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●次回読書会予定
怪奇幻想読書倶楽部 第14回読書会は、2018年6月24日(日) 13:30~17:30、JR巣鴨駅周辺のカフェにて開催予定です。
テーマ
第1部:新入生に勧めたい海外幻想文学
第2部:課題図書 フィッツ=ジェイムズ・オブライエン『不思議屋/ダイヤモンドのレンズ』(光文社古典新訳文庫)

テーマ:その他 - ジャンル:その他

5月の気になる新刊と4月の新刊補遺
4月刊 ポール・モラン『黒い魔術』(未知谷 予価3024円)
5月8日刊 カート・ヴォネガット『はい、チーズ』(河出文庫 予価994円)
5月10日刊 メルヴィル・デイヴィスン・ポースト『ムッシュウ・ジョンケルの事件簿』(論創社 予価2592円)
5月10日刊 スティーヴン・キング『ミスト 短編傑作選』(文春文庫 予価1026円)
5月11日刊 キム・ニューマン『ドラキュラ紀元一八八八』(アトリエサード 予価3888円)
5月11日刊 ロバート・ロプレスティ『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』(創元推理文庫 予価1102円)
5月16日刊 『諸星大二郎 怪を語り、快を生み出す 大増補新版』(河出書房新社 予価1620円)
5月17日刊 野村胡堂『奇談クラブ』(河出書房新社 予価1944円)
5月21日刊 カレン・エリザベス・ゴードン『吸血鬼の文法』(彩流社 予価2376円)
5月23日刊 オリヴィエ・ル・カレ『呪われた土地の物語 かつて何かが起きた、そしてこれから起こるかもしれない40の場所』(河出書房新社 予価3024円)
5月23日刊 チャールズ・アダムス『アダムス・ファミリー全集 新装版』(河出書房新社 予価2376円)
5月25日刊 クレア・ノース『接触』(角川文庫 予価1339円)
5月29日刊 H・P・ラヴクラフト『ネクロノミコンの物語』(星海社FICTIONS 予価1620円)
5月31日刊 ジョン・ディクスン・カー『盲目の理髪師 新訳版』(創元推理文庫 予価1015円)
5月31日刊 ドミニク・スミス『贋作』(東京創元社 予価2700円)


 ポール・モラン(モーラン)は、戦前の日本でも人気があったフランス作家ですね。『怪奇小説傑作集4』に収録された短篇「ミスタア虞(ゆう)」が面白かったので、気になります。

 スティーヴン・キング『ミスト 短編傑作選』は、キングの短篇傑作集。収録作がまだ不明なのですが、キングの短篇集もかなり品切れになってきているようなので、時宜を得た企画だと思います。

 キム・ニューマンの《ドラキュラ紀元》シリーズがアトリエサードから刊行です。シリーズ作品を順次刊行していくようですね。

 カレン・エリザベス・ゴードン『吸血鬼の文法』は、例文が吸血鬼に絡んだものばかりという、面白いコンセプトの文法書です。

 オリヴィエ・ル・カレ『呪われた土地の物語 かつて何かが起きた、そしてこれから起こるかもしれない40の場所』は、ノンフィクションのようです。「世界には人々を魅惑する秘境がある一方、誰もが目を背ける「いわくつき」の土地がある。悪魔の棲む館、怪物が出没する海峡、大虐殺が起きた群島…妄想を掻き立て、語り継がれた40の物語。」

 クレア・ノース『接触』は、『ハリー・オーガスト、15回目の人生』が面白かった著者の作品。他人に触れると、その身体に乗り移ることができる能力をテーマにしたSFサスペンスだそうで、これも面白そうです。

 H・P・ラヴクラフト『ネクロノミコンの物語』は、ラヴクラフトの新訳シリーズの第2弾。「ネクロノミコン」をテーマにした編集です。この企画は続けてほしいですね。

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4月の気になる新刊と3月の新刊補遺
3月23日刊 イタロ・カルヴィーノ『最後に鴉がやってくる』(国書刊行会 予価2592円)
3月24日刊 木犀あこ『奇奇奇譚編集部 幽霊取材は命がけ』(角川ホラー文庫 予価648円)
3月30日刊 中相作『乱歩謎解きクロニクル』(言視舎 予価2376円)
4月6日刊 ホルヘ・ルイス・ボルヘス/アドルフォ・ビオイ=カサーレス『ボルヘス怪奇譚集』(河出文庫 予価896円)
4月9日刊 パーシヴァル・ワイルド『探偵術教えます』(ちくま文庫 予価907円)
4月12日刊 ジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男』(光文社古典新訳文庫)
4月12日刊 福永武彦『完全犯罪 加田伶太郎全集』(創元推理文庫 予価1404円)
4月12日刊 小泉喜美子『女は帯も謎もとく』(光文社文庫)
4月12日刊 『ホラーの玉手箱 ショートショート・アンソロジー』(光文社文庫)
4月12日刊 ヨゼフ・チャペック『ヨゼフ・チャペック エッセイ集』(平凡社ライブラリー 予価1296円)
4月24日刊 ブルーノ・ムナーリ『ムナーリの機械』(河出書房新社 予価3132円)


 〈短篇小説の快楽〉の最終巻、イタロ・カルヴィーノ『最後に鴉がやってくる』がようやく刊行で、シリーズが完結です。シリーズ最初の巻が2007年刊行なので、10年越しの完結ですね。
 内容は初期の短篇を集めた作品集なので、後年のファンタスティックなものとはちょっと趣が違う感じでしょうか。

 木犀あこ『奇奇奇譚編集部 幽霊取材は命がけ』は、第24回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作品だった『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』の続編。前作は非常に知的に構成された面白い作品だったので、二作目も楽しみです。前作の感想はこちら

 ホルヘ・ルイス・ボルヘス/アドルフォ・ビオイ=カサーレス『ボルヘス怪奇譚集』は、ボルヘスとビオイ=カサーレスが世界の文学作品から集めた奇妙な話のアンソロジーの文庫化。まとまった短篇作品のアンソロジーというよりは、抜粋を集めた感じの本なのですが、普通のアンソロジーにはない面白さがあります。このコンビのアンソロジーでは『天国・地獄百科』という作品集もあって、こちらも面白いので文庫化を期待したいですね。

 パーシヴァル・ワイルド『探偵術教えます』は、《晶文社ミステリ》で刊行されていた作品の文庫版。運転手が素人探偵となって活躍するというユーモア・ミステリです。新訳 「P・モーランの観察術」を追加収録した完全版とのこと。

 ジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男』は、イギリスユーモア小説の古典的作品。これは今読んでも面白い作品なので、新訳版も楽しみです。小山太一訳。

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最近読んだ本

B000J8HUBAローマの白い午後 (1979年) (Hayakawa novels)
ヒュー・フリートウッド 小沢 瑞穂
早川書房 1979-04

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ヒュー・フリートウッド『ローマの白い午後』(小沢瑞穂訳 早川書房)

 未亡人バーバラは、資産家の娘キャスリンの家庭教師としてローマに移住することになります。知的障害のあるキャスリンは母親に疎まれていましたが、バーバラはキャスリンをかわいがるようになります。順調な生活のなか、突然、バーバラの恋人デヴィッドが失踪してしまいます。
 デヴィッドはキャスリンの母親メアリィと不倫のあげく殺され、死体は屋敷の庭に埋まっている、というキャスリンの話に動揺するバーバラでしたが、メアリィはキャスリンの空想だと一顧だにしません。しかし、メアリィの言動にも不審な点があることに、バーバラは気付きます。
 嘘をついているのは、キャスリンなのかメアリィなのか? やがてキャスリンは資産家だった自分の父親も、金目当てにメアリィに殺されたと言い出しますが…?

 キャスリンの話が本当なのかどうか? というところがポイントです。周りの人間は空想だと取り合いませんが、空想にしてはリアリティがありすぎるのです。そもそもキャスリンは本当に障害があるのか、そのふりをしているのではないのか?という疑いも発生してきます。
 キャスリンの母親メアリィもまた不審な言動をする人物であり、バーバラはどちらを信じたらいいのかわからなくなってしまいます。夫を亡くし、実母とも問題を抱えるバーバラの精神のバランスが崩れていくなか、とうとう不穏な事件が起こります。

 全体的に筋の起伏が少ない作品なのですが、登場人物同士の心理から醸し出されるサスペンスが非常に強烈な作品です。主要な登場人物が数人であり、舞台もほとんど動かず、事件もほとんど起こらないなかで、これだけサスペンスを高められるのは、この作家、かなりの妙手ではないでしょうか。ユニークな異常心理サスペンス小説です。



B000J9499Kきみはぼくの母が好きになるだろう (1971年) (ハヤカワ・ノヴェルズ)
ネイオミ・A.ヒンツェ 青木 久恵
早川書房 1971

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ネイオミ・A・ヒンツェ『きみはぼくの母が好きになるだろう』(青木久恵 ハヤカワノヴェルズ)

 ヴェトナム戦争で夫のマシューを失った若妻フランシスカは、臨月の体を抱えていました。実家に絶縁されていたフランシスカは、夫の母親を頼ろうと考えます。生前、夫は母親を優しい人だとしきりに言っていたのです。
 たずね当てた田舎の夫の家は、広壮な邸宅でした。しかし出迎えた義母は、終始冷たい態度で対応します。看護婦でもあるという義母はその冷たい態度にもかかわらず、しきりにフランシスカに泊まっていけと勧めます。直後に産気づいたフランシスカでしたが…。
 作品が始まった時点で、ヒロインは頼る人もお金も全くない状態で、唯一頼れる可能性のある義母を訪れることになるのですが、この義母が冷血な人で、次から次へと相手の心をえぐるようなことを言うのです。
 亡夫の話とあまりに異なる義母の姿に不審の念をおぼえたヒロインは、亡夫から来た手紙を探して読もうと考えます。直後に産気づいてしまったヒロインは、嫌々ながら、元看護婦だという義母の世話になることになるのです。

 夫を失った身重の若妻が恐ろしい目にあう…というゴシックロマンス風恐怖小説です。最初から最後まで、心理的にじわじわと嫌な話なのですが、気弱なヒロインが生きる気力を取り戻したりと、後味は悪くありません。現代的な味付けのゴシック小説として、秀作といっていいかと思います。



4566012425時をさまようタック (児童図書館・文学の部屋)
ナタリー バビット Natalie Babbitt
評論社 1989-12-01

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ナタリー・バビット『時をさまようタック』(小野和子訳 評論社)

 十歳になるフォスター家の一人娘ウィニーは、家出代わりに森の散策に出かけますが、そこで泉の水を飲む少年ジェシィと出会います。自分も水を飲もうとするウィニーでしたが、なぜかジェシィは水を飲ませようとしません。
 やがてジェシィの母のメイと兄のマイルズが現れたかと思うと、ウィニーは無理やり彼らの家に連れていかれてしまいます。そこで聞いたのは、彼らタック一家の秘密でした。 タック一家は、泉の水を飲むことで不老不死の命を得たこと、ジェシィは見かけは少年だが百歳を越える年齢であること、など。
 タック一家はウィニーに不老は決して贈り物でないことを語り、この秘密をばらさないように頼みますが…。

 児童文学枠で出版されている作品なのですが、「不死の命」をテーマにした意欲的な作品です。これは大人の読者にもぜひお勧めしたい作品。
 限りある命だからこそ価値がある…というテーマを扱っています。幼いヒロインがタック一家との交流を通して命の価値を知るという真摯な展開で、シンプルゆえにストレートにテーマが伝わってきますね。



4087605930屍車 (集英社文庫)
ジョー シュライバー Joe Schreiber
集英社 2009-11

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ジョー・シュライバー『屍車』(戸田裕之訳 集英社文庫)

 シングルマザーのスーは、幼い娘を誘拐したという電話を受けますが、犯人の男は、自分の言うとおりにしなければ娘を殺すと宣言します。男の指示は、決められたルートで車を運転しろというもの。車に乗り込んだスーが見たものは死体でした。男の目的とは一体何なのか…?

 最初は、誘拐犯の正体も目的も皆目わかりません。娘を助けたい一心で車を走らせるヒロインですが、やがて彼女のトラウマ的な過去が事件に関係していることがわかり、それは過去の連続殺人にも関わってくるのです。そしてドライブの途中で発生する超自然的な現象とは…。

 誘拐サスペンスに、連続殺人の謎、さらにオカルトとアクションを取り込んだ、サービスてんこ盛りのホラー小説です。
 物語の「緩急」がほとんどなく、ほぼ「急」で出来ているというノンストップスリラーです。題材がオカルティックで、いわゆるB級作品なのですが、読んでいる間は全然気になりません。犯人の「壮大な計画」には驚かされるのではないでしょうか。
 作者シュライバーの作品は、2009年に邦訳紹介されたこの作品だけのようですが、他の作品も読んでみたいところです。



4488010733嘘の木
フランシス・ハーディング 児玉 敦子
東京創元社 2017-10-21

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フランシス・ハーディング『嘘の木』(東京創元社)

 有名な博物学者であるサンダリー師は、その発見が捏造だという噂が広まり、家族を連れて逃げるようにヴェイン島に移住します。しかし噂は島にもすぐに広がり、一家は住民たちから村八分にされてしまいます。
 娘のフェイスは父親の無実を信じますが、直後にサンダリーは謎の死を遂げます。住民たちがサンダリーを墓地に葬ることに対して反対するなか、フェイスは父親は殺されたのではないかと考え、遺された書類を調べ始めます。
 そこで判明したのは、サンダリーは嘘を養分にするという「嘘の木」を密かに育てていたということでした。その実を食べると、真実がヴィジョンとなって現れるというのです。フェイスは「嘘の木」を利用して父親の死の謎を解こうとしますが…。

 作中に登場する「嘘の木」の印象が強烈です。人間がついた嘘を養分として実をつけ、その実を食べると、嘘にかかわる真実のヴィジョンが見えるようになるというのです。また、その嘘が大きければ大きいほど、大きな真実が得られるという設定。
 父親の「真実」を証明するため、ヒロインのフェイスはあえて「嘘」をばらまいていかなければならないという皮肉な展開になっていきます。その過程で、登場人物たちの「嘘」と「真実」も明らかになっていきます。善人だと思っていた人間が悪人であったり、その逆もまたしかり。殺人犯はいったい誰なのか?

 舞台がヴィクトリア朝、女性が社会的な地位をあまり認められていない時代という背景があり、その中でもフェイスはさらに立場が弱い少女として描かれています。その限られた条件の中で、強い意志を持って奔走するヒロインの姿は印象的ですね。
 少女の成長小説であり、殺人の謎を解くサスペンス・スリラーでもあるという、一級品のエンターテインメント。評判になるのも頷けます。

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3月の気になる新刊と2月の新刊補遺
発売中 E・F・ベンスン『見えるもの見えざるもの』(アトリエサード 2592円)
発売中 ロバート・ヒュー・ベンソン『テ・デウムを唱いながら エリザベス一世と旧教に殉ずる人々』(未知谷 5400円)
2月23日刊 日下三蔵編『横溝正史ミステリ短篇コレクション 刺青された男』(柏書房 予価2808円)
2月26日刊 ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』(水声社 予価3780円)
2月27日刊 『ナイトランド・クォータリーvol.12  不可知の領域 コスミック・ホラー』(アトリエサード 予価1836円)
3月6日刊 木々高太郎『三面鏡の恐怖』(河出文庫 予価799円)
3月6日刊 泡坂妻夫『迷蝶の島』(河出文庫 予価778円)
3月6日刊 ダグラス・アダムズ『長く暗い魂のティータイム』(河出文庫 予価994円)
3月6日刊 S・L・グレイ『その部屋に、いる』(ハヤカワ文庫NV 予価1123円)
3月6日刊 ラリイ・ニーヴン『無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン』(ハヤカワ文庫SF 予価1037円)
3月9日刊 C・S・ルイス『ナルニア国物語7 最後の戦い』(光文社古典新訳文庫)
3月10日刊 森瀬繚『All Over クトゥルー クトゥルー神話作品大全』(三才ブックス 予価2480円)
3月10日刊 サマセット・モーム『報いられたもの/働き手』(講談社文芸文庫 予価1836円)
3月12日刊 マシュー・ディックス『マイロ・スレイドにうってつけの秘密』(創元推理文庫 予価1404円)
3月12日刊 J・J・アダムズ&D・H・ウィルソン編『スタートボタンを押してください』(創元SF文庫 予価1080円)
3月12日刊 レーモン・ルーセル『額の星 無数の太陽』(平凡社ライブラリー 予価1620円)
3月14日刊 アナトール・フランス『ペンギンの島』(白水Uブックス 予価2052円)
3月16日刊 千街晶之編著『21世紀本格ミステリ映像大全』(原書房 予価1944円)
3月19日刊 田中貢太郎『戦前の怪談』(河出書房新社 予価1944円)
3月19日刊 長山靖生『日本SF精神史 完全版』(河出書房新社 予価3024円)
3月22日刊 フェデーリコ・マリア・サルデッリ『失われた手稿譜』(東京創元社 予価2268円)
3月22日刊 マルク・パストル『悪女』(創元推理文庫 予価1253円)
3月22日刊 J・G・バラード『ハロー、アメリカ』(創元SF文庫 予価1058円)
3月23日刊 アンジェラ・カーター『新しきイヴの受難』(国書刊行会 予価2592円)
3月28日刊 『FUNGI 菌類小説選集 第Ⅱコロニー』(Pヴァイン 予価1836円)


 期せずして、英国怪奇小説の巨匠として知られるベンスン3兄弟のうち、E・F・ベンスンとロバート・ヒュー・ベンソンの作品が同時期に邦訳刊行されています。E・F・ベンスンは、2冊目の怪奇小説集です。ただ、ロバート・ヒューの方は怪奇小説ではなく、宗教的なテーマを扱った歴史小説のようです。

 ラテンアメリカ文学の中でも傑作とされるホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』が水声社より復刊です。個人的にも未読だったので、これは楽しみです。

 『無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン』は、ラリイ・ニーヴンの傑作集。これはいい企画です。ニーヴンの短篇は気の効いた作品が多くて面白いのですよね。

 J・J・アダムズ&D・H・ウィルソン編『スタートボタンを押してください』は、「ゲームSF傑作選」だそう。収録作品は以下の通りです。

アーネスト・クライン 序文
桜坂 洋「リスポーン」
デヴィッド・バー・カートリー「救助よろ」
ホリー・ブラック「1アップ」
チャールズ・ユウ「NPC」
チャーリー・ジェーン・アンダース「猫の王権」
ダニエル・H・ウィルソン「神モード」
ミッキー・ニールソン「リコイル!」
ショーナン・マグワイア「サバイバルホラー」
ヒュー・ハウイー「キャラクター選択」
アンディ・ウィアー「ツウォリア」
コリイ・ドクトロウ「アンダのゲーム」
ケン・リュウ「時計仕掛けの兵隊」
米光一成 解説

 アナトール・フランス『ペンギンの島』は、フランスが遺したファンタジー作品の一つ。 中央公論社の『新集 世界の文学』に収録されたものの復刊でしょうか。フランスの作品では、幻想文学畑でよく言及される『鳥料理レエヌ・ペドオク亭』も読んでみたいですね。

 フェデーリコ・マリア・サルデッリ『失われた手稿譜』は、作曲家ヴィヴァルディの残した楽譜をめぐるノンフィクション・ノベルだそう。ミステリ的な味わいもあるようで、気になりますね。
 サルデッリは、イタリアの古楽オーケストラ「モード・アンティコ」の指揮者。ヴィヴァルディの作品演奏を得意とし、ヴィヴァルディの新発見の曲の録音などもあります。

 マルク・パストル『悪女』は「幼い子供を誘拐し血をすすり、臓物を喰らう「吸血鬼」と呼ばれた悪女。現役の犯罪捜査官が、20世紀初頭のバルセロナを震撼させた犯罪者の実話に材を得て描いた戦慄の物語」だそうで、面白そうな作品ですね。

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2月の気になる新刊
2月6日刊 シッゲ・エクランド『迷路の少女』(ハヤカワ文庫NV 予価1296円)
2月6日刊 エラン・マスタイ『時空のゆりかご』(ハヤカワ文庫SF 予価1188円)
2月7日刊 尾之上浩司編『ゴースト・ハンターズ完全読本 怪異を追う者たち『事件記者コルチャック』から『死霊館』まで』(洋泉社 予価2160円)
2月9日刊 長山靖生編『丘の上 豊島与志雄 メランコリー幻想集』(彩流社 予価2592円)
2月10日刊 山白朝子『私の頭が正常であったなら』(角川書店 予価1620円)
2月19日刊 イサベル・アジェンデ『日本人の恋びと』(河出書房新社 予価3024円)
2月20日刊 ケン・リュウ編『現代中国SFアンソロジー 折りたたみ北京』(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ 予価2052円)
2月20日刊 トマス・ペリー『アベルVSホイト』(ハヤカワ文庫NV 予価994円)
2月21日刊 ピーター・スワンソン『そしてミランダを殺す』(創元推理文庫 予価1188円)
2月21日刊 日下三蔵編 小泉喜美子『月下の蘭/殺人はちょっと面倒』(創元推理文庫 予価1404円)
2月23日刊 岡本綺堂『異妖新篇 岡本綺堂読物集六』(中公文庫 予価799円)
2月26日刊 森瀬繚『All Over クトゥルー クトゥルー神話作品大全』(三才ブックス 予価2480円)
2月28日刊 西崎憲『蕃東国年代記』(創元推理文庫 予価756円)
2月予定 中野善夫訳『夢のウラド F・マクラウド/W・シャープ幻想小説集』(国書刊行会)

 エラン・マスタイ『時空のゆりかご』は時間ものSF作品だそう。「めざすは1965年!? 自分の時間旅行が原因で世界を変えてしまった男の獅子奮迅の活躍をユーモラスに描いた時間テーマSFの傑作!」。

 『現代中国SFアンソロジー 折りたたみ北京』は、ケン・リュウが選んだ中国SFのアンソロジーだそうで、これは面白そうです。

 最近、小泉喜美子作品の復刊が相次いでいますね。『月下の蘭/殺人はちょっと面倒』は、短篇集二冊の合本です。特に『月下の蘭』は、花・星・蟲・鳥を題材とした短編を収める幻想的な作品集でお勧めです。

 あと、具体的な刊行日はまだ出ていませんが、中野善夫訳『夢のウラド F・マクラウド/W・シャープ幻想小説集』(国書刊行会)が2月刊行予定だそうです。
 (2018年2月4日追記)国書刊行会のサイトに詳細情報が出ていましたので、転載しておきたいと思います。

フィオナ・マクラウド/ウィリアム・シャープ『夢のウラド F・マクラウド/W・シャープ幻想小説集』(中野善夫訳 予価4,968円)
死後に同一人物であることが明かされた二人の作家、フィオナ・マクラウドとウィリアム・シャープ。尾崎翠が思慕し三島由紀夫が讃美した、稀有な魂をもつ作家の作品を初めてひとつに集成する。いま百年の時を経て瑞々しく甦るスコットランドの幻想小説集。
「毎朝こんなふうに世界の美しさに向かって帽子を取ることにしている」
蘇生するケルトの息吹、悲哀と慈愛のロマンス、哲学的な思索の旅……神秘のヴェールに包まれた伝説の作家の知られざる名作幻想小説20篇。

目次
●フィオナ・マクラウド
鳥たちの祝祭
夢のウラド
アンガス・オーグの目覚め
暗く名もなき者
聖別された男
島々の聖ブリージ
射手
最後の晩餐
ルーエルの丘
聖なる冒険
風と沈黙と愛

●ウィリアム・シャープ
ジプシーのキリスト
ホセアの貴婦人
彫像
フレーケン・ベルグリオット
丘の風
涙の誕生と死、そして再生
臆病者
〈澱み〉のマッジ
ヴェネツィア舟歌


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新年のご挨拶
 2018年最初の更新になります。今年もよろしくお願いいたします。

 昨年は読書会に関連して、同じテーマを扱った作品の集中読書をすることが多く、そのおかげで例年になく本が読めた年でした。ただそのおかげで、読みたい本、買い込む本が増えてしまい、結局、積読本が倍増してしまったのは、悩みどころでもありますね。

 年末、年初に読んでいた本からいくつか紹介していきたいと思います。



448801075X肺都(アイアマンガー三部作3) (アイアマンガー三部作 3)
エドワード・ケアリー 古屋 美登里
東京創元社 2017-12-20

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エドワード・ケアリー『肺都』(古屋美登里訳 東京創元社)
 堆塵館は崩壊し、穢れの町から逃げ延びたアイアマンガー一族は、ロンドンに入り込みます。一族の影響なのか、ロンドンの内部は闇におおわれ、人々の間では奇妙な病気が蔓延していました。
 ロンドンを支配しようとする一族に反発するクロッド、そして子供たちとともに逃げ延びたルーシーは、互いに相手を探し始めます…。

 《アイアマンガー三部作》の完結編です。舞台をロンドンに移し、各勢力が縦横無尽に動き回るという、大スペクタクルになっています。
 国をひっくり返そうとするアイアマンガー一族、ビナディットやピナリッピーとともに出奔したクロッド、アイアマンガー一族を追う警察、一族の宿敵とも言うべき謎の男ジョン・スミス・反アイアマンガー、ロンドンの子供たちの助けを借りクロッドを探すルーシー、クロッドの命を狙うモーアカス、暴走するリピット…。
 敵役だと思っていた人物が味方についたり、逆に裏切られたり、追い詰められた一族のためにクロッドが奔走したりと、個性豊かな登場人物たちがこれでもとばかりに動き回り、最後まで息つく暇がありません。
 クライマックスでは、絶大な力を持ちながら今まで受身だったクロッドの活躍も見られます。結末にたどり着いたときの感動はひとしおですね。
 一作目、二作目を含め、素晴らしいシリーズでした。



4885880947魔法にかかった男 (ブッツァーティ短篇集)
ディーノ ブッツァーティ Dino Buzzati
東宣出版 2017-12-13

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ディーノ・ブッツァーティ『魔法にかかった男』(長野徹訳 東宣出版)
 初期から中期にかけての、ブッツァーティの未訳作品を集めた作品集の第一弾です。てっきり落穂拾い的な作品集かと思っていたのですが、さにあらず。「全盛期」のブッツァーティ作品で、非常に充実した短篇集でした。
 迷い込んだ猫を隠したことから起こる事件を描いた「騎士勲章受勲者インブリアーニ氏の犯罪」、学校で「変わってしまった」弟を描く「変わってしまった弟」、悪魔との契約テーマの「エレブス自動車整備工場」、得体の知れない男に一生を通じて追いかけられるという「個人的な付き添い」、悪夢のような不条理小説「あるペットの恐るべき復讐」など。
 巻末の中篇といっていい長さの「屋根裏部屋」は特に力作です。ある日、画家の家の屋根裏部屋に突如リンゴの山が現れます。その香りと味はこの世のものとも思えず、しかもリンゴはいつまで経っても腐らないのです。これは「禁断」のリンゴかもしれないと考える画家でしたが…。
 最初から最後まで、リンゴをめぐる画家の「不安」のみが描かれるという、純度の高い寓話小説です。代表作『タタール人の砂漠』とどこか通じるところもある作品ですね。



4121015614吸血鬼伝承―「生ける死体」の民俗学 (中公新書)
平賀 英一郎
中央公論新社 2000-11

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平賀英一郎『吸血鬼伝承「生ける死体」の民俗学』(中公新書)
 フィクションの吸血鬼ではなく、主に東欧に伝わる吸血鬼伝承を追った本です。吸血鬼の本質は「生ける死体」だとしていて、それゆえ、血を吸わない吸血鬼というのも出てきます。「民俗学的な吸血鬼」なので、ドラキュラのようなスマートなものではなく、元は農民で体は半分腐っていてと、ほとんどゾンビみたいです。
 東欧、中欧、バルカン諸国、トルコなど、それぞれの国の吸血鬼伝承をその国の名称で細かく見ていくという堅実な内容です。吸血鬼といっても、国によってその内容に魔女や人狼、夢魔などを含んだりしていて、同じ「吸血鬼」でもその意味するところはグラデーション状…というのが興味深いですね。
 「ドラキュラ以前」の吸血鬼像を知りたい方には、オススメしておきたいと思います。ロシアや東欧の吸血鬼小説を読む際にも参考になるんじゃないでしょうか。



B000J8DKMS蛾 (1979年) (サンリオSF文庫)
ロザリンド・アッシュ 工藤 政司
サンリオ 1979-10

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ロザリンド・アッシュ『蛾』(工藤政司訳 サンリオSF文庫)
 大学教授ハリーは、古い屋敷に魅せられ、そこに通ううち、屋敷を見に訪れた人妻ネモに惹かれはじめます。屋敷で行われたパーティの席上、ハリーはネモに幽霊らしき存在が取り憑くのを目撃します。直後にネモと肉体関係を結んだハリーは、彼女に殺されそうになりますが、何とか逃れます。
 ネモの日記を盗み読んだハリーは、彼女が何人もの男性と関係した直後に、彼らを殺害していることを知ります。ハリーが目撃した幽霊は、かって屋敷に住んでいた女優サラ・ムーアであり、殺人を犯しているのはネモに取り憑いたサラではないのかと考えたハリーは、ネモを救うために奔走することになりますが…。

 人妻ネモは、最初は地味な中年女性として登場します。それだけに、人格が豹変したような行動は幽霊に憑かれたせい、と解釈してしまいがちなのですが、客観的に幽霊のせいだとは書かれていないのがポイントです。殺人もネモの妄想の可能性があり、ハリーも最初はその疑いを持って動くことになります。
 霊の存在はともかく、殺人自体の真実が疑えなくなった時点で、ハリーはネモを守ろうと決心します。場合によっては自分も人殺しを辞さないという覚悟を固めますが、その間にもネモは別の男性を誘惑し始めていました…。
 幽霊が本当に存在するのかが、最後まではっきりとわかりません。それに加えて、序盤は殺人が真実なのか否か、後半からは更なる殺人を防げるのか、ネモを救えるのか、といったサスペンスが発生するなど、一冊でいろいろな要素が楽しめます。
 ホラーとサスペンスの境界線上の作品として、秀作の一つではないでしょうか。



B000J835HI嵐の通夜 (1980年) (サンリオSF文庫)
ロザリンド・アッシュ 工藤 政司
サンリオ 1980-10

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ロザリンド・アッシュ『嵐の通夜』 (工藤政司訳 サンリオSF文庫)
 ヨーロッパに留学していたベスは、農園を営む実家に帰省します。両親はすでに亡く、双子の兄トムが農園を取り仕切っていました。帰省直後に強烈な嵐に襲われた館は、崩壊の危機に陥ります。飛行機でやってくるはずの従兄エドワードの行方もわからない状態で、一行は不安な夜を過ごしますが、館の外に出たベスの幼馴染モーリスが、首をはねられた状態で見つかります…。

 嵐を迎えた広壮な館の中で繰り広げられるゴシック・ロマンです。ヒロインのベスは、従兄エドワードに恋心を抱いていますが、野生的な魅力を持つモーリスにも惹かれています。兄のトムは妹に偏執的な愛情を抱いており、モーリスとの仲を嫉妬している…という、複雑な構図が描かれます。
 やがてモーリスが殺され、迷信深い使用人たちは怯え始めます。館の女中頭ナンは、現地の魔術師とされており、彼女の言動が混乱に拍車をかけていきます。
 嵐の一夜を描く物語であり、実際の一夜の時間経過がそれぞれの章を成しているという趣向です。
 『蛾』と異なり、明確に超自然現象が発生するという点で「ホラー小説」といっていい作品です。嵐がやってきてからの館の雰囲気は素晴らしいですね。後半に起こる超自然現象もじつに夢幻的で、幻想小説好きにはオススメしたい作品になっています。ちなみに、スティーヴン・キングが激賞した作品だとか。


 最後に、2018年度刊行予定の本の中から、気になる本をご紹介しておきたいと思います。

ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』(水声社 2月予定)

マルク・パストル『悪女』(創元推理文庫 3月予定)
 「バルセロナの吸血鬼」と呼ばれた実在の犯罪者に想を得て書かれた作品だそうです。

ミック・ジャクソン『こうしてイギリスから熊がいなくなりました』(東京創元社 11月予定)
 『10の奇妙な話』の作者による短篇集です。

アンナ・スメイル『鐘』(東京創元社 12月予定)
 鐘の音で人々が支配される世界を舞台にした作品、らしいです。世界幻想文学大賞受賞作品。

アナトール・フランス『ペンギンの島』(白水Uブックス 3月予定)
 洗礼を施されたペンギンが人間になってしまうという作品。中央公論社の『世界の文学』に入っていたこともある作品ですね。

オラフ・ステープルドン『スターメイカー』(ちくま文庫)
 国書刊行会から単行本の出ていた作品の文庫化。

スティーヴン・ミルハウザー『危険な笑い』(白水社 6月予定)
 ミルハウザーの短篇集です。

シャルル・バルバラ『ウィテイントン少佐』(国書刊行会)
 表題作は、雑誌『幻想文学32号』に翻訳が掲載されてますね。人形テーマの幻想小説ですが、短篇作品なので、他にも作品が収録されるんでしょうか。

フィオナ・マクラウド『夢のウラド』(国書刊行会)

南條竹則編訳『英国怪談集成』(国書刊行会)

垂野創一郎編訳『ドイツ幻想小説集』(国書刊行会)

イサベル・アジェンデ『日本人の愛人』(河出書房新社)

ダグラス・アダムス『長く暗い魂のティータイム』(河出文庫 3月予定)
 「ダーク・ジェントリー」の2作目。

ケラスコエット『サタニエ』(河出書房新社)
 『かわいい闇』で話題を呼んだバンド・デシネ作家の新作だそう。

マリアーナ・エンリケス『わたしたちが火の中で失くしたもの』(河出書房新社 9月予定)
 「ラテンアメリカ新世代の「ホラー・プリンセス」による悪夢のような12の短篇集」だそうで、これは気になりますね。


 ※ネット上に公開されていた、「読んでいいとも!ガイブンの輪」の「来年の隠し玉」の内容レジュメを参照させていただきました。

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2017年を振り返って
 もうすぐ、2017年が終わります。今年は昨年に引き続き、個人的にはなかなか充実した年になったのではないかと思います。

 昨年末から始めた「怪奇幻想読書倶楽部 読書会」が本格的にスタートし、レギュラーメンバーも定着してきました。テーマ別読書会ということで、毎回テーマに関してはいろいろ考えているのですが、「夢と眠りの物語」(第4回)や「リドルストーリー」(第5回)あたりは、なかなかユニークなテーマだったのではないかと思います。
 幻想文学的なテーマに混ぜて「私の読書法」(第3回)とか「ブックガイドの誘惑」(第5回)なんてのも取り上げました。年末にやった「本の交換会」(第10回)や「年間ベストブック」(第11回)も好評だったようです。
 7月開催の第7回からは、テーマとして個人作家の特集を始めました。この路線はわりと好評で、ラヴクラフトやシャーリイ・ジャクスンの回はなかなか盛り上がりました。
 来年も、この作家特集は続けていきたいと思っています。取り上げたいと思っている作家は、エドガー・アラン・ポオ(一月予定)、ステファン・グラビンスキ、ディーノ・ブッツァーティ、ロード・ダンセイニ、レイ・ブラッドベリ、ロアルド・ダール、スタンリイ・エリンなど。

 読書に関していうと、この一年は読書会のテーマに合わせて、旧作の再読や読み残し的な読書が多かったな、という印象です。作家のまとめ読みをしたことで、ラヴクラフト、シャーリイ・ジャクスン、リチャード・マシスン、H・G・ウェルズといった作家像が新たになったという収穫もありました。
 個人的に一番の収穫だったのは、古典から現代ものまでの怪奇・ホラー作品をかなりの数読めたということでしょうか。ゴシック・ロマンスやモダンホラー系の長篇は、じっくり読んでみるとそれぞれの面白さがありました。
 ハヤカワ文庫の《モダンホラー・セレクション》に関しても、ほぼ読破できました。B級作品はたくさんあるものの、つまらなくて読めない…という作品がなかったのは、意外でしたね。

 結果的に、今年の新刊はまだ読めていないものが多いのですが、面白かったものに関して、言及しておきたいと思います。


 まず、日本作家から。



恐怖小説 キリカ ししりばの家
 『ぼぎわんが、来る』でファンになった澤村伊智の作品が、今年2冊ほど出ました。メタな趣向を使った『恐怖小説 キリカ』(講談社)、幽霊屋敷ものにひねりを加えた『ししりばの家』(角川書店)、2作とも水準以上の秀作でした。



奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い (角川ホラー文庫) ハラサキ (角川ホラー文庫) 迷い家
 今年度の日本ホラー小説大賞作品からは、木犀あこ『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』(角川ホラー文庫)、野城亮『ハラサキ』(角川ホラー文庫)、山吹静吽『迷い家』を読みました。
 異世界とサイコスリラーを合わせたかのような『ハラサキ』、不思議な道具を使った異界の屋敷探検が楽しい『迷い家』もなかなかですが、メタな趣向と登場する怪奇現象の新しさで、『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』が一番面白かったでしょうか。



わざと忌み家を建てて棲む 忌物堂鬼談 (講談社ノベルス) 魔邸
 三津田信三作品も、安定した作りで楽しませてもらいました。人工的な幽霊屋敷というテーマを扱った『わざと忌み家を建てて棲む』(中央公論新社)、所有するだけで祟られる「忌物(いぶつ)」をめぐる連作短篇集『忌物堂鬼談』(講談社ノベルス)、「神隠し」とミステリを組み合わせた『魔邸』(角川書店)もなかなかでした。



君と時計と嘘の塔 第一幕 (講談社タイガ) 君と時計と塔の雨 第二幕 (講談社タイガ) 君と時計と雨の雛 第三幕 (講談社タイガ) 君と時計と雛の嘘 第四幕 (講談社タイガ)
 タイムリープをテーマにした、綾崎隼《君と時計》4部作(講談社タイガ)は、ハラハラドキドキの連続で楽しませてもらいました。


 海外の翻訳ものもいろいろな秀作・傑作がたくさんありました。



約束 時間のないホテル (創元海外SF叢書) 深い穴に落ちてしまった 鏡の前のチェス盤 (古典新訳文庫) 引き潮 穢れの町 (アイアマンガー三部作2) (アイアマンガー三部作 2) 魔法にかかった男 (ブッツァーティ短篇集)
 まずは文学作品。
 イジー・クラトフヴィル『約束』(河出書房新社)は、監禁をテーマにしたサスペンスがとんでもない展開になってしまうという怪作。
 ウィル・ワイルズ『時間のないホテル』(東京創元社)は、エッシャー風のホテルで展開するモダンホラー的長篇でした。これは読書会でも話題になりましたが、前半が面白いという人と後半が面白いという人に分かれていましたね。
 イヴァン・レピラ『深い穴に落ちてしまった』(東京創元社)は、穴に落ちた兄弟をめぐる寓話で、なかなか考えさせられる作品でした。
 『鏡の前のチェス盤』(光文社古典新訳文庫)は、イタリアの異色作家ボンテンペッリのファンタジー長篇。「不思議の国のアリス」的な世界観で展開されるナンセンス作品でした。
 ロバート・ルイス・スティーヴンスン&ロイド・オズボーン『引き潮』(国書刊行会 2700円)は、オフビートな航海物語で、妙に心に残る作品でした。
 マリオ・レブレーロ『場所』(水声社)は、エンタメに富んだ不条理小説。
 話題になった、エドワード・ケアリー《アイアマンガー三部作》も評判に違わぬ傑作でした。
 ロマン・ギャリ『ペルーの鳥 死出の旅へ』(水声社)は、秀作が集められた短篇集。とくにジャンル小説というわけではないのですが《異色作家短篇集》に入ってもおかしくないテイストの作品集だと思います。
 年末から刊行の始まった、ブッツァーティ未訳短篇集の第一弾、『魔法にかかった男』(東宣出版)も非常にいい企画でした。



闇夜にさまよう女 最後の乗客 (マグノリアブックス) 魔女の棲む町 (マグノリアブックス) ダーク・マター (ハヤカワ文庫 NV ク 22-4) 誰がスティーヴィ・クライを造ったのか? (DALKEY ARCHIVE)
 エンタメ作品では、以下の作品に楽しませてもらいました。
 セルジュ・ブリュソロ『闇夜にさまよう女』(国書刊行会)は、凝りに凝ったサイコスリラー。ひっくり返しが好きな人には楽しめるのでは。
 マネル・ロウレイロ『最後の乗客』(マグノリアブックス)は、幽霊船テーマにひねりを加えた作品。
 トマス・オルディ・フーヴェルト『魔女の棲む町』は、超自然現象に対するアプローチが面白かったですね。
 ブレイク・クラウチ『ダーク・マター』(ハヤカワ文庫NV)は、パラレルワールドをテーマにしたSFサスペンス作品。
 《ドーキー・アーカイヴ》の新刊、マイクル・ビショップ『誰がスティーヴィ・クライを造ったのか?』(国書刊行会)は、ホラーがかったメタフィクションで、ブラック・ユーモアにあふれた秀作でした。



ドラゴン・ヴォランの部屋 (レ・ファニュ傑作選) (創元推理文庫) 人形 (デュ・モーリア傑作集) (創元推理文庫) ぼくが死んだ日 (創元推理文庫) 夜の夢見の川 (12の奇妙な物語) (創元推理文庫) FUNGI-菌類小説選集 第Iコロニー(ele-king books) 時をとめた少女 (ハヤカワ文庫SF) ヒトラーの描いた薔薇 (ハヤカワ文庫SF) イヴのいないアダム (ベスター傑作選) (創元SF文庫)
 短篇集では、J・S・レ・ファニュの怪奇小説集『ドラゴン・ヴォランの部屋』(創元推理文庫 予価1080円)、、デュ・モーリアの初期作品を集めた、ダフネ・デュ・モーリア『人形 デュ・モーリア傑作集』(創元推理文庫)、ひねりの効いたゴースト・ストーリー集、キャンデス・フレミング『ぼくが死んだ日』(創元推理文庫 予価972円)など。
 アンソロジーでは、「奇妙な味」作品を集めた作品集である、中村融編『夜の夢見の川 12の奇妙な物語』(創元SF文庫)、菌類をテーマにしたユニークなアンソロジー、オーリン・グレイ/シルビア・モレノ編『ファンギ 菌類文学アンソロジー』(Pヴァイン)が面白かったです。
 SFでは、ロバート・F・ヤング『時をとめた少女』、ハーラン・エリスン『ヒトラーの描いた薔薇』(ハヤカワ文庫SF)、アルフレッド・ベスター『イヴのいないアダム』(創元SF文庫)などのベテラン勢の短篇集が、安心して楽しめる作品集でした。



魔術師の帝国《1 ゾシーク篇》 (ナイトランド叢書) 魔術師の帝国《2 ハイパーボリア篇》 (ナイトランド叢書) 魔女を焼き殺せ! (ナイトランド叢書2-6) 魔女王の血脈 (ナイトランド叢書2-7) ジョージおじさん〜十七人の奇怪な人々 (ナイトランド叢書)
 《ナイトランド叢書》(アトリエサード)は、クラーク・アシュトン・スミス『魔術師の帝国1、2』、オーガスト・ダーレス『ジョージおじさん 十七人の奇怪な人々』、A・メリット『魔女を焼き殺せ!』、サックス・ローマー『魔女王の血脈』が出ました。
 なかでは、ダーレスの手堅い怪奇小説集『ジョージおじさん』とメリットの怪奇スリラー『魔女を焼き殺せ!』が面白かったですね。



アンチクリストの誕生 (ちくま文庫) ワルプルギスの夜:マイリンク幻想小説集 永久パン 他一篇 火の書
 クラシック作品では、レオ・ペルッツ『アンチクリストの誕生』(ちくま文庫)、グスタフ・マイリンク『ワルプルギスの夜 マイリンク幻想小説集』(国書刊行会)、アレクサンドル・ベリャーエフ『永久パン 他一篇』(アルトアーツ)、ステファン・グラビンスキ『火の書』(国書刊行会)など。



怪談生活 江戸から現代まで、日常に潜む暗い影 (立東舎) バッドエンドの誘惑~なぜ人は厭な映画を観たいと思うのか~ (映画秘宝セレクション) 死の舞踏: 恐怖についての10章 (ちくま文庫) H・P・ラヴクラフト:世界と人生に抗って
 評論・エッセイでは、読んだものは少ないですが、以下のような本を面白く読みました。
 高原英理『怪談生活 江戸から現代まで、日常に潜む暗い影』(立東舎)は、江戸の怪談随筆をめぐるエッセイと著者の回想が入り混じったユニークな作品。
 真魚八重子『バッドエンドの誘惑 なぜ人は厭な映画を観たいと思うのか』(洋泉社)は、タイトル通り、バッドエンド映画の魅力について語った評論です。
 何度目かの復刊ですが、スティーヴン・キング『死の舞踏』(ちくま文庫)は、小説、ラジオ、テレビ、映画など多面的にホラー作品について語った評論集で、今でも読み応えがあります。新たについた序文や索引など、資料としても有用ですね。
 ミシェル・ウエルベック『H・P・ラヴクラフト 世界と人生に抗って』(国書刊行会)は、客観性には欠けるものの、著者の筆致の面白さを楽しむタイプの評論といっていいでしょうか。個々のラヴクラフト作品のあらすじや評価について知りたい読者には、ちょっと方向性が違う本かもしれません。


 あと、コミック作品で記憶に残った作品です。



《完全版》サイコ工場 A(アルファ) (LEED Cafe comics) 《完全版》サイコ工場 Ω(オメガ) (LEED Cafe comics) 黄色い悪夢 (LEED CAFE COMICS) 本田鹿の子の本棚 暗黒文学少女篇 (LEED CAFE COMICS)
 今年は、リイド社の「リイドカフェコミックス」レーベル作品が非常に面白かったです。
 1990年代作品に増補改定を施したという、谷口トモオ『《完全版》サイコ工場 A(アルファ)』『《完全版》サイコ工場 Ω(オメガ)』は、強烈かつシャープなサイコホラー作品集でした。
 黄島点心『黄色い悪夢』は、絵柄がグロテスクなものも多いですが、奇想に富んだ作品揃いで楽しませてもらいました。蚊の視点から描いたホラーなんて初めてです。
 佐藤将『本田鹿の子の本棚 暗黒文学少女篇』は、お父さんが娘の本棚の小説を盗み読むという面白いコンセプトで楽しい作品でした。



BOX~箱の中に何かいる~(3)<完> (モーニング KC) 諸星大二郎劇場 第1集 雨の日はお化けがいるから (ビッグコミックススペシャル)
 諸星大二郎は、迷宮やゲームをテーマにした『BOX~箱の中に何かいる~』が3巻で完結。年末には、読み切りを集めた『諸星大二郎劇場 第1集 雨の日はお化けがいるから』(ビッグコミックススペシャル)も出て、こちらも安定した出来の作品集でした。



<たそがれの市 あの世お伽話 夢十夜 桜の森の満開の下 (岩波現代文庫) 夜長姫と耳男 (岩波現代文庫)
 近藤ようこは、このところぐんと評価が上がっている作家ですね。
 『夢十夜』(岩波書店)は、漱石の同名作品のコミカライズ化。復刊ものも何冊か出ました。坂口安吾原作の『桜の森の満開の下』『夜長姫と耳男』(岩波現代文庫)、『帰る場所』『水の蛇』(ビームコミックス)。
 いちばん良かったのは、あの世とこの世の往還を描いた『たそがれの市 あの世お伽話』(角川書店)でしょうか。



狂気の山脈にて 1 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス) 狂気の山脈にて 2 ラヴクラフト傑作集【電子特典付き】 (ビームコミックス) 狂気の山脈にて 3 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス) 狂気の山脈にて 4 ラヴクラフト傑作集 (ビームコミックス)
 近年、ラヴクラフトのコミカライズを精力的に進めている田辺剛の『狂気の山脈にて』(ビームコミックス)は、4巻で完結。これは今のところ、作者の最高傑作といっていいんじゃないでしょうか。



辺獄のシュヴェスタ(5) (ビッグコミックス) 辺獄のシュヴェスタ(6) (ビッグコミックス) キリング・アンド・ダイング
 竹良実『辺獄のシュヴェスタ』は六巻で完結。非常にハードな復讐物語でしたが、結末では感動が得られます。
 エイドリアン・トミネ『キリング・アンド・ダイング』(国書刊行会)は、じんわりとした感動がくるグラフィック・ノヴェル。



アマネ†ギムナジウム(1) (モーニング KC) 好奇心は女子高生を殺す 1 (サンデーうぇぶりSSC) 惑星クローゼット (1) (バーズコミックス) 銀河の死なない子供たちへ(上) (電撃コミックスNEXT) HOTEL R.I.P. 1 (秋田レディースコミックスデラックス) ことなかれ(1) (Nemuki+コミックス)
 連載中で追いかけ始めたのは、以下の作品です。
 古屋兎丸『アマネ†ギムナジウム』(モーニングKC)は、趣味で作った少年人形と学園が実体化するという作品。生徒の少年たちの青春模様と、学園の「作者」であるヒロインのメタな物語が組み合わさったユニークな作品です。
 高橋聖一『好奇心は女子高生を殺す』(サンデーうぇぶりSSC)は、女子高生のコンビが毎回不思議な目にあうというSFファンタジー。つばな『第七女子会彷徨』に似たテイストですが、あちらよりもシビアで苦い味わいです。
 つばな『惑星クローゼット』(バーズコミックス)は、眠るたびに他惑星に転送されてしまうというヒロインが主人公。そこで出会った少女とともに、その星の秘密を探っていくという冒険もの。
 施川ユウキ『銀河の死なない子供たちへ』(電撃コミックスNEXT)は、不死の子供たちが生命について学ぶという物語。長大な時間の流れがあっさりと表現されるのに驚きます。
 西倉新久『HOTEL R.I.P.』(秋田レディースコミックスデラックス)は、あの世とこの世の境にあるホテルで展開されるヒューマン・ストーリー。単純な人情話にならないところにバランスの良さを感じます。
 オガツカヅオ、星野茂樹『ことなかれ』(Nemuki+コミックス)は、都市伝説を調査する「ことなかれ課」の活躍を描いたオカルト連作ストーリーです。日常と非日常の境目の描写が上手いですね。



五佰年BOX(1) (イブニングコミックス) 五佰年BOX(2) (イブニングコミックス)
 今一番続きが楽しみなのが、宮尾行巳『五佰年(いほとせ)BOX』(イブニングコミックス)。
 隣人の家から見つかった奇妙な箱の中には、数百年前と思しい人々が生活する世界が入っていました。主人公は、箱の中で襲われている少女をとっさに助けてしまいますが、その結果、現実の歴史も変わっていたのです…。
 異色のパラレルワールド+歴史改変もの作品です。主人公は元の世界を取り戻そうとしますが、歴史が変わる条件もわからず、試行錯誤を繰り返すのです。2巻まで出ていますが、本当に物語の予測がつかず、続刊が楽しみです。


Mooncop
 最後に、洋書ですが、Tom Gauldのコミック『Mooncop』(Drawn & Quarterly Pubns)。
 タイトルは「月のお巡りさん」とでもいった感じでしょうか。過疎化する月の町で、孤独な生活を送る警官の物語です。だんだんと町の人々は地球に帰ってしまい、店もどんどんと機械化されていくなか、警官は…という物語。ブラッドベリ『火星年代記』を思わせるテイストで、しみじみとした味わいがあります。
 作者のTom Gauld(トム・ゴールド)は、旧約聖書のエピソードを元にしたグラフィック・ノヴェル『ゴリアテ』(パイインターナショナル)が紹介されています。
Mooncop2.jpg Mooncop1.jpg


 新年初めには、また記事を更新したいと思いますが、今年は一旦これで終了としたいと思います。一年間ありがとうございました。

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1月の気になる新刊と12月の新刊補遺
発売中  武田雅哉『中国飛翔文学誌 空を飛びたかった綺態な人たちにまつわる十五の夜噺』(人文書院 6696円)
12月26日刊 『別冊映画秘宝 鬱な映画』(洋泉社 予価1620円)
12月26日刊 トーマス・カリナン『ビガイルド 欲望のめざめ』(作品社 予価3024円)
1月6日刊 ジョイス・キャロル・オーツ『とうもろこしの乙女、あるいは七つの悪夢』(河出文庫 予価1404円)
1月10日刊 パコ・ロカ『家』(小学館集英社プロダクション 予価3024円)
1月10日刊 メアリー・シェリー『マチルダ』(彩流社 予価2052円)
1月10日刊 朝里樹『日本現代怪異事典』(笠間書院 予価2376円)
1月12日刊 リリー・ブルックス=ダルトン『世界の終わりの天文台』(東京創元社 予価2376円)
1月12日刊 ジェームズ・ロバートソン『ギデオン・マック牧師の数奇な生涯』(東京創元社 予価3456円)
1月20日刊 イタロ・カルヴィーノ『木のぼり男爵』(白水Uブックス 予価1944円)
1月24日刊 アリ・ランド『善いミリー、悪いアニー』(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1080円)
1月27日刊 『ユリイカ2月号 特集クトゥルー神話』(青土社 1512円)[
1月29日刊 沖田瑞穂『怖い女 怪談、ホラー、都市伝説の女の神話学』(原書房 予価2484円)
1月31日刊 柳下毅一郎監修『J・G・バラード短編全集5』(東京創元社 予価3888円)
1月31日刊 C・デイリー・キング『タラント氏の事件簿 完全版』(創元推理文庫 予価1296円


 『中国飛翔文学誌 空を飛びたかった綺態な人たちにまつわる十五の夜噺』は、中国の飛行にかかわる伝承や逸話を古典の時代から現代まで扱ったという本。武田雅哉さんの著作は、毎回非常に面白いテーマを扱っていますが、これまた面白そうですね。値段がちょっとネックではありますが。

 トーマス・カリナン『ビガイルド 欲望のめざめ』は、ドン・シーゲル監督の映画『白い肌の異常な夜』の原作小説。リメイク映画版に合わせた翻訳出版のようです。映画はサスペンス映画として有名なものなので、原作も気になりますね。

 『家』は、スペインの漫画家パコ・ロカによるコミック作品。前作『皺』は「老い」や「認知症」をテーマに象徴的な表現を使った意欲的な作品だったので、こちらの作品も楽しみです。

 朝里樹『日本現代怪異事典』は、現代日本の怪異や都市伝説などを紹介する事典です。以前に同人誌版が出ていたのですが、予約が殺到していて全然買えませんでした。これは期待大です。

 創元社の新刊からは、二作品が気になる作品です。
 リリー・ブルックス=ダルトン『世界の終わりの天文台』は、人類滅亡のときを迎え、老学者が幼い少女と同居生活を始める…という物語。
 ジェームズ・ロバートソン『ギデオン・マック牧師の数奇な生涯』は「突然、悪魔に命を助けられたなど冒涜的な告白をし、失踪してしまった牧師。彼の手記に書かれた波瀾に満ちた生涯とは。スコットランド随一の作家によるブッカー賞候補作!」という内容です。

 アリ・ランド『善いミリー、悪いアニー』は、殺人鬼の母親を告発した娘が、母親の法廷に証人として立つ…という話らしいです。「異色のサイコ×法廷×学園ミステリ」ということで、気になる作品です。

 『ユリイカ2月号』の特集は「クトゥルー神話」。ラヴクラフトでなく「クトゥルー」というところがミソでしょうか。公開されている目次を転載しておきます。

目次予定*【対談】黒史郎×森瀬繚/稲生平太郎×高橋洋【創作】酉島伝法/高山羽根子/赤野工作/藤田祥平【論考/エッセイ】伊藤博明/大野英士/小森健太朗/田中千惠子/立原透耶/寺田幸弘/廣田龍平/大久保ゆう/西貝怜/逆卷しとね…

 『J・G・バラード短編全集5』は、シリーズ最終巻。これはいいシリーズでした。他のSF作家の短篇集も出してくれると嬉しいですね。例えばシオドア・スタージョンとか。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学



プロフィール

kazuou

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



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