族との葛藤など、さまざまなジャンルの要素が詰め込まれており、エンタテインメントとして非常に面白い作品です。



4309207162むずかしい年ごろ
アンナ スタロビネツ 沼野 恭子
河出書房新社 2016-09-26

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アンナ・スタロビネツ『むずかしい年ごろ』(沼野恭子、北川和美訳)
 ロシアの女流若手作家によるホラー風味の短篇集です。
 双子の息子が何者かに体を乗っ取られ異常を来たしていく様を、妹と母親の視点から描くという、表題作『むずかしい年ごろ』が強烈な出来栄え。
 いわゆる「侵略もの」なのですが、その「侵略」が長期にわたるのと、息子の行動の得体の知れなさが、不気味さを増幅しています。
 他に、人間が人造人間を購入する未来社会を描く『生者たち』、別世界に迷い込み二つの家族の間で揺れ動くという『家族』なども面白いですね。



4151821015ラスト・ウェイ・アウト (ハヤカワ・ミステリ文庫)
フェデリコ・アシャット 村岡 直子
早川書房 2016-08-24

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フェデリコ・アシャット『ラスト・ウェイ・アウト』(村岡直子訳 ハヤカワ・ミステリ文庫)
 妻子の旅行中に自殺を企てたテッド・マッケイ。決行寸前に、見知らぬ男が現れ、ある組織からの依頼を話し始めます。半信半疑のうちに依頼を受ける事になったテッドでしたが…。

 次から次へと、めまぐるしく変転する展開は実に魅力的です。不条理な出来事が頻発する怪奇サスペンス、というのが前半の印象ですが、だんだんと合理的に謎が解き明かされていき、後半は正調サスペンスになる…といった感じでしょうか。
 最後に、ひとつまみの幻想的な風味を忘れないところも好感触でした。



4062202190QJKJQ
佐藤 究
講談社 2016-08-09

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佐藤究『QJKJQ』(講談社)
 猟奇殺人鬼ばかりの一家の長女として育った亜李亜は、ある日、兄が殺されているのを発見します。やがて母も姿を消すに及び、兄を殺した犯人を捜そうとする亜李亜でしたが…。

 目を引く設定が使われていますが、犯人対主人公といった単純な対決の構図にはなりません。どちらかと言うと、主人公と家族の真実を探し求める物語、といった方がいいでしょうか。
 あらすじから想像されるような方向へは進まないのですが、先の読めなさ、という意味では、非常に刺激的な作品です。



459407565730の神品 ショートショート傑作選 (扶桑社文庫)
江坂遊 選
扶桑社 2016-09-29

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江坂遊選『30の神品 ショートショート傑作選』(扶桑社文庫)
 国内外のショートショートを集めたアンソロジーです。
 星新一『おーい でてこーい』、ビアス『アウル・クリーク橋の一事件』、サキ『開いた窓』、ジェイコブズ『猿の手』、ストックトン『女か虎か』など、傑作ぞろい。逆に言うと、極めつけの名作が集められているため、ある程度読書歴のある人なら、既読のものが多いのがちょっと残念ですね。
 名作ぞろいだけに、選者のカラーがあまり感じにくいのですが、例えば阿刀田高『マーメイド』、赤川次郎『指揮者に恋した乙女』あたりは、凝ったセレクションではあると思います。阿刀田高など、もっと名作があるかと思うのですが、あえて艶笑譚を持ってきたところがポイントでしょうか。
 名作の多い作家、例えば、ブラッドベリやフレドリック・ブラウン、城昌幸、山川方夫など、自分だったらどんな作品を入れただろう、と自分なりのセレクションを考えるというのも、楽しみ方の一つかもしれませんね。
 2集、3集も期待したいところです。


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プロフィール

kazuou

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



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