11月の気になる新刊と10月の新刊補遺
10月25日刊 若島正『乱視読者のSF講義』(国書刊行会 予価2520円)
10月27日刊 『南欧怪談三題』(未来社 予価1890円)
10月下旬刊 紀田順一郎『乱歩彷徨 なぜ読み継がれるのか』(春風社 予価2000円)
10月下旬刊 レーモン・クノー・コレクション8『聖グラングラン祭』(水声社 予価2940円)
11月4日刊 大森望編『NOVA(6)』(河出文庫 予価998円)
11月4日刊 小松左京『小松左京コレクション(1)』(河出文庫 予価998円)
11月16日刊 マリシャ・ペスル『転落少女と36の必読書 上・下』(講談社 予価各1890円)
11月17日刊 〈KAWADE夢ムック〉『諸星大二郎』 (河出書房新社 予価1260円)
11月25日刊 リチャード・マシスン『リアル・スティール』(角川文庫 予価735円)
11月29日刊 エリック・マコーマック『パラダイス・モーテル』(創元ライブラリ 予価1050円
11月29日刊 ブライアン・ラムレイ『幻夢の時計』(創元推理文庫 予価840円)

 『SFマガジン』に連載されていた「乱視読者のSF講義」に加えて、SF関連の文章を集めたのが、若島正『乱視読者のSF講義』です。この著者、読みがとんでもなく深いので、読んでいて新たな発見があります。
 『南欧怪談三題』は、南欧の怪談を集めた本です。収録作品は、アナトール・フランス「亡者のお彌撒」、プロスペル・メリメ「ヰギヱのヴェヌス」、G・T・ランペドゥーザ「鮫人」 の3篇。どうも編集方針がよくわからない本ですが、とりあえず怪談ファンはチェックでしょう。
 今月ハヤカワ文庫からも同名の短篇集が出ているリチャード・マシスン『リアル・スティール』が、角川文庫からも登場です。まだ収録内容は不明ですが、ハヤカワ版とかぶっていないといいですね。マシスンの短編ファンは要チェック。
 11月の一押しはこれ、エリック・マコーマック『パラダイス・モーテル』です。長らく絶版だったものの文庫化ですが、すばらしく魅力的な作品なのでぜひ。エンタテインメント性も高いので、『ミステリウム』がぴんとこなかった方にもオススメしておきます。

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マイナー幻想小説まとめ読み
 レオ・ペルッツの翻訳などで知られる翻訳家の垂野創一郎さんが、自費出版しておられる翻訳同人シリーズ、≪ビブリオテカプヒプヒ≫。古書肆マルドロールさんで、委託販売されているのを、まとめて購入しました。
 このシリーズ、本当に珍しい幻想小説を集めていて、正直、商業出版ではちょっと難しいだろうな、というようなマニアックな作品を選んでいます。ヨーロッパ系の作品が中心というのも、うれしいところです。以下読んだものをいくつか紹介していきましょう。

ヴィリ・ザイデル『世界最古のもの』
 主人公の青年は、ふとしたことから中国人の科学者に出会い、その魅力にとらえられます。博士の研究を手伝うことになった青年でしたが、その研究とは、古代からの邪悪な意思を復活させようとするものでした…。
 「マッド・サイエンティストもの」といっていいのでしょうか。邪悪な力を持つ博士に囚われた青年の運命を描く作品。いささか大時代的な感はありますが、オールドSF好きには楽しめます。 
 
モーリス・サンド『迷路』
 数百年にわたって続く名家マクティーム家の城には、不思議な慣習が受け継がれていました。城主は妻帯しないのです。子供がいないため、後継者は、代々甥が受け継いできました。
 前当主の死により、城を受け継いだジェラルドは、相愛の仲だった婚約者キティとの婚約を突如解消します。それに激怒したジェラルドの幼馴染エディスは、ジェラルドの真意を探ろうとしますが…。
 雰囲気たっぷりのゴシック小説。かなりシリアスに進行するにもかかわらず、結末に至って、その真相に驚かされます。個人的には楽しめましたが、これ大真面目にやってるんでしょうか。

H・W・ツァーン『ヴァルミュラーの館』
 経済的に成功した男バーネルは、列車の中で乗り合わせた女子学生の影響で、ふと青春時代をすごした街に降り立ちます。酒場で出会ったのは青年時代の親友であるノースでした。
 夢想家のノースは、放浪途中で偶然見つけた広告を見て、故郷にあるヴァルミュラー邸を購入しようと決心したのだと話します。怪しい噂のたえない邸に乗り込んだ二人が体験したものとは…?
 正統派の幽霊屋敷小説。ドイツ作家ということもあり、やはり英米のものとは、感触が違いますね。超自然というよりも、神秘主義的・秘教的なトーンが強いです。

グスタフ・マイリンク『標本 マイリンク疑似科学小説集』
 マイリンクのSF的な作品を集めた短篇集です。『標本』『蝋人形展覧室』は、同じ人物が登場する連作もの?でしょうか。ペルシャ人の悪魔的科学者ダラシェコが行う猟奇的な犯罪を描く作品。どこか江戸川乱歩風ですね。
 ある日突然土星の輪が増えるという『土星の輪』もかなりトンデモ系の作品ですが、それにも増して『菫色の円錐』のぶっとび加減が素晴らしいです。冒険家ロジャー卿は、チベット人の間に伝わるという魔術の話を聞き、耳の聞こえない助手を連れ、奥地へと向かいます。そこで出会ったチベット人たちは、何やら呪文のようなものを唱えますが、その瞬間ロジャー卿の体は、菫色の円錐に変わっていました…。
 魔法の言葉が世界を滅亡に導く…という、破滅SF作品。題材自体はかなりバカらしいものながら、臆面もなくそれで話を展開してしまうのが楽しい作品です。
 マイリンクの短編はもっと読んでみたいですね。
 あと購入したものの、未読なのがルートヴィヒ・ティーク『青い彼方への旅』。これも楽しみです。

 今回紹介した作品は、古書肆マルドロール(http://www.aisasystem.co.jp/~maldoror/)さんで購入できます。

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プロフィール

kazuou

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主催。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



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