怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会 参加者募集です
 2017年8月27日(日曜日)に「怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会」を開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年8月27日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1500円(予定)
テーマ
第1部:世界の終わりの物語
第2部:リチャード・マシスンの世界

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

第1部のテーマは「世界の終わりの物語」。様々な要因により破滅を迎えた世界についての物語を集めてみたいと思います。
 例えば、寿命を迎えた地球を描くH・G・ウェルズ『タイムマシン』やW・H・ホジスン『ナイトランド』、人類がほぼ吸血鬼になってしまった世界を描くリチャード・マシスン『アイ・アム・レジェンド』、人間が結晶化してゆく世界を描いたJ・G・バラード『結晶世界』、植物に襲われる世界を描いたジョン・ウィンダム『トリフィド時代』、山椒魚によって人類が滅亡するカレル・チャペック『山椒魚戦争』など。
 滅んだ世界、あるいは滅びつつある世界で人間はどう考え、どう生きるのか? 終わりを迎えた世界についての物語の魅力とは何なのかを考えてみたいと思います。

 第2部は「リチャード・マシスンの世界」。アメリカの作家リチャード・マシスン(1926-2013)の作品群を見ていきたいと思います。
 ジョージ・A・ロメロのゾンビ映画の原型となった『アイ・アム・レジェンド』、幽霊屋敷ものの新機軸『地獄の家』、ノスタルジック・ファンタジーの名作『ある日どこかで』、縮み続ける男を描いたSF作品『縮みゆく人間』など、エンターテインメントの歴史に名を残す名作長編のほか、『13のショック』『激突』『不思議の森のアリス』『運命のボタン』などの短篇集には、ホラー・SFの名短篇が多く収められています。
 また、オムニバス・ドラマシリーズ《トワイライトゾーン》で脚本を手がけたほか、映画の脚本、自作の映画化など、映像分野でも多くの仕事を残しています。
 小説・映像の分野で大きな軌跡を残したマシスンの作品について、話し合いたいと思います。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会 開催しました
 7月30日の日曜日、JR巣鴨駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め10名でした。
 テーマは、第1部「欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)」、第2部「ラヴクラフトを読む」です。参加してくださった方には、お礼を申し上げたいと思います。
 今回は、作家のMさんに参加していただけたこともあり、実作の話なども聞くことができました。

 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。

 今回も、参加者全員のプロフィールをまとめた紹介チラシを作りました。チラシをPDFにしたものを、メールにて事前に配信しています。

 今回第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)」。前回の続きということで、英米の怪奇小説を古典から現代まで、大まかにたどっていこうという試みです。資料として、年表形式で、代表的な英米怪奇小説の作品名と作者名を年表にしたものを作りました。
 合わせて、第1・2回で使用した「怪奇アンソロジーリスト」を増補した資料も用意しました。
 前回の最後が、マッケン、ブラックウッド、M・R・ジェイムズの三巨匠あたりで終わったので、今回はそれ以降の作品について話しました。時代的に20世紀初頭あたりから始めたこともあり、パルプマガジン作品、異色作家、1960~1970年代のオカルトホラー、キング以降のモダンホラーなど、現代に近い時代の作品まで、少しづつ見れたかな、という感じです。

 第2部のテーマは、「ラヴクラフトを読む」。アメリカの怪奇小説の巨匠H・P・ラヴクラフトの作品について、話し合おうというテーマです。
 資料として、ラヴクラフトの怪奇小説紹介エッセイ『文学と超自然的恐怖』に言及されている作品のリスト(邦訳があるもののみ)を作りました。ラヴクラフトが、どんな先行作家に影響を受けているのかを知ってもらいたいという狙いです。
 参加者の中にも、全集を読破している人、1、2編しか読んだことのない人、この機会に何冊か読んだ人など、ラヴクラフトに対する読書歴も思い入れも様々な人が集まったこともあり、一面的ではない、いろいろな視点からの意見が出たように思います。

 それでは、話題になったトピックを順不同で挙げていきます。

●第1部
・怪奇幻想小説の本領は短篇にある。長編になると、夾雑物が混ざってきてしまう。スティーヴ・ラスニック・テムやチャールズ・L・グラントは、それを嫌って、長編で「純粋」な怪奇小説をやろうとした作家だと思うが、成功しているとは言いがたい面がある。

・イギリスが、18世紀から一貫して怪奇幻想的作品を伏流させているのに対して、アメリカでは、20世紀以前はトピックとなる作家が幾人かいるのをのぞけば、潮流としての怪奇幻想小説というのはなかったのではないか?

・当時のジャンルでは一流とされていた作家が、現代ではその分野では問題にされず、怪奇幻想作品のみで記憶されている作家がいる。F・M・クロフォードなど。

・ロバート・ルイス・スティーヴンスンは、怪奇幻想的作品でも、文学畑でも傑作を残した一流の作家だと思う。

・C・A・スミスは、非常に才能のある作家だと思う。ラヴクラフトと同時代に〈クトゥルー神話〉作品を書いた作家の中でも、飛び抜けてユニークな個性がある。

・C・A・スミスは、短篇の中で、いろいろな設定や世界観などを、惜しげもなく使ってしまう。下手をすると長編シリーズ作品に使えるような面白い題材を、短い作品で使ってしまうのは凄い。例えば、オーガスト・ダーレスが、ラヴクラフトではなくC・A・スミスに私淑していたら、今のラヴクラフトの位置にスミスがいた可能性もあるのでは?

・ショーン・ハトスン『スラッグス』について。ナメクジが人を襲う話だけで、長編を構成するのはすごい。シーンの見せ方のバリエーションが豊富。

・ジェームズ・ハーバート作品について。『鼠』は動物パニック・ホラーの傑作。あっという間に人間を食い尽くす鼠の話。『霧』は、霧によって狂った人間が殺しあう話でこちらも面白い。

・鼠といえば、西村寿行『滅びの笛』も鼠を扱った作品で、こちらも面白い。

・ジェームズ・ハーバート『霧』とスティーヴン・キング『霧』、ジョン・カーペンター監督の映画『ザ・フォッグ』は全く関係がないのだが、知らない人にはややこしい。

・ジョン・カーペンター監督の映画には、ラヴクラフトや《クトゥルー神話》の影響が強いと思う。とくに『マウス・オブ・マッドネス』はモロに影響が見て取れる。

・アルジャーノン・ブラックウッドについて。汎神論的な傾向が強い。『ウェンディゴ』など、自然と結びついた怪奇小説に秀作がある。『ケンタウロス』はその傾向が強すぎて、読むのが難しい。

・スティーヴン・キングは、初期作品が絶版になって、手に入らないものが多くなってきている。『デッド・ゾーン』や『ファイア・スターター』も既に手に入らない。

・スティーヴン・キング『霧』で登場する怪物は、おそらく《クトゥルー神話》に属するものだと思う。

・スティーヴン・キング『おばあちゃん』について。明らかに《クトゥルー神話》を意識した作品。《新トワイライトゾーン》で映像化された他に、近年映画化された作品もあり。映画化作品『スティーブン・キング 血の儀式』では、原作にオリジナルの膨らませ方をしていたが、これはこれで面白かった。

・スティーヴン・キングの「絶賛」はあまり信用できない。

・リンド・ウォード『狂人の太鼓』について。絵だけで構成される、サイレント・マンガの先駆的作品。解釈の余地がいくつもあり、魅力的な作品。

・現代でホラー専門で書いている英米の作家はいるのか? あまりいないと思う。ランズデール、マイケル・マーシャル・スミス、ジョー・ヒルなど。

・ポピー・Z・ブライト『絢爛たる屍』について。強烈なインパクトのある作品。再読するのはきつい。

・ジョン・コリアについて。《異色作家短篇集》のイメージから戦後の作家のイメージがあるが、すでに戦前に活動するなど、時代的には早い。

・ロバート・ブロックやリチャード・マシスン、ブラッドベリなどを除き、《異色作家短篇集》に収録された作家たちは、あまり怪奇小説史的には伝統とつながっていない?

・フェリペ・アルファウ『ロコス亭』について。同じ登場人物が使いまわされる連作短篇シリーズ。同じ名前の登場人物が他のエピソードで再登場したりするが、厳密には同じ人物でなかったりするなど、そのねじれ具合が面白い。

・1940~50年代では、ホラーがかったSF作品が多い。ハインライン『人形つかい』、エリック・フランク・ラッセル『超生命ヴァイトン』など。

・1960年代からの『ローズマリーの赤ちゃん』や『エクソシスト』あたりからのオカルト映画ブームによって、小説でもメディアミックス的な作品が生まれるようになった。

・1960~1970年代のホラー作品では、小粒な秀作がたくさん生まれたが、作家自身は一発屋的な人が多いように思う。ただ、寡作ながらトーマス・トライオンは一流の作家だと思う。

・スプラッターパンク作品について。ジョン・スキップ&クレイグ スペクター、レイ・ガートンなど、一部の作品が紹介されただけで終わってしまった。クライヴ・バーカーも初期作品(『血の本』)以降は、ファンタジーになってしまったのが残念。

・デヴィッド・アンブローズ作品について。ほとんどの作品が「仮想世界」や「パラレルワールド」ネタだが、どれを読んでも面白い。『覚醒するアダム』『偶然のラビリンス』など。

・ダグラス・プレストン/リンカーン・チャイルド『レリック』について。怪物の造形が面白い作品。

・ニコラス・コンデ『サンテリア』について。ヴードゥを扱った作品。カルト教団が出てくるが、超自然味の少ない同種の作品と違って、ちゃんとしたオカルト小説になっている力作。

・ダイナ・グラシウナス/ジム・スターリン『サイコメトリック・キラー』について。連続殺人鬼を殺して回る連続殺人鬼の話。主人公が相手の心をのぞける超能力者という設定。

・ヴードゥやゾンビなどは、中米や南米から北米に流入した文化? ホラーにおけるこの主の影響は、例えばミステリにおけるエスニック探偵の登場などとも、時代的に関係があるのではないか?

・トマス・ペイジ『ヘパイストスの劫火』について。地割れから復活したゴキブリのような古代生物の話。大部分が虫に対する研究シーンに当てられるという異色作。

・「怪物」側からの視点で描かれた作品は、わりと近年の発明だと思う。シオドア・スタージョン『それ』、W・ストリーバー『ウルフェン』など。

・ロバート・ストールマン《野獣の書》について。人間と融合した「野獣」の成長小説。融合した人間の過去や、「野獣」の秘密など、面白い作品。「野獣」からの視点描写などもある。

・橘雨璃『放課後の魔女』について。ホラーサスペンス風味の青春物語。劇中劇の形で仕込まれた芝居の趣向が面白い。

・国書刊行会の本は在庫を断裁せずに、売れるまで何年でも保管する? 30年以上前に出版された本も在庫があって、びっくりすることがある。

・因果のわかってしまった幽霊物語はあまり怖くなくなってしまう。実話怪談の怖いのは、因縁や由来もなく、ぶつっと怪異現象が提示されるところだと思う。

・同じ英語国民でも、イギリスとアメリカでは随分国民性が異なっている。アメリカ作品では根底に楽観があって、能天気に解決してしまったりするが、イギリス作品ではリアルな荒廃を描くなど、その違いが面白い。


●第2部
・《クトゥルー神話》における、ダンセイニの影響はかなり強いのではないか? 〈アザトース〉には、ダンセイニの〈マアナ=ユウド=スウシャイ〉の影が見える。

・ラヴクラフト自身の作品では、〈旧支配者〉があまり整理・体系化されていないので、関係性があまりよく分からない。

・ラヴクラフトの後進で、小説のもっと上手い作家はいる。ロバート・ブロックやヘンリー・カットナーなど。しかし彼らの書いた《クトゥルー》ものよりも、ラヴクラフト作品の方が怪奇小説として迫力があるのも事実。

・ラヴクラフトの文体は読みにくい? 会話文がなく地の文が続くので、読み飛ばしができない。本国でも名文とする人と悪文とする人に分かれるようだ。

・ラヴクラフト作品には、女性がほとんど出てこない。まともに登場するのは『戸口にあらわれたもの』や『ダニッチの怪』ぐらいだが、それもちゃんと描かれているとはいえない。

・そもそもラヴクラフトには、人間を描こうという気がないのではないか?

・ラヴクラフト作品では、主人公にあまり個性が与えられていないので、読み終えてしばらくすると、ある作品の主人公がどんな人間だったか? ということがわからなくなってしまう。

・ラヴクラフトは弟子たちの作品を添削していて、場合によってはかなりの改変をしているが、当時はそれでもめたりしなかったのだろうか。現代で同じようなシチュエーションを考えると、ラヴクラフトの人徳の成せる業という気もする。

・朱鷺田祐介『クトゥルフ神話 超入門』(新紀元社)の紹介。非常にわかりやすく書かれた入門書。この本と、東雅夫編『クトゥルー神話事典』(学研M文庫)の2冊があれば、基本的なことはだいたい分かると思う。

・ラヴクラフトは、「名状しがたい」というフレーズを使いすぎではないか。タイトルもそのままの『名状しがたいもの』という作品もあるが、曖昧すぎてイメージが湧かない

・評論におけるフレーズ「宇宙的恐怖がある(ない)」は、安易に使いすぎな気がする。

・オーガスト・ダーレス以降の〈クトゥルー神話〉は、〈旧支配者〉の超越性が少なくなっており、ラヴクラフトの当初の意図からはズレがあるのではないか? ラヴクラフト作品では、〈旧支配者〉に比べ、人間は取るに足らないものとして描かれている。

・ラヴクラフトは本来上手い作家ではなく、現在のような知名度と人気を得られたのは、多分に幸運が預かっている面があるのではないか?

・ラヴクラフトは、それ以前の怪奇幻想小説を咀嚼して、まとめ上げた総合者的な作家だと思う。彼の作品には、ダンセイニ、マッケン、ブラックウッド、ホジスンの影響などがうかがえる。

・ラヴクラフトは、後期作品になるにつれて、科学的な味付けが濃くなってくる。もっと長生きしていたらSF作家になったのでは? という説もあるが、なるほどと頷ける面もある。

・『時間からの影』について。時空を超えて精神を飛ばす超知性体を描いた作品。当時としては発想がすごい。SFでは後世に似たテーマも出てくるが、ラヴクラフトの場合、そのベクトルがSFのそれとは全く異なるところがユニーク。

・『戸口にあらわれたもの』。人格交換を扱ったホラー。最後のシーンの忌まわしさは特筆もの。

・『インスマウスの影』について。ラヴクラフト作品のエッセンスがたくさん詰まっている作品だと思う。ラヴクラフト入門に最適な作品。全集1巻の巻頭に持ってきていることもあり、出版者側としても、一番に読んでもらいたいという意図があるのではないかと思うが、この作品で挫折してしまう人が多いのも事実。

・『エーリッヒ・ツァンの音楽』について。厳密には〈クトゥルー神話〉ではないが、異界の存在をにおわせるのは神話作品っぽい。怪奇小説として秀作だと思う。

・『冷気』について。ワンアイディア・ストーリーではあるが非常に面白い。この時代に既に冷房があったというのには驚き。ブライアン・ユズナ製作のオムニバスホラー映画『ネクロノミカン』で映像化されているが、迫力があって面白かった。

・スチュワート・ゴードン監督『フロム・ビヨンド』『ZOMBIO/死霊のしたたり』は、ラヴクラフトの映像化として、非常に面白い。

・『狂気の山脈にて』について。ラヴクラフトの傑作の一つ。それまでの作品に比べ、科学的(に見える)裏付けがあり、説得力がある。〈旧支配者〉の年代記としても読め、ラヴクラフトがもっと長生きしたら、独自の宇宙誌みたいなものを書いたのではないか。

・『狂気の山脈にて』の南極探検や、『冷気』に登場する冷房など、ラヴクラフトは当時としては最新のトピックやガジェットを取り込んでいて、意外と進取の気性がある。ただ、作者の性格もあるのだろうが、それらが全て恐怖の対象になってしまうところに、彼の独自性がある。

・デル・トロ監督製作予定だった『狂気の山脈にて』はどうなってしまったのか。

・『宇宙からの色』について。宇宙からの飛来物の影響について語った作品。肉体的とも精神的ともいえない、その影響力の描き方が実にユニークだと思う。パスティーシュとして書かれた、マイクル・シェイ『異時間の色彩』では、敵がかなり物理的に寄った存在として描かれていた。

・『ピックマンのモデル』。食屍鬼について書かれたホラー。『未知なるカダスを夢に求めて』で再登場するが、そちらを読んでしまうと、『ピックマンのモデル』本編の迫力がなくなってしまう。

・『ランドルフ・カーターの陳述』について。夢をモデルにしたといわれる作品。イメージの断片みたいな作品だが、妙な迫力がある。

・『アウトサイダー』について。散文詩のように整った作品。ポオの影響が感じられる。

・『忌み嫌われる家』について。幽霊屋敷テーマの小味な秀作。アンソロジーに収録したりと、荒俣宏さんのお気に入り作品?

・『死体安置所にて』について。ラヴクラフトには珍しい、肩の力の抜けた小品。こんなのも書けるのか、という感じ。

・『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』について。ゴシック・ロマンスの色濃い作品。アンソロジー『怪奇幻想の文学』では、ゴシックを扱った巻に収録されていた。

・『死体蘇生者ハーバート・ウェスト』について。かなり軽い感じの娯楽編だが、エンタメとしては面白い。


●二次会
・ロバート・W・チェンバーズ『黄衣の王』は、ラヴクラフト作品に登場する「ネクロノミコン」に影響を与えたことで有名だが、ガジェットとしてはともかく、作品としてはあまり面白くない。

・ハヤカワ文庫NV《モダンホラー・セレクション》について。一部復刊されたのを除いて、ほとんどが絶版。内容から考えても、再版される可能性は低いので、すでにプレミア化が始まっている。

・アメコミ映画について。現代のヒーローは必ずといっていいほど悩み、葛藤する。面白いことは面白いが、爽快感はなくなってきている。

・クリストファー・ノーラン監督『バットマン』三部作は、社会的なテーマの盛り込み方が上手い。

・『アヴェンジャーズ』などのヒーロー総出演ものは、単体のヒーローものとの整合性はどうなっているのだろうか?

・宗教上、一神教より多神教の方が発生が古い。本来、神々にはヒエラルキーはないのではないか? とすると、ギリシャ神話なども後世に改竄されている可能性が高いと思う。

・〈クトゥルー神話〉が日本人に受ける理由は? ダーレス以前のラヴクラフト神話では、神々が多神教的な位置づけになっていて、そこが日本人には受け入れやすいのでは?

・ラヴクラフトは人種的偏見を持っていた。『インスマウスの影』に登場する半魚人は、アジア人やアフリカ人のメタファーなのでは?

・日本での〈クトゥルー神話〉は独自の進化をしている。〈クトゥルー神話〉を使った時代小説、美少女化した作品など、世界的に見てもユニークなのではないか。

・ナマニク『映画と残酷』について。被害者と残酷さについての説は説得力がある。殺される被害者が幸せで描写が密なほど、残酷さは増す。

・韓国映画『哭声/コクソン』『新感染』について。

・俳優イライジャ・ウッドは、ホラーにたくさん出るなど、仕事を選んでいないのがすごい。

・岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』は、面白いが厳密にはホラーではないと思う。

・アン・ライス『夜明けのヴァンパイア』は、現代にまで続く耽美ロマンスの元祖。

・吸血鬼やゾンビなど、西洋のモンスターを日本の小説でやるのはなかなか難しい。そんな中では、小泉喜美子の『血の季節』は吸血鬼小説の傑作だと思う。

・翻訳作品の独特の「翻訳文体」が苦手な人は多い。最近の作家では宮内悠介に独自の「翻訳文体」を感じる。実際の作家の話を聞いても、頭の中で翻訳をしている感じがする。

・男性読者に比べ、女性読者の方が、作品の精神的なダメージに強い? スプラッター描写は全く平気だが、精神的な虐待描写などには弱い男性読者もいる。ジャック・ケッチャム、シャーリィ・ジャクスン作品など。

・シャーリィ・ジャクスン作品について。『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』は、読後精神的なダメージが大きい。

・動物ホラー作品について。一時期流行っていたことがあり、その対象はさまざま。犬、猫、鳥、コウモリ、鼠、ミミズ、鮫など。

・最近は、マグノリアブックスからホラー作品がたまに出版されるようになった。スペイン作品なども出していて要チェック。ブレイク・クラウチ他『殺戮病院』も面白い。

次回、第8回読書会は8月末頃を予定しています。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会 参加者募集です
 2017年7月30日(日曜日)に「怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会」を開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年7月30日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1500円(予定)
テーマ
第1部:欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)
第2部:ラヴクラフトを読む

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

 第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)」。
 前回に引き続き、英米の怪奇幻想小説全般に関するトークです。
 ゴシック・ロマンス、怪奇スリラー、ゴースト・ストーリー、異色短篇、パルプ小説にモダンホラー。一口に「怪奇幻想小説」と言っても、その種類は様々です。
 欧米の怪奇幻想小説に興味があるけれど、まず何を読んだらいいの? どんな作品があるの? といったところから、お勧めアンソロジーや参考書の紹介まで、欧米の怪奇幻想小説の本場であるイギリス・アメリカ作品を概観していきたいと思います。

 第2部は「ラヴクラフトを読む」。アメリカの怪奇小説家、H・P・ラヴクラフト。彼の作品は、欧米のみならず、現代日本のアニメやコミックにまで影響を及ぼしています。
 ラヴクラフト作品の魅力はどこにあるのか? 伝統的な怪奇小説とのつながりは? 《クトゥルー神話》の創作者としてのラヴクラフトというよりは、怪奇小説家としてのラヴクラフト。彼の作品そのものを、虚心に読み直してみたいと思います。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会 開催しました
 6月18日の日曜日、JR巣鴨駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め9名でした。
 テーマは、第1部「欧米怪奇幻想小説入門(英米編1)」、第2部「ファンタスティック・マガジン」です。参加してくださった方には、お礼を申し上げたいと思います。
 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。

 今回も、参加者全員のプロフィールをまとめた紹介チラシを作りました。チラシをPDFにしたものを、メールにて事前に配信しています。

 今回第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編1)」ということで、英米の怪奇小説を古典から現代まで、大まかにたどっていこうという試みです。資料として、代表的な英米怪奇小説の作品名と作者名を年表にしたものを作りました。
 合わせて、第1・2回で使用した「怪奇アンソロジーリスト」を増補した資料も用意しました。

 本当は、時代順に見ていこうという心積もりだったのですが、細かく見ていくと時間がかかってしまうのと、あまり馴染みのない時代の作品(特にゴシック・ロマンスなど)もあるため、時代的に行ったり来たりという感じになってしまいました。
 また、英米編とはいいつつ、フランスやドイツ・ロシア作品の話にもなったりと、少しまとまりに欠けた気はしています(話題が広がるという意味では楽しいのですが)。

 第2部は、「ファンタスティック・マガジン」と称して、怪奇・幻想に関わる雑誌についてのトークでした。『ナイトランド』以外は、基本的に、ほぼ昔の雑誌ばかりになってしまいましたが、珍しい雑誌を持ってきてくださった方もありました。ビジュアル的に見て楽しいものが多かったので、こちらはなかなか盛り上がったかと思います。

 それでは、話題になったトピックを順不同で挙げていきます。

第1部
・ゴシック・ロマンスについて。必ずしも超自然現象が発生せず、人間の仕業であることもある。わりとご都合主義。宗教的な描写が多い。
・ホレス・ウォルポール『オトラント城奇譚』について。怪奇幻想小説の嚆矢とされる作品。かなり荒唐無稽な時代劇だが、それが逆に面白い。
・クレアラ・リーヴ『イギリスの老男爵』について。『オトラント城』に直接的な影響を受けている作品。『オトラント城』の超自然要素を不自然だとして、その部分を自然に描いた、というコンセプトの作品だが、今読むとあまり面白くない。ただ、後半の資産相続をめぐる部分が下世話で、そこのところは面白く読める。
・ウィリアム・ベックフォード『ヴァテック』について。邪悪な魔術に入れ込む母子の地獄墜ちの物語。主人公たちが行う所行は残酷そのものだが、描写のデフォルメが強烈であまり陰惨にならないのが面白い。
・ウィリアム・ゴドウィン『ケイレブ・ウィリアムズ』について。メアリ・シェリーの父親にして、無政府主義者のゴドウィンが、自分の思想をエンタテインメントの形で描いた作品。ミステリの元祖ともいえるサスペンス小説。主人公が罪を暴こうとした領主から迫害される作品。その追い詰め具合が強烈だが、主人公の動機が「好奇心」というのが、ちょっと動機としては弱い気がする。白水Uブックス版には、結末が2パターン収録されている。
・マチューリン『放浪者メルモス』について。魂を手に入れようと時空をめぐる怪人の話。宗教談義の部分が長いが、物語そのものは面白い。語りが入れ子状になっていて複雑。国書から出た合本版は、分厚くて読みにくい。
・メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』について。作者が若くして書いた傑作。哲学的なテーマをはらんでいて、学問的な対象になるのも納得。物語は悲劇的なトーンが濃い。
・海外と日本のロボットや機械に対するイメージの違いについて。海外では、『フランケンシュタイン』やチャペック『ロボット』など、ロボットや機械は人間に敵対するものとしてのイメージが強いが、日本ではロボットや機械を「友人」や「仲間」として考える傾向がある。手塚治虫の『鉄腕アトム』の影響もあるのではないか。
・ジェイムズ・ホッグ『悪の誘惑』について。まっすぐに育った兄と狂信的な環境で育てられた弟の物語。物語が手記という形になっており、超自然的な現象が本当なのかどうかが曖昧になる構成。作者自身までが顔を出し、手記の真実性を曖昧にするなど、技法としては、かなり近代的な傑作。今読んでも面白い。
・ディヴィッド・パンター『恐怖の文学』について。恐怖小説についての通史。ゴシック・ロマンスが主体の本。2巻は出ないのだろうか。
・エドガー・アラン・ポーの作品について。ほとんどが短編作品だが、だいたいの作品において無駄が感じられない。ポーの短編作品を映画化した作品を見て、間延びした感じを受けるのは、原作に無駄がない証拠か。
・ブルワー=リットン『幽霊屋敷』について。最も怖い小説と言われることがあるが、今読むとそれほどではない。後半オカルト科学っぽい展開になったりと、意外に近代的な要素がある作品。
・フィッツ=ジェイムズ・オブライエンについて。ポーとビアスの間をつなぐと言われる作家。ホラーというよりファンタジーに近いが、傑作が多い。『あれは何だったか?』は、乱歩の分類することろの「透明怪談」で、ユニークな発想。光文社古典新訳文庫の選集『不思議屋/ダイヤモンドのレンズ』は訳も読みやすい。
・J・S・レ・ファニュについて。基本的に長篇はゴシック・ロマンスに分類される作家。今読むと長篇は退屈なものが多い。短篇は近代的な作品がある。『吸血鬼カーミラ』や『緑茶』は、今読んでも面白い。最近出た傑作集『ドラゴン・ヴォランの部屋』も面白かった。
・ロバート・ルイス・スティーヴンソンの作品について。『ジキル博士とハイド氏』は、二重人格を扱った傑作。短篇でも面白い怪奇作品が多い。
・怪奇小説を精神分析的な視点で読むという批評があるが、不毛な気がする。
・アーサー・マッケンについて。気色の悪い作品が多い。純粋な怪奇小説とはいえない作品も多いが、『夢の丘』は傑作だと思う。『怪奇クラブ』『白魔』など。
・M・R・ジェイムズについて。伝統的なゴースト・ストーリーを一つの様式にまで高めた作家。主人公は学識豊かな古文書学者とか考古学者で、遺跡や古文書の調査の過程で幽霊や妖怪に遭遇する…というパターンが多い。アンソロジーで読むと安定した感じだが、続けて読むと飽きてしまうことも。
・アルジャーノン・ブラックウッドについて。イギリスでは初?の怪奇プロパー作家。オーソドックスな怪奇作品だけでなく、変わった発想のものも多い。『人間和声』『ケンタウロス』など。
・ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』について。『フランケンシュタイン』などと並び、学問的な対象になることも多いが、そこまで高尚な作品ではないと思う。エンタメとしては非常に優れている作品。
・W・W・ジェイコブズ『猿の手』について。3つの願いをめぐる作品だが、それぞれの願いとその顛末の流れが完璧に近く、大変な傑作だと思う。
・フランシス・バーネット『白い人たち』について。あまり知られていないが、ゴースト・ストーリーの傑作。
・オーガスト・ダーレスの怪奇小説について。少年や子供を題材にしたジェントル・ゴースト・ストーリーに味がある。
・ちくま文庫は、時々怪奇幻想系のいい本が出る。風間賢二編『クリスマス・ファンタジー』『ヴィクトリア朝空想科学小説』は、すごくいいアンソロジー。
・国書刊行会《世界幻想文学大系》には、訳が読みにくいものも結構あった。ペトリュス・ボレル『シャンパヴェール悖徳物語』は、まるでマンガで使うようなルビの使い方がされていて、驚かされた。
・ダイアナ・ウィン・ジョーンズについて。意外にブラックだったり、怖い作品もある。
・アイルランドの怪奇小説について。ケルト文化に通じる作品には、キリスト教圏とは違った味わいがある。
・フィオナ・マクラウドについて。神話的な味わいのある短篇作品を書いた作家。『ケルト民話集』など。
・都筑道夫編『幻想と怪奇』(ハヤカワ・ミステリ)は、日本では先駆的な怪奇アンソロジー。古典的な作品に混じって、スタインベック『蛇』やカポーティ『ミリアム』など、従来は怪奇小説とはされていなかった作品を収録したところが新しい。
・ロバート・ヒチェンズ『魅入られたギルディア教授』について。霊に憑かれる男の物語だが、それが女性らしい霊で肉感的なところが斬新な作品。
・ジョン・ケンドリック・バングズ『ハロウビー館のぬれごと』は、幽霊を凍らせて退治するというユーモア怪談。楽しい作品。
・ダフネ・デュ・モーリア『レベッカ』について。ゴシック的な作品。短篇に比べてロマンティックな要素が濃い。
・アシモフ他編『クリスマス13の戦慄』について。わりと伝統的な怪談の多いアンソロジー。ラムジー・キャンベル『煙突』は、サンタの死をテーマにしたショッキングな作品。
・アンソロジー『バレンタイン14の恐怖』について。ウィリアム・F・ノーランの『ピエロに死を!』がバットマンをモデルにしたユニークな恐怖小説。
・ゾンビもの作品について。ホラー分野では従来マイナーだったゾンビが今や主流派に。日本ではマンガなどにも取り上げられるようになった。
・J・スキップ&C・スペクター編『死霊たちの宴』について。ゾンビをテーマにしたアンソロジー。ブライアン・ホッジ『がっちり食べまショー』は、タイトルからして強烈。後に長篇化するフィリップ・ナットマン『始末屋』は、知性を保ったゾンビを扱った作品。
・《破滅もの》における、イギリス作品とアメリカ作品の違いについて。イギリス作品はリアリズム重視で、暗い世相を描くのに長けているが、アメリカ作品では楽天的で簡単に復興してしまうものなどもある。
・フェリース・ピカーノ『透きとおった部屋』について。1970年代の作品だが、ストーカー的な題材を扱った面白い作品。
・怪奇小説の主流はバッド・エンドにある? アメリカ作品、とくにモダンホラーでは怪物や幽霊は退治されてハッピーエンドになってしまうことが多い。
・スティーヴン・キング『霧』の面白さ。映画化作品はちょっとどうかと思う。
・ジェームズ・ハーバートの『霧』について。霧によって人間が凶暴化する。B級だが面白い。
・怪奇実話について。怪奇小説と怪奇実話のファン層は、意外と重ならない? フィクション好きからすると、怪奇実話はあまり想像力の飛躍が感じられない。
・スティーヴ・ラスニック・テム『深き霧の底より』について。山奥の村を舞台にした静かなホラー。村人たちの間で怪奇現象が頻発する様を細かく描いた作品。雰囲気は素晴らしい。怪奇現象の一環として登場する熊が暴れるのは、ちょっと雰囲気を崩しているような気がする。
・モダンホラー作品とゴシック・ロマンスは意外に共通点があると思う。
・ロバート・コーミア作品について。子供を主人公にしても、かなり心理的にきつい作品を書く作家。『フェイド』は透明になる能力を持った少年を主人公にした超能力悲話的な作品。他に『心やさしく』など。
・サイモン・クラーク『地獄の世紀』について。大人が突如、子供を襲い始めるホラー作品。かなり残酷。後半ちょっと宗教的なトーンになってしまうのが残念。永井豪『ススムちゃん大ショック』にテーマが似ている。
・パトリック・レドモンド『霊応ゲーム』について。怪奇小説的な部分も素晴らしいが、少年小説・青春小説的な部分も素晴らしい。同著者の『復讐の子』も面白い。
・M・R・ケアリー『パンドラの少女』について。ゾンビウィルスが蔓延した世界で、知性を保ったままの少女をめぐるホラー作品。イギリス作品らしいシビアな作品世界が読みどころ。
・東雅夫編のアンソロジー《世界幻想文学大全》は、怪奇幻想のオールタイムベストで、ラインナップ的には初心者にオススメ。ただし、名訳を集めるというコンセプトなので、現代人には多少読みにくいものもあり。
・『怪奇小説傑作集』について。1巻からではなく2巻からの方が読みやすい。4巻フランス編は、怪奇小説というより編者澁澤龍彦の個性が出たアンソロジー。小ロマン派やシュルレアリスム系の作品が面白い。
・シャルル・クロス作品の面白さ。訳されている戯曲もコントのようで面白い。
・グザヴィエ・フォルヌレについて。『草叢のダイヤモンド』が非常に傑作なので、他にも傑作があるのかと思っていたら、近年出た短篇集を読んでがっかりした。一発屋?
・ロシアの怪奇小説について。
・レーミゾフの作品は非常に暗くて陰鬱。『小悪魔』など。
・アレクサンドル・グリーンについて。ロシアには珍しい陽性の作家。アルトアーツから近年刊行された短篇集が面白い。他に『深紅の帆』『黄金の鎖』など。
・仁賀克雄編『幻想と怪奇』について。異色作家系の作品を集めているので、非常にリーダビリティが高く面白い作品が多い。
・E・F・ベンスン作品について。『いも虫』など、一風変わったゴースト・ストーリーが印象的。
・河出文庫から出た《怪談集》シリーズは粒ぞろい。日影丈吉編『フランス怪談集』は、オーソドックスな怪談が多く、『怪奇小説傑作集』の4巻よりも、怪奇味が強い。ただし訳はあまり良くない。
・森英俊・野村宏平編『乱歩の選んだベスト・ホラー』について。『猿の手』の異稿版が収録されており貴重。
・ドイツ・ロマン派のメルヘン作品について。ルートヴィヒ・ティーク『金髪のエックベルト』は強烈な作品。ジョージ・マクドナルドなど、イギリス作品における影響も。
・伝説的な作品『吸血鬼ヴァーニー』はいつか読んでみたい。
・三津田信三『シェルター』について。核シェルターになぜか、マニアックなホラー映画がいっぱいあるという作品。有名無名のホラータイトルが言及されるのが楽しい。
・《異形コレクション》シリーズの『屍者の行進』は傑作揃いのアンソロジーだった。
・ケン・リュウ作品の面白さについて。中国や日本を舞台にした作品もあり、日本人にも馴染みやすい。「奇妙な味」やアイディア・ストーリーもあり、オールドSFファンにも馴染みやすいのではないか。
・中村融編『夜の夢見の川』について。巻頭のクリストファー・ファウラー『麻酔』が強烈なインパクトの怪作。
・ジェフ・ゲルブ編『ショック・ロック』について。収録作のスティーヴン・キング『いかしたバンドのいる街で』が、バカらしいアイディアながら印象が強い。
・岩波少年文庫から出ている3巻本のホラーアンソロジーは粒ぞろい。ただ、リチャード・ミドルトンなどは、子供が読んでも味わいがわかるのだろうかと心配になる。
・キノコをテーマにしたアンソロジー『FUNGI』について。日本の怪奇SF映画『マタンゴ』に影響を受けた作家たちの作品集。メインのトーンはホラーだが、変わった発想の作品も含まれており面白い。続刊は出るのだろうか。

第2部
・雑誌『幻想と怪奇』について。日本における、怪奇幻想系雑誌のさきがけ。創刊からの数号の充実度に比べ、終刊直前の薄さが目立つ。
・雑誌『牧神』について。怪奇幻想系の特集号が多い。執筆陣は非常に充実している。
・『このホラーが怖い!』について。1冊だけ刊行されて終わってしまったムック。ベスト企画の1位がロバート・エイクマン『奥の部屋』なのはビックリ。
・雑誌『奇想天外』1期について。海外作品中心、異色作家中心のラインナップで面白い雑誌だった。付録もついていて楽しい雑誌。
・雑誌『別冊奇想天外』について。主に海外作品とリストなど資料が充実していた雑誌。ファンタジー特集号は、荒俣宏入魂の一冊で、今見ても素晴らしい内容。
・同人誌『NULL』の合本の紹介。
・雑誌『OUT』について。初期はサブカル的な内容だった。
・雑誌『ムー』について。SF特集などもあった。
・雑誌『遊』について。稲垣足穂の追悼特集号のアートディレクションは素晴らしい。ただ内容は難解。
・雑誌『SFマガジン臨時増刊 ホラーマガジン』の紹介。モダンホラーブーム期に一冊だけ出たホラー増刊号。コラムや年表など貴重な企画も。
・雑誌『幻想文学』と『小説幻妖 弐』について。『小説幻妖 弐』の特集は「ベルギー幻想派」、今でも類似企画はほとんどない充実した特集。

二次会
・ブラックウッド『いにしえの魔術』と萩原朔太郎の『猫町』について。
・《世界幻想文学大系》第1期の本は、すき間がきつくて、本が箱から取り出しにくい。
・H・P・ラヴクラフト作品について。創元版全集は、3巻から訳者が変わるが、1~2巻の方が読みやすい。
・ラヴクラフトの最高傑作は?『ピックマンのモデル』『狂気の山脈にて』『宇宙からの色』『時間からの影』など。
・『クトゥルーの呼び声』は結末が印象的で、悪夢のような作品。
・ジョン・フランクリン・バーディン作品について。『悪魔に食われろ青尾蝿』『殺意のシナリオ』『死を呼ぶペルシュロン』の三作は、どれも悪夢のようなサスペンスで、とくに『悪魔に食われろ青尾蝿』はホラーと言ってもいい作品だと思う。
・《小学館ミステリー》では、何がいちばん面白いか。ジョン・フランクリン・バーディン『殺意のシナリオ』、エセル・リナ・ホワイト『バルカン超特急 消えた女』、ジョセフィン・テイ『魔性の馬』など。
・江戸川乱歩作品の面白さ。いちばん傑作だと思う作品は?『孤島の鬼』『陰獣』など。
・乱歩『黄金仮面』について。他人のキャラクターを使ったパスティーシュはなかなか難しい。
・天知茂主演『江戸川乱歩の美女シリーズ』について。突っ込みどころが多いけれど面白い。
・ロバート・ブロック作品の面白さ。『アーカム計画』はクトゥルー系の長編の中では屈指の傑作。
・猟奇事件が起こると、ホラー・バッシングが起こることが多いが、お門違いだと思う。
・国書刊行会《ゴシック叢書》は、厳密にはゴシックではない現代作品が多いのはどうかと思う。
・ジャック・ケルアックについて。『オン・ザ・ロード』『路上』など。
・池澤夏樹の『個人編集 世界文学全集』について。たまにユニークな巻がある。ジーン・リース『サルガッソーの広い海』など。
・国書刊行会の箱入り本は本棚に並んでいると独自の重量感がある。特に『ラヴクラフト全集』の存在感は強烈。
・夢野久作作品の面白さについて。短篇作品も傑作が多い。
・ボルヘス編『バベルの図書館』について。アンソロジー全体の統一感がすごい。

 次回、第7回読書会は、7月末ごろを予定しています。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会 参加者募集です(再掲)
 延期していました「怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会」ですが、改めて、下記の日程で開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年6月18日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1300円(予定)
テーマ
第1部:欧米怪奇幻想小説入門(英米編1)
第2部:ファンタスティック・マガジン

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

 第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編1)」。
 ゴシック・ロマンス、怪奇スリラー、ゴースト・ストーリー、異色短篇、パルプ小説にモダンホラー。一口に「怪奇幻想小説」と言っても、その種類は様々です。
 欧米の怪奇幻想小説に興味があるけれど、まず何を読んだらいいの? どんな作品があるの? といったところから、お勧めアンソロジーや参考書の紹介まで、欧米の怪奇幻想小説の本場であるイギリス・アメリカ作品を概観していきたいと思います。

 第2部は「ファンタスティック・マガジン」と題して、怪奇幻想や関連領域を扱った雑誌について語りたいと思います。
 古くは『幻想と怪奇』や『牧神』、新しいところでは『ナイトランド』、また『ミステリマガジン』の《幻想と怪奇》特集や『SFマガジン』の幻想小説を扱った特集、『ユリイカ』の作家特集など。
 雑誌そのものでも、雑誌の特定の号や増刊でも構いません。こんな雑誌がこんな特集をやっていた!というものでもOK。「ファンタスティック」な雑誌について話し合いたいと思います。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

「怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会」延期について
4月30日(日)開催予定だった「怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会」ですが、都合により延期させていただきます。代替日は決まり次第、お知らせいたします。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会 参加者募集です
4月16日告知

 「怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会」を、下記の日程で開催します。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年4月30日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1300円(予定)
テーマ
第1部:欧米怪奇幻想小説入門(英米編1)
第2部:ファンタスティック・マガジン

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

 第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編1)」。
 ゴシック・ロマンス、怪奇スリラー、ゴースト・ストーリー、異色短篇、パルプ小説にモダンホラー。一口に「怪奇幻想小説」と言っても、その種類は様々です。
 欧米の怪奇幻想小説に興味があるけれど、まず何を読んだらいいの? どんな作品があるの? といったところから、お勧めアンソロジーや参考書の紹介まで、欧米の怪奇幻想小説の本場であるイギリス・アメリカ作品を概観していきたいと思います。

 第2部は「ファンタスティック・マガジン」と題して、怪奇幻想や関連領域を扱った雑誌について語りたいと思います。
 古くは『幻想と怪奇』や『牧神』、新しいところでは『ナイトランド』、また『ミステリマガジン』の《幻想と怪奇》特集や『SFマガジン』の幻想小説を扱った特集、『ユリイカ』の作家特集など。
 雑誌そのものでも、雑誌の特定の号や増刊でも構いません。こんな雑誌がこんな特集をやっていた!というものでもOK。「ファンタスティック」な雑誌について話し合いたいと思います。

4月28日追記
 都合により、延期させていただきました。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第5回読書会 開催しました
 3月19日の日曜日、JR巣鴨駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第5回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め9名でした。
 テーマは、第1部「リドル・ストーリーと結末の定まらない物語」、第2部「ブックガイドの誘惑」です。参加してくださった方には、お礼を申し上げたいと思います。
 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。

 今回も、参加者全員のプロフィールをまとめた紹介チラシを作りました。チラシをPDFにしたものを、メールにて事前に配信しています。
 第1部、第2部ともに、オススメ作品などがあれば、タイトルを挙げてくださいとお願いしていました。それらの文章をまとめたものと、主催者が独自にまとめたリドル・ストーリー作品ガイドを資料として配布しました。

 プラスチック製ネームプレートを、参加者それぞれの前に立てたうえで、参加者を紹介しておきます。新規の方のみ主催者から紹介し、2回目以降の参加者には、軽く自己紹介をしてもらいました。

 リドル・ストーリーというテーマはちょっと難しいかなと思っていたのですが、意外に意見が出たのはよかったです。脱線話を含みつつ、全体的にはまとまりのある話になったのかなという気はしています。
 ブックガイドに関しては、やはりお好きな方が多く、お気に入りの本をいろいろ紹介してもらいました。個人的にも気になるブックガイドがあったので、探してみたいと思います。

 以下、順不同で話題になったトピックの一部を並べてみます。例によって、記憶に残っているものだけですが。

第1部
・リドル・ストーリーの定義について。
・フランク・R・ストックトン『女か虎か』について。非常によくできた作品だが、結末がわかってしまうと、凡庸な話になってしまうのではないか。結末を削ったからこその作品。
・『女か虎か』の続編について。 ジャック・モフィット『女も虎も』など。やはり解決編になってしまうと、魅力が薄れる。ストックトン自身による続編『三日月刀の督励官』は、謎をさらに謎かけで煙に巻くという作品だが、結末を書かないという点では、上手くできている。
・フェルディナント・フォン・シーラッハ『テロ』について。ハイジャックされた旅客機がスタジアムに突っ込む前に撃墜するという事件の物語。多人数を救うために少人数の犠牲は許されるのか?というテーマ。有罪と無罪の正反対の結末が並置されている。作者が弁護士であることも関係? 作品として作者の主張は出すべきとの意見もあり。ただ、シーラッハの短篇では、結末を明確にしない作品も多い。
・オムニバスドラマシリーズ『if もしも』と、そのノベライズ作品について。毎回、ドラマの途中で分岐点が発生し、2通りの選択肢を選んだ場合を交互に描くという作品。1990年代前半に放映されたシリーズで、趣向は面白いが、ドラマ自体は凡庸なものが多い。
・アーロン・フリッシュ作、ロベルト・インノチェンティ絵『ガール・イン・レッド』について。赤ずきんを現代を舞台に置き換えた絵本。ハッピーエンドとバッドエンドが並置される構成。バッドエンドの方は子供向けとは思えない残酷な結末になっている。
・マーク・トウェイン『恐ろしき、悲惨きわまる中世のロマンス』について。『女か虎か』同様の、二者択一型リドル・ストーリー。『女か虎か』では片方の選択肢は命が助かるが、トウェイン作品では、どちらを選んでも死が待っているという構成。『女か虎か』よりも強烈な作品だと思う。
・ある事情のために主人公が動けなくなる…というモチーフでは、ノエル・カレフ『死刑台のエレベーター』も似たテーマの作品だった。
・トウェインでは、『天国だったか? 地獄だったか?』という短篇もリドル・ストーリー形式の作品だった。死にゆく姪に対して善意の嘘をつき続けた伯母たちに罪はあるのか?という倫理的テーマの作品。この作品が収録された傑作集『百万ポンド紙幣』(理論社)も非常にいい作品集だった。
・クリーヴランド・モフェット『謎のカード』について。〈三大リドル・ストーリー〉のうち、これだけ毛色が違う。この作品をはじめて読んだときの印象は怪奇小説に近い。実際、作者自身による解決編では、オカルト要素の強い怪奇小説になっている。ただ、やはり解決編を読むと、拍子抜けしてしまうのも事実。
・ディーノ・ブッツァーティ『なにかが起こった』は、イメージ喚起力が強く秀逸な作品だと思う。紀田順一郎編『謎の物語』には、この作品がリドル・ストーリーとして入っているが、そうするとブッツァーティの多くの作品がリドル・ストーリーになってしまう?
・ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の映画『CUBE』も、謎が多くてリドル・ストーリーっぽい。続編ではいろいろ後付の種明かしがされてしまうのは残念。
・ヴィンチェンゾ・ナタリ監督の短篇映画『エレヴェイテッド』は、怪物の姿を見せず、それを見た人々の反応だけで構成された異色の作品。何やらブッツァーティの作品を思わせる。
・ジャン= バティスト・アンドレア&ファブリス・カネパ監督の映画『-less レス』について。全編暗闇でスプラッターシーンもないが、終始サスペンスの途切れない面白い映画作品。謎を残したまま進む展開はリドル・ストーリー的。
・最近出た『別冊映画秘宝 謎の映画』の紹介。リドル・ストーリー的な作品の紹介かと思ったら、忘れられた作家や作品についての紹介記事が主だった。『サスペリア』の謎とか、夢オチ映画についてのエッセイは面白かった。
・ダリオ・アルジェントの映画作品について。ストーリーが破綻していてもやはり好きな人は好き。『インフェルノ』などは破綻しきっている話だが、面白い映画だと思う。
・アルジェント監督『サスペリアPART2』はミステリファンから非常に評価が高い。有名なトリックがあるが、本格ミステリ的な意図があったかは微妙。殺しの趣向なども、けれんに満ちているが、そこが面白い。人形はトラウマになりそう。
・ゾンビについて。ホラーの怪物の中でもマイナーなジャンルだったのに、ここ20年ぐらいで一気にメジャーになった感がある。ホラーアイコン化? オールドホラーファンとしては、走るゾンビは好きではない。最近のゾンビはウィルス感染型が主流? ゾンビのキャラクターを利用したコメディなどもあり。
・バリイ・ペロウン『穴のあいた記憶』について。すごい密室トリックを考え付いた作家がその記憶を失ってしまい、アイディアを話したはずの男を探す話。トリックそのものは示されないという、『謎のカード』型の作品。
・ペロウン作品に似ているのが、ロード・ダンセイニ『書かれざるスリラー』。こちらでも画期的な殺人方法を思いついた男が、それを使って殺人を行う。
・服部まゆみ『この闇と光』について。お伽話的な舞台がひっくり返る物語。チャールズ・ボーモントの『ロバータ』に似た印象。
・多重解決ミステリについて。アントニイ・バークリー『毒入りチョコレート事件』、コリン・デクスター、芦辺拓『異次元の館の殺人』など。推理が次々とひっくり返されるという構成の作品があるが、最終的な推理が魅力的かというとそうでもないことが多い。
・エリック・ブレス/J・マッキー・グラバー監督『バタフライ・エフェクト』について。ループもの作品だが、試行錯誤して事態を改善しても、別の面で事態が悪化していまうという作品。行き詰まり感がすごい。
・日本のミステリは叙述トリックがやたらと多い。日本独自の現象?
・リドル・ストーリーは長編では難しいと思うが、それに近いのが、クレイ・レイノルズ『消えた娘』。娘が行方不明になり数十年間も待ち続ける母親の物語。
・ウイリアム・アイリッシュ『死者との結婚』について。アイリッシュ(ウールリッチ)作品の中ではそんなに有名ではないが、非常にいい作品。
・ウイリアム・アイリッシュ『誰かが電話をかけている』について。事件が解決したと思ったら、結局解決していなかったというバッドエンド。サスペンスホラー映画『暗闇にベルが鳴る』も似たテーマの作品。
・スティーヴン・バーの短篇『目撃』について。
・ジョン・クラッセンの絵本『どこいったん』について。ひねりも効いていて面白い作品。
・アイリッシュ(ウールリッチ)作品の魅力について。サスペンスの原型的な作品を多く書いている。『裏窓』など。映画化作品やその影響下にある作品は多く、知らずに触れている人も多いのではないか。白亜書房から出た『コーネル・ウールリッチ傑作短篇集』(門野集編)は、いい企画だった。
・創元推理文庫の『アイリッシュ短編集』も、品切れの巻があるので、ぜひ復刊してほしい。
・紀田順一郎編『謎の物語』に入っている、ウォルター・デ・ラ・メアの『なぞ』は、魅力的な作品。ただ、この作品をリドル・ストーリーとしていることによって、リドル・ストーリーの適用作品が一気に広がっている感じがある。
・城昌幸『古い長持』は、長持に入った妻が消えてしまうという話だが、デ・ラ・メアの『なぞ』とそっくりな作品。影響関係があるのだろうか?
・ハーヴィー・ジェイコブズ『おもちゃ』は非常にいい作品。
・ホーソーン『牧師の黒のベール』について。黒いベールをかけつづけた牧師の話。宗教的な解釈ができるのだろうが、不気味さは比類がない。
・ホーソーン『ウェイクフィールド』について。妻のそばで隠れ住みつづける男の奇妙な物語。解釈が示されないので、いっそう不気味さが増す。
・スティーヴン・ミルハウザー『夜の姉妹団』について。秘密結社について、いろいろと情報が積み重ねられていくが、それゆえにますますわからなくなるという作品。同じ作品集に収録された『私たちの町の地下室の下』でも、謎めいた雰囲気が強い。
・ジャック・ケッチャム作品について。『隣の家の少女』『オフシーズン』など。精神的に「嫌な」物語。
・アルフレッド・ノイズ『深夜特急』について。子供の頃読むとトラウマになりそうな作品。
・子供のころから気になっているがタイトルが思い出せない作品について。周囲の人間が止まっていて、全く動かない…と思っていたら毎日少しずつ動いているのに気づく…という話は、広瀬正の『化石の街』? 別世界につながる扉の出てくる話は、マレイ・ラインスター作品っぽい。
・石川達三『神坂四郎の犯罪』について。真相は藪の中に終わるという作品。
・有吉佐和子『悪女について』について。主人公の人物像について、いろいろな人間からの印象が描かれるという作品。アンドリュウ・ガーヴ『ヒルダよ眠れ』に近い印象?
・パット・マガー『被害者を探せ』について。被害者を探すという趣向の作品。マガー作品は、どれも趣向が楽しい。
・赤瀬川原平の写真集『正体不明』について。撮った写真の中で、正確に分類できず「あいまいなもの」というグレーゾーン的な観点から集めた作品集。
・高木こずえの写真集『MID』について。作者によると、MIDとは生と死の中間とのこと。
・スワニスワフ・レム『捜査』について。ミステリの分野でも取り上げられる作品。不条理性が強い。
・アゴタ・クリストフ『悪童日記』三部作について。
・ポール・オースター『シティ・オブ・グラス』について。
・ジェイムズ・ホッグ『悪の誘惑』。信頼できない語り手の早い時代の実例。真相がぼやかされる。
・筒井康隆作品『熊ノ木本線』『三丁目が戦争です』などについて。
・『うる星やつら』、映画版『ビューティフル・ドリーマー』と、その原型的作品、テレビシリーズのエピソード『みじめ!愛とさすらいの母』について。テレビエピソードの方は、よく放映できたと思えるほど不条理性の強い作風だった。

第2部
・風間賢二『ホラー小説大全』と尾之上浩司編『ホラー・ガイドブック』は、この分野の定番的ブックガイド。
・荒俣宏『世界幻想作家事典』について。書誌的には足りないところが多いが、著者の評価の入った文章は読んでいて面白い。
・荒俣宏『空想文学千一夜』について。怪奇幻想系の評論を集めた本。この分野の道標的な本。
・ジャック・サリヴァン編『幻想文学大事典』について。狭い意味での怪奇小説だけに絞っている代わり、この分野の情報量はすごい。未訳の作品についての情報も多し。
・「幻想文学」編集部編『幻想文学1500 ブックガイド』について。国別・テーマ別にあらすじが載っていて、自分の興味のあるものを探せる。利便性の高いブックガイド。
・山本弘『トンデモ本? 違う、SF だ!』と、その続編『トンデモ本? 違う、SF だ!RETURNS』について。〈パラノイアSF〉など、ぶっとんだアイディアのSF作品についてまとめた面白い本。
・小鷹信光『〈新パパイラスの舟〉と21 の短篇』について。テーマ別に仮想のアンソロジーを作るという体裁で作られたブックガイド。ミステリのテーマだけでなく、SFやファンタジー的なテーマもあるのが楽しい。
・松村喜雄『怪盗対名探偵』について。フランスミステリのガイドブックだが、マルセル・シュオッブ、モーリル・ルヴェル、カミなど、異色の作家にも筆が割かれていて、面白い本。
・角川文庫のカルチャー探偵団の『○○の快楽シリーズ』について。何十冊も出たが、どれもそれぞれ面白かった。未訳の作品についてもガンガン取り上げる著者もあって意欲的だった。
・佐藤圭『100冊の徹夜本』について。定番作品でないものも含めて紹介してくれているのが貴重。アーヴィング・ウォーレス作品についてなど。
・文藝春秋編『東西ミステリーベスト100』について。オールタイムのミステリが取り上げられており、オーソドックスだがいいガイド。
・『別冊宝島63 ミステリーの友』について。いろいろな著者がエッセイの形で書いた文章を集めたもの。網羅的なものではないが、拾い読みするのが楽しい。
・霜井蒼『アガサ・クリスティー完全攻略』について。個人の作品でこれだけ網羅しているのはすごい。
・ジョン・ラフリー『別名S・S・ヴァン・ダイン ファイロ・ヴァンスを創造した男』について。ヴァン・ダインの伝記作品。
・フランシス・M・ネヴィンズJr.『コーネル・ウールリッチの生涯(上・下)』と『エラリー・クイーン 推理の芸術』について。伝記部分だけでなく、作品論も丁寧にされている労作。
・『映画秘宝EX 最強ミステリ映画決定戦』。選ばれている作品が偏っていたりするが、面白いガイド。
・『戦慄のホラー読本』について。モダンホラー系作品が多く取り上げられている。
・ジョン・カッツェンバック『旅行者』について。女子学生に記録係をさせる殺人鬼の話。
・都築響一『誰も買わない本は、誰かが買わなきゃならないんだ』について。あまり取り上げられない本ばかり取り上げた異色のガイドブック。
・『J'sミステリーズ King and Queen 海外作家編』について。ライターによって出来不出来があるのと、基本的な書誌データの間違いも見受けられるが、全体的に有用なガイドブック。折原一による偏愛作品リストは愉しい。
・吉野朔美の書評エッセイと映画評エッセイについて。必ずしも、取り上げている作品についての情報がはっきり書かれているわけではないが、エッセイとしては魅力的。
・阿刀田高『恐怖コレクション』について。恐怖の原風景に関するエッセイ集。異色作家作品も多く取り上げられており面白い。
・豊崎由美/岡野宏文『百年の誤読 海外文学編』について。10年毎に10冊の、時代を代表する名著について、思うままに語った本。読み逃していた「名作」に手を伸ばすきっかけになりそうな本。
・伊藤典夫編『SFベスト201』について。SFをかなり広義に解釈していて、ホラーやファンタジー方面も取り上げられている。歴史的な意義より、読んで面白い本中心に選ばれている感じがある。
・新しい世代の書評家というのは育っているのか? ホラー分野ではあまり思い当たらない。
・先鋭的な作風の作家も、ベストセラー作家になると、皆作風が変わってしまう。なぜか皆、最終的に時代小説に行ってしまう印象がある。
・クトゥルー神話の大衆化について。コミックやライトノベルには拡散している印象があるが、原典のラヴクラフトは読んでいる人が少ないのではないか。

二次会
・ジョン・ディクスン・カー『火刑法廷』について。カーの怪奇趣味は他作品にも見られるが、これに限ってはミステリ・怪奇小説どちらとも解釈できるようになっている。怪奇小説としても秀作。
・写真集について。森山大道、中平卓馬『決闘写真論』『なぜ、植物図鑑か』、サラ・ムーン、梅佳代など。
・村上春樹の最高傑作は『ノルウェイの森』?
・レイ・ブラッドベリ『すばらしき白服』について。SFではないが味のある作品だと思う。
・レイ・ブラッドベリ『火星年代記』について。年代記風につながれた連作短篇集。滅びゆく美しさがある。結末の情景も感動的。
・ブラッドベリのオススメは? 『火星年代記』『10月はたそがれの国』など。
・SF作品は名作とされていても、古びてしまって、現代ではつまらなくなっているものもある。ハインライン作品はその手の作品が多いように思える。
・SFの古典はアンソロジーなどで、名作短篇を一通り読むほうが良い。河出文庫の『20世紀SF』はその点オススメのアンソロジー。
・SFはサイバーパンクの登場あたりから一気にとっつきにくくなった感がある。1980年代はSF不毛の時代ではないか。
・SFベストに毎回、ハインライン『夏への扉』が出てくるのはどうかと思う。
・W・H・ホジスンは、主だった作品がほぼ訳出されてしまった。
・『怪奇小説傑作集』のうち、フランス編は読みにくい。これに限らず、フランス文学は他の国に比べて、とっつきにくいのは事実。肌に合うか合わないかだと思う。
・マルキ・ド・サド作品はわかりにくい。
・泡坂妻夫『しあわせの書』について。トリックと仕掛けはものすごい。労力はすごいと思うが、物語自体はそんなに面白くないのでは。
・江戸川乱歩作品では何が面白いか? 初期短篇、『陰獣』『孤島の鬼』『猟奇の果』など。
・稲垣足穂作品について。『弥勒』『ヰタマキニカリス』『一千一秒物語』など。ヴァリアントが多いのは、金銭的な目的?
・電子書籍で本を読むことについて。旅行先へ持っていくなどの利便性はともかく、本としての「味わい」が薄い。
・本の物理的側面について。本を読むとき、物理的な手触りや版面の印象も含めて記憶に残る。そうした記憶のインデックス的な側面が電子書籍にはないのではないか。
・本は背表紙が見える形で本棚に置くべき。
・本の「自炊」について。是か非か? 100円均一のベストセラーはともかく、マイナーなジャンルの本を壊すのは気分的に無理。


第6回読書会は、4月下旬に予定しています。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第5回読書会 参加者募集です
 「怪奇幻想読書倶楽部 第5回読書会」を、下記の日程で開催します。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年3月19日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1200円(予定)
テーマ
第1部:リドル・ストーリーと結末の定まらない物語
第2部:ブックガイドの誘惑

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

 第1部のテーマは「リドル・ストーリーと結末の定まらない物語」。リドル・ストーリーとは、作品中の謎が解かれないままに終わってしまう物語のこと。代表例としては、フランク・R・ストックトン『女か虎か』、クリーブランド・モフェット『謎のカード』、スタンリイ・エリン『決断の時』、芥川龍之介『藪の中』などがあげられます。
 今回は、狭義の「リドル・ストーリー」だけでなく、「結末の定まらない物語」として、結末が複数あったり、解釈が複数可能な物語についても、語り合いたいと思います。
 例えば、ミステリとも幻想小説とも解釈できる、ジョン・ディクスン・カー『火刑法廷』、あらかじめ2つの結末が用意された、フェルディナント・フォン・シーラッハ『テロ』、3通りの結末が選べるという、ジャンニ・ロダーリ『羊飼いの指輪 ファンタジーの練習帳』など。
 そもそも物語には一つだけの結末が必要なのか? そのあたりも含めて話し合えたらなと思います。

 第2部は「ブックガイドの誘惑」として、本好きなら必ずお世話になる、ブックガイドやリファレンスブックについて話したいと思います。ミステリなら、瀬戸川猛資『夜明けの睡魔』や小鷹信光『パパイラスの舟』、SFなら福島正美『SF入門』や石川喬司『SFの時代』、ホラーなら、風間賢二『ホラー小説大全』や尾之上浩二編『ホラー・ガイドブック』など。
 初心者の手引きとして、または玄人を唸らせるセレクションで、誰にでもお気に入りのブックガイドがあるはず。ミステリ、SF、ホラー、ジャンルは問いませんので、自分の愛読書になっているガイドを紹介してください。

※3月17日追記
第5回読書会の参加は締め切りとさせていただきたいと思います。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学



プロフィール

kazuou

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



最近の記事



最近のコメント



最近のトラックバック



月別アーカイブ



カテゴリー



メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:



ブログ内検索



RSSフィード



リンク

このブログをリンクに追加する