6月の気になる新刊と5月の新刊補遺
発売中 ロバート・ブロック『予期せぬ結末3 ハリウッドの恐怖』(扶桑社ミステリー 842円)
6月2日刊 『江戸川乱歩の迷宮世界』(洋泉社 予価1404円)
6月5日刊 チャールズ・ユウ 『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(新ハヤカワSFシリーズ 予価1728円)
6月6日刊 ジェシー・ケラーマン 『駄作』(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1188円)
6月9日刊 エドワード・ゴーリー『蟲の神』(河出書房新社 予価1296円)
6月10日刊 北村薫・宮部みゆき編 『教えたくなる名短篇』(ちくま文庫 予価972円)
6月10日刊 風間賢二 『ホラー小説大全 ドラキュラからキングまで』(双葉文庫 予価700円)
6月18日刊 ウラジーミル・ナボコフ 『青白い炎』(岩波文庫 1296円)
6月18日刊 尾崎翠 『第七官界彷徨・琉璃玉の耳輪 他四篇』(岩波文庫 821円)
6月18日刊 山田稔編訳 『フランス短篇傑作選』(岩波文庫 864円)(重版)
6月21日刊 E・ネズビット 『アーデン城の宝物』(東京創元社 予価2592円)
6月24日刊 マリー・ポムピュイ&ファビアン・ヴェルマン/ケラスコエット(画) 『かわいい闇』(河出書房新社 予価3024円)
6月25日発売 《ミステリマガジン 8月号》(特集=幻想と怪奇 生誕120周年乱歩から始まる怪奇入門)
6月28日刊 荒俣宏編 『怪奇文学大山脈1 西洋近代名作編 19世紀篇』(仮題)(東京創元社 予価2592円)
6月28日刊 アリス・ラプラント 『忘却の声 上・下』(東京創元社 予価各2052円)
6月刊 サッパー 『恐怖の島』(論創社 予価2376円)
6月下旬刊 ジャック・ケッチャム他 『殺戮のウィークエンド』(仮題)(扶桑社ミステリー)

 ≪予期せぬ結末≫シリーズの第3弾がいつの間にか出ていました。当初リチャード・マシスンの予定だったと思うのですが、先にロバート・ブロックが出ましたね。
 風間賢二 『ホラー小説大全 ドラキュラからキングまで』は、かって角川ホラー文庫から出ていたものの再刊ですね。文学史的な面からもしっかりとホラー小説を跡付けている名著ですので、このジャンルに興味のある方は必読です。
 山田稔編訳 『フランス短篇傑作選』 は、重版ですが、名アンソロジーなのでオススメしておきます。いちおう「純文学」のアンソロジーになるんでしょうが、いわゆる「奇妙な味」の作品が多く収録されていて、エンターテインメントとしても楽しめます。リラダン、アルフォンス・アレ、マルセル・シュオッブ、アポリネール、モーロワなど、ほとんど幻想文学アンソロジーといってもいい顔ぶれになっています。
 6月でいちばん期待しているのは、何といってもこれですね。荒俣宏編 『怪奇文学大山脈1 西洋近代名作編 19世紀篇』。怪奇幻想文学紹介の先達、荒俣宏編になる弩級のアンソロジーの1弾です。ハウスマン『人狼』やティーク『青い彼方への旅』など、14編を収録。

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ホラー映画ガイドの愉しみ

別冊映画秘宝怖いテレビ (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝) 別冊映画秘宝80年代悪趣味ビデオ学入門! (洋泉社MOOK 別冊映画秘宝) プロが選んだはじめてのホラー映画―塩田時敏ベストセレクション50 ホラーの逆襲―ジョン・カーペンターと絶対恐怖監督たち スプラッターカーニバル―悪夢映画流血編 (Million mook―新映画宝庫) イタリアン・ホラーの密かな愉しみ―血ぬられたハッタリの美学
 映画のガイドブックというのは昔からいろいろありますが、ホラー映画に特化したガイド本というのは、以外に少ないように思います。
 そこで、僕がお世話になったホラー映画ガイド本をいくつか紹介していきたいと思います。

 まず、近年出版されていて手に入りやすいものから。

 映画秘宝から出ているムックはどれも面白く読めますね。
 いちばんのオススメは『怖いテレビ』(洋泉社)。「怖い」テレビ番組やシリーズを紹介したガイドです。
 最近の連続ドラマシリーズの紹介に始まって、『世にも不思議な物語』『事件記者コルチャック』『悪魔の異形』『スパニッシュ・ホラー・プロジェクト』など、過去の名作アンソロジードラマにも触れています。『悪魔の異形』全話ガイドなんて貴重ですね。幻のカルト作品として知られる『シェラ・デ・コブレの幽霊』についての記事も興味深く読めます。

 『80年代悪趣味ビデオ学入門!』と続編『80年代悪趣味ビデオ学の逆襲』は、主に80年代にリリースされたB級ビデオ作品についてのガイドです。バブルの恩恵で出せたような、どうしようもない駄作についても、どこがどうダメか、丁寧に書かれているところが凄いです。あまり観たくなるような作品は少ないのですが、純粋に読んで面白いガイド本といえるかも。最近DVD化された『バクステール』とか『ベイビー・ブラッド』なんかは、このシリーズの恩恵かもしれません。

 『怪奇・怨霊・宇宙人 衝撃!超常現象映画の世界』は、超自然を扱った映画についてのガイド、『ゾンビ映画大マガジン』は、1冊まるごとゾンビを扱っています。

 『ショック!残酷!切株映画の世界』『ショック! 残酷! 切株映画の逆襲』は、人体破壊描写に絞り込んで紹介するというユニークなテーマを扱っています。「人体破壊」がテーマなので、狭義のホラー作品だけでなくて、いわゆるメジャー大作や一般映画なども取り上げられているのが特徴。

 上記のようなテーマ別のガイドだけでなく、オーソドックスかつ初心者向けの≪映画の必修科目≫というシリーズも出ています。各ジャンルの名作を一通り概観し、ジャンルの歴史もわかるという、丁寧なつくりの一般向けガイドです。中では、SF映画を扱った『異次元SF映画100』、ファンタジーを扱った『狂烈ファンタジー映画100』が面白いですね。

 さて、ここからはホラー映画に絞ったガイド本を紹介していきます。

 もっともオーソドックスなガイドとしては、塩田時敏『プロが選んだはじめてのホラー映画―塩田時敏ベストセレクション50』(近代映画社)があります。本当に基本的な名作を取り上げています。

 同じく初心者向けガイドですが、かなりマニアックなタイトルも紛れ込ませているのが、永田よしのり『カルト映画館 ホラー』(教養文庫)です。個人的にはすごくお世話になった本で、最近DVDで再発売されたカルト作『ペーパーハウス 霊少女』なんてタイトルもこの本で知りました。同著者は、教養文庫で一連の映画ガイド本を出しており、他にも「アクション」「ミステリー&サスペンス」「SF」などがあり、どれも基本を押さえたガイドで参考になります。教養文庫がなくなってしまった関係で、手に入りにくくなっていますが、いいガイド本だと思います。

 『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』(集英社新書)は、漫画家の荒木飛呂彦が選んだホラー映画を紹介する本です。メジャー映画ばかりで物足りないのと、作品紹介もそんなに詳細ではないので、ガイドとしては弱いですね。確かに著者がホラー好きなのはわかるのですが、荒木飛呂彦のファンでないと楽しめないかも。

 ジョン・カーペンターを中心に、ジョージ・A・ロメロ、ダリオ・アルジェント、ルチオ・フルチ、スチュアート・ゴードンなど、代表的なホラー映画の監督および作品をとりあげたガイド本が、『ホラーの逆襲―ジョン・カーペンターと絶対恐怖監督たち』(鷲巣義明ほか フィルムアート社)です。1998年発行と、すでに年月が大分経ってしまっているので、監督たちのフィルモグラフィーは古くなってしまっていますが、今読んでも面白く、役に立つガイド本です。作品単体のガイドとしても参考になるし、監督の作風やテーマなどについても勉強になります。巻末の「見たくて見たくてたまらない絶対ホラー映画13」も、見識にあふれたセレクションです。

 1冊に収められた作品の量という点では、これにかなう本はないだろう、というのが『スプラッターカーニバル―悪夢映画流血編』(大洋図書)です。章ごとにテーマ分けされており、「ゾンビ」「吸血鬼」「悪魔」「怨霊」などのテーマが挙げられています。「スプラッター」とはいいつつ、スプラッター映画だけでなく、ホラー映画全般についてのガイドになっています。1930~40年代ごろの古典作品から、本書が発刊された2000年ごろの最新作品(具体的には『ファイナル・デステネーション』あたり)まで、全年代にわたってホラー作品がたっぷり紹介されています。
 章ごとに、歴史的な概観に始まり、代表的な作品のガイド、そして間にコラムや監督の紹介ページがはさまるなど、情報量としてはすさまじいの一言。名作と言われる作品から、どうしようもない駄作まで、幅広く紹介がされています。
 日本のホラー映画についても、「ジャパニーズカルト」として、一章が割かれており、目配りも広いです。ホラー映画ファンなら、ぜひ手元に置いておきたいガイドですね。

 イタリアン・ホラーに絞って解説したガイド本が、西村安弘ほか『イタリアン・ホラーの密かな愉しみ―血ぬられたハッタリの美学』(フィルムアート社)。評論的な要素が強くて、作品ガイドという意味ではちょっと物足りない点があります。

 同じくイタリアのどぎつさを優先したスリラー、いわゆる≪ジャッロ≫映画のガイド『ジャッロ映画の世界』(安井 泰平 彩流社)は、ものすごい労作だと思いますが、日本で見れる作品が少ないのが玉に瑕ですね。
 
 小山正『ミステリ映画の大海の中で』(アルファベータ)も、メインはミステリ映画ですが、ところどころホラー作品についても筆が割かれています。非常に面白いガイドなので、この本については、改めて記事を書きたいと思います。
《ナイトランド》無期休刊について
 本ブログでもお伝えしていた、トライデント・ハウスの《ナイトランド叢書》。非常にマニアックなホラー作品をラインナップに並べた叢書だったのですが、3月末までに1000件の予約が集まらなければ、企画が中止ということになっていました。
 結局、第1期の3冊は、どれも100件を少し超えた程度の予約数に終わってしまったようです。残念ではありますが、難しい企画だったので、しょうがないかなという気持ちもあります。
 ただ、ホラー専門誌《ナイトランド》に関しては、近いうちに再始動するものと思っていました。それがここにきて、衝撃的なお知らせが!
 《ナイトランド》が、無期休刊になるというのです。

《ナイトランド》無期休刊のお知らせ

 これはショックです。質の高いホラー専門誌が、ようやく誕生したと喜んでいたので、まさかこんなに早く休刊になってしまうとは…。
 やはり、ミステリやSFと比べても、翻訳ホラーのファンというのは少ないんですね。ホラー映画の人気が根付いた現在でも、活字とはファン層が違うのでしょうか。ホラー作品の商業的な厳しさを感じます。
 それにしても、ホラー専門誌の先達たる≪幻想と怪奇≫でさえ、12号まで出版されたのを考えると、7号で休刊とは、ファンの一人として、改めて残念でなりません。

 《ナイトランド》の各号はまだ在庫があるようですので、興味のある方は早めの購入をオススメします。いずれコレクターズ・アイテムになってしまうような気がするので。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学



プロフィール

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



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