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テーマ:その他 - ジャンル:その他

怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会 参加者募集です
 2017年8月27日(日曜日)に「怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会」を開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年8月27日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1500円(予定)
テーマ
第1部:世界の終わりの物語
第2部:リチャード・マシスンの世界

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

第1部のテーマは「世界の終わりの物語」。様々な要因により破滅を迎えた世界についての物語を集めてみたいと思います。
 例えば、寿命を迎えた地球を描くH・G・ウェルズ『タイムマシン』やW・H・ホジスン『ナイトランド』、人類がほぼ吸血鬼になってしまった世界を描くリチャード・マシスン『アイ・アム・レジェンド』、人間が結晶化してゆく世界を描いたJ・G・バラード『結晶世界』、植物に襲われる世界を描いたジョン・ウィンダム『トリフィド時代』、山椒魚によって人類が滅亡するカレル・チャペック『山椒魚戦争』など。
 滅んだ世界、あるいは滅びつつある世界で人間はどう考え、どう生きるのか? 終わりを迎えた世界についての物語の魅力とは何なのかを考えてみたいと思います。

 第2部は「リチャード・マシスンの世界」。アメリカの作家リチャード・マシスン(1926-2013)の作品群を見ていきたいと思います。
 ジョージ・A・ロメロのゾンビ映画の原型となった『アイ・アム・レジェンド』、幽霊屋敷ものの新機軸『地獄の家』、ノスタルジック・ファンタジーの名作『ある日どこかで』、縮み続ける男を描いたSF作品『縮みゆく人間』など、エンターテインメントの歴史に名を残す名作長編のほか、『13のショック』『激突』『不思議の森のアリス』『運命のボタン』などの短篇集には、ホラー・SFの名短篇が多く収められています。
 また、オムニバス・ドラマシリーズ《トワイライトゾーン》で脚本を手がけたほか、映画の脚本、自作の映画化など、映像分野でも多くの仕事を残しています。
 小説・映像の分野で大きな軌跡を残したマシスンの作品について、話し合いたいと思います。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

忌まわしき祭礼  トマス・トライオン『悪魔の収穫祭』
悪魔の収穫祭〈上〉 (角川文庫)悪魔の収穫祭〈下〉 (角川文庫)
 広告会社の重役ネッドは仕事に疲れ、たまたま見つけた田舎の村コーンウォール・クームに、妻と娘とともに移住することになります。牧歌的と見えた村の生活ですが、やがてそこに住む人々は因習に囚われており、文明の利器に対しても否定的だということがわかってきます。
 村には、村人たちの主な生業である、とうもろこしに関する収穫祭があり、その祭りでは「とうもろこし王」と「とうもろこし姫」が決められます。「とうもろこし王」に選ばれれば、いろいろな恩恵を受けられるというのです。しかし前回の「とうもろこし王」は事故で死んでおり、その婚約者も自殺しているといいます。不審に思ったネッドは、情報を得ようと、村人たちから話を聞こうとしますが、なぜか人々ははっきりとした話をしてくれません…。

 トマス・トライオン『悪魔の収穫祭』(広瀬順弘訳 角川ホラー文庫)は、閉鎖的な村を舞台にじわじわと恐怖を盛り上げてゆく、モダンホラー作品です。
 作品の前半は、主人公ネッドたちが暮らす村の生活と人々との交流が描かれます。劇的な事件は起こらないものの、村全体が非常に保守的で閉鎖的だということが詳細に描写されていくのです。医者や警察といった公権力はまともに働いておらず、人々は昔から変わらない農業に従事しています。農業にトラクターを導入することさえ反対するという保守的な村人たち。
 医者のいないこの村では、ウィドー・フォーチュンと呼ばれる年配の女性が、医療や祭事をとりしきっています。ウィドー・フォーチュンが、喘息で死にかけた主人公の娘の命を助けたことから、妻と娘は村に溶け込んでいきます。
 隣人の女性との浮気めいた話をきっかけに、夫婦の信頼感も崩れていくなか、ネッドは村やその祭事に不信感を持ち、過去の事件の聞き込みを始めます。前回の「とうもろこし王」はどのように死んだのか? 「とうもろこし姫」はなぜ自殺に追い込まれたのか?
 やがて村に伝わる祭事のいまわしい秘密が明らかになっていくのです。

 1973年の作品なのですが、正直、村の秘密や祭事の真相は、現代の読者からすると、それほど強烈なものではありません。ただ、表面上、木訥で親切に見えた村人たちの本心がわかる後半の不気味さは比類がありません。村人たちの間の反目や対立などが、実際は目に見えていた通りではなく、まるで違っていたことがわかるのです。
 序盤から散りばめられた細かな伏線が、結末に至って結びつくという、練られた構成であり、完成度の非常に高い恐怖小説です。

 ちなみに、作者のトマス・トライオン(1926-1991)は元俳優で、何冊かの著作を残しました。邦訳されている中でホラーに属する作品は、この『悪魔の収穫祭』の他にもう一冊『悪を呼ぶ少年』(深町眞理子訳 角川文庫)があります。こちらもかなりの傑作です。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

ラヴクラフト『文学と超自然的恐怖』邦訳リスト
4480430113幻想文学入門―世界幻想文学大全 (ちくま文庫)
東 雅夫
筑摩書房 2012-11-01

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 H・P・ラヴクラフトについての読書会用に作成した資料なのですが、せっかく作ったので公開したいと思います。
 H・P・ラヴクラフト『文学と超自然的恐怖』は、ラヴクラフトが実際に読んだ怪奇幻想小説を紹介してゆくという、ブックガイド的なエッセイです。その中から、邦訳があるもののみをリストアップして、邦訳文献を併記しました。

※テキストは、植松靖夫訳(東雅夫編『世界幻想文学大全 幻想文学入門』ちくま文庫収録)を使用しました。
※邦訳があるもののみのリストです。
※書名は、『文学と超自然的恐怖』の表記ではなく、邦訳されているタイトルを使用しています。


ダニエル・デフォー(1660-1731)
『ミセス・ヴィールの幽霊』(平井呈一訳 平井呈一編『恐怖の愉しみ』創元推理文庫収録)

ホーレス・ウォルポール(1717-1797)
『オトラント城奇譚』(平井呈一訳 荒俣宏/ 紀田順一郎編『怪奇幻想の文学3 戦慄の創造』新人物往来社収録)

クレアラ・リーヴ(1729-1807)
『イギリスの老男爵』(井出弘之訳 国書刊行会)

ヨーハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(1749-1832)
『コリントの許婚』(竹山道雄訳 須永朝彦編『書物の王国12 吸血鬼』国書刊行会収録)

ウイリアム・ゴドウィン(1756-1836)
『ケイレブ・ウイリアムズ』(岡照雄訳 白水U ブックス)

ウイリアム・ベックフォード(1760-1844)
『ヴァテック』(私市保彦訳 国書刊行会)

アン・ラドクリフ(1764-1823)
『イタリアの惨劇』(野畑多恵子訳 国書刊行会)

サー・ウォルター・スコット(1771-1832)
『老吟遊詩人ウィリーの物語』(鈴木英夫訳 小池滋/ 富山太佳夫編『悪魔の骰子』国書刊行会収録)

チャールズ・ブロックデン・ブラウン(1771-1810)
『ウィーランド』(志村正雄訳 国書刊行会)
『エドガー・ハントリー』(八木敏雄訳 国書刊行会)

マシュー・グレゴリー・ルイス(1775-1818)
『マンク』(井上一夫訳 国書刊行会)
『古城の亡霊』(上坪正徳訳『ゴシック演劇集』国書刊行会収録)

ジェーン・オースティン(1775-1817)
『ノーサンガー・アビー』(中野康司訳 ちくま文庫)

フリードリヒ・ド・ラ・モット・フーケ(1777-1843)
『水の精(ウンディーネ)』(識名章喜訳 光文社古典新訳文庫)

チャールズ・ロバート・マチューリン(1782-1824)
『放浪者メルモス』(富山太佳夫訳 国書刊行会)

フレデリック・マリヤット(1792-1848)
『人狼』(宇野利泰訳『怪奇小説傑作集2』創元推理文庫収録)

オノレ・ド・バルザック(1799-1850)
『神と和解したメルモス』(私市保彦/ 加藤尚宏編『バルザック幻想・怪奇小説選集3 呪われた子・他』水声社収録)
『あら皮 欲望の哲学』(小倉孝誠訳 藤原書店)
『セラフィタ』(沢崎浩平訳 国書刊行会)
『ルイ・ランベール』(私市保彦訳『神秘の書』水声社収録)

ワシントン・アーヴィング(1783-1859)
『ドイツ人学生の冒険』(志村正雄訳 志村正雄編『米国ゴシック作品集』国書刊行会収録)

メアリ・シェリー(1797-1851)
『フランケンシュタイン』(森下弓子訳 創元推理文庫)

ヴィルヘルム・マインホルト(1797-1851)
『琥珀の魔女』(前川道介/ 本岡五男訳 創土社)

ヴィクトル・ユゴー(1802-1885)
『氷島奇談』(島田尚一訳『世界の文学7』中央公論社収録)

エドワード・ブルワー=リットン(1803-1873)
『幽霊屋敷』(平井呈一訳 平井呈一編『怪奇小説傑作集1』創元推理文庫収録)
『不思議な物語』(中西敏一訳 国書刊行会)
『ザノーニ』(富山太佳夫/ 村田靖子訳 国書刊行会)

プロスペル・メリメ(1803-1870)
『イールのヴィーナス』(杉捷夫訳 東雅夫『世界幻想文学大全 怪奇小説精華』ちくま文庫収録)

エドガー・アラン・ポオ(1809-1849)
『壜のなかの手記』(阿部知二訳『ポオ小説全集1』創元推理文庫収録)
『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』(大西尹明訳『ポオ小説全集2』創元推理文庫収録)
『メッツェンガーシュタイン』(小泉一郎訳『ポオ小説全集1』創元推理文庫収録)
『群衆の人』(中野好夫訳『ポオ小説全集2』創元推理文庫収録)
『赤死病の仮面』(松村達雄訳『ポオ小説全集3』創元推理文庫収録)
『沈黙』(永川玲二訳『ポオ小説全集2』創元推理文庫収録)
『影』(河野一郎訳『ポオ小説全集1』創元推理文庫収録)
『リジイア』(阿部知二訳『ポオ小説全集1』創元推理文庫収録)
『アッシャー家の崩壊』(河野一郎訳『ポオ小説全集1』創元推理文庫収録)

ナサニエル・ホーソーン(1804-1864)
『大理石の牧神』(島田太郎/ 三宅卓雄/ 池田孝一訳 国書刊行会)
『牧師の黒のベール ある寓話』(坂下昇訳『ホーソーン短篇小説集』岩波文庫収録)
『野望に燃える客人』(国重純二『ナサニエル・ホーソーン短編全集1』南雲堂収録)
『七破風の屋敷』(大橋健三郎訳『世界文学大系81』筑摩書房収録)

トマス・プレスケット・プレスト(1810-1879)
『恐怖の来訪者』(『吸血鬼ヴァーニー』の抜粋)(武富義夫訳 矢野浩三郎編『怪奇と幻想1 吸血鬼と魔女』角川文庫収録)

テオフィル・ゴーチェ(1811-1872)
『化身』(小柳保義訳 店村新次/ 小柳保義編『ゴーチエ幻想作品集』創土社収録)
『ミイラの足』(小柳保義訳『変化 フランス幻想小説』現代教養文庫収録)
『死女の恋』(青柳瑞穂訳 澁澤龍彦編『怪奇小説傑作集4』創元推理文庫収録)
『クレオパトラの一夜』(小柳保義訳『魔眼 フランス幻想小説』現代教養文庫収録)

チャールズ・ディケンズ(1812-1870)
『信号手』(橋本福夫訳『怪奇小説傑作集3』創元推理文庫収録)

エミリー・ブロンテ(1818-1848)
『嵐が丘』(小野寺健訳 光文社古典新訳文庫)

ギュスターヴ・フローベール(1821-1880)
『聖アントワヌの誘惑』(渡辺一夫訳 岩波文庫)

ジョージ・マクドナルド(1824-1905)
『リリス』(荒俣宏訳 ちくま文庫)

エルクマン=シャトリアン(エミール・エルクマン(1822-1899)/ アレクサンドル・シャトリアン(1826-1890))
『見えない眼』(平井呈一訳 平井呈一編『恐怖の愉しみ』創元推理文庫収録)
『梟の耳』(小林晋訳『エルクマン- シャトリアン怪奇幻想短編集』ROM 叢書収録)

フィッツ=ジェイムズ・オブライエン(1828-1862)
『あれは何だったか?』(橋本福夫訳 平井呈一編『怪奇小説傑作集3』創元推理文庫収録)
『ダイヤモンドのレンズ』(南條竹則訳『不思議屋/ ダイヤモンドのレンズ』光文社古典新訳文庫収録)

ヴィリエ・ド・リラダン(1838-1889)
『希望』(釜山健訳『最後の宴の客』国書刊行会収録)

アンブローズ・ビアス(1842-1913?)
『ハルピン・フレーザーの死』(飯島淳秀訳 荒俣宏編『アメリカ怪談集』河出文庫収録)
『怪物』(大西尹明訳 平井呈一編『怪奇小説傑作集3』創元推理文庫収録)
『環境が肝心』(大津栄一郎訳『ビアス短篇集』岩波文庫収録)
『右足の中指』(飯島淳秀訳『完訳・ビアス怪異譚』創土社収録)
『幽霊屋敷』(飯島淳秀訳『完訳・ビアス怪異譚』創土社収録)

ヘンリー・ジェイムズ(1843-1916)
『ねじの回転』(蕗沢忠枝訳 新潮文庫)

ロバート・ルイス・スティーヴンスン(1850-1894)
『ジキル博士とハイド氏』(夏来健次訳 創元推理文庫)
『死骸盗人』(河田智雄訳『スティーヴンソン怪奇短篇集』福武文庫収録)
『マーカイム』(高松雄一/ 高松禎子訳『マーカイム/ 壜の小鬼 他五篇』岩波文庫収録)

ブラム・ストーカー(1847-1912)
『吸血鬼ドラキュラ』(平井呈一訳 創元推理文庫)
『七つ星の宝石』(森沢くみ子訳 アトリエサード)

ギイ・ド・モーパッサン(1850-1893)
『オルラ』(榊原晃三訳『モーパッサン怪奇傑作集』福武文庫収録)
『だれが知ろう?』(榊原晃三訳『モーパッサン怪奇傑作集』福武文庫収録)
『恐怖』(榊原晃三訳『モーパッサン怪奇傑作集』福武文庫収録)
『水の上』(榊原晃三訳『モーパッサン怪奇傑作集』福武文庫収録)
『幽霊』(榊原晃三訳『モーパッサン怪奇傑作集』福武文庫収録)
『狼』(青柳瑞穂訳『モーパッサン短編集3』新潮文庫収録)

ラフカディオ・ハーン(1850-1904)
『怪談』(平井呈一訳 岩波文庫)

メアリ・E・ウイルキンズ=フリーマン(1852-1930)
『壁にうつる影』(梅田正彦編訳『ざくろの実』鳥影社収録)

オスカー・ワイルド(1854-1900)
『ドリアン・グレイの肖像』(仁木めぐみ 光文社古典新訳文庫)

フランシス・マリオン・クロフォード(1854-1909)
『上段寝台』(乾信一郎訳 ロアルド・ダール編『ロアルド・ダールの幽霊物語』ハヤカワ・ミステリ文庫収録)
『死骨の咲顔』(平井呈一訳 荒俣宏/ 紀田順一郎編『怪奇幻想の文学4 恐怖の探究』新人物往来社収録)

H・R・ハガード(1856-1925)
『洞窟の女王』(大久保康雄訳 創元推理文庫)

アーサー・コナン・ドイル(1859-1930)
『北極星号の船長』(北原尚彦/ 西崎憲訳『北極星号の船長』創元推理文庫収録)
『競売ナンバー二四九』(北原尚彦/ 西崎憲訳『クルンバーの謎』創元推理文庫収録)

シャーロット・パーキンズ・ギルマン(1860-1935)
『黄色い壁紙』(西崎憲訳 倉阪鬼一郎/ 南條竹則/ 西崎憲編『淑やかな悪夢』創元推理文庫収録)

クレメンス・ハウスマン(1861-1955)
『人狼』(野村芳夫訳 荒俣宏編『怪奇文学大山脈 西洋近代名作選1 19 世紀再興篇』東京創元社収録)

M・R・ジェイムズ(1862-1936)
『好古家の怪談集』(紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ怪談全集1』創元推理文庫収録)
 『マグナス伯爵』(紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ怪談全集1』創元推理文庫収録)
 『笛吹かば現われん』(紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ怪談全集1』創元推理文庫収録)
 『トマス僧院長の宝』(紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ怪談全集1』創元推理文庫収録)
『続・好古家の怪談集』(紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ怪談全集1』創元推理文庫収録)
 『バーチェスター聖堂の大助祭席』(紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ怪談全集1』創元推理文庫収録)
『痩せこけた幽霊』(紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ怪談全集2』創元推理文庫収録)
 『寺院史夜話』(紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ怪談全集2』創元推理文庫収録)
『猟奇への戒め』(紀田順一郎訳『M・R・ジェイムズ怪談全集2』創元推理文庫収録)
『五つの壷』(紀田順一郎訳『五つの壷』ハヤカワ文庫FT 収録)

ラルフ・アダムス・クラム(1863-1942)
『死の谷』(関桂子訳『ミステリマガジン1984 年8 月号』早川書房収録)

アーサー・マッケン(1863-1947)
『夢の丘』(平井呈一訳 創元推理文庫)
『パンの大神』(平井呈一訳 平井呈一編『怪奇小説傑作集1』創元推理文庫収録)
『白魔』(南條竹則訳『白魔』光文社古典新訳文庫収録)
『怪奇クラブ』(平井呈一訳 創元推理文庫)
 『黒い石印』(平井呈一訳『怪奇クラブ』創元推理文庫収録)
 『白い粉薬のはなし』(平井呈一訳『怪奇クラブ』創元推理文庫収録)
 『大いなる来復』(平井呈一訳『怪奇クラブ』創元推理文庫収録)
『輝く金字塔』(南條竹則『輝く金字塔』国書刊行会収録)
『赤い手』(平井呈一訳『三人の詐欺師 アーサー・マッケン作品集成2』沖積舎収録)
『恐怖』(平井呈一訳『恐怖 アーサー・マッケン作品集成3』沖積舎収録)
『弓兵・戦争伝説』(平井呈一訳『恐怖 アーサー・マッケン作品集成3』沖積舎収録)

ウイリアム・ウイマーク・ジェイコブズ(1863-1943)
『猿の手』(平井呈一訳 平井呈一編『怪奇小説傑作集1』創元推理文庫収録)

R・W・チェンバース(1865-1933)
『黄衣の王』(大瀧啓裕訳 創元推理文庫)

ラドヤード・キプリング(1865-1936)
『イムレイの帰還』(橋本福夫訳 平井呈一編『怪奇小説傑作集3』創元推理文庫収録)
『獣の印』(橋本槇矩訳 東雅夫編『世界幻想文学大全 怪奇小説精華』ちくま文庫収録)
『幻の人力車』(岡本綺堂訳『世界怪談名作集』河出文庫収録)

エドワード・ルーカス・ホワイト(1866-1934)
『こびとの呪い』(中村能三訳 平井呈一編『怪奇小説傑作集2』創元推理文庫収録)
『セイレーンの歌』(森美樹和訳 荒俣宏/ 紀田順一郎編『怪奇幻想の文学5 怪物の時代』新人物往来社収録)
『鼻面』(西崎憲訳 荒俣宏編『怪奇文学大山脈 西洋近代名作選2 20 世紀革新篇』東京創元社収録)

M・P・シール(1865-1947)
『ゼリューシャ』(南條竹則『怪談の悦び』創元推理文庫収録)
『音のする家』(阿部主計訳 荒俣宏/ 紀田順一郎編『怪奇幻想の文学4 恐怖の探究』新人物往来社収録)

リチャード・マーシュ(1867-1915)
『黄金虫』( 榊優子 創元推理文庫)

E・F・ベンスン(1867-1940)
『遠くへ行き過ぎた男』(中野善夫訳『塔の中の部屋』アトリエサード収録)
『歩く疫病』(西崎憲訳 森英俊/ 野村宏平編『乱歩の選んだベスト・ホラー』ちくま文庫収録)
『恐怖の山』(鈴木克昌訳 東雅夫編『書物の王国18 妖怪』国書刊行会収録)
『顔』(八十島薫訳『ベンスン怪奇小説集』国書刊行会収録)

グスタフ・マイリンク(1868-1932)
『ゴーレム』(今村孝訳 白水U ブックス)

アルジャーノン・ブラックウッド(1869-1951)
『柳』(宇野利泰訳 早川書房編集部編『幻想と怪奇1』ハヤカワ・ミステリ収録)
『ウェンディゴ』(夏来健次訳『ウェンディゴ』アトリエサード)
『幻の下宿人』(樋口志津子訳『死を告げる白馬 』ソノラマ文庫海外シリーズ収録)
『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』(植松靖夫訳 創元推理文庫)
 『霊魂の侵略者』(植松靖夫訳『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』創元推理文庫収録)
 『古えの妖術』(植松靖夫訳『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』創元推理文庫収録)
 『炎魔』(植松靖夫訳『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』創元推理文庫収録)
 『秘密の崇拝』(植松靖夫訳『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』創元推理文庫収録)
 『犬のキャンプ』(植松靖夫訳『心霊博士ジョン・サイレンスの事件簿』創元推理文庫収録)
『ジンボー』(北村太郎訳 月刊ペン社)
『ケンタウルス』(八十島薫訳 月刊ペン社)

アーヴィン・S・コッブ(1876-1944)
『魚頭 フィッシュヘッド』(曽田和子訳『別冊幻想文学 クトゥルー倶楽部』幻想文学会出版局収録)

H・H・エーヴェルス(1871-1943)
『アルラウネ』(麻井倫具/ 平田達治訳 国書刊行会)
『魔法使いの弟子』( 佐藤恵三訳 創土社)
『蜘蛛』(植田敏郎訳『怪奇小説傑作集5』創元推理文庫収録)

ウォルター・デ・ラ・メア(1873-1956)
『死者の誘(いざな)い』(田中西二郎訳 創元推理文庫)
『シートンのおばさん』(大西尹明訳 平井呈一編『怪奇小説傑作集3』創元推理文庫収録)
『樹』(脇明子訳 由良君美編『イギリス幻想小説傑作集』白水U ブックス収録)
『深淵より』(柿崎亮訳『デ・ラ・メア幻想短篇集』国書刊行会収録)
『世捨て人』(長井裕美子訳 シンシア・アスキス編『恐怖の分身』朝日ソノラマ文庫海外シリーズ収録)
『ケンプ氏』(柿崎亮訳『デ・ラ・メア幻想短篇集』国書刊行会収録)
『オール・ハロウズ大聖堂』(橋本槙矩訳『恋のお守り』ちくま文庫収録)

ウィリアム・ホープ・ホジスン(1877-1918)
『〈グレン・キャリグ号〉のボート』(野村芳夫訳 アトリエサード)
『異次元を覗く家』(荒俣宏訳 アトリエサード)
『幽霊海賊』(夏来健次訳 アトリエサード)
『ナイトランド』(荒俣宏訳 原書房)
『幽霊狩人カーナッキの事件簿』(夏来健次訳 創元推理文庫)

ロード・ダンセイニ(1878-1957)
『驚異の書』(中野善夫ほか訳『世界の涯(はて)の物語』河出文庫収録)
『夢見る人の物語』(中野善夫ほか訳『夢見る人の物語』河出文庫収録)
『山の神々』(松村みね子訳『ダンセイニ戯曲集』沖積舎収録)
『旅宿の一夜』(松村みね子訳『ダンセイニ戯曲集』沖積舎収録)
『神々の笑い』(松村みね子訳『ダンセイニ戯曲集』沖積舎収録)
『女王の敵』(松村みね子訳『ダンセイニ戯曲集』沖積舎収録)

E・M・フォースター(1879-1970)
『天国行きの乗合馬車』(小池滋訳『E・M・フォースター著作集5 短篇集1 天国行きの乗合馬車』みすず書房収録)

ヒュー・ウォルポール(1884-1941)
『ラント夫人』(平井呈一訳『恐怖の愉しみ』創元推理文庫収録)

H・R・ウェイクフィールド(1888-1964)
『赤い館』(鈴木克昌訳『ゴースト・ハント』創元推理文庫収録)
『ケルン』(鈴木克昌訳『ゴースト・ハント』創元推理文庫収録)
『彼の者現れて後去るべし』(鈴木克昌訳『ゴースト・ハント』創元推理文庫収録)
『彼の者、詩人なれば…』(鈴木克昌訳『ゴースト・ハント』創元推理文庫収録)
『目隠し遊び』(南條竹則訳『ゴースト・ハント』創元推理文庫収録)
『見上げてごらん』(鈴木克昌訳『ゴースト・ハント』創元推理文庫収録)
『ダンカスターの十七番ホール』(南條竹則訳 南條竹則編『怪談の悦び』創元推理文庫収録)

クラーク・アシュトン・スミス(1893-1961)
『大麻吸飲者』(蜂谷昭雄訳『魔術師の帝国』創土社収録)

L・P・ハートリー(1895-1972)
『豪州からの客』(小山太一訳 エドワード・ゴーリー編『憑かれた鏡』河出書房新社収録)


 18世紀のゴシック小説から、ラヴクラフトの同時代の作品まで、挙げられている作品はかなりの数に上ります。英米の作品だけでなく、バルザック、メリメ、リラダン、モーパッサンなどのフランス作家、マインホルト、エーヴェルス、マイリンクなどのドイツ作家にも目を通しているあたり、本当に読書家だったことがわかりますね。
 挙げられた作品数が多い作家ほど、ラヴクラフトの評価が高かったとするなら、とくに評価の高い作家は、エドガー・アラン・ポオ、ギイ・ド・モーパッサン、M・R・ジェイムズ、アルジャーノン・ブラックウッド、アーサー・マッケン、ロード・ダンセイニ、H・R・ウェイクフィールド、ウィリアム・ホープ・ホジスンあたりになるでしょうか。
 ちょっと意外だったのは、ウォルター・デ・ラ・メアの評価が高いこと。雰囲気小説の達人ともいうべきデ・ラ・メアと、ラヴクラフト自身の作風とはかなり異なりますが、それもまた興味深いところですね。

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異世界のオムニバス  ラジオ・サイレンス他監督『サウスバウンド』
B06XZQHMJ2サウスバウンド [DVD]
キングレコード 2017-07-05

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 『サウスバウンド』(2015年 アメリカ)は、砂漠に面した街道を舞台に、それぞれゆるくつながった5つのエピソードを描く、オムニバス・ホラー映画です。それぞれのエピソードは、突然始まり突然終わる…といった感じの不条理感が溢れており、独特の味わいがあります。

ラジオ・サイレンス監督『The Way Out』
 街道を走る車の中の二人の男は血まみれでした。車の後ろからは、謎の怪物が空に浮かんだまま、追いかけてきます。
 立ち寄ったドライブインを出て、再び街道を走っていると、再び同じドライブインの前に来てしまいます。何度行っても同じ場所に戻ってしまうのです。その間にも怪物が近づいてきますが…。

ロクサーヌ・ベンジャミン監督『Siren』
 ガールズバンドを組んでいる3人の若い女性は、乗っている車が街道でパンクしてしまいます。通りかかった夫婦の家に一泊することになった3人でしたが、セイディ以外の2人は、食事に出された異様な肉を食べ、気分を悪くしてしまいます。2人は謎の薬を飲まされた直後、セイディを置いて姿を消してしまいます…。

デビッド・ブルックナー監督『The Accident』
 よそ見運転をしていたルーカスは、道に飛び出してきた女性を轢いてしまいます。救急車を呼ぶものの、場所がわからず呼ぶことができません。救命士から自ら病院へ患者を運ぶように言われたルーカスは、車で病院を探すことになります。
 やがて見つけた病院でしたが、なぜか誰も人がおらず、治療をすることができません。電話の主は、指示をするから、ルーカス自身に治療をして欲しいと話しますが…。

パトリック・ホーバス監督『Jailbreak』
 バーに銃を構えて入ってきた男は、自分は強盗ではない、妹を捜しているだけだと話します。突如、客の一人の手がかぎ爪に変化し、男の背中を襲います。銃で客の手を吹き飛ばした男は、妹を知っているという店主に案内をさせることになりますが…。

ラジオ・サイレンス監督『The Way In』
 夫、妻、娘の家族は、別荘で一家団欒をしていました。ドアを叩く音がしたかと思うと、仮面をかぶった3人の男が押し入ってき、夫妻は拘束されてしまいます。目的は何だと叫ぶ夫ですが、やがて理由に思い至り謝罪を始めます。娘だけは助けてくれと言う夫でしたが…。

 それぞれのエピソードは、ゆるくつながっています。例えば1話の登場人物が入ったモーテルの別の部屋に泊まっていたのが、2話目の主人公たちだったり、という感じです。
 内容はバラエティに富んでいて、1話は謎の怪物、2話はカルト教団、3話は不条理スリラー、4話は怪物の町、5話は集団殺人鬼がテーマとなっています。
 1話に登場する怪物の造形がなかなかユニークで、インパクトがあります。宙を飛ぶ骸骨といった感じの造形なのですが、他のエピソードにもちょこっとずつ顔を出します。5話目で再び怪物の由来にスポットが当たるという構成も見事です。
 5話全てがつながっているといっても、演出上ゆるやかにつながっているというだけです。直接、話がつながっているのは1話と5話だけで、他のエピソードは直接的な世界観はつながっていないようですね。

 一番面白かったのは3話目の『The Accident』。よそ見運転で人を轢いてしまった男が、自分で治療をする羽目になるという不条理スリラーです。
 事故を起こした現場の周りに何もなかったり、たどり着いた病院が無人だったりと、その時点で不条理感が満載なのですが、病院についてからの展開がさらに不条理で強烈です。
 電話でつながった救命士と医者(らしき人物)の指示の通りに、患者の治療を進めることになるのですが、指示通りにするたびに、患者の容態が悪化していくというブラック・ユーモアあふれる作品です。

 他のエピソードにも共通するのですが、起こっている現象や事件に対して説明があまり加えられないのが特徴です。例えば、4話目の怪物のいる世界は何なのか? とか、5話目の夫が過去に犯した罪は何なのか? など、わからないままのことが多く、それがまた不条理感を高めています。
 ただそれゆえに、明快な起承転結を求めるタイプの人には、もやもやした感じを与えがちな作品ではありますね。
 全体の整合性とかバランスなどを考えると「傑作」とは言いにくいのですが、妙な魅力がある作品です。曖昧な点が多いせいもあり、物語の「深読み」が可能であり、その意味で作品世界に広がりがあります。鑑賞した後、誰かと話し合いたくなるような面白さがありますね。

テーマ:ホラー映画 - ジャンル:映画

ラヴクラフトの暗黒宇宙
ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1)) ラヴクラフト全集 (2) (創元推理文庫 (523‐2)) ラヴクラフト全集 (3) (創元推理文庫 (523‐3)) ラヴクラフト全集 (4) (創元推理文庫 (523‐4)) ラヴクラフト全集〈5〉 (創元推理文庫) ラヴクラフト全集〈6〉 (創元推理文庫) ラヴクラフト全集7 (創元推理文庫)
 H・P・ラヴクラフト(1890-1937)は、アメリカの怪奇小説家。彼の作品に現れる独自の世界観は「コズミック・ホラー」や「クトゥルー(Cthulhu)神話」と呼ばれ、後世に多大な影響を与えました。
 「コズミック・ホラー」とは、人類の誕生する遙か古代に地球を支配していた「旧支配者」と呼ばれる種族が、現代に蘇るというモチーフで書かれた作品群です。

 ラヴクラフトは、主に《ウィアード・テイルズ》を初めとするパルプマガジンに作品を発表しますが、生前は不遇であり、広く名前を知られるまでには至りませんでした。
 創作だけでなく、他の作家との文通や文章添削などを行い、後進の作家からは広く慕われていました。生前から、同人仲間同士で、ラヴクラフトの世界観を流用した作品を書くという試みが行われており、これが後に「クトゥルー神話」が広まる一因ともなります。
 40代の若さで亡くなった後、ラヴクラフトに心酔していたオーガスト・ダーレスとドナルド・ワンドレイは、ラヴクラフトの作品を出版するために、アーカム・ハウスという出版社を設立します。
 ダーレスはラヴクラフトの作品集を出版するほか、自らも我流の「クトゥルー神話」作品を書くなど、ラヴクラフト作品の普及に努めました。ラヴクラフト自身は、自分の作品に登場する世界観やキャラクターを整理体系づけることはしておらず、それを整理し、体系づけたのはダーレスとされています。その意味で「クトゥルー神話」は、ダーレスが作ったという意見もあります。

 非常にオリジナリティのある世界観を作ったラヴクラフトですが、ラヴクラフト自身、先行する作家たちをよく読み、そしてその影響を受けています。彼がどんな作家を読んでいたのかは、例えば『文学と超自然的恐怖』(植松靖夫訳 東雅夫編『世界幻想文学大全 幻想文学入門』ちくま文庫収録)というエッセイを読むとわかります。
 多くの作家が挙げられていますが、ラヴクラフト作品を読むと、ロード・ダンセイニ、アーサー・マッケン、アルジャーノン・ブラックウッド、M・R・ジェイムズ、ウィリアム・ホープ・ホジスン、エドガー・アラン・ポーなどの影響が感じられますね。
 特にダンセイニの影響は強く、『白い帆船』『ウルタールの猫』『サルナスの滅亡』など、直接的な影響が見られる《ダンセイニ風掌編》と呼ばれる一連の作品があります。『サルナスの滅亡』などは、非常によく出来ていて、ダンセイニの作品と言われても通るのではないでしょうか。
 また、「旧支配者」の独特のネーミングにも、ダンセイニの影響が感じられますね。

 ラヴクラフト作品によく登場するアイテムとして「魔導書」があります。その代表例が「ネクロノミコン」なのですが、これも先例があり、それがロバート・W・チェンバース『黄衣の王』に登場する同名の本です。
 『彼方より』『魔女の家の夢』『エーリッヒ・ツァンの音楽』など、この世とは異なる次元から怪物や怪異が出現する話などは、ホジスン作品の影響でしょうか。

 ラヴクラフト作品では、早い時期から「旧支配者」が登場しますが、後期になるまでその描かれ方は、人間とは隔絶したものとして描かれています。その点、伝統的な怪奇小説に登場する「幽霊」や「悪魔」に近い感覚なのでしょうか。なかでも、「魔王」のような存在である「アザトース」や「ヨグ=ソトース」は、次元を異にした存在のように描かれ、不気味さは比類がありません。
 後期作品になると「旧支配者」に関して、裏付けというかその由来が描写されることが多くなってきます。人類と隔絶しているのは確かなのですが、宇宙からやってきた生命体として、物質的な性質が強調されるようになります。
 後期の作品『狂気の山脈にて』は、その意味で重要な作品です。南極探検に訪れた探検隊が、発掘作業の途中「旧支配者」らしき生物と、彼らが住んでいた都市を発見するという物語です。
 作品中で、壁画から「旧支配者」の民族の盛衰が判明するのですが、そこでは、彼らが宇宙から飛来した地球外生物であることが明かされます。怪奇小説の枠内ではあるのですが、よりSF的な要素が強くなっています。
 これも後期の作品、『時間からの影』は、古代の生物に精神的に寄生している知性体が、時空を超えて現代の人間に精神を送り込み、中身を入れ替えてしまうという作品です。こちらはもうSFに分類してもいいような作品ですね。
 『狂気の山脈にて』『時間からの影』を読む限り、ラヴクラフトがもっと長生きしていたら、よりSF寄りの作品を書いていただろうことは確かだと思います。

 とくに「クトゥルー神話」には属さないものの、伝統的な怪奇小説として面白い作品もいくつかあって、狂気に囚われた男との出会いを描く『家のなかの絵』、常に冷房のある部屋に閉じこもる男を描いた『冷気』、ある家に住む人間が次々と死んでいくという『忌み嫌われる家』、飛来した隕石の影響で肉体的にも精神的にもおかしくなってしまう農夫一家を描く『宇宙からの色』などは、怪奇小説単体として面白いものです。

 後期作品では、SF的な要素が強くなっていると書きましたが、実際にそれらの作品を読んでみると、やはり怪奇小説以外の何者でもありません。というのも、ラヴクラフトが作中で「旧支配者」の由来を説明しても、それは彼らを理解しようとか、研究して対策を取ろうとか考えているわけではないからです。あくまで人間と隔絶した恐怖の対象ということは変わらず、人間はそれに対して無力なのです。
 ラヴクラフトは、突き詰めると一つのテーマだけで書いている作家です。それは「未知のものへの恐怖」。どの作品にも、そのテーマが伏流していて、それがあるがゆえに、時には筆が不器用にすべったとしても、怪奇小説としての魅力が感じられるのではないでしょうか。

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怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会 開催しました
 7月30日の日曜日、JR巣鴨駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め10名でした。
 テーマは、第1部「欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)」、第2部「ラヴクラフトを読む」です。参加してくださった方には、お礼を申し上げたいと思います。
 今回は、作家のMさんに参加していただけたこともあり、実作の話なども聞くことができました。

 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。

 今回も、参加者全員のプロフィールをまとめた紹介チラシを作りました。チラシをPDFにしたものを、メールにて事前に配信しています。

 今回第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)」。前回の続きということで、英米の怪奇小説を古典から現代まで、大まかにたどっていこうという試みです。資料として、年表形式で、代表的な英米怪奇小説の作品名と作者名を年表にしたものを作りました。
 合わせて、第1・2回で使用した「怪奇アンソロジーリスト」を増補した資料も用意しました。
 前回の最後が、マッケン、ブラックウッド、M・R・ジェイムズの三巨匠あたりで終わったので、今回はそれ以降の作品について話しました。時代的に20世紀初頭あたりから始めたこともあり、パルプマガジン作品、異色作家、1960~1970年代のオカルトホラー、キング以降のモダンホラーなど、現代に近い時代の作品まで、少しづつ見れたかな、という感じです。

 第2部のテーマは、「ラヴクラフトを読む」。アメリカの怪奇小説の巨匠H・P・ラヴクラフトの作品について、話し合おうというテーマです。
 資料として、ラヴクラフトの怪奇小説紹介エッセイ『文学と超自然的恐怖』に言及されている作品のリスト(邦訳があるもののみ)を作りました。ラヴクラフトが、どんな先行作家に影響を受けているのかを知ってもらいたいという狙いです。
 参加者の中にも、全集を読破している人、1、2編しか読んだことのない人、この機会に何冊か読んだ人など、ラヴクラフトに対する読書歴も思い入れも様々な人が集まったこともあり、一面的ではない、いろいろな視点からの意見が出たように思います。

 それでは、話題になったトピックを順不同で挙げていきます。

●第1部
・怪奇幻想小説の本領は短篇にある。長編になると、夾雑物が混ざってきてしまう。スティーヴ・ラスニック・テムやチャールズ・L・グラントは、それを嫌って、長編で「純粋」な怪奇小説をやろうとした作家だと思うが、成功しているとは言いがたい面がある。

・イギリスが、18世紀から一貫して怪奇幻想的作品を伏流させているのに対して、アメリカでは、20世紀以前はトピックとなる作家が幾人かいるのをのぞけば、潮流としての怪奇幻想小説というのはなかったのではないか?

・当時のジャンルでは一流とされていた作家が、現代ではその分野では問題にされず、怪奇幻想作品のみで記憶されている作家がいる。F・M・クロフォードなど。

・ロバート・ルイス・スティーヴンスンは、怪奇幻想的作品でも、文学畑でも傑作を残した一流の作家だと思う。

・C・A・スミスは、非常に才能のある作家だと思う。ラヴクラフトと同時代に〈クトゥルー神話〉作品を書いた作家の中でも、飛び抜けてユニークな個性がある。

・C・A・スミスは、短篇の中で、いろいろな設定や世界観などを、惜しげもなく使ってしまう。下手をすると長編シリーズ作品に使えるような面白い題材を、短い作品で使ってしまうのは凄い。例えば、オーガスト・ダーレスが、ラヴクラフトではなくC・A・スミスに私淑していたら、今のラヴクラフトの位置にスミスがいた可能性もあるのでは?

・ショーン・ハトスン『スラッグス』について。ナメクジが人を襲う話だけで、長編を構成するのはすごい。シーンの見せ方のバリエーションが豊富。

・ジェームズ・ハーバート作品について。『鼠』は動物パニック・ホラーの傑作。あっという間に人間を食い尽くす鼠の話。『霧』は、霧によって狂った人間が殺しあう話でこちらも面白い。

・鼠といえば、西村寿行『滅びの笛』も鼠を扱った作品で、こちらも面白い。

・ジェームズ・ハーバート『霧』とスティーヴン・キング『霧』、ジョン・カーペンター監督の映画『ザ・フォッグ』は全く関係がないのだが、知らない人にはややこしい。

・ジョン・カーペンター監督の映画には、ラヴクラフトや《クトゥルー神話》の影響が強いと思う。とくに『マウス・オブ・マッドネス』はモロに影響が見て取れる。

・アルジャーノン・ブラックウッドについて。汎神論的な傾向が強い。『ウェンディゴ』など、自然と結びついた怪奇小説に秀作がある。『ケンタウロス』はその傾向が強すぎて、読むのが難しい。

・スティーヴン・キングは、初期作品が絶版になって、手に入らないものが多くなってきている。『デッド・ゾーン』や『ファイア・スターター』も既に手に入らない。

・スティーヴン・キング『霧』で登場する怪物は、おそらく《クトゥルー神話》に属するものだと思う。

・スティーヴン・キング『おばあちゃん』について。明らかに《クトゥルー神話》を意識した作品。《新トワイライトゾーン》で映像化された他に、近年映画化された作品もあり。映画化作品『スティーブン・キング 血の儀式』では、原作にオリジナルの膨らませ方をしていたが、これはこれで面白かった。

・スティーヴン・キングの「絶賛」はあまり信用できない。

・リンド・ウォード『狂人の太鼓』について。絵だけで構成される、サイレント・マンガの先駆的作品。解釈の余地がいくつもあり、魅力的な作品。

・現代でホラー専門で書いている英米の作家はいるのか? あまりいないと思う。ランズデール、マイケル・マーシャル・スミス、ジョー・ヒルなど。

・ポピー・Z・ブライト『絢爛たる屍』について。強烈なインパクトのある作品。再読するのはきつい。

・ジョン・コリアについて。《異色作家短篇集》のイメージから戦後の作家のイメージがあるが、すでに戦前に活動するなど、時代的には早い。

・ロバート・ブロックやリチャード・マシスン、ブラッドベリなどを除き、《異色作家短篇集》に収録された作家たちは、あまり怪奇小説史的には伝統とつながっていない?

・フェリペ・アルファウ『ロコス亭』について。同じ登場人物が使いまわされる連作短篇シリーズ。同じ名前の登場人物が他のエピソードで再登場したりするが、厳密には同じ人物でなかったりするなど、そのねじれ具合が面白い。

・1940~50年代では、ホラーがかったSF作品が多い。ハインライン『人形つかい』、エリック・フランク・ラッセル『超生命ヴァイトン』など。

・1960年代からの『ローズマリーの赤ちゃん』や『エクソシスト』あたりからのオカルト映画ブームによって、小説でもメディアミックス的な作品が生まれるようになった。

・1960~1970年代のホラー作品では、小粒な秀作がたくさん生まれたが、作家自身は一発屋的な人が多いように思う。ただ、寡作ながらトーマス・トライオンは一流の作家だと思う。

・スプラッターパンク作品について。ジョン・スキップ&クレイグ スペクター、レイ・ガートンなど、一部の作品が紹介されただけで終わってしまった。クライヴ・バーカーも初期作品(『血の本』)以降は、ファンタジーになってしまったのが残念。

・デヴィッド・アンブローズ作品について。ほとんどの作品が「仮想世界」や「パラレルワールド」ネタだが、どれを読んでも面白い。『覚醒するアダム』『偶然のラビリンス』など。

・ダグラス・プレストン/リンカーン・チャイルド『レリック』について。怪物の造形が面白い作品。

・ニコラス・コンデ『サンテリア』について。ヴードゥを扱った作品。カルト教団が出てくるが、超自然味の少ない同種の作品と違って、ちゃんとしたオカルト小説になっている力作。

・ダイナ・グラシウナス/ジム・スターリン『サイコメトリック・キラー』について。連続殺人鬼を殺して回る連続殺人鬼の話。主人公が相手の心をのぞける超能力者という設定。

・ヴードゥやゾンビなどは、中米や南米から北米に流入した文化? ホラーにおけるこの主の影響は、例えばミステリにおけるエスニック探偵の登場などとも、時代的に関係があるのではないか?

・トマス・ペイジ『ヘパイストスの劫火』について。地割れから復活したゴキブリのような古代生物の話。大部分が虫に対する研究シーンに当てられるという異色作。

・「怪物」側からの視点で描かれた作品は、わりと近年の発明だと思う。シオドア・スタージョン『それ』、W・ストリーバー『ウルフェン』など。

・ロバート・ストールマン《野獣の書》について。人間と融合した「野獣」の成長小説。融合した人間の過去や、「野獣」の秘密など、面白い作品。「野獣」からの視点描写などもある。

・橘雨璃『放課後の魔女』について。ホラーサスペンス風味の青春物語。劇中劇の形で仕込まれた芝居の趣向が面白い。

・国書刊行会の本は在庫を断裁せずに、売れるまで何年でも保管する? 30年以上前に出版された本も在庫があって、びっくりすることがある。

・因果のわかってしまった幽霊物語はあまり怖くなくなってしまう。実話怪談の怖いのは、因縁や由来もなく、ぶつっと怪異現象が提示されるところだと思う。

・同じ英語国民でも、イギリスとアメリカでは随分国民性が異なっている。アメリカ作品では根底に楽観があって、能天気に解決してしまったりするが、イギリス作品ではリアルな荒廃を描くなど、その違いが面白い。


●第2部
・《クトゥルー神話》における、ダンセイニの影響はかなり強いのではないか? 〈アザトース〉には、ダンセイニの〈マアナ=ユウド=スウシャイ〉の影が見える。

・ラヴクラフト自身の作品では、〈旧支配者〉があまり整理・体系化されていないので、関係性があまりよく分からない。

・ラヴクラフトの後進で、小説のもっと上手い作家はいる。ロバート・ブロックやヘンリー・カットナーなど。しかし彼らの書いた《クトゥルー》ものよりも、ラヴクラフト作品の方が怪奇小説として迫力があるのも事実。

・ラヴクラフトの文体は読みにくい? 会話文がなく地の文が続くので、読み飛ばしができない。本国でも名文とする人と悪文とする人に分かれるようだ。

・ラヴクラフト作品には、女性がほとんど出てこない。まともに登場するのは『戸口にあらわれたもの』や『ダニッチの怪』ぐらいだが、それもちゃんと描かれているとはいえない。

・そもそもラヴクラフトには、人間を描こうという気がないのではないか?

・ラヴクラフト作品では、主人公にあまり個性が与えられていないので、読み終えてしばらくすると、ある作品の主人公がどんな人間だったか? ということがわからなくなってしまう。

・ラヴクラフトは弟子たちの作品を添削していて、場合によってはかなりの改変をしているが、当時はそれでもめたりしなかったのだろうか。現代で同じようなシチュエーションを考えると、ラヴクラフトの人徳の成せる業という気もする。

・朱鷺田祐介『クトゥルフ神話 超入門』(新紀元社)の紹介。非常にわかりやすく書かれた入門書。この本と、東雅夫編『クトゥルー神話事典』(学研M文庫)の2冊があれば、基本的なことはだいたい分かると思う。

・ラヴクラフトは、「名状しがたい」というフレーズを使いすぎではないか。タイトルもそのままの『名状しがたいもの』という作品もあるが、曖昧すぎてイメージが湧かない

・評論におけるフレーズ「宇宙的恐怖がある(ない)」は、安易に使いすぎな気がする。

・オーガスト・ダーレス以降の〈クトゥルー神話〉は、〈旧支配者〉の超越性が少なくなっており、ラヴクラフトの当初の意図からはズレがあるのではないか? ラヴクラフト作品では、〈旧支配者〉に比べ、人間は取るに足らないものとして描かれている。

・ラヴクラフトは本来上手い作家ではなく、現在のような知名度と人気を得られたのは、多分に幸運が預かっている面があるのではないか?

・ラヴクラフトは、それ以前の怪奇幻想小説を咀嚼して、まとめ上げた総合者的な作家だと思う。彼の作品には、ダンセイニ、マッケン、ブラックウッド、ホジスンの影響などがうかがえる。

・ラヴクラフトは、後期作品になるにつれて、科学的な味付けが濃くなってくる。もっと長生きしていたらSF作家になったのでは? という説もあるが、なるほどと頷ける面もある。

・『時間からの影』について。時空を超えて精神を飛ばす超知性体を描いた作品。当時としては発想がすごい。SFでは後世に似たテーマも出てくるが、ラヴクラフトの場合、そのベクトルがSFのそれとは全く異なるところがユニーク。

・『戸口にあらわれたもの』。人格交換を扱ったホラー。最後のシーンの忌まわしさは特筆もの。

・『インスマウスの影』について。ラヴクラフト作品のエッセンスがたくさん詰まっている作品だと思う。ラヴクラフト入門に最適な作品。全集1巻の巻頭に持ってきていることもあり、出版者側としても、一番に読んでもらいたいという意図があるのではないかと思うが、この作品で挫折してしまう人が多いのも事実。

・『エーリッヒ・ツァンの音楽』について。厳密には〈クトゥルー神話〉ではないが、異界の存在をにおわせるのは神話作品っぽい。怪奇小説として秀作だと思う。

・『冷気』について。ワンアイディア・ストーリーではあるが非常に面白い。この時代に既に冷房があったというのには驚き。ブライアン・ユズナ製作のオムニバスホラー映画『ネクロノミカン』で映像化されているが、迫力があって面白かった。

・スチュワート・ゴードン監督『フロム・ビヨンド』『ZOMBIO/死霊のしたたり』は、ラヴクラフトの映像化として、非常に面白い。

・『狂気の山脈にて』について。ラヴクラフトの傑作の一つ。それまでの作品に比べ、科学的(に見える)裏付けがあり、説得力がある。〈旧支配者〉の年代記としても読め、ラヴクラフトがもっと長生きしたら、独自の宇宙誌みたいなものを書いたのではないか。

・『狂気の山脈にて』の南極探検や、『冷気』に登場する冷房など、ラヴクラフトは当時としては最新のトピックやガジェットを取り込んでいて、意外と進取の気性がある。ただ、作者の性格もあるのだろうが、それらが全て恐怖の対象になってしまうところに、彼の独自性がある。

・デル・トロ監督製作予定だった『狂気の山脈にて』はどうなってしまったのか。

・『宇宙からの色』について。宇宙からの飛来物の影響について語った作品。肉体的とも精神的ともいえない、その影響力の描き方が実にユニークだと思う。パスティーシュとして書かれた、マイクル・シェイ『異時間の色彩』では、敵がかなり物理的に寄った存在として描かれていた。

・『ピックマンのモデル』。食屍鬼について書かれたホラー。『未知なるカダスを夢に求めて』で再登場するが、そちらを読んでしまうと、『ピックマンのモデル』本編の迫力がなくなってしまう。

・『ランドルフ・カーターの陳述』について。夢をモデルにしたといわれる作品。イメージの断片みたいな作品だが、妙な迫力がある。

・『アウトサイダー』について。散文詩のように整った作品。ポオの影響が感じられる。

・『忌み嫌われる家』について。幽霊屋敷テーマの小味な秀作。アンソロジーに収録したりと、荒俣宏さんのお気に入り作品?

・『死体安置所にて』について。ラヴクラフトには珍しい、肩の力の抜けた小品。こんなのも書けるのか、という感じ。

・『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』について。ゴシック・ロマンスの色濃い作品。アンソロジー『怪奇幻想の文学』では、ゴシックを扱った巻に収録されていた。

・『死体蘇生者ハーバート・ウェスト』について。かなり軽い感じの娯楽編だが、エンタメとしては面白い。


●二次会
・ロバート・W・チェンバーズ『黄衣の王』は、ラヴクラフト作品に登場する「ネクロノミコン」に影響を与えたことで有名だが、ガジェットとしてはともかく、作品としてはあまり面白くない。

・ハヤカワ文庫NV《モダンホラー・セレクション》について。一部復刊されたのを除いて、ほとんどが絶版。内容から考えても、再版される可能性は低いので、すでにプレミア化が始まっている。

・アメコミ映画について。現代のヒーローは必ずといっていいほど悩み、葛藤する。面白いことは面白いが、爽快感はなくなってきている。

・クリストファー・ノーラン監督『バットマン』三部作は、社会的なテーマの盛り込み方が上手い。

・『アヴェンジャーズ』などのヒーロー総出演ものは、単体のヒーローものとの整合性はどうなっているのだろうか?

・宗教上、一神教より多神教の方が発生が古い。本来、神々にはヒエラルキーはないのではないか? とすると、ギリシャ神話なども後世に改竄されている可能性が高いと思う。

・〈クトゥルー神話〉が日本人に受ける理由は? ダーレス以前のラヴクラフト神話では、神々が多神教的な位置づけになっていて、そこが日本人には受け入れやすいのでは?

・ラヴクラフトは人種的偏見を持っていた。『インスマウスの影』に登場する半魚人は、アジア人やアフリカ人のメタファーなのでは?

・日本での〈クトゥルー神話〉は独自の進化をしている。〈クトゥルー神話〉を使った時代小説、美少女化した作品など、世界的に見てもユニークなのではないか。

・ナマニク『映画と残酷』について。被害者と残酷さについての説は説得力がある。殺される被害者が幸せで描写が密なほど、残酷さは増す。

・韓国映画『哭声/コクソン』『新感染』について。

・俳優イライジャ・ウッドは、ホラーにたくさん出るなど、仕事を選んでいないのがすごい。

・岩井志麻子『ぼっけえ、きょうてえ』は、面白いが厳密にはホラーではないと思う。

・アン・ライス『夜明けのヴァンパイア』は、現代にまで続く耽美ロマンスの元祖。

・吸血鬼やゾンビなど、西洋のモンスターを日本の小説でやるのはなかなか難しい。そんな中では、小泉喜美子の『血の季節』は吸血鬼小説の傑作だと思う。

・翻訳作品の独特の「翻訳文体」が苦手な人は多い。最近の作家では宮内悠介に独自の「翻訳文体」を感じる。実際の作家の話を聞いても、頭の中で翻訳をしている感じがする。

・男性読者に比べ、女性読者の方が、作品の精神的なダメージに強い? スプラッター描写は全く平気だが、精神的な虐待描写などには弱い男性読者もいる。ジャック・ケッチャム、シャーリィ・ジャクスン作品など。

・シャーリィ・ジャクスン作品について。『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』は、読後精神的なダメージが大きい。

・動物ホラー作品について。一時期流行っていたことがあり、その対象はさまざま。犬、猫、鳥、コウモリ、鼠、ミミズ、鮫など。

・最近は、マグノリアブックスからホラー作品がたまに出版されるようになった。スペイン作品なども出していて要チェック。ブレイク・クラウチ他『殺戮病院』も面白い。

次回、第8回読書会は8月末頃を予定しています。

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8月の気になる新刊
8月7日刊 『月岡芳年 妖怪百物語』(青幻舎 予価2484円)
8月8日刊 ヴァレリー・シュール=エルメル『幻想版画 ゴヤからルドンまでの奇怪コレクション』(グラフィック社 予価3024円)
8月8日刊 コードウェイナー・スミス『三惑星の探求 人類補完機構全短篇3』(ハヤカワ文庫SF 予価1512円)
8月8日刊 アン・モーガン『わたしはヘレン』(ハヤカワ・ミステリ文庫 予価1361円)
8月8日刊 『日本SF傑作選1 筒井康隆 マグロマル/トラブル』(ハヤカワ文庫JA 予価1620円)
8月8日刊 澁澤龍彦『バビロンの架空園』(河出文庫 予価950円)
8月9日刊 A・メリット『魔女を焼き殺せ!』(アトリエサード 予価2484円)
8月10日刊 ロバート・ルイス・スティーヴンスン&ロイド・オズボーン『引き潮』(国書刊行会 2700円)
8月10日刊 ジュール・ヴェルヌ『蒸気で動く家』(インスクリプト 予価5940円)
8月12日刊 東雅夫編『文豪妖怪名作選』(創元推理文庫 予価929円)
8月22日刊 アンドルー・ラング『夢と幽霊の書』(作品社 予価2592円)
8月22日刊 小泉喜美子『殺さずにはいられない 小泉喜美子傑作短篇集』(中公文庫 予価886円)
8月25日刊 ステファン・グラビンスキ『火の書』(国書刊行会 予価2916円)
8月25日刊 セルジュ・ブリュソロ『闇夜にさまよう女』(国書刊行会 予価2700円)
8月31日刊 ヘレン・マクロイ『月明かりの男』(創元推理文庫 予価1080円)
8月31日刊 ジョー・ウォルトン『わたしの本当の子どもたち』(創元SF文庫 予価1404円)
8月31日刊 中村融編訳『猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる』(竹書房文庫 予価1188円)
8月下旬刊 『月岡芳年 月百姿』(青幻舎 予価2484円)


 ヴァレリー・シュール=エルメル『幻想版画 ゴヤからルドンまでの奇怪コレクション』は、無気味で幻想的な版画を集めた画集。これは面白そうです。

 《ナイトランド叢書》の新刊は、エイブラム・メリットの『魔女を焼き殺せ!』。1960年代に邦訳が出たものの、稀書になっていた作品なので、新訳刊行は嬉しいですね。
 メリットは、20世紀初頭に活躍したアメリカの作家。『イシュタルの船』『蜃気楼の戦士』など、秘境や異世界を舞台にしたヒロイック・ファンタジーで名をなした作家です。
 『魔女を焼き殺せ!』は、ファンタジーではなく現代ホラー作品のようですが、名作の評価も高いので、読むのが楽しみです。

 『引き潮』は、スティーヴンソンと義理の息子ロイド・オズボーンの合作になる海洋冒険小説。この親子の合作では、過去に『箱ちがい』『難破船』が邦訳されていますが、どちらも非常に面白かったので、こちらの作品も期待大ですね。

 8月の新刊で、イチオシはやはりこれです。ステファン・グラビンスキの怪奇幻想作品集第3弾である『火の書』。〈火〉 をテーマとする短篇小説と、自伝的エッセイ、インタビューを収録とのことです。版元のページでは内容が既に紹介されていますので、転載させていただきます。

赤いマグダ
白いメガネザル
四大精霊の復讐
火事場
花火師
ゲブルたち
煉獄の魂の博物館
炎の結婚式
有毒ガス

[エッセイ]
私の仕事場から
告白

[インタビュー]
ステファン・グラビンスキとの三つの対話
一九二七年/一九三〇年/一九三一年

 セルジュ・ブリュソロは、児童向け作品がいくつか訳されている作家ですが、『闇夜にさまよう女』は、あらすじを見る限り、ちょっと面白そうな作品です。「頭に銃弾を受けた若い女は、脳の一部とともに失った記憶を取り戻そうとする。「正常な」世界に戻ったとき、自分が普通の女ではなかったのではと疑う。追跡されている連続殺人犯なのか? それとも被害者なのか? 」

 中村融編訳『猫SF傑作選 猫は宇宙で丸くなる』は、猫をテーマにしたSFアンソロジー。収録作品はまだわかりませんが、編者はアンソロジストとして定評のある中村さんなので、期待大です。ちなみに、収録作家がシオドア・スタージョン他となっているのですが、スタージョン作品は、雑誌に訳載されたきりの『ヘリックス・ザ・キャット』あたりでしょうか。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会 参加者募集です
 2017年7月30日(日曜日)に「怪奇幻想読書倶楽部 第7回読書会」を開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年7月30日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1500円(予定)
テーマ
第1部:欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)
第2部:ラヴクラフトを読む

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

 第1部のテーマは「欧米怪奇幻想小説入門(英米編2)」。
 前回に引き続き、英米の怪奇幻想小説全般に関するトークです。
 ゴシック・ロマンス、怪奇スリラー、ゴースト・ストーリー、異色短篇、パルプ小説にモダンホラー。一口に「怪奇幻想小説」と言っても、その種類は様々です。
 欧米の怪奇幻想小説に興味があるけれど、まず何を読んだらいいの? どんな作品があるの? といったところから、お勧めアンソロジーや参考書の紹介まで、欧米の怪奇幻想小説の本場であるイギリス・アメリカ作品を概観していきたいと思います。

 第2部は「ラヴクラフトを読む」。アメリカの怪奇小説家、H・P・ラヴクラフト。彼の作品は、欧米のみならず、現代日本のアニメやコミックにまで影響を及ぼしています。
 ラヴクラフト作品の魅力はどこにあるのか? 伝統的な怪奇小説とのつながりは? 《クトゥルー神話》の創作者としてのラヴクラフトというよりは、怪奇小説家としてのラヴクラフト。彼の作品そのものを、虚心に読み直してみたいと思います。

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プロフィール

kazuou

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



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