怪奇幻想読書倶楽部 第10回読書会 参加者募集です
 2017年11月19日(日曜日)に「怪奇幻想読書倶楽部 第10回読書会」を開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年11月19日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1500円(予定)
テーマ
第1部:H・G・ウェルズの空想世界
第2部:第10回記念企画 本の交換会

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。


 第1部のテーマは「H・G・ウェルズの空想世界」。
 ジュール・ヴェルヌと並びSFの祖とされる作家、H・G・ウェルズの作品について話し合いたいと思います。
 代表作であり、この種のジャンルの開祖ともいうべき作品群、時を超える機械を生み出した『タイム・マシン』、透明になった男の悲喜劇を描く『透明人間』、生物改造テーマの嚆矢といえる『モロー博士の島』などだけでなく、ウェルズは、「マジック・ショップ」「塀についた扉」「故エルヴィシャム氏の物語」など、幻想小説を数多く残した幻想作家でもあります。
 現代のエンターテインメントの原型ともいうべき、ウェルズの作品世界について検討していきたいと思います。

※ウェルズに関しては、各社から作品集が出されていますが、一番入手しやすく、まとまっているのは岩波文庫版です。『タイム・マシン 他九篇』『モロー博士の島 他九篇』『透明人間』(3冊とも橋本槙矩他訳 岩波文庫)の収録作品をメインに話していきたいと思います。

 第2部は、第10回記念企画として「本の交換会」を行いたいと思います。
 いらなくなった本を持ち寄り、他の人の本と交換しようという趣旨の企画です。お持ちいただくのは何冊でも構いません。ジャンルは特に怪奇幻想にこだわらなくて結構ですので、ご自由にお持ちください。
 あわせて、お持ちいただいた本の紹介の時間も取りたいと考えています。

※お持ちいただく本がない場合、もらうだけでも構いません。
※本の紹介は強制ではありませんので、したい方だけで結構です。
※時間が余った場合、フリートークの時間としたいと思います。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第9回読書会 開催しました
 10月8日の日曜日、JR巣鴨駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第9回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め8名でした。
 テーマは、第1部「怪奇幻想小説の叢書を振り返る」、第2部「作家特集 シャーリイ・ジャクスン」です。参加してくださった方には、お礼を申し上げたいと思います。

 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。
 今回も、参加者全員のプロフィールをまとめた紹介チラシを作りました。チラシをPDFにしたものを、メールにて事前に配信しています。

 第1部のテーマは「怪奇幻想小説の叢書を振り返る」。
 主に戦後に刊行された、翻訳ものの怪奇幻想小説の叢書を振り返ってみようという試みです。資料として、主要な怪奇幻想小説叢書リストと、叢書の刊行年代チャートを作ってみました。
 近年の叢書はまだ馴染みのある方がいるのですが、《ドラキュラ叢書》や《妖精文庫》あたりになると、見たこともない人がいたりなどして、時代を感じてしまったシーンもありました。

 第二部のテーマは「作家特集 シャーリイ・ジャクスン」。今回はこちらの方がメインとなった感じでしょうか。
 参加者にジャクスンのファンが多く、代表作は一通り読んでいたこともあり、それぞれの作品について、解釈にまで踏み込んだ意見も見られました。

 それでは、以下話題になったトピックについて記したいと思います


●第一部
・《世界恐怖小説全集》(東京創元社)について。
戦後初の本格的な怪奇小説叢書で、創元推理文庫の《怪奇小説傑作集》の原型になったシリーズ。ブラックウッドの傑作集や、W・F・ハーヴィーの作品が入っている巻があったりと、今でもこの叢書でしか読めない作品がある。

・《異色作家短篇集》(早川書房)について。
我が国のエンタメに強い影響を与えたシリーズ。改訂版では6巻が削られたが、2000年代の最新版では復活している。文庫化されているものもあり。ブラウンの『さあ、気ちがいになりなさい』は、よくそのままのタイトルで刊行できたなあと思う。

・創土社《ブックス・メタモルファス》について。
マニアライクな幻想小説を少部数、しっかりした装丁で刊行していた。『ホフマン全集』など、造本の完成度は非常に高い。未完に終わった、荒俣宏訳『ラヴクラフト全集』には、大瀧啓裕の下訳も見える。

・《怪奇幻想の文学》(新人物往来社)について。
画期的な怪奇小説アンソロジー。これ以降の幻想文学関連出版には、ほぼ荒俣宏と紀田順一郎の名前が見えるようになる。

・《世界幻想文学大系》(国書刊行会)について。
幻想文学の記念碑的なシリーズ。第一期はオーソドックスなセレクションだが、二期・三期になると、風変わりなタイトルが出てくる。荒俣宏の科学・博物学趣味が反映されているのではないか。

・《ドラキュラ叢書》(国書刊行会)について。
英米のエンタメ系怪奇小説を集めたシリーズ。ブラックウッド『ジョン・サイレンス』、ホジスン『カーナッキ』など、別の形で再刊している本も多い。表紙画の趣味が悪く、あまり売れなかった原因の一つかもしれない。ジャック・ロンドン『星を駆ける者』、H・S・ホワイトヘッド『ジャンビー』などは傑作だと思う。

・《妖精文庫》(月刊ペン社)について。
荒俣宏肝いりのファンタジー系叢書。純粋なファンタジーから、現代文学まで多彩なラインナップだった。セレクションには、リン・カーター《バランタイン・アダルト・ファンタジー》の影響がある? ジャン・ロラン『フォカス氏』などをファンタジーの枠で出していたのは斬新だった。
ブラックウッドとダンセイニは全ての期に入っていて、優遇されている感がある。
エディスン『邪龍ウロボロス』は、下巻が出ないうちに出版社がつぶれてしまったが、後に創元推理文庫から完訳が出た。ホジスン『ナイトランド』の下巻の刊行も遅かった覚えがある。別巻の『妖精画廊』や『別世界通信』もいい本だった。
今でも古書価はそんなに高くなく(高くても1000~2000円)、古書としては手に入れやすい。

・《朝日ソノラマ文庫海外シリーズ》について。
最初は1950年代のSF中心で、後にホラー・幻想怪奇方面へとシフトしていった。表紙の趣味が良くなかったり、タイトルが意訳されていたいするが、短篇集中心で、今でも貴重なラインナップ。デニス・ホイートリー編の『恐怖の一世紀』などは、いいアンソロジーだと思う。

・《アーカム・ハウス叢書》(国書刊行会)について。
アメリカの怪奇幻想専門出版社アーカム・ハウス社の単行本を装丁もそのままに翻訳したというコンセプトのシリーズ。
カール・ジャコビ『黒い黙示録』はゴリゴリのホラーで楽しい。デイヴィッド・H・ケラー『アンダーウッドの怪』は、SFとホラーが未分化だった時代の作品が多く面白い。収録作の一つ「健脚族の反乱」は、近未来人間がほとんど自分の足で歩かなくなった時代を舞台にしたSF作品。

・《フランス世紀末文学叢書》(国書刊行会)について。
フランス文学の叢書だが、幻想的な要素の多い作品も多い。とくにオクターヴ・ミルボー『責苦の庭』は残酷趣味の強い傑作だと思う。装丁や造本も魅力的。まだ在庫のある巻もある。

・《モダンホラーセレクション》(ハヤカワ文庫NV)について。
モダンホラーブーム時に刊行されたシリーズ。当時の最新作と同時に、シャーリイ・ジャクスン『山荘綺談』やアイラ・レヴィン『ローズマリーの赤ちゃん』など、早川書房の過去のホラー作品も組みこまれている。B級作品も多いが、面白い作品も多い。
マイクル・F・アンダースン『総統の頭蓋骨』は、タイトルと表紙絵でネタバレしてしまっているB級作だが、これはこれで面白い。
デイヴィッド・ショービン『アンボーン ―胎児―』は、人工知能に操られる胎児の物語。ハイテク部分を除けば、今読んでも面白い。

・ボルヘス選《バベルの図書館》(国書刊行会)について。
ボルヘスが編んだ世界の幻想文学選集。一巻の収録作品が少なく、薄いのでコストパフォーマンスは低い。逆に新編集版のコスパは良い。
収録作家の一人、ジョヴァンニ・パピーニは、澁澤龍彦が翻案したことでも知られる。

・《魔法の本棚》(国書刊行会)について。
怪奇幻想系のマイナー作家を集めたシリーズ。装丁・造本など本としての作りが非常に魅力的。コッパード、ウエイクフィールド、エイクマンの3冊が文庫化されている。

・《書物の王国》(国書刊行会)について。
各巻、幻想文学の主要テーマを取り上げ編まれたアンソロジー。東西の小説、詩、エッセイなどがいっしょくたに入っているところが特徴。後半の巻、須永朝彦編『王朝』や『義経』は、斬新なテーマだった。

・《晶文社ミステリ》(晶文社)と《Kawade Mystery》(河出書房新社)について。
《晶文社ミステリ》は、アントニイ・バークリー作品とともに、「異色作家」系の短篇集がいくつも入っていて、2000年代の短篇集邦訳ブームの一因ともなったシリーズ。ジェラルド・カーシュ、シオドア・スタージョン、デイヴィッド・イーリイの作品集などを紹介。
《Kawade Mystery》は《晶文社ミステリ》の後継的なシリーズで、怪奇小説集といっていいL・P・ハートリー『ポドロ島』などを紹介している。

・ウラジーミル・ソローキン『テルリア』の紹介。わりとエンタメ度高し。

・木犀あこ『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』(角川ホラー文庫)について。「視覚以外で認識する幽霊」という発想は斬新。怪奇現象の真相についても工夫されていて面白い作品だった。


●第二部
・シャーリイ・ジャクスン作品と「イヤミス」について。「イヤミス」は意図的に「嫌な」作品として書かれているが、ジャクスンは特に意識的に書いているわけではない。ただ現代の作家からすると「イヤミス」の源流の一つではあると思う。

・ジャクスンの活躍した時代は、女性の社会進出がまだそれほどではない時期で、家庭における閉塞感みたいなものがジャクスンの作品には感じられる。フェミニズム的な観点からジャクスンを研究する人もいるようだ。

・ジャクスンが影響を与えた作家はいると思うが、ジャクスン自身が影響を受けた作家というのは、あまり思い浮かばない。非常にオリジナルな発想の作家だと思う。

・トークショーで聞いた平山夢明氏の発言についての紹介。ホラーとコメディは紙一重、ホラーの火力を上げるとコメディになる。ジャクスンに関してもうなづける面がある。

・ジャクスンの同時代で同じような視点を持った女性作家はいるのか? 女性作家では例えばデュ・モーリアがいるが、彼女の作品は非常に技巧的に描かれているのに対し、ジャクスンはそうした技巧的な面があまり感じられない。

・『野蛮人との生活』『こちらへいらっしゃい』は古書でも非常に高値がついてしまっている。ぜひ復刊して欲しい。


『丘の屋敷』(『たたり』『山荘綺談』)について
・怪奇現象は屋敷が起こしているのか、それともヒロインの能力が起こしているのかはっきりしない。

・ヒロインの「家」に対する執着。壁に書かれたメッセージ「帰りたい」は、誰がどこに帰りたいのか?

・序盤、屋敷の家政婦が話すセリフは印象的。

・屋敷は、最終的にヒロインにとっての「家」になってしまう。だがそれがヒロイン自身の意志なのか、屋敷がそう仕向けているのかはわからない。

・明確な霊現象というのは少ない。ラップ音、壁の落書きなど。屋敷の一部に冷気を感じる…という部分は客観的に描かれているが、その意味ははっきりしない。

・屋敷で死んだ人たちがいるという描写はあり、実際に(かどうかはわからないが)霊現象らしきものも起こるが、死んだ人たちの人格を思わせる形では出現しない。屋敷自体が主人公といってもいいのでは? 過去に死んだ人たちも屋敷に執着していた…という描写がある。

・スティーヴン・キングがエッセイ集『死の舞踏』で『丘の屋敷』について書いているのは非常に参考になる。『丘の屋敷』には三つの層がある。ヒロインが「丘の屋敷」が幽霊屋敷だと信じるのが第一層、「丘の屋敷」こそ自分のための場所で自分を待っていた場所だと信じるのが第二層、自分が怪物に利用されていたこと-じつは自分が裏で糸を引いていたと無意識のうちに信じ込まされていたことを理解するのが第三層。

・『丘の屋敷』の映画化作品、ロバート・ワイズ監督『たたり』とヤン・デ・ボン監督『ホーンティング』について。『たたり』は、ヒロインが博士に恋心を抱いたり、博士の夫人が行方不明になったりと、改変部分もあるが、かなり原作に忠実な映像化だった。原作と同様、明確な幽霊を出さないのが特徴。
『ホーンティング』の方は、原型をとどめないほどの改変がされている。幽霊をガンガン出したり、SFXを多用しているため、原作とは似ても似つかないファンタジーになってしまっている。屋敷が変形してヒロインを襲ったり、屋敷の主人の霊が実体化して襲ってくるのはやりすぎだと思う。


『日時計』について
・世界が滅ぶという「お告げ」をなぜ登場人物は信じてしまうのか? 家族はもちろん、後から加わる外部からの登場人物もなぜか「お告げ」を信じてしまう。

・登場人物のひとり「キャプテン」は、ジャクスン作品には珍しい嫌味のないキャラクターだと思う。

・世界の終わりは実際には来ないという解釈について。「屋敷」が家族たちを操っているとも考えられる。鏡に映る幻視も屋敷内の出来事だし、最終的に窓を覆って外界から見えないようにする、というのも屋敷のなせる業? その意味で『日時計』は『丘の屋敷』のプロトタイプではないか?

・最年少のキャラクター、ファンシーは、いちばん屋敷に囚われている人物のような気がする。作中二人ほどの死人が出るが、犯人はファンシーではないか?
子供とは思えない発言をするが、意外にも作中でいちばんまともなことを言っている。

・翻訳を通してだが、傍線がやたらと頻出する(とくに文末)のが気になる。何か意味があるのでは?

・タイトル=作中にも登場する「日時計」は、太陽が出ていなければ何も分からない…という象徴?


『ずっとお城で暮らしてる』について
・ヒロインとその家族に対する村人の悪意がすごい。クライマックスではほとんどリンチに近い行為を行っているのに戦慄を覚える。

・ヒロインの姉はヒロインの狂気を知った上で妹をかばっている。一度は外の世界に出ようとするものの、最終的にはもう諦めてしまっているのかもしれない。

・途中で登場する従兄弟は打算的な人物(ヒロインの視点)だが、対応次第では、ヒロインたちが外の世界に出て行ける契機になる可能性はあった。

・作中の屋敷に対してどのぐらいの大きさを想像している? かなり大きい、こじんまりとしたイメージなど様々。『丘の屋敷』や『日時計』に比べたら、こじんまりとした感じ。大きさ的には、大きい順に『日時計』『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』?
『ずっとお城で暮らしてる』の屋敷は、敷地は大きいが、屋敷は小さめ?

・「幽霊屋敷もの」において、幽霊屋敷に乗り込んでいく登場人物は病的な人が多い気がする。

・ヒロインの精神年齢は実年齢よりも相当幼く感じる。例えばヒロインの毒殺計画は、姉が砂糖を食べないというところに立脚しているが、その根拠も確実ではなくて、そのあたりに非常に子供っぽさを感じる。

・脇役である伯父も、事あるごとに毒殺事件を家族に思い出させたり、狂気を感じさせる。

・初読のときはハッピーエンドの可能性もあると思って読んでいるが、再読のときはそうでないことがわかりつつ読むので、登場人物たちの悲惨さが際立つ気がする。


『鳥の巣』について
・母親との関係についてトラウマを抱える孤独な女性が、あるきっかけから多重人格症を発生させてしまう物語。

・最終的に主人格以外に3つの人格が現れるが、それぞれ独自の特徴を持っている。第2人格はおしとやか、第3人格は奔放、第4人格は子供っぽく金にうるさい、と描き分けがなされている。それぞれの人格は、従来の人格がなりたかったものや、母親の性質をトレースしているような気がする。

・人格間に強さのヒエラルキーがあり、別の人格についての情報を得られる人格もあれば、そうでない人格もある。人格のデフォルメ度は強くて「マンガチック」ではある。

・ヒロインを診察する精神科医も精神的にバランスが悪い人物で、感情のたかぶりが激しい。ジャクスンらしいキャラクター。

・人と話している間にもめまぐるしく人格が変わっていくので、常にどの人格が話しているのかわからなくなってしまう。会話が成り立たないことも多く、読者として非常にいらつきを感じる場面も。

・第3の人格「ベッツィー」は、幻の母親を求めて家出してしまうが、その逃避行は現実のものというよりは、幻想的な要素が強い。従来の人格の自立したいという思いが反映されている?

・多重人格に関しては、超自然的な解釈はしにくいようになっている。ただジャクスンの筆致自体が幻想的なものを感じさせる。


『処刑人』について
・家族との間に精神的な軋轢を抱えるヒロインが大学に行くが、そこでも友人はなかなかできず、精神的な彷徨を繰り返すという物語。

・全体的に習作的な要素が強い作品だが、娘に文章修行をさせ、それを評論するという父親、娘に結婚生活についてこぼす母親など、ジャクスン独自の人物描写はすでに完成されている?

・大学卒業後、すぐに結婚したというジャクスン自身の実体験が反映された作品?

・ジャクスンには珍しいハッピーエンド作品である。ヒロインにとっての「孤独」の意味が変わった…という解釈もできる。

・ヒロインと母親との関係も不穏なものがある。


短篇「くじ」について
・村人たちは「くじ」制度度を変更しようとはしていない。「くじ」は、村を維持するためのシステムといっていいのだろうか。

・村人たちの「くじ」に対する反応を見る限り、善悪の視点すら感じられないのが無気味である。「くじ」の行事は村人たちにとって、楽しいイベントであるかのような雰囲気すらある。怖がって逃げ出す人もいないのが不思議である。

・となりの村でも「くじ」をやっていた(すでに廃止されている)という描写を見ると、ほんとうに単なる文化的な習俗であって、「くじ」を止めることによるペナルティ(たたりや災難)すら関係ないという印象を受ける。

・人類学的に見た視点について。「くじ」は由来が失われた「供儀」なのではないか? 映画『ウィッカーマン』などとも通じるものを感じる。ただ、ジャクスン自身はそんなことを考えてもいないような気はする。

・家族のメンバーが「くじ」に選ばれた一家は、その後どうなるのか?と想像すると怖くなる。

・超自然的な視点について。「くじ」に選ばれるのは「運命」や「宿命」であって、人々はそれに異を唱える権利すらない。選んでいる主体は「村」自身の意志?

・「くじ」に選ばれるハッチンソン夫人の描写について。彼女は「フェアじゃない」という発言を連発するが、この時点ですでに村の意志から拒絶される行為をしているのかもしれない。

・ジャクスン自身が「くじ」について語ったエッセイが『こちらへいらっしゃい』に収録されているが、結局のところ、解釈ははっきりしない。エッセイには、「くじ」を読んだ当時の読者の感想が多く並んでいるが、ほとんどは否定的な意見だった。作者は「くじ」を「ただの物語」という呼び方をしているのが特徴的。

・ジャクスンの実孫マイルズ・ハイマンによる「くじ」のグラフィック・ノヴェル作品「SHIREY JACSON'S "THE LOTTERY"」の紹介。よく出来ているが、やはり原作にはかなわない。


短篇集『くじ』について
・「曖昧の七つの型」について。古書店に日参する少年が欲しがっている古書を売ってしまう古書店主の話。非常に悪意がある。

・「魔性の恋人」について。結婚式当日に行方をくらましてしまった夫を探す新妻の物語。夫は人間ではないという解釈もできる。

・「おふくろの味」について。スケッチ風の軽い作品だが、ジャクスンらしい作品。

・「決闘裁判」について。留守中に持ち物を盗む老婦人の証拠をつかもうと、相手の部屋に侵入する女の話。妙にしんみりとした結末が味わい深い。

「歯」について。よくわからない話。歯を抜きに行くだけで幻想的な話になってしまう。


『野蛮人との生活』について
・作者自身の子育てにまつわるエッセイ集。これを読むと、語り手(ジャクスン自身)は優しく、ものわかりのいい母親に感じられる。『くじ』や『丘の屋敷』などを書いた作家とのギャップを強く感じる。

・収録作品『チャールズ』は、『くじ』と『野蛮人との生活』両方の短篇集に収録されている。『野蛮人との生活』の流れで読むと、子供に関する笑い話として読めるが、『くじ』の方で単体で読むと、邪悪な少年のホラー作品としての要素が強く感じる。


短篇集『なんでもない一日』について
「バージョン1 スミス夫人の蜜月」「バージョン2 新妻殺害のミステリー」について。殺人鬼らしい夫に気付かずに新婚生活を送る妻の物語。バージョン1では、夫の正体に気が付いていないように描かれているが、バージョン2ではそれを知りつつ、一緒に暮らしているように読める。バージョン2は非常にジャクスンらしく感じる。

・「ネズミ」について。ネズミを退治するため、罠を買うようにと夫は妻に命じるが…。非常に嫌な雰囲気の話。

・「なんでもない日にピーナツを持って」について。善悪の行為を交代で繰り返す夫婦の物語。「なんでもない日」というタイトルは皮肉が効いている。

・「悪の可能性」について。歪んだ信念から、周りの人間に悪意をばらまく匿名の手紙を投函していた老婦人が、その行為を知られた何者かから悪意のしっぺ返しを受けるという物語。結末の描写が印象的で、「悪意」というものについて非常にスマートに描かれた作品だと思う。


短篇集『こちらへいらっしゃい』について
・遺作である未完の長篇「こちらへいらっしゃい」の他、短篇と創作に関するエッセイがいくつか入っている作品集。創作エッセイは非常に参考になる。

・「夏の終り」について。リゾート地にシーズン後も残ることにした夫婦が、だんだんと孤立していく物語。なんともいえない嫌な味がある。

・「ルイザよ、帰ってきておくれ」について。家出して近くの町に隠れ住んでいた娘が、家族が自分を探していることを知り、知り合いと共に家に戻るが、家族は娘のにせものだと言って追い返されるという物語。非常にジャクスンらしい話だと思う。

・「夜のバス」について。老婦人がバスで降りる場所を間違え、最寄の宿屋に止まるがそこで恐ろしい体験をする…という話。『くじ』収録の「歯」と似た雰囲気がある。


・shigeyukiさんによる、ジャクスンと似た雰囲気を持つ作品のリスト紹介。
ジーン・リース「サルガッソーの広い海」
ハナ・グリーン「デボラの世界」
アンナ・カヴァン「アサイラム・ピース」
デューナ・バーンズ「夜の森」
残雪「黄泥街」
マーガニータ・ラスキ「ヴィクトリア朝の寝椅子」
イルゼ・アイヒンガー「より大きな希望」
ウニカ・チュルン「ジャスミンおとこ」
ソログープ「光と影」
ウィリアム・フォークナー「エミリーに薔薇を」
ヘンリー・ジェイムズ「ねじの回転」
P・K・ディック「暗闇のスキャナー」
J・G・バラード「楽園への疾走」
アーサー・マッケン「夢の丘」
リチャード・ブローティガン「ハンバーガー殺人事件」
西丸四方「病める心の記録 ある精神分裂者の世界」

・ソログープ「光と影」の結末は「ずっとお城で暮らしてる」の結末のイメージと近いものがあると思う。

・デューナ・バーンズ「夜の森」について。同性愛的・性的な要素の強い作品。

リチャード・ブローティガン「ハンバーガー殺人事件」について。ハンバーガーの代わりに拳銃を買ってしまう主人公の話。

・何が起こっているのかわからない、という作品がいちばん怖い。理屈に落ちない作品の方が心に残る。

・復刊されたアンソロジー『怪奇礼賛』(中野善夫/吉村満美子編 創元推理文庫)について。冒頭の収録作品が「塔」(マーガニタ・ラスキ)、最後が「のど斬り農場」(J・D・ベレスフォード)という構成はインパクトが強い。

・マーガニタ・ラスキ『ヴィクトリア朝の寝椅子』について。ヴィクトリア朝の寝椅子を手に入れたことから、ヴィクトリア朝の瀕死の病人に意識が転移してしまう婦人を描いた幻想小説。得体の知れない雰囲気が強烈。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第9回読書会 参加者募集です
 2017年10月8日(日曜日)に「怪奇幻想読書倶楽部 第9回読書会」を開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年10月8日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1500円(予定)
テーマ
第1部:怪奇幻想小説の叢書を振り返る
第2部:作家特集 シャーリイ・ジャクスン

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。


 第1部のテーマは「怪奇幻想小説の叢書を振り返る」。
 戦後日本において刊行されてきた、怪奇幻想小説の叢書やシリーズについて話していきます。例えば《ドラキュラ叢書》《妖精文庫》《世界幻想文学大系》《異色作家短篇集》《バベルの図書館》《魔法の本棚》《ダーク・ファンタジー・コレクション》《ナイトランド叢書》など。
 それぞれの叢書の特徴や、セレクションの内訳、また刊行年代や、どのようにそれらが受容されてきたのかなども、合わせて検討したいと思います。

 第2部は「作家特集 シャーリイ・ジャクスン」。
 幽霊屋敷ものの名作『丘の屋敷』(『山荘奇談』)、暗黒のメルヘン『ずっとお城で暮らしてる』、いまだに論議を呼び続ける問題作『くじ』など、ワンアンドオンリーとしか呼びようのない作品を残した作家、シャーリイ・ジャクスンについて話していきたいと思います。
 近年、復刊や未訳作品の邦訳も進み、ジャクスンの多様な面に触れることができるようになってきました。ジャクスンについて語るには絶好のタイミングではないでしょうか。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会 開催しました
 8月27日の日曜日、JR巣鴨駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め10名でした。
 テーマは、第1部「世界の終わりの物語」、第2部「リチャード・マシスンの世界」です。参加してくださった方には、お礼を申し上げたいと思います。

 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。

 今回も、参加者全員のプロフィールをまとめた紹介チラシを作りました。チラシをPDFにしたものを、メールにて事前に配信しています。

 第1部のテーマは「世界の終わりの物語」。何らかの要因により、文明が崩壊したり、人類が絶滅の危機に追いやられる様を描いた作品、いわゆる「破滅もの」について話していこうという企画です。
 当初は、1950~60年代に書かれた破滅ものジャンル作品をメインに話したいなと思っていたのですが、それらの本がほとんど絶版なので、結局、ウィンダムやオールディス、バラードなどの有名作品に話題がしぼられていった感じでしょうか。
 あと、第2部テーマのマシスンの『アイ・アム・レジェンド』も同テーマの作品なので、第1部でも話題に上がりました。
 小説作品だけでなく、テーマに関連するノンフィクションを少し紹介できたのも、良かったかなと思います。

 第2部のテーマは「リチャード・マシスン」の世界。小説・映像の分野で活躍したアメリカの作家、リチャード・マシスンの作品を見ていこうという試みです。
 もともとマシスンの作品を読み込んでいた人のほか、今回初めて読んだ人もおり、いろいろな意見が出て盛り上がりました。
 ちょっと古びているという意見もあれば、古びている中にも普遍的なテーマが感じられるという意見もありました。エンターテインメントながら、もともと作品にテーマ性が強い作家なので、『激突』『縮みゆく男』『種子まく男』『運命のボタン』など、個々の作品についてもいろいろ話せたのではないかなと思います。

 また、参加者のshigeyukiさんには、『ウィアード・テイルズ』や、ホジスンの『ナイトランド』の短縮版『X氏の夢』、シルヴィア・タウンゼント・ウォーナーの『猫のゆりかご』の原書などを持ってきていただきました。普段あまり見ることのできない希書を見ることができ、眼福を得ることができました。お礼を申しあげておきたいと思います。

 それでは、以下主だったトピックを順不同で並べていきます。


●第1部
・リチャード・マシスン『終わりの日』について。太陽の影響により人類が死滅することがわかった世界で、自暴自棄になっていた若者たちを描く短篇。結末は感動的。

・ジョン・クリストファー作品について。災害後の世界がかなりシビアに描かれる。ハッピーエンドにならないところがイギリス的というべきか。『草の死』『大破壊』など。

・J・T・マッキントッシュ『300:1』について。地球が住めなくなるため、他惑星に移住を計画するも宇宙船に乗り込めるのは全人類の300人に1人、という話。地球を脱出するまでの混乱を描く部分がリアルでインパクト大。

・スティーヴン・キングの破滅もの作品について。『霧』『セル』など。『霧』はラストで少し希望が見えるなど、完全な絶望に陥らせないところが前向き。

・ジョン・ウィンダム『トリフィド時代』について。天体の影響により盲目になった人類を、放たれた吸血植物が襲うという話。同著者の『さなぎ』や『海竜めざめる』もそうだが、ウィンダム作品では、人類が危機に立たされていても、当事者意識が薄く「観察者」的な立場を取る主人公が多い。

・「心地よい破滅もの」について。オールディスが提唱した概念。破滅的な状況に追い込まれても、事態を傍観していたり、無人の町で好き勝手な行動をしたりするような作品を言う。具体的にはウィンダム作品などを想定しているらしい。

・ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』について。巨大植物が繁茂し、文明が失われた地球を舞台にした作品。似たようなテーマだが、トマス・M・ディッシュ『人類皆殺し』の方は、殺人植物に襲われてどんどんと人間が死んでいくという、救いのない話。

・トマス・M・ディッシュ『降りる』について。永遠にエスカレーターを降り続ける男を描いた寓意的短篇。

・J・G・バラード『結晶世界』について。単なる破滅ものというより、滅びの美を描いたデカダンな作品だと思う。

・J・G・バラード『狂風世界』について。狂風で全てが吹き飛ばされてしまう世界を描いた作品。後半に、大富豪が風に対抗する巨大建造物を作るが、結局吹き飛ばされてしまうという展開がある。

・J・G・バラード『燃える世界』について。雨が降らなくなり、水がなくなっていく世界が舞台。結末で事態が改善する。

・J・G・バラード『沈んだ世界』について。海面が上昇し、都市が水に沈んだ世界が舞台。主人公たちは生活が成り立たなくなっても、なぜか特定の場所にとどまる。後半はなんだかスピリチュアルな話に。

・ブライアン・エヴンソン作品について。短篇でも、世界の破滅感が色濃く感じられる

・つくみず『少女終末旅行』について。終末を迎えた世界を少女たちがめぐっていくという、ロードムービー風コミック。世界そのものへの興味はあまり感じられないところが特色。

・日本の破滅ものは「心地よい破滅もの」タイプが主流ではないか?

・デュ・モーリア『鳥』について。突然鳥が人間を襲い始めるという話。理由も何も説明されないところが不気味。

・シャーリイ・ジャクスン『日時計』について。世界が終末を迎えるという予言を聞いた家族が繰り広げる模様を描いた作品。実際に終末が訪れたかどうかもわからないという、象徴的な「終わりの物語」。

・W・H・ホジスン『ナイトランド』について。遠未来に、異次元からの怪物が徐々に侵入しつつある世界で、細々と生き延びる人類を描いた作品。終末的な世界観が素晴らしい。

・H・G・ウェルズ『タイムマシン』について。後半、主人公は、遠い未来の地球の黄昏に出会う箇所がある。

・コーマック・マッカーシーについて。『ザ・ロード』『チャイルド・オブ・ゴッド』など。

・マーガレット・アトウッド『オリクスとクレイク』について。

・キングの『ザ・スタンド』より、その影響を受けているマキャモン『スワン・ソング』の方が面白い? 『スワン・ソング』はかなり好き嫌いの分かれる作品だと思う。マキャモンなら、短篇の方が面白い。『ブルー・ワールド』、『ベスト・フレンズ』など。

・グレッグ・ベア『ブラッド・ミュージック』について。進化した細胞によって、人類が変貌してしまう世界を描いた作品。最終的には物理的な世界まで崩壊してしまうのがすごい。

・ハーラン・エリスンは、アイディアの権利についてうるさい。映像作品については言いがかりに近いものもあると思う。

・エドガー・バングボーン『デイヴィー』について。

・しりあがり寿『方舟』について。洪水になった世界で人類の滅亡を描く作品。方舟が企業の宣伝として作られるなど、最後まで人間が自分たちの滅亡を信じられないというスタンスが面白い。

・厳密には破滅ものではないが、現代SFでは、人間が精神エネルギー体になってしまったり、仮想世界の住人になってしまったりする作品がある。

・飛浩隆作品について。寡作だが、どれも質の高い作品が揃っている。『グラン・ヴァカンス』は、仮想世界を扱っている作品だが、独自の世界観が魅力。作者の言葉の使い方は独特で、特に造語力が素晴らしいと思う。

・破滅ものフィクション(特に映画)では、インフラについて描かれることが少ない。電力はどうなっているのかとか、人がいなくなった原発はどうなっているのかとか。ドイツのゾンビ映画『END』では、ゾンビと同時に、原発の被害の影響が描かれていて面白かった。

・映画版『アイ・アム・レジェンド』では、主人公が住んでいる家に実験室やシェルターなど、すごい設備が整っているが、そのあたり説得力が足りない気がする。

・トーマス・トウェイツ『ゼロからトースターを作ってみた結果』について。精製されたパーツもなく、原材料からトースターを作れるのか? という試みを記録したノンフィクション作品。結果的に品物は作れたものの、まともなものにはならなかった。

・現代社会では、どんなに知識があっても、個人ではまともな製品を作ることは難しい。

・ルイス・ダートネル『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』について。文明が壊滅状態になった後、再起動をするために必要な知識を記したマニュアルを作るにはどうしたらいいか? というテーマのノンフィクション。文明が滅ぶパターンを「マッドマックス型」と「アイ・アム・レジェンド型」に分類しているのが面白い。

・ジェローム・ビクスビイ『きょうも上天気』について。超能力を持った少年を描いたホラー短篇。『ミステリーゾーン』劇場版『トワイライトゾーン』と映像化されているが、最初の『ミステリーゾーン』版の方が想像力を刺激する作りで面白かった。

・ナイジェル・ニール『エンバンブエの計算』の紹介。アフリカの呪術師が時間の停止を予言するが…という話。事態が、老婦人たちの読書会の席上で伝聞的に語られるという技巧的な作品。よく読まないと、結末がわかりにくい。


●第2部
・『激突』について。ふとしたきっかけからトラックに追いかけられ殺されそうになる男の話。追ってくる車の運転手について全くわからないのが不気味。意外と短い中篇なのに、映画化作品はサスペンスが途切れないのがすごい。

・マシスンは、デュ・モーリア原作のヒッチコック映画『鳥』の脚本家候補だったが、あまり鳥を見せない方がいい、と言ったらしい。

・『縮みゆく男』について。放射能の影響で体が少しづつ縮んでゆく男の話。主人公の男や人間としての尊厳が失われていく過程がつらい。後半、極小になってからのサバイバル描写は素晴らしい。

・映画版『縮みゆく人間』について。1950年代の映画なので、特撮は今見ると弱いが、物語自体には今でも魅力がある。小説に比べ、小さくなってからのサバイバル描写の方に比重がある。また小説では時系列がカットバックになっていたが、映画では時系列順に語られている。棚の上に乗っている食料を手に入れるための主人公の行動が、工夫に満ちていて面白かった。

・『縮みゆく人間』の続編映画の構想では、主人公の妻も縮んでゆくという話だったらしい。

・マシスン作品の主人公は、意外と嫌な性格の人物が多い。『縮みゆく男』でも、妻はよくできた人だが、夫(主人公)はかなり身勝手に感じる。

・『アイ・アム・レジェンド』(『地球最後の男』)について。ウィルスによる吸血鬼化で世界が滅ぶという物語。後半のひねりが秀逸。作者はドラキュラ映画から、この作品を発想したらしい。後のロメロのゾンビ映画に影響を与えたということでも里程標的な作品といえる。

・藤子・F・不二雄『流血鬼』について。マシスン『地球最後の男』のオマージュ短篇漫画。結末を真逆にしてハッピーエンドにしているところが秀逸。作品に登場するウイルスの名前が「マチスンウイルス」になっているところに、原作者への敬意がうかがえる。

・マシスンは時代的にSF作品を多く書いたように思われているが、本質はホラー的な資質を持つ作家だと思う。少数だが、怪奇小説誌『ウィアード・テイルズ』にも作品を寄せていた。

・『地獄の家』について。モダンホラーの傑作。屋敷を訪れた人間に対する攻撃力がものすごい。取り憑いていた霊がやたらと人間的なのがまたモダン。

・スティーヴン・キングには、マシスンの影響を感じる作品がいくつかある。『ミルクマン』『人間圧搾機』『痩せゆく男』『ニードフル・シングス』など。

・『愛人関係』について。トラウマがあり虚言癖のある女性をめぐるサスペンス。愛する女が、本当は殺人犯か疑いながら振り回される男が主人公。今読んでも、非常に面白い作品。

・『深夜の逃亡者』について。人妻に粘着するストーカーを描いた作品。犯人が恨んでいる元友人夫婦を監禁するのだが、この夫婦の妻の方が浮気性の悪女で、やたらと存在感がある。後半では、ストーカーの話よりも、悪女夫妻が中心のような展開に。

・『ある日どこかで』について。ロマンティックなタイムトラベルロマンス。ジャック・フィニィへのオマージュ? 過去へ行く手段が、その時代に行ったと思い込むという、フィニィ式タイムトラベルになっているのが特徴。タイムトラベルをしたという主人公の語りが手記になっていて、真実性がぼかされているのがマシスンらしい。
映画版の方がロマンス度が高い。

・『奇跡の輝き』について。自殺して地獄に行ってしまった妻を救おうとする男の話。スピリチュアル色が濃いファンタジー。死後の世界は全てが心の持ちよう、という設定が興味深い。この作品でも全体が手記になっている。

・『闇の王国』について。マシスン晩年のダーク・ファンタジー。戦友の故郷を訪れた男が、魔女や妖精たちと出会い恋仲になるという作品。妖精やその王国の描かれ方が妙にステレオタイプに描かれているが、そのあたり作者の意図的なものだとすると、相当に技巧的な作品。

・『アースバウンド 地縛霊』について。夫婦の仲を修復するために別荘を訪れた男が魅力的な女性の霊に取り憑かれるという物語。表面上はエロティックな要素が濃いが、本質は、霊を含めた登場人物のそれぞれのどろどろとした情念を描く作品だと思う。

・『奇術師の密室』について。マシスン後期のサスペンス。復讐のために大がかりな奇術を行う奇術師の話。どんでん返しの連発がものすごい。読後の印象はサスペンスというよりホラー。

・ソノラマ文庫から出た短篇集『モンスター誕生』は、表題作のネタバレになってしまっているのではないか?

・マシスンはアイデンティティーの恐怖についてテーマにすることが多い。具体的には「私だけが知っている」パターンと「私だけが知らない」パターンがあるように思う。
前者は『陰謀者の群れ』『蒸発』、後者は『機械仕掛けの神』『次元断層』など。

・『種子まく男』について。周りの人間に悪意をばらまいていく男の物語。憎悪や恨みではなく、冷静に淡々と仕事をこなしていく感じが実にいやらしい作品。『ヒー・イズ・レジェンド』でのトリビュート短篇では、種子まく男のライバル的存在が登場するが、ちょっと興醒め。

・『人生モンタージュ』について。人生が映画のようにダイジェストになってしまった男の物語。映像分野でも活躍したマシスンらしい作品。

・『二万フィートの悪夢』について。飛行機を襲う怪物にひとりだけ気付いた男を描いた作品。『ミステリーゾーン』及び映画版『トワイライトゾーン』にて映画化されている。『ミステリーゾーン』版の怪物の造形はユーモラスだった。

・『不吉な結婚式』について。迷信にこだわる男の皮肉な結末を描いた作品。ブラック・ユーモアが強烈。

・『死の部屋のなかで』について。出先のレストランで消えてしまった夫を捜す妻の物語。出だしの興味は強烈だが、現実的なオチがついてしまっているのが残念。ウールリッチのサスペンス作品にも似たようなテーマがあったり、有名な都市伝説にも同じテーマのものがある。

・『心の山脈』について。マシスンのクトゥルー風作品。淡々としているところが面白い。

・『リアル・スティール』について。原作は落ちぶれた男の哀愁ただよう話だが、映画化作品は題材だけ借りて、全く違う話になっていた。

・『狙われた獲物』について。ヴードゥ人形に襲われる女性の話。『激突』と同じくシンプルなテーマでありながら、サスペンスは強烈。

・『一杯の水』について。渇きを覚えた男を描いた作品。こんなテーマでサスペンスが発生するのはすごい。

・『天衣無縫』について。ある日フランス語を始め、様々な知識が頭からあふれてくるようになった男が主人公。オチが思いもかけないもので感心した。ドラマでの映像化作品もあり。

・『蒸発』について。主人公の周りの存在が次々と「蒸発」していくという物語。マシスンらしさが非常によく出た秀作。

・『長距離電話』について。古典的な風格のある怪談作品。この時代の作品を読むと。交換手が登場するのが味わいがある。

・『不法侵入』について。夫の出張中に妊娠した妻の物語。浮気を否定する妻が妊娠したのはなぜなのか? という作品。映像化の際には『衝撃の懐妊・私は宇宙人の子を宿した』という強烈なタイトルに。

・『激突』の巻末に書かれた小鷹信光の解説は素晴らしい。1970年代に書かれているが、今でも十分に通用するマシスン論になっている。

・小鷹信光の仕事について。必ず一次資料に当たっていたというその仕事ぶりには頭が下がる。

・『運命のボタン』について。ボタンを押すと、見知らぬ者が死に、その代わりに大金が手に入る。あなたは押しますか? という話。ボタンを押すところまではともかく、最後のオチが非常にマシスンらしい。映画化作品は、原作とは似ても似つかぬ作品になっていてびっくりした。意外にジェイコブズ『猿の手』に似ている?


●二次会
・出版点数は年々減っている。海外翻訳ものはさらに少なく、文庫が出ても絶版になるまでのサイクルが異常に早まっている。

・シャーリイ・ジャクスンについて。一番傑作だと思う作品は? 『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』『くじ』『日時計』など。

・ディーノ・ブッツァーティについて。短篇はエンタメ度高し。長篇『タタール人の砂漠』は難しい。

・アドルフォ・ビオイ=カサレスについて。『モレルの発明』『メモリアス』など。

・イタロ・カルヴィーノについて。作品によってジャンルが全然違う。《我らが祖先》三部作はどれも面白い。

・ステファン・グラビンスキについて。怪奇小説ながら、どこか暖かみがあるところが魅力。

・ケン・リュウ作品は面白い。

・ラヴクラフトの訳文について。創元版全集の訳文は意味がとりにくい箇所が多い。

・世界幻想文学大系の造本について。装丁・造本は素晴らしい。ただ、本文に柱を入れたことによって、文字が小さくなったりするなど、可読性は悪い面がある。

・怪奇幻想小説の叢書について。《魔法の本棚》《アーカムハウス叢書》《ドラキュラ叢書》など。

・ブラム・ストーカーについて。ドラキュラ一作の人? 他の作品は微妙な出来。

・レオ・ペルッツ作品について。面白い作品が多いと思うが、人によって全然合わない人もいる。

・少年漫画におけるバッシングについて。

・楳図かずおと伊藤潤二について。

・エドワード・ゴーリーについて。

・J・G・バラードとデカダンスについて。デカダンは、普通自分だけの小世界を作るものだが、バラードにおいては、それが陽光のもとに出たような開かれたものになっているのが異色。

・フランスの幻想小説について。入門書になったのは? 澁澤龍彦編の『怪奇小説傑作集4』であるという人が多いと思う。

・アルフォンス・アレについて。

・カルロス・フエンテス作品について。『アウラ』や『チャック・モール』は面白い。『遠い家族』は難解だった。

・フリオ・コルタサルについて。短篇は面白いが、けっこう読みにくい。『石蹴り遊び』は難解。

・ガルシア=マルケス作品について。幻想的な要素の入った作品が多い。『百年の孤独』は傑作。『エレンディラ』など。

・レ・ファニュ『ドラゴン・ヴォランの部屋』について。怪奇小説というよりはゴシック。ムード醸成が素晴らしい。

・ルイージ・ピランデルロについて。メタな趣向の作品がある。

・フリードリヒ・デュレンマットについて。作風はカフカ的?

・ホフマンについて。『砂男』『悪魔の霊薬』は傑作。創土社版全集の訳文は読みにくい。

・ドイツの幻想小説について。エーヴェルス、マイリンクなど。

・ベルギーの幻想小説について。ジャン・レイ、トーマス・オーウェン、ロニー兄など。
・アレクサンドル・グリーンについて。

・アンソロジーの好き嫌いについて。アンソロジーに収録された短篇一つで、作家性を判断するのは難しい。

・ロード・ダンセイニについて。ファンタジーのイメージが強いが、ミステリ、SF、ユーモアなど多彩なジャンルの作品を書いている。巨匠といっていい作家だと思う。

・エドガー・アラン・ポオについて。アメリカの小説の原型を作ったといっていい作家。ミステリだけでなく、SFや怪奇小説など、多様な作品がある。

・吸血鬼を扱った作品について。『ドラキュラ』『カーミラ』など。

・ディケンズ『信号手』について。古典的怪談の名作。ディケンズの短篇にはホラー要素のある作品がいくつかある。

・怪奇小説の洋書の古書価について。ラヴクラフト、ホジスン作品はかなり高い。ブラックウッドは意外と安い。

・ゴースト・ハンターものについて。ジョン・サイレンス、カーナッキ、ジュール・ド・グランダンなど。

・ジャック・ロンドン作品について。ボクシングもの、多人種もの、冒険者、怪奇もの、SFなど、作品の幅は非常に広い。『ジャック・ロンドン大予言』に収められた作品は、社会主義的な色彩が濃いが面白い。

・レイ・ブラッドベリ作品について。やはり初期の作品に傑作が集中している。『火星年代記』『黒いカーニバル』『10月はたそがれの国』『刺青の男』『よろこびの機械』など。『キリマンジャロ・マシーン』あたりからは、質が落ちてきている気がする。ブラッドベリは、若い頃に読んだかどうかでも、多少評価は変わってくると思う。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会 参加者募集です
 2017年8月27日(日曜日)に「怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会」を開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年8月27日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1500円(予定)
テーマ
第1部:世界の終わりの物語
第2部:リチャード・マシスンの世界

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

第1部のテーマは「世界の終わりの物語」。様々な要因により破滅を迎えた世界についての物語を集めてみたいと思います。
 例えば、寿命を迎えた地球を描くH・G・ウェルズ『タイムマシン』やW・H・ホジスン『ナイトランド』、人類がほぼ吸血鬼になってしまった世界を描くリチャード・マシスン『アイ・アム・レジェンド』、人間が結晶化してゆく世界を描いたJ・G・バラード『結晶世界』、植物に襲われる世界を描いたジョン・ウィンダム『トリフィド時代』、山椒魚によって人類が滅亡するカレル・チャペック『山椒魚戦争』など。
 滅んだ世界、あるいは滅びつつある世界で人間はどう考え、どう生きるのか? 終わりを迎えた世界についての物語の魅力とは何なのかを考えてみたいと思います。

 第2部は「リチャード・マシスンの世界」。アメリカの作家リチャード・マシスン(1926-2013)の作品群を見ていきたいと思います。
 ジョージ・A・ロメロのゾンビ映画の原型となった『アイ・アム・レジェンド』、幽霊屋敷ものの新機軸『地獄の家』、ノスタルジック・ファンタジーの名作『ある日どこかで』、縮み続ける男を描いたSF作品『縮みゆく人間』など、エンターテインメントの歴史に名を残す名作長編のほか、『13のショック』『激突』『不思議の森のアリス』『運命のボタン』などの短篇集には、ホラー・SFの名短篇が多く収められています。
 また、オムニバス・ドラマシリーズ《トワイライトゾーン》で脚本を手がけたほか、映画の脚本、自作の映画化など、映像分野でも多くの仕事を残しています。
 小説・映像の分野で大きな軌跡を残したマシスンの作品について、話し合いたいと思います。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会 開催しました
 7月30日の日曜日、JR巣鴨駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め10名でした。
 テーマは、第1部「欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)」、第2部「ラヴクラフトを読む」です。参加してくださった方には、お礼を申し上げたいと思います。
 今回は、作家のMさんに参加していただけたこともあり、実作の話なども聞くことができました。

 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。

 今回も、参加者全員のプロフィールをまとめた紹介チラシを作りました。チラシをPDFにしたものを、メールにて事前に配信しています。

 今回第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)」。前回の続きということで、英米の怪奇小説を古典から現代まで、大まかにたどっていこうという試みです。資料として、年表形式で、代表的な英米怪奇小説の作品名と作者名を年表にしたものを作りました。
 合わせて、第1・2回で使用した「怪奇アンソロジーリスト」を増補した資料も用意しました。
 前回の最後が、マッケン、ブラックウッド、M・R・ジェイムズの三巨匠あたりで終わったので、今回はそれ以降の作品について話しました。時代的に20世紀初頭あたりから始めたこともあり、パルプマガジン作品、異色作家、1960~1970年代のオカルトホラー、キング以降のモダンホラーなど、現代に近い時代の作品まで、少しづつ見れたかな、という感じです。

 第2部のテーマは、「ラヴクラフトを読む」。アメリカの怪奇小説の巨匠H・P・ラヴクラフトの作品について、話し合おうというテーマです。
 資料として、ラヴクラフトの怪奇小説紹介エッセイ『文学と超自然的恐怖』に言及されている作品のリスト(邦訳があるもののみ)を作りました。ラヴクラフトが、どんな先行作家に影響を受けているのかを知ってもらいたいという狙いです。
 参加者の中にも、全集を読破している人、1、2編しか読んだことのない人、この機会に何冊か読んだ人など、ラヴクラフトに対する読書歴も思い入れも様々な人が集まったこともあり、一面的ではない、いろいろな視点からの意見が出たように思います。

 それでは、話題になったトピックを順不同で挙げていきます。

●第1部
・怪奇幻想小説の本領は短篇にある。長編になると、夾雑物が混ざってきてしまう。スティーヴ・ラスニック・テムやチャールズ・L・グラントは、それを嫌って、長編で「純粋」な怪奇小説をやろうとした作家だと思うが、成功しているとは言いがたい面がある。

・イギリスが、18世紀から一貫して怪奇幻想的作品を伏流させているのに対して、アメリカでは、20世紀以前はトピックとなる作家が幾人かいるのをのぞけば、潮流としての怪奇幻想小説というのはなかったのではないか?

・当時のジャンルでは一流とされていた作家が、現代ではその分野では問題にされず、怪奇幻想作品のみで記憶されている作家がいる。F・M・クロフォードなど。

・ロバート・ルイス・スティーヴンスンは、怪奇幻想的作品でも、文学畑でも傑作を残した一流の作家だと思う。

・C・A・スミスは、非常に才能のある作家だと思う。ラヴクラフトと同時代に〈クトゥルー神話〉作品を書いた作家の中でも、飛び抜けてユニークな個性がある。

・C・A・スミスは、短篇の中で、いろいろな設定や世界観などを、惜しげもなく使ってしまう。下手をすると長編シリーズ作品に使えるような面白い題材を、短い作品で使ってしまうのは凄い。例えば、オーガスト・ダーレスが、ラヴクラフトではなくC・A・スミスに私淑していたら、今のラヴクラフトの位置にスミスがいた可能性もあるのでは?

・ショーン・ハトスン『スラッグス』について。ナメクジが人を襲う話だけで、長編を構成するのはすごい。シーンの見せ方のバリエーションが豊富。

・ジェームズ・ハーバート作品について。『鼠』は動物パニック・ホラーの傑作。あっという間に人間を食い尽くす鼠の話。『霧』は、霧によって狂った人間が殺しあう話でこちらも面白い。

・鼠といえば、西村寿行『滅びの笛』も鼠を扱った作品で、こちらも面白い。

・ジェームズ・ハーバート『霧』とスティーヴン・キング『霧』、ジョン・カーペンター監督の映画『ザ・フォッグ』は全く関係がないのだが、知らない人にはややこしい。

・ジョン・カーペンター監督の映画には、ラヴクラフトや《クトゥルー神話》の影響が強いと思う。とくに『マウス・オブ・マッドネス』はモロに影響が見て取れる。

・アルジャーノン・ブラックウッドについて。汎神論的な傾向が強い。『ウェンディゴ』など、自然と結びついた怪奇小説に秀作がある。『ケンタウロス』はその傾向が強すぎて、読むのが難しい。

・スティーヴン・キングは、初期作品が絶版になって、手に入らないものが多くなってきている。『デッド・ゾーン』や『ファイア・スターター』も既に手に入らない。

・スティーヴン・キング『霧』で登場する怪物は、おそらく《クトゥルー神話》に属するものだと思う。

・スティーヴン・キング『おばあちゃん』について。明らかに《クトゥルー神話》を意識した作品。《新トワイライトゾーン》で映像化された他に、近年映画化された作品もあり。映画化作品『スティーブン・キング 血の儀式』では、原作にオリジナルの膨らませ方をしていたが、これはこれで面白かった。

・スティーヴン・キングの「絶賛」はあまり信用できない。

・リンド・ウォード『狂人の太鼓』について。絵だけで構成される、サイレント・マンガの先駆的作品。解釈の余地がいくつもあり、魅力的な作品。

・現代でホラー専門で書いている英米の作家はいるのか? あまりいないと思う。ランズデール、マイケル・マーシャル・スミス、ジョー・ヒルなど。

・ポピー・Z・ブライト『絢爛たる屍』について。強烈なインパクトのある作品。再読するのはきつい。

・ジョン・コリアについて。《異色作家短篇集》のイメージから戦後の作家のイメージがあるが、すでに戦前に活動するなど、時代的には早い。

・ロバート・ブロックやリチャード・マシスン、ブラッドベリなどを除き、《異色作家短篇集》に収録された作家たちは、あまり怪奇小説史的には伝統とつながっていない?

・フェリペ・アルファウ『ロコス亭』について。同じ登場人物が使いまわされる連作短篇シリーズ。同じ名前の登場人物が他のエピソードで再登場したりするが、厳密には同じ人物でなかったりするなど、そのねじれ具合が面白い。

・1940~50年代では、ホラーがかったSF作品が多い。ハインライン『人形つかい』、エリック・フランク・ラッセル『超生命ヴァイトン』など。

・1960年代からの『ローズマリーの赤ちゃん』や『エクソシスト』あたりからのオカルト映画ブームによって、小説でもメディアミックス的な作品が生まれるようになった。

・1960~1970年代のホラー作品では、小粒な秀作がたくさん生まれたが、作家自身は一発屋的な人が多いように思う。ただ、寡作ながらトーマス・トライオンは一流の作家だと思う。

・スプラッターパンク作品について。ジョン・スキップ&クレイグ スペクター、レイ・ガートンなど、一部の作品が紹介されただけで終わってしまった。クライヴ・バーカーも初期作品(『血の本』)以降は、ファンタジーになってしまったのが残念。

・デヴィッド・アンブローズ作品について。ほとんどの作品が「仮想世界」や「パラレルワールド」ネタだが、どれを読んでも面白い。『覚醒するアダム』『偶然のラビリンス』など。

・ダグラス・プレストン/リンカーン・チャイルド『レリック』について。怪物の造形が面白い作品。

・ニコラス・コンデ『サンテリア』について。ヴードゥを扱った作品。カルト教団が出てくるが、超自然味の少ない同種の作品と違って、ちゃんとしたオカルト小説になっている力作。

・ダイナ・グラシウナス/ジム・スターリン『サイコメトリック・キラー』について。連続殺人鬼を殺して回る連続殺人鬼の話。主人公が相手の心をのぞける超能力者という設定。

・ヴードゥやゾンビなどは、中米や南米から北米に流入した文化? ホラーにおけるこの主の影響は、例えばミステリにおけるエスニック探偵の登場などとも、時代的に関係があるのではないか?

・トマス・ペイジ『ヘパイストスの劫火』について。地割れから復活したゴキブリのような古代生物の話。大部分が虫に対する研究シーンに当てられるという異色作。

・「怪物」側からの視点で描かれた作品は、わりと近年の発明だと思う。シオドア・スタージョン『それ』、W・ストリーバー『ウルフェン』など。

・ロバート・ストールマン《野獣の書》について。人間と融合した「野獣」の成長小説。融合した人間の過去や、「野獣」の秘密など、面白い作品。「野獣」からの視点描写などもある。

・橘雨璃『放課後の魔女』について。ホラーサスペンス風味の青春物語。劇中劇の形で仕込まれた芝居の趣向が面白い。

・国書刊行会の本は在庫を断裁せずに、売れるまで何年でも保管する? 30年以上前に出版された本も在庫があって、びっくりすることがある。

・因果のわかってしまった幽霊物語はあまり怖くなくなってしまう。実話怪談の怖いのは、因縁や由来もなく、ぶつっと怪異現象が提示されるところだと思う。

・同じ英語国民でも、イギリスとアメリカでは随分国民性が異なっている。アメリカ作品では根底に楽観があって、能天気に解決してしまったりするが、イギリス作品ではリアルな荒廃を描くなど、その違いが面白い。


●第2部
・《クトゥルー神話》における、ダンセイニの影響はかなり強いのではないか? 〈アザトース〉には、ダンセイニの〈マアナ=ユウド=スウシャイ〉の影が見える。

・ラヴクラフト自身の作品では、〈旧支配者〉があまり整理・体系化されていないので、関係性があまりよく分からない。

・ラヴクラフトの後進で、小説のもっと上手い作家はいる。ロバート・ブロックやヘンリー・カットナーなど。しかし彼らの書いた《クトゥルー》ものよりも、ラヴクラフト作品の方が怪奇小説として迫力があるのも事実。

・ラヴクラフトの文体は読みにくい? 会話文がなく地の文が続くので、読み飛ばしができない。本国でも名文とする人と悪文とする人に分かれるようだ。

・ラヴクラフト作品には、女性がほとんど出てこない。まともに登場するのは『戸口にあらわれたもの』や『ダニッチの怪』ぐらいだが、それもちゃんと描かれているとはいえない。

・そもそもラヴクラフトには、人間を描こうという気がないのではないか?

・ラヴクラフト作品では、主人公にあまり個性が与えられていないので、読み終えてしばらくすると、ある作品の主人公がどんな人間だったか? ということがわからなくなってしまう。

・ラヴクラフトは弟子たちの作品を添削していて、場合によってはかなりの改変をしているが、当時はそれでもめたりしなかったのだろうか。現代で同じようなシチュエーションを考えると、ラヴクラフトの人徳の成せる業という気もする。

・朱鷺田祐介『クトゥルフ神話 超入門』(新紀元社)の紹介。非常にわかりやすく書かれた入門書。この本と、東雅夫編『クトゥルー神話事典』(学研M文庫)の2冊があれば、基本的なことはだいたい分かると思う。

・ラヴクラフトは、「名状しがたい」というフレーズを使いすぎではないか。タイトルもそのままの『名状しがたいもの』という作品もあるが、曖昧すぎてイメージが湧かない

・評論におけるフレーズ「宇宙的恐怖がある(ない)」は、安易に使いすぎな気がする。

・オーガスト・ダーレス以降の〈クトゥルー神話〉は、〈旧支配者〉の超越性が少なくなっており、ラヴクラフトの当初の意図からはズレがあるのではないか? ラヴクラフト作品では、〈旧支配者〉に比べ、人間は取るに足らないものとして描かれている。

・ラヴクラフトは本来上手い作家ではなく、現在のような知名度と人気を得られたのは、多分に幸運が預かっている面があるのではないか?

・ラヴクラフトは、それ以前の怪奇幻想小説を咀嚼して、まとめ上げた総合者的な作家だと思う。彼の作品には、ダンセイニ、マッケン、ブラックウッド、ホジスンの影響などがうかがえる。

・ラヴクラフトは、後期作品になるにつれて、科学的な味付けが濃くなってくる。もっと長生きしていたらSF作家になったのでは? という説もあるが、なるほどと頷ける面もある。

・『時間からの影』について。時空を超えて精神を飛ばす超知性体を描いた作品。当時としては発想がすごい。SFでは後世に似たテーマも出てくるが、ラヴクラフトの場合、そのベクトルがSFのそれとは全く異なるところがユニーク。

・『戸口にあらわれたもの』。人格交換を扱ったホラー。最後のシーンの忌まわしさは特筆もの。

・『インスマウスの影』について。ラヴクラフト作品のエッセンスがたくさん詰まっている作品だと思う。ラヴクラフト入門に最適な作品。全集1巻の巻頭に持ってきていることもあり、出版者側としても、一番に読んでもらいたいという意図があるのではないかと思うが、この作品で挫折してしまう人が多いのも事実。

・『エーリッヒ・ツァンの音楽』について。厳密には〈クトゥルー神話〉ではないが、異界の存在をにおわせるのは神話作品っぽい。怪奇小説として秀作だと思う。

・『冷気』について。ワンアイディア・ストーリーではあるが非常に面白い。この時代に既に冷房があったというのには驚き。ブライアン・ユズナ製作のオムニバスホラー映画『ネクロノミカン』で映像化されているが、迫力があって面白かった。

・スチュワート・ゴードン監督『フロム・ビヨンド』『ZOMBIO/死霊のしたたり』は、ラヴクラフトの映像化として、非常に面白い。

・『狂気の山脈にて』について。ラヴクラフトの傑作の一つ。それまでの作品に比べ、科学的(に見える)裏付けがあり、説得力がある。〈旧支配者〉の年代記としても読め、ラヴクラフトがもっと長生きしたら、独自の宇宙誌みたいなものを書いたのではないか。

・『狂気の山脈にて』の南極探検や、『冷気』に登場する冷房など、ラヴクラフトは当時としては最新のトピックやガジェットを取り込んでいて、意外と進取の気性がある。ただ、作者の性格もあるのだろうが、それらが全て恐怖の対象になってしまうところに、彼の独自性がある。

・デル・トロ監督製作予定だった『狂気の山脈にて』はどうなってしまったのか。

・『宇宙からの色』について。宇宙からの飛来物の影響について語った作品。肉体的とも精神的ともいえない、その影響力の描き方が実にユニークだと思う。パスティーシュとして書かれた、マイクル・シェイ『異時間の色彩』では、敵がかなり物理的に寄った存在として描かれていた。

・『ピックマンのモデル』。食屍鬼について書かれたホラー。『未知なるカダスを夢に求めて』で再登場するが、そちらを読んでしまうと、『ピックマンのモデル』本編の迫力がなくなってしまう。

・『ランドルフ・カーターの陳述』について。夢をモデルにしたといわれる作品。イメージの断片みたいな作品だが、妙な迫力がある。

・『アウトサイダー』について。散文詩のように整った作品。ポオの影響が感じられる。

・『忌み嫌われる家』について。幽霊屋敷テーマの小味な秀作。アンソロジーに収録したりと、荒俣宏さんのお気に入り作品?

・『死体安置所にて』について。ラヴクラフトには珍しい、肩の力の抜けた小品。こんなのも書けるのか、という感じ。

・『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』について。ゴシック・ロマンスの色濃い作品。アンソロジー『怪奇幻想の文学』では、ゴシックを扱った巻に収録されていた。

・『死体蘇生者ハーバート・ウェスト』について。かなり軽い感じの娯楽編だが、エンタメとしては面白い。


●二次会
・ロバート・W・チェンバーズ『黄衣の王』は、ラヴクラフト作品に登場する「ネクロノミコン」に影響を与えたことで有名だが、ガジェットとしてはともかく、作品としてはあまり面白くない。

・ハヤカワ文庫NV《モダンホラー・セレクション》について。一部復刊されたのを除いて、ほとんどが絶版。内容から考えても、再版される可能性は低いので、すでにプレミア化が始まっている。

・アメコミ映画について。現代のヒーローは必ずといっていいほど悩み、葛藤する。面白いことは面白いが、爽快感はなくなってきている。

・クリストファー・ノーラン監督『バットマン』三部作は、社会的なテーマの盛り込み方が上手い。

・『アヴェンジャーズ』などのヒーロー総出演ものは、単体のヒーローものとの整合性はどうなっているのだろうか?

・宗教上、一神教より多神教の方が発生が古い。本来、神々にはヒエラルキーはないのではないか? とすると、ギリシャ神話なども後世に改竄されている可能性が高いと思う。

・〈クトゥルー神話〉が日本人に受ける理由は? ダーレス以前のラヴクラフト神話では、神々が多神教的な位置づけになっていて、そこが日本人には受け入れやすいのでは?

・ラヴクラフトは人種的偏見を持っていた。『インスマウスの影』に登場する半魚人は、アジア人やアフリカ人のメタファーなのでは?

・日本での〈クトゥルー神話〉は独自の進化をしている。〈クトゥルー神話〉を使った時代小説、美少女化した作品など、世界的に見てもユニークなのではないか。

・ナマニク『映画と残酷』について。被害者と残酷さについての説は説得力がある。殺される被害者が幸せで描写が密なほど、残酷さは増す。

・韓国映画『哭声/コクソン』『新感染』について。

・俳優イライジャ・ウッドは、ホラーにたくさん出るなど、仕事を選んでいないのがすごい。

・岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』は、面白いが厳密にはホラーではないと思う。

・アン・ライス『夜明けのヴァンパイア』は、現代にまで続く耽美ロマンスの元祖。

・吸血鬼やゾンビなど、西洋のモンスターを日本の小説でやるのはなかなか難しい。そんな中では、小泉喜美子の『血の季節』は吸血鬼小説の傑作だと思う。

・翻訳作品の独特の「翻訳文体」が苦手な人は多い。最近の作家では宮内悠介に独自の「翻訳文体」を感じる。実際の作家の話を聞いても、頭の中で翻訳をしている感じがする。

・男性読者に比べ、女性読者の方が、作品の精神的なダメージに強い? スプラッター描写は全く平気だが、精神的な虐待描写などには弱い男性読者もいる。ジャック・ケッチャム、シャーリィ・ジャクスン作品など。

・シャーリィ・ジャクスン作品について。『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』は、読後精神的なダメージが大きい。

・動物ホラー作品について。一時期流行っていたことがあり、その対象はさまざま。犬、猫、鳥、コウモリ、鼠、ミミズ、鮫など。

・最近は、マグノリアブックスからホラー作品がたまに出版されるようになった。スペイン作品なども出していて要チェック。ブレイク・クラウチ他『殺戮病院』も面白い。

次回、第8回読書会は8月末頃を予定しています。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会 参加者募集です
 2017年7月30日(日曜日)に「怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会」を開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年7月30日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1500円(予定)
テーマ
第1部:欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)
第2部:ラヴクラフトを読む

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

 第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)」。
 前回に引き続き、英米の怪奇幻想小説全般に関するトークです。
 ゴシック・ロマンス、怪奇スリラー、ゴースト・ストーリー、異色短篇、パルプ小説にモダンホラー。一口に「怪奇幻想小説」と言っても、その種類は様々です。
 欧米の怪奇幻想小説に興味があるけれど、まず何を読んだらいいの? どんな作品があるの? といったところから、お勧めアンソロジーや参考書の紹介まで、欧米の怪奇幻想小説の本場であるイギリス・アメリカ作品を概観していきたいと思います。

 第2部は「ラヴクラフトを読む」。アメリカの怪奇小説家、H・P・ラヴクラフト。彼の作品は、欧米のみならず、現代日本のアニメやコミックにまで影響を及ぼしています。
 ラヴクラフト作品の魅力はどこにあるのか? 伝統的な怪奇小説とのつながりは? 《クトゥルー神話》の創作者としてのラヴクラフトというよりは、怪奇小説家としてのラヴクラフト。彼の作品そのものを、虚心に読み直してみたいと思います。

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怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会 開催しました
 6月18日の日曜日、JR巣鴨駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め9名でした。
 テーマは、第1部「欧米怪奇幻想小説入門(英米編1)」、第2部「ファンタスティック・マガジン」です。参加してくださった方には、お礼を申し上げたいと思います。
 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。

 今回も、参加者全員のプロフィールをまとめた紹介チラシを作りました。チラシをPDFにしたものを、メールにて事前に配信しています。

 今回第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編1)」ということで、英米の怪奇小説を古典から現代まで、大まかにたどっていこうという試みです。資料として、代表的な英米怪奇小説の作品名と作者名を年表にしたものを作りました。
 合わせて、第1・2回で使用した「怪奇アンソロジーリスト」を増補した資料も用意しました。

 本当は、時代順に見ていこうという心積もりだったのですが、細かく見ていくと時間がかかってしまうのと、あまり馴染みのない時代の作品(特にゴシック・ロマンスなど)もあるため、時代的に行ったり来たりという感じになってしまいました。
 また、英米編とはいいつつ、フランスやドイツ・ロシア作品の話にもなったりと、少しまとまりに欠けた気はしています(話題が広がるという意味では楽しいのですが)。

 第2部は、「ファンタスティック・マガジン」と称して、怪奇・幻想に関わる雑誌についてのトークでした。『ナイトランド』以外は、基本的に、ほぼ昔の雑誌ばかりになってしまいましたが、珍しい雑誌を持ってきてくださった方もありました。ビジュアル的に見て楽しいものが多かったので、こちらはなかなか盛り上がったかと思います。

 それでは、話題になったトピックを順不同で挙げていきます。

第1部
・ゴシック・ロマンスについて。必ずしも超自然現象が発生せず、人間の仕業であることもある。わりとご都合主義。宗教的な描写が多い。
・ホレス・ウォルポール『オトラント城奇譚』について。怪奇幻想小説の嚆矢とされる作品。かなり荒唐無稽な時代劇だが、それが逆に面白い。
・クレアラ・リーヴ『イギリスの老男爵』について。『オトラント城』に直接的な影響を受けている作品。『オトラント城』の超自然要素を不自然だとして、その部分を自然に描いた、というコンセプトの作品だが、今読むとあまり面白くない。ただ、後半の資産相続をめぐる部分が下世話で、そこのところは面白く読める。
・ウィリアム・ベックフォード『ヴァテック』について。邪悪な魔術に入れ込む母子の地獄墜ちの物語。主人公たちが行う所行は残酷そのものだが、描写のデフォルメが強烈であまり陰惨にならないのが面白い。
・ウィリアム・ゴドウィン『ケイレブ・ウィリアムズ』について。メアリ・シェリーの父親にして、無政府主義者のゴドウィンが、自分の思想をエンタテインメントの形で描いた作品。ミステリの元祖ともいえるサスペンス小説。主人公が罪を暴こうとした領主から迫害される作品。その追い詰め具合が強烈だが、主人公の動機が「好奇心」というのが、ちょっと動機としては弱い気がする。白水Uブックス版には、結末が2パターン収録されている。
・マチューリン『放浪者メルモス』について。魂を手に入れようと時空をめぐる怪人の話。宗教談義の部分が長いが、物語そのものは面白い。語りが入れ子状になっていて複雑。国書から出た合本版は、分厚くて読みにくい。
・メアリ・シェリー『フランケンシュタイン』について。作者が若くして書いた傑作。哲学的なテーマをはらんでいて、学問的な対象になるのも納得。物語は悲劇的なトーンが濃い。
・海外と日本のロボットや機械に対するイメージの違いについて。海外では、『フランケンシュタイン』やチャペック『ロボット』など、ロボットや機械は人間に敵対するものとしてのイメージが強いが、日本ではロボットや機械を「友人」や「仲間」として考える傾向がある。手塚治虫の『鉄腕アトム』の影響もあるのではないか。
・ジェイムズ・ホッグ『悪の誘惑』について。まっすぐに育った兄と狂信的な環境で育てられた弟の物語。物語が手記という形になっており、超自然的な現象が本当なのかどうかが曖昧になる構成。作者自身までが顔を出し、手記の真実性を曖昧にするなど、技法としては、かなり近代的な傑作。今読んでも面白い。
・ディヴィッド・パンター『恐怖の文学』について。恐怖小説についての通史。ゴシック・ロマンスが主体の本。2巻は出ないのだろうか。
・エドガー・アラン・ポーの作品について。ほとんどが短編作品だが、だいたいの作品において無駄が感じられない。ポーの短編作品を映画化した作品を見て、間延びした感じを受けるのは、原作に無駄がない証拠か。
・ブルワー=リットン『幽霊屋敷』について。最も怖い小説と言われることがあるが、今読むとそれほどではない。後半オカルト科学っぽい展開になったりと、意外に近代的な要素がある作品。
・フィッツ=ジェイムズ・オブライエンについて。ポーとビアスの間をつなぐと言われる作家。ホラーというよりファンタジーに近いが、傑作が多い。『あれは何だったか?』は、乱歩の分類することろの「透明怪談」で、ユニークな発想。光文社古典新訳文庫の選集『不思議屋/ダイヤモンドのレンズ』は訳も読みやすい。
・J・S・レ・ファニュについて。基本的に長篇はゴシック・ロマンスに分類される作家。今読むと長篇は退屈なものが多い。短篇は近代的な作品がある。『吸血鬼カーミラ』や『緑茶』は、今読んでも面白い。最近出た傑作集『ドラゴン・ヴォランの部屋』も面白かった。
・ロバート・ルイス・スティーヴンソンの作品について。『ジキル博士とハイド氏』は、二重人格を扱った傑作。短篇でも面白い怪奇作品が多い。
・怪奇小説を精神分析的な視点で読むという批評があるが、不毛な気がする。
・アーサー・マッケンについて。気色の悪い作品が多い。純粋な怪奇小説とはいえない作品も多いが、『夢の丘』は傑作だと思う。『怪奇クラブ』『白魔』など。
・M・R・ジェイムズについて。伝統的なゴースト・ストーリーを一つの様式にまで高めた作家。主人公は学識豊かな古文書学者とか考古学者で、遺跡や古文書の調査の過程で幽霊や妖怪に遭遇する…というパターンが多い。アンソロジーで読むと安定した感じだが、続けて読むと飽きてしまうことも。
・アルジャーノン・ブラックウッドについて。イギリスでは初?の怪奇プロパー作家。オーソドックスな怪奇作品だけでなく、変わった発想のものも多い。『人間和声』『ケンタウロス』など。
・ブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』について。『フランケンシュタイン』などと並び、学問的な対象になることも多いが、そこまで高尚な作品ではないと思う。エンタメとしては非常に優れている作品。
・W・W・ジェイコブズ『猿の手』について。3つの願いをめぐる作品だが、それぞれの願いとその顛末の流れが完璧に近く、大変な傑作だと思う。
・フランシス・バーネット『白い人たち』について。あまり知られていないが、ゴースト・ストーリーの傑作。
・オーガスト・ダーレスの怪奇小説について。少年や子供を題材にしたジェントル・ゴースト・ストーリーに味がある。
・ちくま文庫は、時々怪奇幻想系のいい本が出る。風間賢二編『クリスマス・ファンタジー』『ヴィクトリア朝空想科学小説』は、すごくいいアンソロジー。
・国書刊行会《世界幻想文学大系》には、訳が読みにくいものも結構あった。ペトリュス・ボレル『シャンパヴェール悖徳物語』は、まるでマンガで使うようなルビの使い方がされていて、驚かされた。
・ダイアナ・ウィン・ジョーンズについて。意外にブラックだったり、怖い作品もある。
・アイルランドの怪奇小説について。ケルト文化に通じる作品には、キリスト教圏とは違った味わいがある。
・フィオナ・マクラウドについて。神話的な味わいのある短篇作品を書いた作家。『ケルト民話集』など。
・都筑道夫編『幻想と怪奇』(ハヤカワ・ミステリ)は、日本では先駆的な怪奇アンソロジー。古典的な作品に混じって、スタインベック『蛇』やカポーティ『ミリアム』など、従来は怪奇小説とはされていなかった作品を収録したところが新しい。
・ロバート・ヒチェンズ『魅入られたギルディア教授』について。霊に憑かれる男の物語だが、それが女性らしい霊で肉感的なところが斬新な作品。
・ジョン・ケンドリック・バングズ『ハロウビー館のぬれごと』は、幽霊を凍らせて退治するというユーモア怪談。楽しい作品。
・ダフネ・デュ・モーリア『レベッカ』について。ゴシック的な作品。短篇に比べてロマンティックな要素が濃い。
・アシモフ他編『クリスマス13の戦慄』について。わりと伝統的な怪談の多いアンソロジー。ラムジー・キャンベル『煙突』は、サンタの死をテーマにしたショッキングな作品。
・アンソロジー『バレンタイン14の恐怖』について。ウィリアム・F・ノーランの『ピエロに死を!』がバットマンをモデルにしたユニークな恐怖小説。
・ゾンビもの作品について。ホラー分野では従来マイナーだったゾンビが今や主流派に。日本ではマンガなどにも取り上げられるようになった。
・J・スキップ&C・スペクター編『死霊たちの宴』について。ゾンビをテーマにしたアンソロジー。ブライアン・ホッジ『がっちり食べまショー』は、タイトルからして強烈。後に長篇化するフィリップ・ナットマン『始末屋』は、知性を保ったゾンビを扱った作品。
・《破滅もの》における、イギリス作品とアメリカ作品の違いについて。イギリス作品はリアリズム重視で、暗い世相を描くのに長けているが、アメリカ作品では楽天的で簡単に復興してしまうものなどもある。
・フェリース・ピカーノ『透きとおった部屋』について。1970年代の作品だが、ストーカー的な題材を扱った面白い作品。
・怪奇小説の主流はバッド・エンドにある? アメリカ作品、とくにモダンホラーでは怪物や幽霊は退治されてハッピーエンドになってしまうことが多い。
・スティーヴン・キング『霧』の面白さ。映画化作品はちょっとどうかと思う。
・ジェームズ・ハーバートの『霧』について。霧によって人間が凶暴化する。B級だが面白い。
・怪奇実話について。怪奇小説と怪奇実話のファン層は、意外と重ならない? フィクション好きからすると、怪奇実話はあまり想像力の飛躍が感じられない。
・スティーヴ・ラスニック・テム『深き霧の底より』について。山奥の村を舞台にした静かなホラー。村人たちの間で怪奇現象が頻発する様を細かく描いた作品。雰囲気は素晴らしい。怪奇現象の一環として登場する熊が暴れるのは、ちょっと雰囲気を崩しているような気がする。
・モダンホラー作品とゴシック・ロマンスは意外に共通点があると思う。
・ロバート・コーミア作品について。子供を主人公にしても、かなり心理的にきつい作品を書く作家。『フェイド』は透明になる能力を持った少年を主人公にした超能力悲話的な作品。他に『心やさしく』など。
・サイモン・クラーク『地獄の世紀』について。大人が突如、子供を襲い始めるホラー作品。かなり残酷。後半ちょっと宗教的なトーンになってしまうのが残念。永井豪『ススムちゃん大ショック』にテーマが似ている。
・パトリック・レドモンド『霊応ゲーム』について。怪奇小説的な部分も素晴らしいが、少年小説・青春小説的な部分も素晴らしい。同著者の『復讐の子』も面白い。
・M・R・ケアリー『パンドラの少女』について。ゾンビウィルスが蔓延した世界で、知性を保ったままの少女をめぐるホラー作品。イギリス作品らしいシビアな作品世界が読みどころ。
・東雅夫編のアンソロジー《世界幻想文学大全》は、怪奇幻想のオールタイムベストで、ラインナップ的には初心者にオススメ。ただし、名訳を集めるというコンセプトなので、現代人には多少読みにくいものもあり。
・『怪奇小説傑作集』について。1巻からではなく2巻からの方が読みやすい。4巻フランス編は、怪奇小説というより編者澁澤龍彦の個性が出たアンソロジー。小ロマン派やシュルレアリスム系の作品が面白い。
・シャルル・クロス作品の面白さ。訳されている戯曲もコントのようで面白い。
・グザヴィエ・フォルヌレについて。『草叢のダイヤモンド』が非常に傑作なので、他にも傑作があるのかと思っていたら、近年出た短篇集を読んでがっかりした。一発屋?
・ロシアの怪奇小説について。
・レーミゾフの作品は非常に暗くて陰鬱。『小悪魔』など。
・アレクサンドル・グリーンについて。ロシアには珍しい陽性の作家。アルトアーツから近年刊行された短篇集が面白い。他に『深紅の帆』『黄金の鎖』など。
・仁賀克雄編『幻想と怪奇』について。異色作家系の作品を集めているので、非常にリーダビリティが高く面白い作品が多い。
・E・F・ベンスン作品について。『いも虫』など、一風変わったゴースト・ストーリーが印象的。
・河出文庫から出た《怪談集》シリーズは粒ぞろい。日影丈吉編『フランス怪談集』は、オーソドックスな怪談が多く、『怪奇小説傑作集』の4巻よりも、怪奇味が強い。ただし訳はあまり良くない。
・森英俊・野村宏平編『乱歩の選んだベスト・ホラー』について。『猿の手』の異稿版が収録されており貴重。
・ドイツ・ロマン派のメルヘン作品について。ルートヴィヒ・ティーク『金髪のエックベルト』は強烈な作品。ジョージ・マクドナルドなど、イギリス作品における影響も。
・伝説的な作品『吸血鬼ヴァーニー』はいつか読んでみたい。
・三津田信三『シェルター』について。核シェルターになぜか、マニアックなホラー映画がいっぱいあるという作品。有名無名のホラータイトルが言及されるのが楽しい。
・《異形コレクション》シリーズの『屍者の行進』は傑作揃いのアンソロジーだった。
・ケン・リュウ作品の面白さについて。中国や日本を舞台にした作品もあり、日本人にも馴染みやすい。「奇妙な味」やアイディア・ストーリーもあり、オールドSFファンにも馴染みやすいのではないか。
・中村融編『夜の夢見の川』について。巻頭のクリストファー・ファウラー『麻酔』が強烈なインパクトの怪作。
・ジェフ・ゲルブ編『ショック・ロック』について。収録作のスティーヴン・キング『いかしたバンドのいる街で』が、バカらしいアイディアながら印象が強い。
・岩波少年文庫から出ている3巻本のホラーアンソロジーは粒ぞろい。ただ、リチャード・ミドルトンなどは、子供が読んでも味わいがわかるのだろうかと心配になる。
・キノコをテーマにしたアンソロジー『FUNGI』について。日本の怪奇SF映画『マタンゴ』に影響を受けた作家たちの作品集。メインのトーンはホラーだが、変わった発想の作品も含まれており面白い。続刊は出るのだろうか。

第2部
・雑誌『幻想と怪奇』について。日本における、怪奇幻想系雑誌のさきがけ。創刊からの数号の充実度に比べ、終刊直前の薄さが目立つ。
・雑誌『牧神』について。怪奇幻想系の特集号が多い。執筆陣は非常に充実している。
・『このホラーが怖い!』について。1冊だけ刊行されて終わってしまったムック。ベスト企画の1位がロバート・エイクマン『奥の部屋』なのはビックリ。
・雑誌『奇想天外』1期について。海外作品中心、異色作家中心のラインナップで面白い雑誌だった。付録もついていて楽しい雑誌。
・雑誌『別冊奇想天外』について。主に海外作品とリストなど資料が充実していた雑誌。ファンタジー特集号は、荒俣宏入魂の一冊で、今見ても素晴らしい内容。
・同人誌『NULL』の合本の紹介。
・雑誌『OUT』について。初期はサブカル的な内容だった。
・雑誌『ムー』について。SF特集などもあった。
・雑誌『遊』について。稲垣足穂の追悼特集号のアートディレクションは素晴らしい。ただ内容は難解。
・雑誌『SFマガジン臨時増刊 ホラーマガジン』の紹介。モダンホラーブーム期に一冊だけ出たホラー増刊号。コラムや年表など貴重な企画も。
・雑誌『幻想文学』と『小説幻妖 弐』について。『小説幻妖 弐』の特集は「ベルギー幻想派」、今でも類似企画はほとんどない充実した特集。

二次会
・ブラックウッド『いにしえの魔術』と萩原朔太郎の『猫町』について。
・《世界幻想文学大系》第1期の本は、すき間がきつくて、本が箱から取り出しにくい。
・H・P・ラヴクラフト作品について。創元版全集は、3巻から訳者が変わるが、1~2巻の方が読みやすい。
・ラヴクラフトの最高傑作は?『ピックマンのモデル』『狂気の山脈にて』『宇宙からの色』『時間からの影』など。
・『クトゥルーの呼び声』は結末が印象的で、悪夢のような作品。
・ジョン・フランクリン・バーディン作品について。『悪魔に食われろ青尾蝿』『殺意のシナリオ』『死を呼ぶペルシュロン』の三作は、どれも悪夢のようなサスペンスで、とくに『悪魔に食われろ青尾蝿』はホラーと言ってもいい作品だと思う。
・《小学館ミステリー》では、何がいちばん面白いか。ジョン・フランクリン・バーディン『殺意のシナリオ』、エセル・リナ・ホワイト『バルカン超特急 消えた女』、ジョセフィン・テイ『魔性の馬』など。
・江戸川乱歩作品の面白さ。いちばん傑作だと思う作品は?『孤島の鬼』『陰獣』など。
・乱歩『黄金仮面』について。他人のキャラクターを使ったパスティーシュはなかなか難しい。
・天知茂主演『江戸川乱歩の美女シリーズ』について。突っ込みどころが多いけれど面白い。
・ロバート・ブロック作品の面白さ。『アーカム計画』はクトゥルー系の長編の中では屈指の傑作。
・猟奇事件が起こると、ホラー・バッシングが起こることが多いが、お門違いだと思う。
・国書刊行会《ゴシック叢書》は、厳密にはゴシックではない現代作品が多いのはどうかと思う。
・ジャック・ケルアックについて。『オン・ザ・ロード』『路上』など。
・池澤夏樹の『個人編集 世界文学全集』について。たまにユニークな巻がある。ジーン・リース『サルガッソーの広い海』など。
・国書刊行会の箱入り本は本棚に並んでいると独自の重量感がある。特に『ラヴクラフト全集』の存在感は強烈。
・夢野久作作品の面白さについて。短篇作品も傑作が多い。
・ボルヘス編『バベルの図書館』について。アンソロジー全体の統一感がすごい。

 次回、第7回読書会は、7月末ごろを予定しています。

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怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会 参加者募集です(再掲)
 延期していました「怪奇幻想読書倶楽部 第6回読書会」ですが、改めて、下記の日程で開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年6月18日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1300円(予定)
テーマ
第1部:欧米怪奇幻想小説入門(英米編1)
第2部:ファンタスティック・マガジン

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

 第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編1)」。
 ゴシック・ロマンス、怪奇スリラー、ゴースト・ストーリー、異色短篇、パルプ小説にモダンホラー。一口に「怪奇幻想小説」と言っても、その種類は様々です。
 欧米の怪奇幻想小説に興味があるけれど、まず何を読んだらいいの? どんな作品があるの? といったところから、お勧めアンソロジーや参考書の紹介まで、欧米の怪奇幻想小説の本場であるイギリス・アメリカ作品を概観していきたいと思います。

 第2部は「ファンタスティック・マガジン」と題して、怪奇幻想や関連領域を扱った雑誌について語りたいと思います。
 古くは『幻想と怪奇』や『牧神』、新しいところでは『ナイトランド』、また『ミステリマガジン』の《幻想と怪奇》特集や『SFマガジン』の幻想小説を扱った特集、『ユリイカ』の作家特集など。
 雑誌そのものでも、雑誌の特定の号や増刊でも構いません。こんな雑誌がこんな特集をやっていた!というものでもOK。「ファンタスティック」な雑誌について話し合いたいと思います。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学



プロフィール

kazuou

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



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