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2月の気になる新刊
2月6日刊 アヴラム・デイヴィッドスン『エステルハージ博士の事件簿』(池央耿訳 河出文庫 予価1320円)
2月13日刊 片山廣子『片山廣子随筆集 ともしい日の記念』(ちくま文庫 予価990円)
2月13日刊 青山南『本は眺めたり触ったりが楽しい』(ちくま文庫 予価880円)
2月13日刊 種村季弘『種村季弘コレクション 驚異の函』(諏訪哲史編 ちくま学芸文庫 予価1430円)
2月17日刊 エーリヒ・ケストナー『独裁者の学校』(酒寄進一訳 岩波文庫 715円)
2月18日刊 ベンハミン・ラバトゥッツ『恐るべき緑』(松本健二訳 白水社 予価2750円)
2月20日刊 ローラ・パーセル『象られた闇』(国弘喜美代訳 早川書房 予価3190円)
2月21日刊 南伸坊『仙人の桃』(中央公論新社 予価3300円)
2月26日刊 ベヴ・ヴィンセント『スティーヴン・キング大全』(風間賢二訳 河出書房新社 予価5478円)
2月28日刊 ジャクリーン・バブリッツ『わたしの名前を消さないで』(宮脇裕子訳 新潮文庫 予価1155円)
2月29日刊 アントニイ・バークリー『最上階の殺人』(藤村裕美訳 創元推理文庫 予価1100円)
2月29日刊 夏来健次編訳『ロンドン幽霊譚傑作集』(創元推理文庫 予価1210円)
2月29日刊 北上次郎『冒険小説論 近代ヒーロー像100年の変遷』(創元推理文庫 予価1650円)
2月刊 スタニスワフ・レム『捜査・浴槽で発見された手記』(久山宏一、芝田文乃訳 国書刊行会 予価3190円)


 アヴラム・デイヴィッドスン『エステルハージ博士の事件簿』は〈ストレンジ・フィクション〉シリーズで出ていた単行本の文庫化再刊。奇妙な味わいの奇譚集で、異色作家ファンにはお勧めの作品です。

 『種村季弘コレクション 驚異の函』は、種村季弘のエッセイの選集本のようです。以前沢山出ていた著者のエッセイ集もほとんど絶版になってしまったので、ちょうど良い企画ですね。

 ローラ・パーセルは初紹介の作家だと思いますが、『象られた闇』はヴィクトリア朝を舞台にしたホラーミステリとのことで気になります。紹介文を引用しておきますね。
「ヴィクトリア朝バース。病を抱えながらも小さな切り絵店を営むアグネスに、不穏な影が迫る。彼女に肖像画を依頼した客が次々と謎の死を遂げているのだ。真相解明のためアグネスが縋ったのは、11歳の霊媒師パールだった。降霊会を繰り返す彼女を待つ運命とは――」

 夏来健次編訳『ロンドン幽霊譚傑作集』はロンドンにまつわる怪奇小説を集めたアンソロジー。以前に出たクリスマステーマのアンソロジーが好評だったゆえでしょうか。
全13篇中、12篇が本邦初訳というのも嬉しいですね。


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2024年 新年のご挨拶
 あけましておめでとうございます。2024年の新年を迎えました。
 さっそくですが、今年の目標として、次の二つを進めていきたいと思っています。蔵書整理を進めること、課外活動を増やすこと、です。

 蔵書整理に関しては、昨年秋頃から少しずつ進めています。正直、部屋からあふれ出している分に関してもう少し処分をしないといけない、というところから始めました。
 ブックカフェのお店に寄付したり、個人的に友人にもらってもらったり、というところで少しばかり減らしましたが、もう少し整理をしたいなと考えています。今年は本格的に処分本を選定して、古書店に買取をお願いしたいと思っています。

 課外活動に関しては、既に定期的な読書会を行っていますが、こちらとは別に、あるいはスピンオフ企画としてでもいいのですが、もう少し外に出て活動したいなという思いがあります。具体的には、そうした企画を通じて、もっと人と会っていけたらいいなと考えています。

 読書の目標としては、例年通り、積読本を減らすことが第一ですね。読み残している大作や古典作品をたくさん読めたらなと考えています。

 今年もよろしくお願いいたします。

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2023年を振り返って
 もうすぐ2023年が終わります。この一年の簡単な回顧を記しておきたいと思います。

 体調的に最悪だった2022年ほどではないですが、今年も一年を通してあまり調子が良くなかったです。夏の極端な暑さと季節の変わり目で風邪を引いてしまい、治りかかってはぶり返し、の繰り返しのような感じでした。
 平日の仕事で消耗してしまい、体力的に週末のイベントに差し支えが出たことも多かったので、安定した体調と体力の維持が今後の健康課題でしょうか。

 秋頃から、部屋を埋め尽くしていた本を少し整理しようということで、蔵書整理を始めました(今も継続中です)。とりあえず500冊ぐらいを処分できましたが、まだ部屋の光景が変わるほどにもならないので、2024年度も継続していこうと思います。
 購入書もなるべく古本は抑えて、新刊のみに集中したいところです。

 主宰する読書会「怪奇幻想読書倶楽部」に関しては、僕自身の体調不良による延期などもありましたが、大体月一で安定して開催できたかなと思います。
 今まで語り合うのが難しいかなと思い、後回しにしてきたロバート・エイクマンやウォルター・デ・ラ・メア作品を取り上げたところ、意外に盛り上がって話が出来たのは、思わぬ収穫でした。

 今年出した同人誌は二冊。怪奇幻想映画を紹介した『怪奇幻想映画ガイドブック』と、テーマ別の本の紹介文をまとめた『テーマ別バラエティブックガイド』です。
 本の印刷費用に関しては、従来からじわじわ値上げの方向にはあったのですが、ロシア・ウクライナの戦争の影響で原材料が高騰し、同人誌印刷の方にも大幅な値上げが現れて驚いたのが秋頃でした。
 短いページ数の本はともかく、厚い本に関しては刊行がなかなか難しくなるのではないかと考えています。迷宮と建築をテーマにした作品を紹介する『迷宮と建築幻想ブックガイド 増補版』と、戦後日本の怪奇幻想関係の叢書を紹介する『海外怪奇幻想小説叢書ガイド』は、なんとか刊行したいと考えています。
 好評だった『海外怪奇幻想小説ブックガイド1・2』の続編『海外怪奇幻想小説ブックガイド3・4』も大まかには出来ているのですが、費用的な問題もあり、刊行時期を模索しているところです。

 それでは、2023年度に読んで面白かった本のタイトルを挙げておきたいと思います。

●海外作品
アヴラム・デイヴィッドスン『不死鳥と鏡』
ドナテッラ・ヅィリオット『トロリーナとペルラ』
ニック・ドルナソ『アクティング・クラス』
アマンダ・ブロック『父から娘への7つのおとぎ話』
カトリオナ・ウォード『ニードレス通りの果ての家』
カミーユ・デアンジェリス『ボーンズ・アンド・オール』
J・ロバート・レノン『楽園で会いましょう』
ポール・トレンブレイ『終末の訪問者』
マシュー・ベイカー『アメリカへようこそ』
マリー・ルイーゼ・カシュニッツ『その昔、N市では カシュニッツ短編傑作選』
デイヴィッド・ウェリントン『最後の宇宙飛行士』
マリアーナ・エンリケス『寝煙草の危険』
ジョゼ・エドゥアルド・アグアルーザ『過去を売る男』
ヤン・ポトツキ『サラゴサ手稿』
マックス・ブルックス『モンスター・パニック!』
マルセル・ティリー『時間への王手』
ラモン・デル・バリェ=インクラン『暗い庭 聖人と亡霊、魔物(ドゥエンデ)と盗賊の物語』
デイジー・ジョンソン『九月と七月の姉妹』
アーペル、ラウン、クラウレン『幽霊綺譚 ドイツ・ロマン派幻想短篇集』
ウィリアム・トレヴァー『ディンマスの子供たち』
ジェフリー・フォード『最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』
エドワード・アシュトン『ミッキー7』
フリードリヒ・ド・ラ・モット・フケー『魔法の指輪 ある騎士物語』
フェルディナント・フォン・シーラッハ『神』
アンニ・スヴァン『夏のサンタクロース フィンランドのお話集』
メアリー・ダウニング・ハーン『いまにヘレンがくる』
ジェイソン・レクーラック『奇妙な絵』
ジョーン・エイキン『お城の人々』
ルーシー・ウッド『潜水鐘に乗って』
ロベルト・ピウミーニ『アマチェム星のセーメ』
J・K・ユイスマンス『腐爛の華 スヒーダムの聖女リドヴィナ』
J・K・ユイスマンス『彼方 悪魔と神秘の人工地獄』
J・K・ユイスマンス『さかしま』
アヒム・フォン・アルニム『エジプトのイサベラ』
ディーノ・ブッツァーティ『ババウ』
J・C・ポーイス『モーウィン』
ケヴィン・ウィルソン『ファング一家の奇想天外な謎めいた生活』
アンソニー・ホロヴィッツ『ホロヴィッツ ホラー』
キャロライン・B・クーニー『闇のダイヤモンド』
ジェス・キッド『壜のなかの永遠』
ヴィリエ・ド・リラダン『残酷物語』
ジェローム・ルブリ『魔王の島』
ゴットフリート・アウグスト・ビュルガー『ほら吹き男爵の冒険』
エドワード・ケアリー『呑み込まれた男』
アレクサンドル・グリーン『輝く世界』
シオドア・スタージョン『輝く断片』
シオドア・スタージョン『一角獣・多角獣』
シルヴィア・タウンゼンド・ウォーナー『フォーチュン氏の楽園』
ペトリュス・ボレル『シャンパヴェール -悖徳物語-』
ホセ・エミリオ・パチェーコ『メドゥーサの血 幻想短篇小説集』
T・E・D・クライン『復活の儀式』
L・P・デービス『四次元世界の秘密』
プロスペル・メリメ『メリメ怪奇小説選』
ペドロ・アントニオ・デ・アラルコン『死神の友達』
スーザン・ヒル『黒衣の女 ある亡霊の物語』
ルネ・ベレット『わが体内の殺人者』
ディーン・R・クーンツ『ウィスパーズ』
ディーン・R・クーンツ『ファントム』
マイクル・ムアコック『暗黒の廻廊』
エリカ・リレッグ『ふたりのベーバ』
風間賢二編『クリスマス・ファンタジー』
アンブローズ・ビアス『アウルクリーク橋の出来事/豹の眼』
ジェイムズ・F・デイヴィッド『叫びの館』
ヴィルヘルム・ブッシュ『ブッシュの絵本』
スザンナ・クラーク『ジョナサン・ストレンジとミスター・ノレル』
ジョージ・マクドナルド『きえてしまった王女』
コリン・ウィルスン『ロイガーの復活』
ウォルター・デ・ラ・メア『アーモンドの木』
ウォルター・デ・ラ・メア『トランペット』
ウォルター・デ・ラ・メア『九つの銅貨』
ウォルター・デ・ラ・メア『ヘンリー・ブロッケン』
エリン・モーゲンスターン『夜のサーカス』
ヘンリー・ジェイムズ『ヘンリー・ジェイムズ短篇集』
サマンタ・シュウェブリン『七つのからっぽな家』
V・E・シュワブ『アディ・ラルーの誰も知らない人生』
マイケル・イネス『ソニア・ウェイワードの帰還』
シャーリイ・ジャクスン『くじ』
E・W・ハイネ『まさかの結末』
E・W・ハイネ『まさかの顛末』
エドガー・アラン・ポー『ポー傑作選1 ゴシックホラー編 黒猫』
J・S・フレッチャー『バービカンの秘密』
クリスチアナ・ブランド『領主館の花嫁たち』
キース・トーマス『ダリア・ミッチェル博士の発見と異変 世界から数十億人が消えた日』
ブライアン・W・オールディス『ブラザーズ・オブ・ザ・ヘッド』
マルク・デュガン『透明性』
アルベルト・モラヴィア『薔薇とハナムグリ シュルレアリスム・風刺短篇集』


●国内作品
斜線堂有紀『本の背骨が最後に残る』
斜線堂有紀『回樹』
相川英輔『黄金蝶を追って』
飛鳥部勝則『堕天使拷問刑』
飛鳥部勝則『鏡陥穽』
手代木正太郎『涜神館殺人事件』
貴志祐介『秋雨物語』
木古おうみ『領怪神犯』
木古おうみ『領怪神犯2』
柞刈湯葉『まず牛を球とします。』
鵺野莉紗『君の教室が永遠の眠りにつくまで』
嶋戸悠祐『漂流都市』
頭木弘樹編『うんこ文学 漏らす悲しみを知っている人のための17の物語』
宮野優『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』
三津田信三編『七人怪談』
『6』
山白朝子『小説家と夜の境界』
大島清昭『最恐の幽霊屋敷』
新名智『きみはサイコロを振らない』
小田雅久仁『禍』
村雲菜月『もぬけの考察』
背筋『近畿地方のある場所について』
サイトウ ケンジ『魔女の怪談は手をつないで 星見星子が語るゴーストシステム』
下永聖高『オニキス』
北山猛邦『私たちが星座を盗んだ理由』
澁澤龍彦訳『幻想怪奇短篇集』
潮谷験『時空犯』
潮谷験『スイッチ 悪意の実験』
潮谷験『エンドロール』
潮谷験『あらゆる薔薇のために』
光原百合『扉守 潮ノ道の旅人』
高橋克彦『私の骨』
小池真理子『死者はまどろむ』
柞刈湯葉『人間たちの話』
小森香折『ニコルの塔』
西崎憲『本の幽霊』
周藤蓮『バイオスフィア不動産』
入間人間『昨日は彼女も恋してた』
入間人間『明日も彼女は恋をする』
小林泰三『逡巡の二十秒と悔恨の二十年』
野本隆『バーチャル・チルドレン』
清水杜氏彦『少女モモのながい逃亡』
恒川光太郎『箱庭の巡礼者たち』
恒川光太郎『化物園』
音無白野『その日、絵空事の君を描く』
尾八原ジュージ『みんなこわい話が大すき』
千早茜『夜に啼く鳥は』
千早茜『魚神』
千早茜『あやかし草子』
千早茜『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』
貴志祐介『我々は、みな孤独である』
平井和正『悪夢のかたち』
真梨幸子『フシギ』
真梨幸子『お引っ越し』


●ノンフィクション
マイケル・ボンド『失われゆく我々の内なる地図 空間認知の隠れた役割』
マーク・ミーオドヴニク『液体 この素晴らしく、不思議で、危ないもの』
アーノルド・ファン・デ・ラール『黒衣の外科医たち 恐ろしくも驚異的な手術の歴史』
アルベルト・マンゲル『図書館 愛書家の楽園[新装版]』
アルベルト・マングェル『読書礼讃』
ノエル・キャロル『ホラーの哲学 フィクションと感情をめぐるパラドックス』
ジャック・ボドゥ『SF文学』
ジョスリン・ゴドウィン『キルヒャーの世界図鑑 新装版 よみがえる普遍の夢』
フィリップ・アサンズ『モンスターを書く 創作者のための怪物創造マニュアル』
風間賢二『ホラー小説大全 完全版』
伊佐敷隆弘『死んだらどうなるのか? 死生観をめぐる6つの哲学』
源河亨『「美味しい」とは何か 食からひもとく美学入門』
入倉隆『奇想天外な目と光のはなし』
小林昌樹『調べる技術 国会図書館秘伝のレファレンス・チップス』
中野美代子『綺想迷画大全』
喜多崎親編『怪異を語る 伝承と創作のあいだで』
野崎六助『異常心理小説大全』
田村隆一『ぼくのミステリ・マップ 推理評論・エッセイ集成』
伊藤潤二『不気味の穴 恐怖が生まれ出るところ』
頭木弘樹『自分疲れ ココロとカラダのあいだ』
平山瑞穂『エンタメ小説家の失敗学「売れなければ終わり」の修羅の道』


●コミック
セルジオ・トッピ『シェヘラザード 千夜一夜物語』
パヴェル・チェフ『ペピーク・ストジェハの大冒険』
佐藤達木『軟骨さん』
竹内佐千子『Bye-Bye アタシのお兄ちゃん』
路田行『透明人間そとに出る』
吉田光彦、高橋克彦『ばく食え』
吉富昭仁『迷宮日和』
熊倉献『ブランクスペース』
太田基之『オオタ式』
川島のりかず『フランケンシュタインの男』


●同人出版
エルクマン-シャトリアン『人狼ユーグその他の奇譚集』
X・B・サンティーヌ『夢日記より』
フレデリック・ブウテ『絞首台の下で フレデリック・ブウテ残酷戯曲集』
ウォルター・デ・ラ・メア『森の中で ウォルター・デ・ラ・メア短編集』
W・W・ジェイコブズ『猿の手 ジェイコブズ怪奇幻想作品集』
ゾラン・ジヴコヴィチ『図書館』
ロバート・ブロック、オーガスト・ダーレス『アーカム・サンプラー書評集』
H・P・ラヴクラフト『怪奇作家はダンセイニ卿を語る H・P・ラヴクラフト書簡集』


 海外作品では、今年読めて一番良かったのは、ヤン・ポトツキ『サラゴサ手稿』でしょうか。以前より完訳の予定が出ては消えていたのですが、岩波文庫から三巻本で完訳が刊行されました。全体を通して読むと、抄訳版とはまた違った味わいではあったのですが、幻想文学の奇書という評判通りの作品で、実際に読むことができて、ある種の感慨があります。
 今まであまり手を出してこなかった、J・K・ユイスマンスやウォルター・デ・ラ・メアの作品が、読んでみると意外に面白かったのは収穫でした。デ・ラ・メアは読書会で取り上げたこともあり、話し合うことでさらに面白さが増す作家だと思います。

 古典作品では、本邦初訳となる作品多数の貴重なアンソロジー『幽霊綺譚 ドイツ・ロマン派幻想短篇集』(アーペル、ラウン、クラウレン)、ユーモアに満ちた奇怪なゴシック小説『エジプトのイサベラ』(アヒム・フォン・アルニム)、奇想小説集ともいうべき『残酷物語』(ヴィリエ・ド・リラダン)、メリメのスタイリッシュな怪談集『メリメ怪奇小説選』(プロスペル・メリメ)などが読めたのが収穫でした。

 現代作品では、不思議な味わいの冒険小説『不死鳥と鏡』(アヴラム・デイヴィッドスン)、凝った構成のサイコホラー『ニードレス通りの果ての家』(カトリオナ・ウォード)、人食いの少女を主人公にした異色の恋愛小説『ボーンズ・アンド・オール』(カミーユ・デアンジェリス)、宗教的要素も強いホラー『終末の訪問者』(ポール・トレンブレイ)、読み応えのある異色短篇集『アメリカへようこそ』(マシュー・ベイカー)、奇妙な味の幻想小説集『その昔、N市では カシュニッツ短編傑作選』(マリー・ルイーゼ・カシュニッツ)、現実的な要素も強いホラー作品集『寝煙草の危険』(マリアーナ・エンリケス)、グロテスクなSFホラー『最後の宇宙飛行士』(デイヴィッド・ウェリントン)、時間SFの秀作『時間への王手』(マルセル・ティリー)、姉妹をめぐる異色サスペンス『九月と七月の姉妹』(デイジー・ジョンソン)、外れの全くない傑作短篇集『最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』、使い捨てクローンの冒険を語ったSF『ミッキー7』(エドワード・アシュトン)、家族の絆をめぐるヤングアダルトホラー『いまにヘレンがくる』(メアリー・ダウニング・ハーン)、絵を使った異色サスペンス『奇妙な絵』(ジェイソン・レクーラック)、ユーモアと哀感あふれるファンタジー集『お城の人々』(ジョーン・エイキン)、文芸身豊かな幻想小説集『潜水鐘に乗って』(ルーシー・ウッド)などを面白く読みました。

 国内作品で印象に残ったのは、以下のような作品たち。

 まず斜線堂有紀作品。それぞれ幻想小説とSFをまとめた『本の背骨が最後に残る』『回樹』が秀作揃いでした。

 次々と復刊がなった飛鳥部勝則作品も、そのインパクトの強さで印象が残りました。とんでもない設定のミステリ『堕天使拷問刑』、鏡をめぐるグロテスクなホラー『鏡陥穽』は非常に面白く読みました。

 ねじれたタイムトラベルミステリ『時空犯』を皮切りに、潮谷験作品にもはまりました。『スイッチ 悪意の実験』『エンドロール』『あらゆる薔薇のために』、それぞれユニークな設定が用意されているだけでなく、哲学的な思索も感じられるところが魅力です。

 現状では主に一般小説作家と認識されている千早茜の、初期の幻想小説もまとめて読みました。それぞれ日本と海外の民話・童話的なモチーフの短篇集『あやかし草子』『おとぎのかけら 新釈西洋童話集』、不死の一族をめぐる哀切な連作集『夜に啼く鳥は』が魅力的でした。

 あと面白く読んだのは、叙情的な幻想作品集『黄金蝶を追って』(相川英輔)、破天荒なオカルトミステリ『涜神館殺人事件』(手代木正太郎)、時間テーマの連作集『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』(宮野優)、神々をめぐる連作『領怪神犯1・2』(木古おうみ)、作家テーマのブラックユーモア作品集『小説家と夜の境界』(山白朝子)、幽霊屋敷テーマの新機軸『最恐の幽霊屋敷』(大島清昭)、グロテスクなSF・ホラー短篇集『禍』(小田雅久仁)、不条理味の強い連作『もぬけの考察』(村雲菜月)など。

こうして見ると、読書的には充実した一年だったようです。来年もまた面白い本に出会えることを祈って活動していきたいと思います。


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1月の気になる新刊
1月10日刊 デイヴィッド・ウェリントン『致死のパラダイス 上・下』(中原尚哉訳 ハヤカワ文庫SF 予価各1408円)
1月15日刊 鶴見俊輔『ドグラ・マグラの世界/夢野久作 迷宮の住人』(講談社文芸文庫 予価2200円)
1月18日刊 ハインリヒ・フォン・クライスト『ミヒャエル・コールハース チリの地震 他一篇』(山口裕之訳 岩波文庫 予価1001円)
1月29日刊 森口大地編訳『ドイツ・ヴァンパイア怪縁奇談集』(幻戯書房 予価4620円)
1月29日刊 ジョン・バカン作、エドワード・ゴーリー絵『三十九階段』(小西宏訳 東京創元社 予価1980円)[

 デイヴィッド・ウェリントン『致死のパラダイス』は宇宙船内で展開されるパニックホラー的作品のようです。2022年に出た同著者の『最後の宇宙飛行士』がホラー的興趣たっぷりのSF作品だったので、最初からホラーを標榜しているこちらの作品も楽しみです。

 1月の新刊で一番の要注目はこれでしょうか。森口大地編訳『ドイツ・ヴァンパイア怪縁奇談集』。紹介文を引用しますね。
 「ポリドリ『ヴァンパイア』ブームのさなか、1820~30年代にかけて発表された、ラウパッハ『死者を起こすなかれ』、シュピンドラー『ヴァンパイアの花嫁』など怪縁が織りなすドイツ・ヴァンパイア文学傑作短編集。本邦初訳。ヴァンパイア学者が詳述する訳者解題「ヴァンパイア文学のネットワーク」を併録。」
 収録内容も公開されていたので紹介しておきます。

■目次
「死人花嫁」ゴットフリート・ペーター・ラウシュニク
「死者を起こすなかれ」エルンスト・ラウパッハ
「ヴァンパイアの花嫁」カール・シュピンドラー
「ヴァンパイア アルスキルトの伝説」J・E・H
「狂想曲――ヴァンパイア」イジドーア
「ヴァンパイアとの駆け落ち」ヒルシュとヴィーザー
「ヴァンパイア ワラキア怪奇譚」F・S・クリスマー

ヴァンパイア関係事項年譜
訳者解題 ヴァンパイア文学のネットワーク

ページ数も464ページということで随分厚いですね。これは楽しみ。


テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

12月の気になる新刊
12月2日刊 グウェン・ブリストウ&ブルース・マニング『姿なき招待主(ホスト)』(中井京子訳 扶桑社ミステリー 予価1320円)
12月11日刊 ジョーン・エイキン『お城の人々』(三辺律子訳 東京創元社 予価2640円)
12月12日刊 J・S・レ・ファニュ『カーミラ レ・ファニュ傑作選』(南條竹則訳 光文社古典新訳文庫 予価1364円)
12月13日刊 ピーター・アクロイド『魔の聖堂』(矢野浩三郎訳 白水Uブックス 予価2750円)
12月14日刊 P・G・ウッドハウス『ブランディングズ城の救世主』(佐藤絵里訳 論創社 予価3080円)
12月15日刊 ホルヘ・ルイス・ボルヘス『シェイクスピアの記憶』(内田兆史、鼓直訳 岩波文庫 予価693円)
12月18日刊 川出正樹『ミステリ・ライブラリ・インヴェスティゲーション 戦後翻訳ミステリ叢書探訪』(東京創元社 予価3520円)
12月18日刊 ルーシー・ウッド『潜水鐘に乗って』(木下淳子訳 東京創元社 予価2970円)
12月18日刊 小森収『はじめて話すけど…… 小森収インタビュー集』(創元推理文庫 予価1320円)
12月18日刊 中村融編『星、はるか遠く 宇宙探査SF傑作選』(創元SF文庫 予価1320円)
12月20日刊 シオドラ・ゴス『メアリ・ジキルと囚われのシャーロック・ホームズ』(鈴木潤訳 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 予価3080円)
12月25日刊 東京創元社編集部編『創元SF文庫総解説』(東京創元社 予価2420円)
12月25日刊 エリック・マコーマック『ミステリウム』(増田まもる訳 創元ライブラリ 予価1430円)
12月25日刊 キャサリン・R・ハワード『ナッシング・マン』(髙山祥子訳 新潮文庫 予価990円)


 12月の新刊は豊作ですね。
 怪奇幻想的に要注目は、ジョーン・エイキン『お城の人々』、J・S・レ・ファニュ『カーミラ レ・ファニュ傑作選』、ルーシー・ウッド『潜水鐘に乗って』、エリック・マコーマック『ミステリウム』といったところでしょうか。

 ジョーン・エイキン『お城の人々』は、東京創元社のエイキン短篇集第三弾。前二作のレベルが非常に高かったので、今回も楽しみです。

 J・S・レ・ファニュ『カーミラ レ・ファニュ傑作選』は、吸血鬼小説の名作「カーミラ」の新訳のほか、レ・ファニュの短篇を全6篇収録した作品集です。

ルーシー・ウッド『潜水鐘に乗って』は、イギリス作家ウッドのおそらく初紹介作品集だと思います。2012年デビューの現役作家とのこと。版元の紹介文を引用しておきますね。
 「48年ぶりに夫と再会するため、旧式の潜水鐘で海にはいっていく老婦人(表題作)、身体が石になる予兆を感じた女性が過ごす最後の一日(「石の乙女たち」)、やがて巨人になる少年と、人間の少女のなにげない日常のひととき(「巨人の墓場」)、数百年を生き、語るべき話を失いながらも再び物語を紡ごうとする語り部(「語り部(ドロール・テラー)の物語」)……
 妖精、巨人、精霊、願い事をかなえる木、魔犬……さまざまな伝説や伝承がいまなお息づく現代の英国コーンウォール地方を舞台に、現実と幻が交錯する日々をあるがまま受け入れ、つつましく暮らす人々の姿を、新鋭ルーシー・ウッドが繊細かつ瑞々しい筆致で描く12編を収録した短編集。」
 幻想的な作風のようで、これも楽しみ。

 エリック・マコーマック『ミステリウム』は単行本が入手難になっていた作品の文庫化。この作家らしい不穏さが魅力の幻想小説です。

気になる11月の新刊と10月の新刊補遺
発売中 ジュリエット・ガーディナー『オスカー・ワイルドの軌跡 手紙・絵画・写真でたどる』(宮崎かすみ訳 マール社 定価2630円)
11月7日刊 アン・ラドクリフ『森のロマンス』(三馬志伸訳 作品社 予価3960円)
11月9日刊 丹治愛『ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝』(講談社学術文庫 予価1411円)
11月9日刊 鹿島茂『デパートの誕生』(講談社学術文庫 予価1221円)
11月11日刊 『神保町本の雑誌 本の雑誌別冊』(本の雑誌社 予価2200円)
11月21日刊 ジェイソン・レクラク『奇妙な絵』(中谷友紀子訳 早川書房 予価3410円)
11月24日刊 夢野久作『冥土行進曲』(角川文庫 予価762円)
11月29日刊 マネル・ロウレイロ『生贄の門』(宮﨑真紀訳 新潮文庫 予価1045円)
11月30日刊 イーデン・フィルポッツ『孔雀屋敷 フィルポッツ傑作短編集』(武藤崇恵訳 創元推理文庫 予価1100円)
11月30日刊 フランシス・ハーディング『呪いを解く者』(児玉敦子訳 東京創元社 予価4070円)


 ジュリエット・ガーディナー『オスカー・ワイルドの軌跡 手紙・絵画・写真でたどる』は、豊富な図版と共に、作家本人と彼をとりまく人々の言葉を通して、唯美主義者オスカー・ワイルドの生涯をたどるビジュアル伝記。ワイルド入門書としても最適だとのこと。

 アン・ラドクリフ『森のロマンス』は、著者の代表作『ユドルフォ城の怪奇』に先駆けて執筆された長篇作品。ラドクリフ作品が続けて紹介されるのは慶賀すべきですね。

 丹治愛『ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝』は、名著の評価の高い『ドラキュラの世紀末』の文庫化。『ドラキュラ』を通して英国ヴィクトリア朝イギリス社会の闇を描き出す、という本です。

 ジェイソン・レクラク『奇妙な絵』は、スティーヴン・キング絶賛のホラー・ミステリ作品。紹介文を引用しますね。
 「優しくて内気な少年テディ。その面倒を見るベビーシッターのマロリーはある日、テディが奇妙な絵を描いていることに気がつく。森の中で、女の死体を引きずっている男の絵だ。テディが何かに取り憑かれたように描き続ける、不気味な絵に隠された真相とは――?」。作中のイラストが真相への伏線ともなっているということで、これは面白そうです。

 『生贄の門』は、以前にモダンホラー作品『最後の乗客』が紹介されているスペイン作家、マネル・ロウレイロのホラー・ミステリ。紹介文を引用します。
 「巨石を連ねた建造物のそばに横たわる血まみれの若い娘。下腹部で組まれた手には、抉り取られた彼女自身の心臓が置かれていた……。儀式めいた惨殺事件を担当することになった捜査官ラケルの周囲で、次々と不穏な出来事が発生していく。闇からの囁き、少女の亡霊、蝋燭に照らし出される長衣姿の人々、そして、冥界の門――。スペイン本国でベストセラーを記録したサスペンス・ホラー、ついに日本上陸。」。

 『呪いを解く者』は、日本でも評価の定まってきたフランシス・ハーディングの新作。呪いをテーマにしたファンタジーとのことで、こちらも面白そうです。


テーマ:読書 - ジャンル:小説・文学

10月の気になる新刊と9月の新刊補遺
発売中 コルヴォー男爵『教皇ハドリアヌス七世』(大野露井訳 国書刊行会 4950円)
発売中 ギジェルモ・マルティネス『アリス連続殺人』(和泉圭亮訳 扶桑社ミステリー 1540円)
10月7日刊 シオドア・スタージョン『夢みる宝石』(川野太郎訳 ちくま文庫 予価1045円)
10月10日刊 エレン・ダトロウ編『穏やかな死者たち シャーリイ・ジャクスン・トリビュート』(渡辺庸子、市田泉ほか訳 創元推理文庫 予価1650円)
10月12日刊 ブラム・ストーカー『ドラキュラ』(唐戸信嘉訳 光文社古典新訳文庫 予価1760円)
10月18日刊 ピーター・S・ビーグル『最後のユニコーン 旅立ちのスーズ』(井辻朱美訳 ハヤカワ文庫FT 予価1320円)
10月20日刊 『幻想と怪奇14 ロンドン怪奇小説傑作選』(新紀元社 予価2420円)
10月23日刊 都筑道夫『都筑道夫の小説指南 増補完全版』(中央公論新社 予価3080円)

10月上旬予定 創元推理文庫2023復刊フェア
フランシス・アイルズ『殺意』(大久保康雄訳)
ヒラリー・ウォー『愚か者の祈り』(沢万里子訳) 
F・W・クロフツ『シグニット号の死』(中山善之訳)
ジョルジュ・シムノン『猫』(三輪秀彦訳)
ドロシー・L・セイヤーズ『雲なす証言』(浅羽莢子訳)
パトリシア・ハイスミス『動物好きに捧げる殺人読本』(大村美根子、榊優子、中村凪子、吉野美恵子訳)
リチャード・マシスン『奇蹟の輝き』(尾之上浩司訳) 
ガストン・ルルー『ガストン・ルルーの恐怖夜話』(飯島宏訳)
ロバート・シェクリー『残酷な方程式』(酒匂真理子訳)
眉村卓『司政官 全短編』


 『教皇ハドリアヌス七世』は、本邦では、その奇矯な人物として以前より知られていたコルヴォー男爵の手になる奇想小説。これは面白そうです。

 ギジェルモ・マルティネス『アリス連続殺人』は、以前に出た『オックスフォード連続殺人』にも登場したセルダム教授の活躍するシリーズの続編。前作は哲学的・思弁的な味わいのあるユニークなミステリだったので、こちらも楽しみです。

 エレン・ダトロウ編『穏やかな死者たち シャーリイ・ジャクスン・トリビュート』は、異色作家として知られるシャーリイ・ジャクスンに触発されて書かれた短篇を集めたアンソロジー。すでに目次内容が紹介されていたので、転載しておきます。

序文(エレン・ダトロウ)
M・リッカート「弔いの鳥」
エリザベス・ハンド「所有者直販物件」
ショーニン・マグワイア「深い森の中で――そこでは光が違う」
カルメン・マリア・マチャド「百マイルと一マイル」
カッサンドラ・コー「穏やかな死者たち」
ジョン・ランガン「生き物のようなもの」
カレン・ヒューラー「冥銭」
ベンジャミン・パーシィ「鬼女」
ジョイス・キャロル・オーツ「ご自由にお持ちください」
リチャード・カドリー「パリへの旅」
ポール・トレンブレイ「パーティー」
スティーブン・グレアム・ジョーンズ「精錬所への道」
ジェフリー・フォード「柵の出入り口」
ジェマ・ファイルズ「苦悩の梨」
ジョシュ・マラーマン「晩餐」
ジュヌヴィエーヴ・ヴァレンタイン「遅かれ早かれあなたの奥さんは……」
レアード・バロン「抜き足差し足」
ケリー・リンク「スキンダーのヴェール」
謝辞(エレン・ダトロウ)
編者紹介
訳者紹介

 ピーター・S・ビーグル『最後のユニコーン 旅立ちのスーズ』は、名作『最後のユニコーン』の続編となる中篇二作を収録した作品集。

 都筑道夫『都筑道夫の小説指南 増補完全版』は、著者が小説の創作者に向けて書いたガイド本を大幅増補した決定版とのこと。原本は怪奇小説の書き方などについても触れられていて面白い本でしたので、こちらも楽しみです。

 今年も創元推理文庫の復刊フェアが開催です。今回のラインナップの中では、ショッキングな残酷ホラー短篇集『ガストン・ルルーの恐怖夜話』、感動的な死後ファンタジー『奇蹟の輝き』(リチャード・マシスン)、前衛的な奇想SF短篇集『残酷な方程式』(ロバート・シェクリー)、ブラック・ユーモアに飛んだサスペンス短篇集『動物好きに捧げる殺人読本』(パトリシア・ハイスミス)あたりがお勧めです。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

9月の気になる新刊と8月の新刊補遺
発売中 ルートヴィヒ・ティーク『フランツ・シュテルンバルトの遍歴』(片山耕二郎訳 国書刊行会 4950円)
発売中 ジョン・スラデック『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』(鯨井久志訳 竹書房文庫 1540円)
発売中 「ナイトランド・クォータリーvol.33 人智を超えたものとの契約」(アトリエサード 2090円)
9月5日刊 牧原勝志編『新編 怪奇幻想の文学4 黒魔術』(新紀元社 予価2750円)
9月8日刊 ダリオ・アルジェント『恐怖 ダリオ・アルジェント自伝』(仮題)(野村雅夫、柴田幹太訳 フィルムアート社 予価3740円)
9月11日刊 フェルディナント・フォン・シーラッハ『神』(酒寄進一訳 東京創元社 予価1870円)
9月12日刊 A・B・コックス『黒猫になった教授』(森沢くみ子訳 論創社 予価3740円)
9月20日刊 ジーン・ウルフ『書架の探偵、貸出中』(大谷真弓訳 新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 予価2750円)
9月21日刊 フレドリック・ブラウン『死の10パーセント フレドリック・ブラウン短編傑作選』(小森収編 越前敏弥、高山真由美他訳 創元推理文庫 予価1386円)
9月21日刊 紀田順一郎『古本屋探偵登場 古本屋探偵の事件簿』(創元推理文庫 予価990円)
9月21日刊 紀田順一郎『夜の蔵書家 古本屋探偵の事件簿』(創元推理文庫 予価990円
9月21日刊 春日武彦『恐怖の正体 トラウマ・恐怖症からホラーまで』(中公新書 予価1012円)
9月22日刊 ポール・ギャリコ『ミセス・ハリス、国会へ行く』(亀山龍樹訳 角川文庫)
9月26日刊 アラスター・グレイ『哀れなるものたち』(高橋和久訳 ハヤカワepi文庫 予価1540円)
9月下旬刊 ホセ・ドノソ『閉ざされた扉 ホセ・ドノソ全短編』(寺尾隆吉訳 水声社 予価3300円)


 ルートヴィヒ・ティーク『フランツ・シュテルンバルトの遍歴』は、ドイツ・ロマン派の代表的作家ティークの代表作の邦訳。紹介文を引用しますね。
 「1520年頃と思われるドイツ・ネーデルラント・イタリアを舞台として、ニュルンベルクに住む高名な画家デューラーの架空の弟子フランツ・シュテルンバルトが、画業の腕を磨くため遍歴の旅に出る。画家や詩人をはじめさまざまな人物から刺激を受け、若き芸術家として成長していく。」
 芸術家小説の「元祖」だということで、気になりますね。

 ジョン・スラデック『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』は、タイトルが長くてびっくりします。悪行を働くロボットを描いた「ロボット・ピカレスク」作品とのこと。これは面白そうです。

 フェルディナント・フォン・シーラッハ『神』は、医師による死の幇助について描かれた戯曲とのこと。シーラッハ作品、近年シリアスな度合いを強めていますね。

 A・B・コックス『黒猫になった教授』は、黒猫に脳が移植された生物学者を描くユーモアSF小説とのこと。アントニイ・バークリーが変名で発表した作品だそうです。

テーマ:文学・小説 - ジャンル:小説・文学

8月の気になる新刊
8月1日刊 金原瑞人、三辺律子編『翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK2』(CCメディアハウス 予価1760円)
8月8日刊 レイ・ブラッドベリ、ティム・ハミルトン『ブラッドベリ『華氏451度』を漫画で読む』(宮脇孝雄訳 いそっぷ社 予価1760円)
8月9日刊 テオフィル・ゴーティエ『死霊の恋/ヴィシュヌの化身 ゴーティエ恋愛奇譚集』(永田千奈訳 光文社古典新訳文庫 予価1364円)
8月17日刊 ピーター・S・ビーグル『最後のユニコーン 新版』(鏡明訳 ハヤカワ文庫FT 予価1650円)
8月17日刊 マッツ・ストランベリ『ブラッド・クルーズ 上・下』(北綾子訳 ハヤカワ文庫NV 予価各1518円)
8月21日刊 ケヴィン・ウィルソン『地球の中心までトンネルを掘る』(芹澤恵訳 創元推理文庫 予価1430円)
8月28日刊 ジョン・スラデック『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』(仮題)(鯨井久志訳 竹書房文庫 予価1540円)
8月29日刊 ジョセフ・ノックス『トゥルー・クライム・ストーリー』(池田真紀子訳 新潮文庫 予価1265円)
8月31日刊 アントニイ・バークリー『レイトン・コートの謎』(巴妙子訳 創元推理文庫 予価1100円)
8月31日刊 フランシス・ハーディング『影を呑んだ少女』(児玉敦子訳 創元推理文庫 予価1430円)
8月31日刊 ジェフリー・フォード『最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』(谷垣暁美編訳 東京創元社 予価3850円)
8月31日刊 都筑道夫『二十世紀のツヅキです 1986-1994』(フリースタイル 予価2750円)
8月31日刊 都筑道夫『二十世紀のツヅキです 1995-1999』(フリースタイル 予価2750円)


 テオフィル・ゴーティエ『死霊の恋/ヴィシュヌの化身 ゴーティエ恋愛奇譚集』は、ホフマンの影響を受けて多くの幻想小説を書いたフランスの作家ゴーテイェの幻想小説集。タイトルからすると、恋愛小説的な要素を持つ作品を中心にセレクションした感じでしょうか。

 入手が難しくなっていた、モダン・ファンタジーの名作、ピーター・S・ビーグル『最後のユニコーン 新版』が新版にて復活。こちらは無条件でお勧めです。

ジェフリー・フォード『最後の三角形 ジェフリー・フォード短篇傑作選』は、『言葉人形』に続く、現代ファンタジーの名手フォードの最新短篇集。14編を収録とのこと。これは期待大ですね。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学



プロフィール

kazuou

Author:kazuou
男性。本好き、短篇好き、異色作家好き、怪奇小説好き。
ブログでは主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。怪奇幻想小説専門の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
twitter上でも活動しています。アカウントは@kimyonasekaiです。twitter上の怪奇幻想ジャンルのファンクラブ「 #日本怪奇幻想読者クラブ 」も主宰してます。
同人誌『海外怪奇幻想小説アンソロジーガイド』『物語をめぐる物語ブックガイド』『迷宮と建築幻想ブックガイド』『イーディス・ネズビット・ブックガイド』『夢と眠りの物語ブックガイド』『夢と眠りの物語ブックガイド 増補版』『奇妙な味の物語ブックガイド』『海外怪奇幻想小説ブックガイド1・2』『謎の物語ブックガイド』『海外ファンタジー小説ブックガイド1・2』『奇想小説ブックガイド』『怪奇幻想映画ガイドブック』を刊行。「海外怪奇幻想作家マトリクス・クリアファイル」も作成しました。



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