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解けない人生  米澤穂信『追想五断章』

追想五断章 (集英社文庫) 文庫 – 2012/4/20


 米澤穂信の長篇『追想五断章』(集英社文庫)は、女性から、亡き父が残した五篇のリドル・ストーリー探索を依頼された青年を描く物語です。

 経済的な事情から大学を休学せざるを得なくなった青年、菅生芳光は、伯父である広一郎の古書店に居候兼アルバイトとして暮らしていました。店に現れた若い女性、北里可南子は、ある依頼を持ちかけます。亡くなった彼女の父親北里参吾が、叶黒白というペンネームで生前書いていたという五つの小説を探して欲しいというのです。
 その小説は結末のないリドル・ストーリーとして書かれたはずだといいます。可南子の手元には、それら五つの小説の結末だけを記した紙片が残されているというのです。
 高額の報酬を提示された芳光は、大学へ復学する足しになるかもしれないと、伯父に内緒で依頼を引き受けます。同じ店でアルバイトをする女子学生の久瀬笙子にも、報酬を渡すという条件で手伝ってもらうことになります。
 しかし、小説家ではない参吾が小説を発表したのは、同人誌の可能性が高く、捜索は難しいものとなっていました。調べていく過程で、芳光は、過去に可南子の父親が「アントワープの銃声」と呼ばれる、ある事件をめぐってスキャンダルに巻き込まれていたことを知ります…。

 父親が残した五篇のリドル・ストーリーを探す娘と、その探索を手伝うことになった青年を描く作品です。娘の手元にそれぞれのリドル・ストーリーの結末を記した紙片が残されており、それを手がかりに小説を探すという、面白い趣向になっています。
 探索を進めるうちに、可南子の父親参吾が、犯罪めいたある事件をめぐって糾弾されていたことが分かり、小説はその事件に対して彼の心情を綴ったものなのではないかという疑いが発生してくるのです。
 発見したリドル・ストーリーがそれぞれ、事件に対する一つの答えになっており、さらにそれらが揃ったときにまた違う意味を持ってくる、という技巧的な手法が使われています。
 参吾の人生が少しづつ解き明かされていくのと同時に、主人公の青年芳光の人生を描く青春小説にもなっているところが上手いですね。スキャンダルはあったものの、劇的な人生を送ったらしい参吾の人生、そうしたものとは無縁どころか、経済的にも困窮している自らや家族の境遇を省みて、鬱屈した思いを抱く芳光。しかし探索の過程を経て、ある種割り切った思いに至る、という、ほろ苦い青春小説にもなっています。
 ちなみに、作中で問題となる「アントワープの銃声」は1980年代にマスコミを騒がせた「ロス疑惑」がモデルとなっているようです。作中に登場する、リドル・ストーリーの中身も紹介しておきましょう。

「奇跡の娘」
 ルーマニアのブラショフという街で、眠ったままの娘を「奇跡の娘」として喧伝する母親がいました。しかし案内人は、娘は本当は目覚めているのではないかと疑っていました。その晩、娘の家は炎に包まれます。娘が本当は目覚めているならば、家から逃げ出してくるはずだというのですが…。

「転生の地」
 インドのジャーンスィーという街で、殺人の罪で裁かれている男がいました。その地方では、転生が信じられており、死体を傷つけたものは本人のみならず家族までが道連れに処刑されるというのです。彼が被害者の心臓を突いて殺したのか、それとも憎悪のあまり死んだ後の体を傷つけたのか?

「小碑伝来」
 中国の南宋の時代、勇猛で知られた将軍は、反乱軍の前になすすべもなく敗れます。捕らえられた将軍は、自ら首を刎ねるか、妻が捕らえられている家に火を放つか、二つに一つの選択を迫られます…。

「暗い隧道」
 ボリビアの街ポトシ。元スパイと目されている男が、金を持ってきてほしいと妻子に連絡します。通ってくるようにと言った隧道は、かって革命軍が爆弾を仕掛けた危険な場所だと言われていました。男は過去の立場から隧道に仕掛けがあったことを知り得る立場にありました。
 問題がないことを知っていてその隧道を通らせたのか、それとも妻子を殺す気だったのか…?

「雪の花」
 スウェーデンのとある街。放蕩に明け暮れる資産家の夫と、それを批難しようとしない貞淑な妻。男の誕生日に、妻は美しい雪の花を得ようと、氷河の亀裂に落ちて命を落とすことになります。妻は一体何を考えていたのか…?

 どの話も、登場人物について詳しい性格描写がなされないため、結末の選択肢に関してどちらもあり得るように書かれています。その意味で<リドル・ストーリー>として上手い作品ですね。最後の話「雪の花」に関しては、作中でも特殊な扱いとなっており、これだけは他の話とは違った雰囲気のお話になっています。
 小説に隠された謎解きはなされるものの、最終的に当事者たちが何を考えて、どうしたのか? という部分は結局謎に包まれています。そうした意味で、この作品自体が<リドル・ストーリー>的な結末を迎えている感もありますね。

 さらに言うと、主人公の芳光を始め、可南子、笙子、芳光の母親や伯父など、登場する人物たちがこの後どうなるのか、といったところも曖昧なまま終わってしまうのも著者の意図的なところなのでしょう。文芸的なミステリ作品として、秀作と言って良い作品です。

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奇想世界  榊林銘『あと十五秒で死ぬ』

あと十五秒で死ぬ (ミステリ・フロンティア) 単行本 – 2021/1/28


 榊林銘『あと十五秒で死ぬ』(ミステリ・フロンティア)は、奇想天外な特殊設定ミステリを四作収録した短篇集です。

「十五秒」
 薬剤師の「私」が気が付くと、目の前に銃弾が浮いていました。見ると、自分の胸に穴が開いており血しぶきが飛んでいたのです。しかし周りの時間が自分を含め停止しているようで動くことができません。そこに現れたのは、人間サイズの巨大な猫でした。死神のようなものだと名乗る猫によれば「私」は銃弾で貫かれ死ぬ直前であるというのです。「私」には犯人と動機に心当たりがありました。絶命までに十五秒が残っていると聞いた「私」は、犯人を確認するため猫に頼み、その時間の間だけ時間を何度も止められる能力を与えられることになりますが…。
 死ぬ直前の女性薬剤師の「私」が、死神に与えられた十五秒を使って、犯人を確認しダイイングメッセージを残そうとする作品です。犯人には心当たりがあり、実際にその人物であることがすぐに確認できるので、実際の「私」の行動は、犯人に見つからないようにメッセージを残すことがメインとなります。
 犯人に見つかったらメッセージが消されてしまうので、いかに上手く犯人の目をくらますか、という工夫がされていくのが面白いですね。
 時間停止によって考える時間が与えられるとはいえ、実際の体は出血により死ぬ寸前、まともに体を動かせばその影響で短い寿命がさらに縮んでしまいます。
 生涯に残された十五秒で何ができるのか? というあたり、何ともスリリングでトリッキーな展開が描かれます。主人公が薬剤師ならではの策を練るところも面白いですね。

「このあと衝撃の結末が」
 『クイズ時空探偵』という、クイズ付きのタイムトラベルドラマを見ながら寝てしまっていた中学生の「俺」は、ドラマのヒロインが結末で死んでしまうのを見て驚きます。ドラマを最初から見ていたという姉は、ちゃんと伏線はあったといいます。
姉の口車に乗せられ、「俺」は、ドラマをダイジェストで最初から見返すことになりますが…。
 ミステリドラマの真相を推理する…というお話なのですが、そのドラマがタイムトラベルを扱った作品であること、クイズ付きであること、視聴者参加型番組であることなど、複雑な要素が加えられて、トリッキーな作品になっています。
作中話であるドラマのストーリー自体はわりとオーソドックスなお話なのですが、それをめぐる推理部分はとても魅力的。脚本家による「あなたも過去を変えられる」というドラマのコンセプトが示されるのですが、これが文字通りのトリックとしてドラマに埋め込まれる趣向はすごいですね。

「不眠症」
 体の弱い母親と二人で暮らす娘の茉莉は、時折見る妙な夢に悩まされていました。その夢では母親の運転する車の助手席に座った自分が、母親から話しかけられ、その直後に意識が飛んでしまうのです。しかも母親の言葉は夢を見るたびに変わっていくようなのですが…。
 その内容がいつも異なる、夢の中での母親の言葉は何を意味しているのか? を探ってゆく夢テーマ作品です。
 現実での親子二人きりの生活に幸福感を覚えていた茉莉は、夢の意味するものについて悩みます。夢の中での茉莉と母親との関係は、現実での関係とはどこか違っているようなのです。
 ミステリ味もありますが、これはどちらかと言うと幻想小説でしょうか。切なさも感じられる秀作です。

「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」
 日本海の北に浮かぶ赤兎島の住民には特殊な体質がありました。首が取れやすいのです。力を強くかけると首が取れてしまうのですが、十五秒以内に体につなげれば死なないのです。その事実は島外の住民には秘密にされていました。
 祭りの夜、林道を歩いていた高校生の克人は、何者かに突然襲われ、離れた場所に首を飛ばされてしまいます。死を覚悟した瞬間、たまたま来合わせた友人の姫路公は自らの首を外し、克人の首をすげ変えます。十五秒以内に首を付け替えることを繰り返し、助けを呼びに行こうと二人は考えます。
 一方、神社で発見された克人の体は灯油をかけられ燃やされていました…。
首を外すことのできる特殊な体質の島人の間での殺人事件(体だけですが)が起こるという、ユニークな設定のミステリ作品です。主人公の体を燃やし、殺そうとした犯人は誰なのか? というのがメインの謎なのですが、それ以前に、主人公たちの陥った環境が強烈で印象に残る作品です。
 他人の体であったとしても、ほぼ同い年で同じ性別であれば首をつけることができるのです。そのため主人公の克人は、友人と首を十五秒以内に付け替え続けるという、とんでもない設定です。のちには別の友人が現れ三人内で交代で作業をすることになるのですが、そのままでは、いずれ死を迎える可能性が高いのです。その間に謎を解くことができるのか? という、タイムリミット・サスペンスにもなっています。
 十五秒以上首を外しておければ人を殺せる一方、首を外したからといって即死を意味するわけではない、という性質を上手く利用したお話になっており、その奇想天外な発想には驚かされます。また、クライマックスでの解決方法の力業には唖然としてしまいます。 特殊な世界観とその謎解きが無理なく結びついていて、まさに「異形のミステリ」といえる作品です。

 「十五秒」にも感心したのですが、一番インパクトが強いのは、やはり「首が取れても死なない僕らの首無殺人事件」でしょうか。いわゆる「バカミス」の領域に入る作品だと思いますが、そのブラック・ユーモアと、意外に本格的な推理も含めて楽しい作品でした。

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謎だらけの物語  山口雅也『謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル) 』

謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル) (ミステリ・ワールド) 単行本 – 2012/8/24


 山口雅也『謎(リドル)の謎(ミステリ)その他の謎(リドル) 』(早川書房)は、謎が解決されないまま終わるという<リドル・ストーリー>をテーマに書かれた作品を集めた短篇集です。

アブラハム・ネイサン「異版 女か虎か」(山口雅也訳)
 ヘロデ王は、義理の娘であり姪でもあるサロメに執着していました。彼女が奴隷剣闘士のイアソンに夢中であることを知った王は、イアソンを《女か虎か》の刑に処することを考えます。
 それは、片方の扉に美女、もう片方の扉に虎を入れ、美女の扉を開いたらその女性との結婚、虎の扉を開けたらそのまま食い殺されてしまう、というものでした。
 美女として用意されるのが、以前からイアソンと相思相愛である侍女ミリアムであることを知ったサロメは、自らが入れ替わり扉に入ることによりイアソンと結婚してしてしまおうと考えます。一方ヘロデ王は、怒りの念だけでなく、反乱の芽を摘む意味でもイアソンを始末したいと考え、二つの扉に両方とも虎を入れてやろうと考えていました…。

 ストックトン「女か虎か」は、ヘロデ王とサロメがモデルになった作品だった、という設定で書かれた作品です。この設定自体は、ジャック・モフィットによる続編「女と虎と」で使われてはいるのですが、モフィット作品よりも更に詳細を描き込み、奥行きのある物語となっています。
 歴史学教授ツィンマーマン博士によって、物語の由来についての序文が付けられているのですが、これが本当にもっともらしく出来ています。博物館の研究員の名前が「メルクール・ボアロオ」(エルキュール・ポアロ)だったり、書簡の閲覧者の履歴に「ジャック・モフェット」(続編「女と虎と」を書いた人)の名前が残されていたりと、ディテールが楽しいですね。
 さて、物語自体ですが、原話にたっぷりとした肉付けがされて、厚みのあるお話になっています。主人公イアソンだけでなく、ヘロデ王やサロメなど、他の具体的な登場人物たちに関しても、その心理や目論見が描写され、彼らの「選択に迷う」シーンが描かれていきます。
 二つの扉に虎を入れて確実にイアソンを殺そうとするヘロデ王、自らが「美女」となりイアソンと結婚してしまおうと考えるサロメ、侍女ミリアムを愛しながらもよんどころのない状況に置かれて選択を迷うことになるイアソン…。それぞれの登場人物が、それぞれ深読みしようとすることによって、事態がどんどん複雑になっていき、結果的に何が起こったのか分からなくなる、というお話になっています。「女か虎か」だけでなく、考え得る自体が何通りも考えられるようになっているという意味で、重層的な<リドル・ストーリー>になっています。

「群れ」
 ロボット会社に勤める「私」と同僚の影山はこのところ続いている失踪事件について不審の念を抱いていました。失踪した人間を見かけた者によれば、彼らは群れのようにして行動していたといいます。生物研究所の研究員である影山は、動物同様に、人間も天敵から身を守るために群れているのではないかと話します…。

 「群れ」のように行動する人間が増え始め、それは本能的に危険を避けるためではないか…という、<奇妙な味>というか不条理風味の強い作品です。人間を超えた存在がほのめかされる…という点で、破滅SF的な味わいもありますね。

「見知らぬカード」
 いつの間にか財布に入っていた謎のカードを見つけた「私」。陰陽マークの入ったそのカードには全く見覚えがありません。キャバクラの会員証の類かと、同僚に訊ねてみると彼は狼狽えた状態で去ってしまいます。上役に訊ねると、彼は怒り出してしまいます。
また妻はカードを見た途端に家を出ていってしまいます。しかも誰もがそのカードの内容については話してくれないのです。このカードはいったい何なのか…?

 それを見た人間によって異なる反応を引き起こす謎のカード。しかもその意味や役割については誰も話してくれないのです。タイトル・内容からも、<リドル・ストーリー>の名作とされる、クリーブランド・モフェットの「謎のカード」のオマージュと思しい作品です。

アブラハム・ネイサン・ジュニア「謎の連続殺人鬼リドル」(山口雅也訳)
 巷では、謎の連続殺人鬼リドルのことが噂になっていました。彼は、子どもや老人などを誘拐し、その家族に謎々を出題するというのです。謎々が解けなかった人々は、本人も人質も殺されていました。事件を捜査するジョイス捜査官のもとには、彼女の息子を狙っているかのような脅迫文が届きます…。

 謎を出題し、それが解けなければ殺してしまうという連続殺人鬼が登場するサイコ・スリラーです。謎に正解して助かった人間もいることから、ゲームにはフェアな犯人なのかと思いきや、やはり一方的で卑劣な本性が明かされることにもなります。
 <リドル・ストーリー>が主眼の短篇集の収録作であることから、当然、最後の謎々の答えは明かされません。「訳者」曰く、論理的に答えは推理できるとのことですが、これは難しいですね。しかも謎々がエピメニデスのパラドックス「クレタ人はみなうそつきである」みたいな内容なので、ますます分からなくなってしまいます。
 「異版 女か虎か」同様、海外作家の小説の翻訳という体裁で、作者も、「異版 女か虎か」の作者アブラハム・ネイサンの息子ではないか、という凝った設定になっています。

「私か分身か」
 会社員の二見は、ドッペルゲンガーを病的に恐れていました。歓迎会の帰りに新人の美香と一緒になった二見は、駅の通路の片隅にいるホームレスの男の顔が自分そっくりなのを見つけて驚きます。一方ホームレスの「ブンさん」は、通りがかったサラリーマン風の男が自分そっくりなのを見て恐怖を抱き始めていました…。

 自分の分身を見つけた男の恐怖を描く、いわゆる「ドッペルゲンガーもの」のホラー作品です。このテーマの通例である、自分が本当に自分であるかが分からなくなるという、アイデンティティーの恐怖が描かれているのですが、それに加えてSF的な解釈もされていて、面白い作品になっています。
 結末では、自分が本当の自分なのか、ドッペルゲンガーの方であるのかが分からなくなる、という<リドル・ストーリー>的な味わいも強くなっています。
 アイデンティティーに関する恐怖の部分も「自分の人生のもう一つの可能性に対する不安」という、独特の表現がされていますが、SF的な解釈とも相まって、考えさせる作品にもなっています。


テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

「曖昧」な日常  松尾由美『いつもの道、ちがう角』

いつもの道、ちがう角 (光文社文庫) Kindle版


 松尾由美の短篇集『いつもの道、ちがう角』(光文社文庫)は、ジャンル分けを拒否するかのような、風変わりで、奇妙な味の物語を集めた短篇集です。

 奇妙なものを集めるコレクターの同僚が誘拐犯ではないかと疑う「琥珀のなかの虫」、麻疹にかかった少年が過去の記憶を鮮明に思い出すという「麻疹」、公園で知り合いになった画家が刺されたことから、その経緯を推理するという「恐ろしい絵」、マンションの階下の老夫人に呼ばれた住人たちが飼い犬殺しの容疑をかけられるという「厄介なティー・パーティ」、生け垣の隙間から覗いた女性の顔に魅了された青年が隣の家を探ろうとする「裏庭には」、幼い息子と共にシンポジウムに参加したライターが風変わりな団体と接触する「窪地公園で」、かっての恋人の贈り物を思い起こさせる品物を手に入れたことから、過去に思いを馳せる主婦の心理を描いた「いつもの道、ちがう角」の7篇を収録しています。

 明確なオチ(結末)がない作品が多く、その意味で非常に「もやもやした」味わいの強い作品集です。画家が刺された経緯を推理する「恐ろしい絵」や、飼い犬殺しの犯人を探すという「厄介なティー・パーティ」は、ミステリ的な結構が整っていますが、他の作品は意味や解釈が明確でないものが多いですね。

 最も完成度が高いのは「琥珀のなかの虫」でしょうか。休憩中のOLの真世が見つけたのは、クリームを挟む二枚のうち一枚が裏返っているクッキーでした。同僚の若村は、それを欲しがります。彼によれば、そうした個人の意思を超えたエラーや間違いに関わる品物をコレクションしているというのです。
 しかもそれらを樹脂で固め腐らないようにしているといいます。ニュースで、生まれつき障害のある女子大生が失踪したことを知った真世は、若村が人間までをも収集の対象にしているのではないかと疑っていました…。
 奇妙なものを収集するコレクターの同僚が誘拐犯なのではないのか疑うという、ホラー味の強い作品です。その疑いは杞憂だった…と見せかけて落とす結末には、<奇妙な味>風味も強いですね。

 「裏庭には」は、アパートに住む大学生が主人公。ある日、隣家の生け垣から覗いた子供とも大人ともつかぬ女性の顔に魅了された彼は、家の住人について探ろうとします。折しも、近所で小学生の少女が誘拐されたニュースを知った彼は、隣の家にその少女が監禁されているのではないかと疑います…。
 「琥珀のなかの虫」同様、こちらも犯罪を疑う話なのですが、あさっての方向から解決が来て、本来の関心の対象であった部分に超自然的ともいえる謎が残る、という意味深な作品です。変則的なゴースト・ストーリーとも取れる作品で、これは面白いですね。

 「分からなさ」では、「麻疹」「いつもの道、ちがう角」が目立っていますね。
 麻疹で高熱を出した少年が、その都度、過去の記憶を鮮明に思い出し、その中には犯罪に関わる事物も含まれていた…というのが「麻疹」
 ただ、それによって犯罪が明るみになったり、解決したりということはなく、そのまま終息してしまうという、何とも素っ頓狂な作品です。

 表題作の「いつもの道、ちがう角」は、集中でも最もとりとめの無いお話でしょうか。
 夫の急な出張で、新しい住まいでしばらく一人暮らしをすることになった主婦の「わたし」。数回カットしてもらった美容師が道の角を曲がっていくのを見た「わたし」がその道に入り込むと、そこには質屋がありました。
その店でふと気に入ったブローチを買いますが、それは学生時代に不幸な形で別れた恋人がくれた品物と似ていました。考えると、美容師自身も、その過去の恋人に似ていたような気がしてきますが…。
何気なく買った品物をきっかけに過去を思い出す、というお話なのですが、それによって導き出された推測や推理が確かめられるわけでもなく、物語自体も新たな展開を迎えるわけでもありません。飽くまで主人公の心に去来した様々な心象が描かれていくだけ、と言ってもよい作品です。
 それらが抒情的に閉じられたりするのであれば、物語の流れとして納得できるのですが、ある種の「夢オチ」のような結末がつけられており、ますますもって「もやもや」したお話になっています。
 ただ、妙な魅力があることも確かなのですよね。物語の核を追い求めていくと、はぐらかされてしまうような、不思議な魅力のある作品になっています。


テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

いなかった男  原浩『火喰鳥を、喰う』

火喰鳥を、喰う (日本語) 単行本 – 2020/12/11


 原浩『火喰鳥を、喰う』(KADOKAWA)は、かって南方で戦死した大伯父の従軍日記が発見されたことをきっかけに、不条理な出来事が相次ぐというホラー・ミステリー作品です。

 出張から信州に帰ってきた久喜雄司は、久喜家代々の墓が何者かによって傷つけられたことと、太平洋戦争で南方に従軍し亡くなった大伯父、久喜貞一の日記が現地で見つかったことを聞かされます。
 雄司とその祖父である保、妻の夕里子、義弟の亮たちは、久喜家に届けられた貞一の日記を記者たちとともに読むことになります。日記には貞一の強烈な生への執着が書き記されていました。読んでいる最中、何かに憑かれたようになった亮は、日記に「ヒクイドリヲ クウ ビミ ナリ」という謎の文章を書き込んでしまいます。
 その直後から、久喜家の周辺では異常な事件が起こり始めます。貞一のかっての部下の家が火に包まれ、日記を発見した記者が精神錯乱を起こし、そして祖父の保は失踪をしてしまいます。何かが起こっていると感じ取った夕里子は、超常現象に詳しい、ある知り合いに連絡を取ることになりますが…。

 戦争で亡くなった大伯父の日記を読んだことから、不思議な現象が多発しはじめる…というホラー・ミステリ作品です。最初は関連性の見えなかった複数の事件が、みな日記の存在に関わっていることが分かってきます。さらに、そこには生へ執着していた大伯父、貞一も関わっているらしいのです。

 話の流れから、未練を残して死んだ貞一の怨念や呪いといったものを想像するのですが、そうした方向ではなく、思いもしなかった方向に物語がシフトしていくのには驚かされます。この展開を予想できる人はそうそういないんじゃないでしょうか。
 どちらかと言うとSF的といっていい発想が扱われているのですが、SFにはならないところもユニークです。ホラーなのかミステリなのかSFなのか、明確にジャンルが分類できず、あえて分類するなら、「モダンホラー」でしょうか。
 選評を読むと、欠点も結構指摘されていて、そのあたり確かに頷けるところがあるのですが、ホラーの新しい可能性を示唆する作品として、一読の価値はあるのではないかと思います。
 内容やテーマは異なるのですが、読んでいて同じような方向性を感じたのは、デイヴィッド・アンブローズやマイケル・マーシャル・スミスの一部の作品でした。何となく分かってもらえる人には分かってもらえるでしょうか。


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霊能者の世界  嶺里俊介『霊能者たち』

霊能者たち Kindle版


 嶺里俊介『霊能者たち』(光文社)は、霊能者たちを描くホラー・ミステリ連作です。彼らが行う霊視や除霊などが一つの技術として描かれ、またそうした技術にも科学同様、しっかりとした法則性が設定されているという、面白い作品です。

 中心となる複数の霊能者たちが、霊にかかわる事件を捜査したり、彼らの周囲の人物が事件に巻き込まれたりと、全体は緩やかにつながっています。個々の霊能力者たちの「技術」もシステマチックなのですが、霊能者たちが組織化され、相互のネットワークが作られていたりする部分も含めて中心となる複数の霊能者たちが、霊にかかわる事件を捜査したり、彼らの周囲の人物が事件に巻き込まれたりと、全体は緩やかにつながっています。 個々の霊能力者たちの「技術」もシステマチックなのですが、霊能者たちが組織化され、相互のネットワークが作られていたりする部分も含めてその点、幽霊現象に対する恐怖感は薄く、その分それらに関わる霊能力者たちの日常にスポットが当たるという感じの作品になっていますね。

 複数の霊能者たちが登場しますが、メインで活躍するのは、霊視を行う未亡人長谷川祐子、代々能力者を輩出する名門、大道寺家の娘である玲奈とその婚約者勝也でしょうか。特に、玲奈と勝也のカップルは除霊を主な仕事にしているだけあり、目立って活躍していますね。
 玲奈と勝也が初登場する二篇目「霊能者の矜恃」では、彼らの仕事ぶりが描かれるのですが、そこで描かれる除霊の様子は独特でインパクトがあります。この手の霊能力者が描かれる作品で、こうした異様な描写は見たことがありません。
 霊能力者たちの除霊活動は、だいたいにおいて無機質で機械的なものとして描かれるのですが、扱う事件とその人間関係には温かみがあり、全体にヒューマン・ストーリー的な色彩が濃いのも、独特の味わいですね。オカルティックではありながら、オカルトにならない…というのも面白いところです。


テーマ:怪談/ホラー - ジャンル:小説・文学

虚構と現実  都筑道夫『怪奇小説という題名の怪奇小説』

怪奇小説という題名の怪奇小説 (集英社文庫) (日本語) 文庫 – 2011/1/20


 都筑道夫『怪奇小説という題名の怪奇小説』(集英社文庫)は、長篇怪奇小説の依頼を受けた作家が、外国の未訳の小説を盗作しようと本を読み直している内に、30年前に死んだはずの従妹そっくりの女を見つけ、彼女をめぐって奇怪な体験に巻き込まれるという怪奇作品です。

 作家の「私」は、長篇怪奇小説の依頼を受けますが、筆が進まず、かって読んだアメリカ作家の未訳の小説の舞台を日本に置き換えて盗作をしようと考えます。その本、マーク・ルーキンズの「The purple stranger」は、記憶喪失の男を主人公に、推理小説風に展開する妖怪譚という趣の作品でした。
 街をうろついているうちに、30年前に病気で死んだ従妹、小柴直絵にそっくりな女を見かけた「私」は、久しぶりに会った旧友桑沢から、彼女はゲイバーに勤めている男だと聞かされ驚きます。「私」はバーに通い、ムリという源氏名の彼女と親しくなりますが、その直後にムリは姿を消してしまいます。
 アパートの管理人から、ムリが長野に引っ越したということを聞いた「私」は、たまたま旅行に出かけようとしていた桑沢の妻、狭霧と共に長野に向かうことになりますが…。

 あらすじを要約すると上記のようなお話になるのですが、その実、そう直線的には進まない物語になっています。主人公の「私」が盗作しようと読み直している海外作家ルーキンズの「The purple stranger」の内容、そしてそれを翻案した「私」自身の小説の内容がメインの物語の中に混在しているからです。
 しかも、それらの小説の内容を受けてか、「私」の現実生活にも異様な影響が及んでいきます。時折、今読んでいるのが小説(作品内での小説)なのか、「私」の現実世界なのかが分からなくなってきます。
 さらに序盤には、「私」が展開する怪奇小説論と共に、ジョン・スタインベックの怪奇短篇「蛇」が全篇まるごと引用されるという、ユニークな構成となっています。

 異様な化け物が出てきたりと、メインとなるストーリーに関しては、ジャンル的には「伝奇ホラー」といって良い作品かと思うのですが、作中に引用される本の内容、そしてその本自体に何か異様な点があり、それが現実を変容させている可能性までもが匂わされるという、混沌とした様相の怪奇作品となっています。
 今読んでいる部分が、「現実」(主人公にとっての)なのか、引用された本の内容なのか、それによって影響された「私」の幻覚・妄想なのか。物語に設定された複数のレイヤーが入り混じる…とでも言えばいいのでしょうか。
 結末も明確な解決が訪れず、フィクションと現実が入り混じるような不思議な終わり方となっており、ある種のリドル・ストーリー的な味わいもありますね。
 それを言うと、序盤で引用されるスタインベックの「蛇」の内容も、明確な解決や意味が取れないリドル・ストーリー的な味わいで、本編を象徴するような働きをしているとも取れますね。

 序盤、海外アンソロジーに関しての言及がある部分で、アンソロジストとして、カート・シンガー、ロバート・エイクマン、ハーバート・ヴァン・サール、ピーター・ヘイニングの名前が挙げられるところも、怪奇小説ファンとしては楽しいところです。


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妻のようなもの  井上宮『じょかい』

じょかい (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2020/12/22


 井上宮の長篇『じょかい』(光文社)は、孤独な男性の家庭に入りこみ妻のふりをする妖怪のような存在「じょかい」を描いた、グロテスクなホラー作品です。

 仕事を失い職を探していた安東健次は、母親からしばらくぶりにかかってきた電話で、結婚したばかりの兄の雄貴の様子がおかしいことを知ります。様子を見てきてほしいという頼みを受ける健次でしたが気は進みません。雄貴の結婚相手は、健次の元恋人、知奈美だったからです。
 兄の家を訪れた健次は、黒いマスクをつけた六、七歳らしき見知らぬ少年がいるのを見て驚きます。兄はその子供は息子の祥太だと言います。兄自身も極端に肥満し変貌していました。さらに彼が妻だという女は、知奈美ではなく、子供と同様、黒いマスクをつけた不気味な女でした。
 女が食卓に出していたのは、悪臭を放つどろどろした謎の食物でした。兄がそれを食べているのを見た健次は、家を飛び出してしまいます。祥太から話を聞いた健次は、兄の妻のふりをしている女が「じょかい」と呼ばれていることを知ります。
 それまでの経緯を友人の悟朗に相談しますが、あまりに現実離れした事実を信じてもらえません。悟朗は似たような話としてネットで見つけてきたサイトのことを話しますが、そのサイトのタイトルは「じょかい」でした。サイトの作り手が何かを知っているのではと考えた健次は、作り手と連絡を取ろうと考えますが…。

 兄の家庭に入り込み、いつの間にか妻のふりをしている黒マスクの女とその息子らしき少年。彼らはいったい何者なのか…? 都市伝説的なテーマを扱った作品かと思いきや、いや、実際そういう要素もあるのですが、後半は豪快なモンスターホラーに変貌していきます。
 大量の肉を食べたり、謎の流動食を体から生産するなど、得体の知れない「じょかい」のグロテスクな生態と行動には、強烈なインパクトがありますね。「じょかい」の息子らしき少年も、見た目は普通の人間のようでありながら、その言動は不可解で、さらに読者を困惑させます。

 主人公が失職中で、兄に対するコンプレックスを持ち、恋人を取られてしまった過去があるなど、かなり恵まれない人物として描かれているのも特徴です。彼の周囲の主な登場人物たちも同様の不満や苦境を抱えており、それはエリートのはずだった兄雄貴も同様です。そしてそうした状況がまた、「じょかい」の侵入と行動を止められない要因にもなってしまうのです。
 怪物としての「じょかい」の恐ろしさもさることながら、登場人物たちの夫婦間、親子間、兄弟間などのコミュニケーション不全、そしてそれに伴う軋轢も描かれており、全体にかなり暗く、救いのない物語になっています。それだけに、客観的には何も解決していないどころか、悪化している状況に対して主人公が幸福感を感じている…というラストにも強烈なインパクトがありますね。

 「じょかい」による肉体的な嫌悪感と同時に、登場人物たちの関係性による精神的な嫌悪感もが描かれており、強烈な迫力を持つホラー作品となっています。
 表紙イラストでは割合人間的に描かれている「じょかい」ですが、実際は人間性のかけらもない怪物として描かれています。「ちょっと嫌な話なのかな」と思って読んだ読者は、「ちょっとどころではない嫌さ」にびっくりするのではないでしょうか。


テーマ:怪談/ホラー - ジャンル:小説・文学

雨の日の怪談  三津田信三『逢魔宿り(あまやどり)』

逢魔宿り (日本語) 単行本 – 2020/9/30


 三津田信三の短篇集『逢魔宿り(あまやどり)』(角川書店)は、ノンシリーズの怪奇短篇を集めた作品集です。

 見知らぬ老婆と共に家に籠もった少年が魔性のものに家を占拠されていくという「お籠りの家」、子供の描いた絵が後の不幸を予告するという「予告画」、宗教施設の夜警として雇われた男が超自然現象に遭遇する「某施設の夜警」、祖母の代わりに見知らぬ屋敷に香典を上げに訪れた少女の不気味な体験を描く「よびにくるもの」、雨の日の夕方に代わる代わる怪談を話し出す家族と出会った男の怪奇談「逢魔宿り」の5篇を収録しています。

 「怪異と謎解きの美しき融合」という惹句がついていますが、ミステリ的な要素よりもホラー的な要素の方が圧倒的に強いです。どの短篇でも、幽霊なのか妖怪なのか、実体はともあれ、主人公が、そうした魔性のものに襲われるのですが、その迫力が強烈で「怖い」です。
 特に印象に残るのは「お籠りの家」「よびにくるもの」でしょうか。

 父親に連れられて、見知らぬ家で老婆とともに七日間の「お籠り」をすることになった少年の体験を描く「お籠りの家」では、子供の姿をした魔性のものに誘い出されてしまった少年が恐怖を感じるシーンが鮮烈に描かれています。
 また、後半では屋敷がだんだんと何物かによって占拠されていくというシーンが描かれるのですが、この部分もユニーク。少年自身はその魔性のものを目撃しておらず、同居する老婆の言葉によってのみ、屋敷がだんだんと占拠されていく様子が分かる、というのは、フリオ・コルタサルの名作短篇「奪われた家」を思わせて面白いですね。

 「よびにくるもの」では、毎年家族には何も明かさないまま、ある屋敷に香典を上げに行っていた祖母が、体調の悪さから孫娘に代わりの使いを頼みます。その家では特に話す必要もなく、香典だけを上げたらすぐに帰ってこいという祖母の言葉を不審に思いながら、言葉通りに帰ろうとするものの、部屋の中にいた老婆から、蔵の二階にいる人を呼んで来て欲しいと、頼まれごとをしまいます…。
 多人数にもかかわらず全く言葉も交わさない人々、異様な仏壇、得体の知れない蔵など、シチュエーションからして不気味なのですが、後半に起きる怪現象も劣らず怖いです。
 主人公が移動しても怪異が追いかけてくる、というあたり、恐怖度が非常に高いですね。

 基本的にはノンシリーズの短篇集なのですが、巻末の「逢魔宿り」では、それまでの短篇をつなげるような趣向が凝らされています。
 かって作家の三津田が編集者時代につきあいのあったというデザイナーから会いたいという誘いを受け、そのデザイナーから怪異談を聞く、という体裁のお話なのですが、もともと「逢魔宿り」以外の4篇の短篇も、作家三津田信三が集めた体験談をもとに書かれているという設定であり、そうしたメタフィクショナルな設定を含めて、ばらばらだった一連の短篇がうまく繋がるように見えてくるあたり、非常に上手いですね。


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kazuou

Author:kazuou
男性。本好き、短篇好き、異色作家好き、怪奇小説好き。
ブログでは主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。twitterアカウントは@kimyonasekaiです。
怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。twitter上の怪奇幻想ジャンルのファンクラブ「 #日本怪奇幻想読者クラブ 」主宰。
『ミステリーズ!vol.96』(東京創元社)に怪奇小説の翻訳概況を書きました。
同人誌『海外怪奇幻想小説アンソロジーガイド』『物語をめぐる物語ブックガイド』『迷宮と建築幻想ブックガイド』『イーディス・ネズビット・ブックガイド』『夢と眠りの物語ブックガイド』『奇妙な味の物語ブックガイド』「海外怪奇幻想作家マトリクス・クリアファイル」を刊行しました。



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