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怪奇幻想読書倶楽部 第9回読書会 参加者募集です
 2017年10月8日(日曜日)に「怪奇幻想読書倶楽部 第9回読書会」を開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年10月8日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1500円(予定)
テーマ
第1部:怪奇幻想小説の叢書を振り返る
第2部:作家特集 シャーリイ・ジャクスン

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。


 第1部のテーマは「怪奇幻想小説の叢書を振り返る」。
 戦後日本において刊行されてきた、怪奇幻想小説の叢書やシリーズについて話していきます。例えば《ドラキュラ叢書》《妖精文庫》《世界幻想文学大系》《異色作家短篇集》《バベルの図書館》《魔法の本棚》《ダーク・ファンタジー・コレクション》《ナイトランド叢書》など。
 それぞれの叢書の特徴や、セレクションの内訳、また刊行年代や、どのようにそれらが受容されてきたのかなども、合わせて検討したいと思います。

 第2部は「作家特集 シャーリイ・ジャクスン」。
 幽霊屋敷ものの名作『丘の屋敷』(『山荘奇談』)、暗黒のメルヘン『ずっとお城で暮らしてる』、いまだに論議を呼び続ける問題作『くじ』など、ワンアンドオンリーとしか呼びようのない作品を残した作家、シャーリイ・ジャクスンについて話していきたいと思います。
 近年、復刊や未訳作品の邦訳も進み、ジャクスンの多様な面に触れることができるようになってきました。ジャクスンについて語るには絶好のタイミングではないでしょうか。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

現実と幻想のあいだ  A・メリット『魔女を焼き殺せ!』
4883752747魔女を焼き殺せ! (ナイトランド叢書2-6)
A・メリット 森沢 くみ子
書苑新社 2017-08-09

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 ある日、ローウェル医師のもとに男が運び込まれてきます。その男ピーターズは目を開いたまま微動だにしません。しかし、その目の中には恐怖の色が現れていました。診察を行っても、原因も症状もはっきりしないまま、ピーターズは死んでしまいます。
 調査の結果、同じような症状で死んだ人間が何人もいることがわかります。年齢や性別も様々な患者たちに共通するのは、ある人形に関わっていたという事実でした。
 ピーターズの友人である裏社会の大物リコリは、これらの病の原因は、精緻な人形を作ることで知られる女性、マダム・マンディリップの魔術のせいだと話します。
 やがてリコリも、謎の症状に襲われて動けなくなってしまいます。ローウェルは、マンディリップは催眠術や心理的な効果を利用して人々を操っているのではないかと考えますが…。

 A・メリット『魔女を焼き殺せ!』(森沢くみ子訳 アトリエサード)は、ヒロイック・ファンタジーで知られる著者の、魔術を扱った怪奇スリラー作品です。
 主人公のローウェル医師は、裏社会の人間ながら、意気投合したリコリとその部下たちと協力して、不審な連続死の原因を探ろうとします。怪しい人物は初めからわかっているのですが、二人の間でその解釈については意見が分かれてしまいます。
 敵が魔術を使っていると主張するリコリに対し、ローウェル医師はあくまで科学の領域で解釈をしようとするのです。
 身近な人間が何人も突然死に見舞われたことに対し、ようやくローウェルも、敵の魔術的な力を認め始めます。しかし、だからといって、素直に魔術を信じるわけでないのです。魔術は仮に存在すると仮定して、その魔術なりの論理があるのではないかと考えていくのが面白いところ。
 敵方の支配力が強力で、離れたところから人を操るだけでなく、正面から向かい合っても意志をくじかれてしまうなど、なかなか打つ手がありません。しかも合法的に敵を捕えるための証拠もないのです。
 リコリたちは、裏社会ならではの手段を使って敵を追い詰めようと考えますが…。

 1933年発表の古典的な作品ですが、終始サスペンスがとぎれず、今読んでも面白い怪奇スリラーです。
 発表年代を考えても、怪異現象に対して懐疑的な主人公を配したりと、非常にモダンなホラー小説といえます。主人公は、最後まで現実的な解釈を提示するのですが、すでにその時点では自分で言っていることを信じることはできていないのです。結末のセリフは、そのことを表わす意味深長なものになっており、深い余韻をたたえています。

 ちなみに、この作品、トッド・ブラウニング監督により映画化されています。(『悪魔の人形』(1936))。アイディアだけを使用した、全く別の作品といっていいのですが、こちらはこちらで面白い作品です。1930年代ながら、特撮もなかなか凝っています。
以前に書いたレビューはこちら。
ホラーの黎明  『アメリカンホラーフィルム ベスト・コレクション』

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『ゴッド・プロジェクト』と『レリック』を読む
4167275287ゴッド・プロジェクト (文春文庫 (275‐28))
J・ソール 田中 靖
文藝春秋 1984-10

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ジョン・ソール『ゴッド・プロジェクト』(田中靖訳 文春文庫)

 コンピュータを生業とするキャリアウーマン、サリーは、夫のスティーヴとの間に二人の子どもにも恵まれ、仕事も私生活も充実した生活を送っていました。しかし、生まれたばかりの娘ジュリーが、ある日突然死んでしまいます。医者は「乳児突然死症候群」であり、親の責任ではないと話しますが、サリーは自分を責め続けます。
 周囲に、同じく娘を突然死で無くした母親が何人もいることに気付いたサリーは、ジュリーの死も何か共通した原因があるのではないかと考え、調査を始めます。
 一方、問題児ではあるものの、健康優良児として知られる少年ランディは、見知らぬ女に誘われ、子どもが集められた研究機関のような場所に監禁されてしまいます。
 サリーは、ランディの母親ルーシイとともに調査を続けますが、やがて浮かび上がってきた事実は意外なものでした。サリーの息子ジェイソン、娘のジュリー、そしてランディは、ある機関によって生後間もない時期から密かに調査の対象になっていたのです。そしてそれらの子どもは、ある特定の医師によって取り上げられた子どもたちでした…。

 秘密機関によって調査されていた子どもたちの恐るべき秘密が明かされる…といった感じのSFホラーです。
 物語の大枠としては、娘の突然死の原因を追及しようとするサリーと、行方不明になった息子を捜すルーシイとの、二人の母親のパートがメインとなっています。そしてその間に、誘拐された少年ランディ、サリーの息子ジェイソン、サリーの担当医ワイズマン、研究機関CHILDの研究者などが、カットバックで描かれていきます。
 リーダビリティは非常に高いです。同時並行で各パートが描かれるのですが、謎の研究機関の思惑は何なのか? 複数のパートはどこまで関連しているのか? といった面がなかなか判明しません。赤ん坊の突然死、子どもの誘拐、研究機関の動きなど、多様な要素で読者の興味を引っ張ります。
 特に、ランディが監禁される少年たちの「学校」のパートは、インパクト大です。その場所では、ランディと同じような少年たちが集められており、ある程度の規律さえ守れば、少年たちの遊びは完全に自由であり、危険な行為や暴力的な行為さえ許されています。無邪気に遊ぶ子どもたちの行動はエスカレートしてゆき、やがて惨事にまで至ってしまうのです。

 子どもたちは何のために監視されているのか? 彼らには何か特殊な能力があるのか? という陰謀の謎は、早い段階で読者にはわかってしまうと思います。ただ、その謎がわかった後でも、別の面での興味が新たに浮かび上がってきます。
 作品中に登場する子どもたちは、肉体的にどこか異常があることに加え、内面もまた、倫理的に麻痺したような面を持っています。これらの子どもたちがどうなるのか? 何を引き起こすのか? といった面で、物語がどうなるのか予断を許さないのです。
 ラストを含め、非常に後味の悪い話なのですが、いろいろな要素の詰まった作品であり、一読の価値がある作品ではないでしょうか。



4594022448レリック〈上〉 (扶桑社ミステリー)
ダグラス プレストン リンカーン チャイルド Douglas Preston
扶桑社 1997-05

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ダグラス・プレストン/リンカーン・チャイルド『レリック』(尾之上浩司訳 扶桑社ミステリー)

 アマゾンの奥地で、謎の種族コソガを調査していた探検隊は不可解な原因で死を遂げていました。
 そして現在、数千人の職員を擁するニューヨーク自然史博物館の内部で、少年二人が惨殺死体で発見されます。引き裂かれた死体の頭部には、何者かが脳の一部を食べたと思われる跡がありました。その後も職員の殺害は続き、博物館の内部に殺人鬼が潜んでいることが確実になります。
 FBI捜査官ペンダーガストとニューヨーク市警察のダガスタ警部補は協力して捜査に当たることになりますが、近々行われる大掛かりな展覧会を前に、館長ライトやその取り巻きたちは、調査に協力的ではありません。
 一方、大学院生のマーゴは、師であるフロック博士とともに独自の調査を開始しますが、そこでわかったのは、殺人を繰り返している何者かは人間ではないということでした。殺人鬼の正体は、コソガ族が崇拝していたという、謎の生物「ンヴーン」なのだろうか…?

 巨大な博物館内部に潜む殺人鬼、しかもそれは人間ではなく、アマゾンの奥地からやってきた謎の生物だった…という伝奇ホラー的な作品です。
 前半は、殺人を繰り返す怪物の正体について、主人公たちが調査を重ねていく様子が描かれます。学者が集まっているという博物館だけに、いちおう学問的なアプローチが進められていくことになります。コンピュータで怪物の正体を解析していくあたりは、ハイテクスリラーっぽいですね。
 後半、怪物が正面きって現れてからは、スペクタクル満開で面白くなります。誤ってセキュリティが破壊され、人々も分散して逃げるなか、どこから怪物が襲ってくるかわからないというシチュエーションは魅力的ですね。
 この怪物が強力で、骨が硬すぎて拳銃も貫通しないという強靭さ。どうやって勝つんだろうと思っていたら、意外にあっさりと決着がついてしまうのには驚きました。
 題材はB級ながら、なかなか面白い作品なのですが、やはり、後半の怪物との対決までの間がかなり長いので、そこまでに退屈してしまう人もいるかもしれません。
 ただ、謎の生物「ンヴーン」の正体にひとひねりが加えられているのには感心しました。


※今回取り上げた2冊は、Greenさんの好意でお貸しいただいた本です。面白い作品を読む機会をいただき、ありがとうございました。

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ジェームズ・ハーバートの恐怖小説
 イギリスの作家、ジェームズ・ハーバート(1943-2013)は、1970年代からホラー作品を中心に発表していた作家です。生前は非常に人気があり、一時期は、イギリスにおいてスティーヴン・キングより人気のあるホラー作家と言われていた人です。
 ハーバート作品の特徴は、とにかくエンターテインメントに徹していること。 読者を楽しませるために、見せ場をやたらと作ります。ただ、その見せ場は大抵、残酷シーンだったり、怪物に襲われたりと、B級まっしぐらな部分なので、人によっては眉をしかめるかもしれません。しかしホラーファンにとっては、読みたい部分を徹底的に描いてくれるという意味で、得難い作家でもあるのです。
 以下、いくつかのハーバート作品について見ていきたいと思います。



B00GZL20KGSF長編小説 鼠(ねずみ)
ジェームズ・ハーバート
サンケイ出版 1975-10-03

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ジェームズ・ハーバート『鼠』(関口幸男訳 サンケイノベルス)

 ある日、ロンドンに現れた巨大化した鼠の群れ。彼らは人間を襲い始め、食料としてしまいます。助かった者たちも、鼠が持つ未知の病原菌のため、24時間以内に死亡してしまうのです。最初は密かに活動を続けていた鼠たちは、とうとう正面から人間を襲い始めますが…。

 ジェームズ・ハーバートのデビュー作品です。
 巨大鼠が人間を襲ってくるという、非常にシンプルな話なのですが、読んでいて飽きさせません。構成に工夫がされていることと、アクション場面が非常に視覚的で、読みやすいのもその一因でしょうか。
 序盤は、巨大鼠が人知れず現れ、人を襲うようになる過程がエピソード単位で描かれます。それらのエピソードでは、ゲイのサラリーマンだったり、落ちぶれた娼婦だったりと、それぞれの登場人物の人生がスケッチ風にさらりと描かれます。これがなかなか味わいがあるのですが、結局は鼠に襲われて殺されてしまう…というところが、実に悪趣味ですね。
 中盤からは、主に学校教師の男性に視点が集中し、彼を中心に人間と鼠の戦いが描かれます。特に、学校での籠城戦や、地下鉄での襲撃などは、読み応えたっぷりです。
 人体の損壊描写がねちっこく描写されたり、赤ん坊が殺されてしまったりと、非常に悪趣味かつ強烈な描写が続くので、この手の作品が合わない人には合わないかと思います。 ただ、非常にスピーディかつ見せ場が多く、B級に徹したアクションホラー作品なので、娯楽作品としては、非常に面白い作品です。



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ダーク〈上〉 (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)
ジェームズ ハーバート 関口 幸男
早川書房 1988-12

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ジェームズ・ハーバート『ダーク』(関口幸男訳 ハヤカワ文庫NV)

 心霊研究家のビショップは、調査に訪れた家で、集団自殺した人々の死体を発見し、そのまま記憶を失うという経験をしていました。その家では、カルト教団の教祖が、邪悪な目的のため、人々を集団自殺に追い込んでいたのです。
 それから一年、問題の家のある周辺で、人々が突然狂気にかられ、家族や隣人を殺す事件が頻発し始めます。
 問題の屋敷が取り壊された直後から、その影響は広がり始め、人々が狂い始めてしまいます。心霊研究の大家とその娘ジェシカと協力するビショップでしたが、教団の生き残りの信者たちが現れ、彼らの命を狙い始めます…。

 死んだはずのカルト教団の教祖が残した闇の力により、人々が狂い始めるという物語です。
 主人公は、心霊研究家でありながら、現実的なアプローチを行う人物で、心霊現象を全面肯定はしないのですが、たびたび起こる現象に対し、信じざるを得なくなっていきます。精神を病んだ妻のことを気遣いながらも、ジェシカに惹かれていくビショップでしたが…。
 最初から最後まで、主人公たちを襲う困難がすさまじく、肉体的・霊的な暴力が彼らを襲い続けます。特別に鍛錬を積んだわけでもない主人公が、何度もピンチを切り抜けるのはご愛敬としても、たびたびはさまれるアクションシーンは手に汗握ります。
 敵方の信者の幹部が、女性ながら人間離れしていて、キャラが立っていますね。ハーバートのアクションホラーの総決算とでもいうべき娯楽作品です。



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奇跡の聖堂〈上〉 (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)
ジェームズ ハーバート 相沢 久子
早川書房 1989-05

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ジェームズ・ハーバート『奇跡の聖堂』(相沢次子訳 ハヤカワ文庫NV)

 聾唖の少女アリスは、ある日突然話すことができるようになりますが、彼女が言うには、話せるようになったのは聖母マリアのおかげだというのです。たまたま現場に居合わせた新聞記者ハモンドが、それを奇跡だとして報道した結果、小さな村に奇跡を求める人々が集まるようになります。
 やがてアリスは、人々の前で、不治の病の病人を何人も癒します。聖堂が建てられ、そこは奇跡の聖堂として人々に崇められるようになるのです。
 しかし、ハモンドはアリスの力は本当に聖なるものなのか疑問を抱き、周辺の調査を開始します。そこでわかったのは、過去にその土地で魔女が処刑されたという事実でした…。

 奇跡の能力を発揮した少女に対し、主人公は、彼女の能力が本物なのかどうかを調査することになります。しかし、少女の周辺で、人々が怪死したり、家畜が突然死したりする事件が相次いでいるのです。
 疑いを深めていく主人公に対して、主人公の恋人は奇跡を信じており、それが元で二人の仲はこじれてしまいます。中盤から登場する女性記者を交えた三角関係が進行するなか、奇跡の聖堂には、大勢の人々が集まるようになり…。
 少女の能力は奇跡なのか否か?という、ハーバートにしては、おだやかなストーリー展開だと思っていると、中盤に劇的な事件が発生します。それを境に不穏な空気が漂い始め、クライマックスでは大惨劇が発生するのです。
 序盤は多少もたつくものの、奇跡の真相が徐々に判明する中盤からのリーダビリティは非常に高いです。クライマックスは、ハーバートお得意のスペクタクルに富んだ惨事が展開され、満足度は非常に高い作品です。



4150404941聖槍 (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)
ジェームズ・ハーバート 関口 幸男
早川書房 1988-05

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ジェームズ・ハーバート『聖槍』(関口幸男訳 ハヤカワ文庫NV)

 恋人を失い、殺戮に飽き果てたイスラエルの元諜報員ステッドマンは、現在はイギリスで私立探偵を生業としていました。彼のもとに現れたイスラエルの諜報員は、武器商人の大立者ギャントの身辺を探ってほしいと依頼します。
 一度は依頼を断るステッドマンでしたが、直後に、彼の共同経営者の女性が殺されているのが見つかったことから、調査を引き受けることになります。ステッドマンは、武器商人を装い、ギャントの身辺を探り始めますが、そこで判明したのは、彼らがナチス再興をたくらんでいるということでした。そのために、キリストの時代から伝わる聖槍を利用しようとしていたのです…。

 戦いに疲れ、引退した元諜報員がパートナーを殺され、怒りに燃えて立ち上がる…といった感じで始まる謀略スリラーです。敵方がナチスを再興しようとするオカルト団体であることを除けば、ほぼ超自然的要素のないスパイ・スリラーなので、ホラーを期待していると、肩すかしを食わされてしまいます。
 さらわれて拷問を受けたり、ヒロインを助けにいったりと、アクション上の見せ場はところどころにあるのですが、肝心の超自然的要素は、最後の最後まで出てきません。
 ホラーとしての雰囲気醸成や伏線張りをそっちのけで、アクション要素が強調されていくので、最後に出てくる超自然的要素も、どこか唐突の感があります。スパイ・スリラー部分も意外と行儀がよいので、ゲテモノとして読むのも難しい…という、評価に困る作品ですね。
 唯一、面白いと思ったのは、敵方として登場する謎の美女の存在ぐらいでしょうか。



4150404550魔界の家〈上〉 (ハヤカワ文庫NV―モダンホラー・セレクション)
ジェームズ・ハーバート 関口 幸男
早川書房 1987-07

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ジェームズ・ハーバート『魔界の家』(関口幸男訳 ハヤカワ文庫NV)
 互いにアーティストを生業とするミッジとマイクのカップルは、ある日ふと見たコテージの広告に惹かれ、家を見に行くことになります。なぜかコテージを買うことに執着するミッジに押され、二人はその家を買い、そこで暮らすことになります。
 コテージに引っ越してからの二人の生活は順風満帆でしたが、やがて近くに集団で暮らしているという宗教団体のメンバーが二人を訪れるようになります。
 教団の教祖は、霊的な力で、すでに亡くなった両親に合わせることができると話し、ミッジはそれを信じるようになります。現実主義者のマイクは、ミッジに考えを変えさせようとしますが、なかなか果たせません。時を同じくして、コテージの雰囲気が悪くなっていきます。遊びに来た友人は、家の中で幽霊を見たと話しますが…。

 「魔界の家」という大仰なタイトルといい、カバー絵といい、いかにも「幽霊屋敷」や「悪魔の館」みたいなホラーを期待させるのですが、案に相違して、魔術をテーマにしたファンタジー的な作品です。
 主人公のカップルが購入した家は、前の持ち主の女性が死んだために、売りに出されるのですが、彼女には癒しの能力があったことが仄めかされます。ミッジにも、ある程度の超能力があることが暗示され、それがゆえに宗教団体のメンバーも彼女を狙うようになるのです。
 かって両親を死なせてしまったという負い目を持つミッジは、罪の意識から、教団の教義に洗脳されていってしまいます。徹底して現実主義者のマイクは、教祖の力はまやかしだと説明しますが、どうやら教祖の力は本物のようで、マイクは打つ手がなくなっていきます…。
 舞台となるコテージは、そこに住む人間の能力を反映するらしく、善にも悪にも傾くようなのです。主人公のカップルの生活が暗礁に乗り上げたとたん、霊的な現象が発生し始め、やがて前の持ち主の霊らしきものも出現し始めます。やがて教団の家に行ってしまうミッジ。マイクはミッジを救い出すことができるのでしょうか?
 クライマックスでは、味方側と敵側の魔法・幻術合戦が繰り広げられるという楽しい趣向もあります。ハーバート作品としては、非常に陽性なベクトルの作品だといえますね。


4054007163月下の恋
ジェームズ ハーバート James Herbert
学習研究社 1996-11

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ジェームズ・ハーバート『月下の恋』(宇佐和通訳 学習研究社)

 自らも霊能力を持ちながら、霊現象を否定するゴーストハンターのアッシュは、マリエル一族の館の霊現象を調査することになります。
 アッシュは、マリエル家の美しい令嬢クリスティーナに魅了されながらも、館の霊現象自体は認めようとしません。やがて錯覚や幻覚では済まされないほどの怪奇現象に襲われますが…。

 非常に雰囲気のあるゴースト・ストーリーです。どぎつい作品の多いハーバートとしては、異色の作品ですね。
 ゴースト・ハンターでありながら、主人公が怪奇現象を認めようとしないため、屋敷内で起きる怪奇現象に対しても、合理的に解明できるというスタンスで物語は進みます。
 主人公が体験する怪奇現象も、幻覚や錯覚で片付けられ、また、明確な怪奇現象自体もなかなか起こりません。
 主人公の探偵事務所の同僚である、霊能力者の女性が登場するのですが、この女性が、たびたび主人公の危機に対して感応を起こします。大したことはないと鼻をくくる主人公に対し、この女性のパートで危機を煽る、という形ですね。
 やがて主人公が怪奇現象を否定する理由も明らかになると同時に、霊的な危機が主人公を襲います。
 基本的に最後まで、怪奇現象に対して、主人公側は何もできず、なすがままといった感じなので、ちゃんとした解決を求めるタイプの読者には不満が残るかもしれません。怪異の一方的な勝利という意味では、モダンホラーというよりは、伝統的なゴースト・ストーリーに味わいが近いですね。
 続編があるそうなのですが、そちらは未訳。本作が、ゴーストハンターの主人公の紹介編といった趣なので、ぜひ続編も読んでみたいものです。
 ちなみに、コッポラ監督の映画化作品もあり、そちらも味わいは異なるものの、ロマンティックな雰囲気の作品に仕上がっていました。


 上に挙げた作品以外にも、ハーバートには魅力的な作品がいくつもあります。
 霧によって狂乱した人々を描くパニックホラーの極致『霧』(関口幸男訳 サンケイノベルス)、大事故から奇跡的な生還をとげた男の謎を描く、サスペンス風味の超常スリラー『ザ・サバイバル』(関口幸男訳 サンケイノベルス)、仔犬に転生してしまった男を描くファンタジー『仔犬になった男』(関口幸男訳 サンケイノベルス)、超能力を絡めたサイコ・スリラー『ムーン』(竹生淑子 ハヤカワ文庫NV)など。
 ハーバート作品は残虐描写も多いので復刊は難しいと思いますが、例えば『ザ・サバイバル』『仔犬になった男』などは、味わい深い佳作であり、ホラー要素も少ないので、ぜひ復刊してほしいところです。参考に過去のレビューをリンクしておきます。

死ねない理由  ジェームズ・ハーバート『ザ・サバイバル』
犬も捨てたもんじゃない  ジェイムズ・ハーバート『仔犬になった男』


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怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会 開催しました
 8月27日の日曜日、JR巣鴨駅前のカフェにて「怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会」を開催しました。出席者は、主催者を含め10名でした。
 テーマは、第1部「世界の終わりの物語」、第2部「リチャード・マシスンの世界」です。参加してくださった方には、お礼を申し上げたいと思います。

 それでは、当日の会の詳細について、ご報告したいと思います。

 今回も、参加者全員のプロフィールをまとめた紹介チラシを作りました。チラシをPDFにしたものを、メールにて事前に配信しています。

 第1部のテーマは「世界の終わりの物語」。何らかの要因により、文明が崩壊したり、人類が絶滅の危機に追いやられる様を描いた作品、いわゆる「破滅もの」について話していこうという企画です。
 当初は、1950~60年代に書かれた破滅ものジャンル作品をメインに話したいなと思っていたのですが、それらの本がほとんど絶版なので、結局、ウィンダムやオールディス、バラードなどの有名作品に話題がしぼられていった感じでしょうか。
 あと、第2部テーマのマシスンの『アイ・アム・レジェンド』も同テーマの作品なので、第1部でも話題に上がりました。
 小説作品だけでなく、テーマに関連するノンフィクションを少し紹介できたのも、良かったかなと思います。

 第2部のテーマは「リチャード・マシスン」の世界。小説・映像の分野で活躍したアメリカの作家、リチャード・マシスンの作品を見ていこうという試みです。
 もともとマシスンの作品を読み込んでいた人のほか、今回初めて読んだ人もおり、いろいろな意見が出て盛り上がりました。
 ちょっと古びているという意見もあれば、古びている中にも普遍的なテーマが感じられるという意見もありました。エンターテインメントながら、もともと作品にテーマ性が強い作家なので、『激突』『縮みゆく男』『種子まく男』『運命のボタン』など、個々の作品についてもいろいろ話せたのではないかなと思います。

 また、参加者のshigeyukiさんには、『ウィアード・テイルズ』や、ホジスンの『ナイトランド』の短縮版『X氏の夢』、シルヴィア・タウンゼント・ウォーナーの『猫のゆりかご』の原書などを持ってきていただきました。普段あまり見ることのできない希書を見ることができ、眼福を得ることができました。お礼を申しあげておきたいと思います。

 それでは、以下主だったトピックを順不同で並べていきます。


●第1部
・リチャード・マシスン『終わりの日』について。太陽の影響により人類が死滅することがわかった世界で、自暴自棄になっていた若者たちを描く短篇。結末は感動的。

・ジョン・クリストファー作品について。災害後の世界がかなりシビアに描かれる。ハッピーエンドにならないところがイギリス的というべきか。『草の死』『大破壊』など。

・J・T・マッキントッシュ『300:1』について。地球が住めなくなるため、他惑星に移住を計画するも宇宙船に乗り込めるのは全人類の300人に1人、という話。地球を脱出するまでの混乱を描く部分がリアルでインパクト大。

・スティーヴン・キングの破滅もの作品について。『霧』『セル』など。『霧』はラストで少し希望が見えるなど、完全な絶望に陥らせないところが前向き。

・ジョン・ウィンダム『トリフィド時代』について。天体の影響により盲目になった人類を、放たれた吸血植物が襲うという話。同著者の『さなぎ』や『海竜めざめる』もそうだが、ウィンダム作品では、人類が危機に立たされていても、当事者意識が薄く「観察者」的な立場を取る主人公が多い。

・「心地よい破滅もの」について。オールディスが提唱した概念。破滅的な状況に追い込まれても、事態を傍観していたり、無人の町で好き勝手な行動をしたりするような作品を言う。具体的にはウィンダム作品などを想定しているらしい。

・ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』について。巨大植物が繁茂し、文明が失われた地球を舞台にした作品。似たようなテーマだが、トマス・M・ディッシュ『人類皆殺し』の方は、殺人植物に襲われてどんどんと人間が死んでいくという、救いのない話。

・トマス・M・ディッシュ『降りる』について。永遠にエスカレーターを降り続ける男を描いた寓意的短篇。

・J・G・バラード『結晶世界』について。単なる破滅ものというより、滅びの美を描いたデカダンな作品だと思う。

・J・G・バラード『狂風世界』について。狂風で全てが吹き飛ばされてしまう世界を描いた作品。後半に、大富豪が風に対抗する巨大建造物を作るが、結局吹き飛ばされてしまうという展開がある。

・J・G・バラード『燃える世界』について。雨が降らなくなり、水がなくなっていく世界が舞台。結末で事態が改善する。

・J・G・バラード『沈んだ世界』について。海面が上昇し、都市が水に沈んだ世界が舞台。主人公たちは生活が成り立たなくなっても、なぜか特定の場所にとどまる。後半はなんだかスピリチュアルな話に。

・ブライアン・エヴンソン作品について。短篇でも、世界の破滅感が色濃く感じられる

・つくみず『少女終末旅行』について。終末を迎えた世界を少女たちがめぐっていくという、ロードムービー風コミック。世界そのものへの興味はあまり感じられないところが特色。

・日本の破滅ものは「心地よい破滅もの」タイプが主流ではないか?

・デュ・モーリア『鳥』について。突然鳥が人間を襲い始めるという話。理由も何も説明されないところが不気味。

・シャーリイ・ジャクスン『日時計』について。世界が終末を迎えるという予言を聞いた家族が繰り広げる模様を描いた作品。実際に終末が訪れたかどうかもわからないという、象徴的な「終わりの物語」。

・W・H・ホジスン『ナイトランド』について。遠未来に、異次元からの怪物が徐々に侵入しつつある世界で、細々と生き延びる人類を描いた作品。終末的な世界観が素晴らしい。

・H・G・ウェルズ『タイムマシン』について。後半、主人公は、遠い未来の地球の黄昏に出会う箇所がある。

・コーマック・マッカーシーについて。『ザ・ロード』『チャイルド・オブ・ゴッド』など。

・マーガレット・アトウッド『オリクスとクレイク』について。

・キングの『ザ・スタンド』より、その影響を受けているマキャモン『スワン・ソング』の方が面白い? 『スワン・ソング』はかなり好き嫌いの分かれる作品だと思う。マキャモンなら、短篇の方が面白い。『ブルー・ワールド』、『ベスト・フレンズ』など。

・グレッグ・ベア『ブラッド・ミュージック』について。進化した細胞によって、人類が変貌してしまう世界を描いた作品。最終的には物理的な世界まで崩壊してしまうのがすごい。

・ハーラン・エリスンは、アイディアの権利についてうるさい。映像作品については言いがかりに近いものもあると思う。

・エドガー・バングボーン『デイヴィー』について。

・しりあがり寿『方舟』について。洪水になった世界で人類の滅亡を描く作品。方舟が企業の宣伝として作られるなど、最後まで人間が自分たちの滅亡を信じられないというスタンスが面白い。

・厳密には破滅ものではないが、現代SFでは、人間が精神エネルギー体になってしまったり、仮想世界の住人になってしまったりする作品がある。

・飛浩隆作品について。寡作だが、どれも質の高い作品が揃っている。『グラン・ヴァカンス』は、仮想世界を扱っている作品だが、独自の世界観が魅力。作者の言葉の使い方は独特で、特に造語力が素晴らしいと思う。

・破滅ものフィクション(特に映画)では、インフラについて描かれることが少ない。電力はどうなっているのかとか、人がいなくなった原発はどうなっているのかとか。ドイツのゾンビ映画『END』では、ゾンビと同時に、原発の被害の影響が描かれていて面白かった。

・映画版『アイ・アム・レジェンド』では、主人公が住んでいる家に実験室やシェルターなど、すごい設備が整っているが、そのあたり説得力が足りない気がする。

・トーマス・トウェイツ『ゼロからトースターを作ってみた結果』について。精製されたパーツもなく、原材料からトースターを作れるのか? という試みを記録したノンフィクション作品。結果的に品物は作れたものの、まともなものにはならなかった。

・現代社会では、どんなに知識があっても、個人ではまともな製品を作ることは難しい。

・ルイス・ダートネル『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』について。文明が壊滅状態になった後、再起動をするために必要な知識を記したマニュアルを作るにはどうしたらいいか? というテーマのノンフィクション。文明が滅ぶパターンを「マッドマックス型」と「アイ・アム・レジェンド型」に分類しているのが面白い。

・ジェローム・ビクスビイ『きょうも上天気』について。超能力を持った少年を描いたホラー短篇。『ミステリーゾーン』劇場版『トワイライトゾーン』と映像化されているが、最初の『ミステリーゾーン』版の方が想像力を刺激する作りで面白かった。

・ナイジェル・ニール『エンバンブエの計算』の紹介。アフリカの呪術師が時間の停止を予言するが…という話。事態が、老婦人たちの読書会の席上で伝聞的に語られるという技巧的な作品。よく読まないと、結末がわかりにくい。


●第2部
・『激突』について。ふとしたきっかけからトラックに追いかけられ殺されそうになる男の話。追ってくる車の運転手について全くわからないのが不気味。意外と短い中篇なのに、映画化作品はサスペンスが途切れないのがすごい。

・マシスンは、デュ・モーリア原作のヒッチコック映画『鳥』の脚本家候補だったが、あまり鳥を見せない方がいい、と言ったらしい。

・『縮みゆく男』について。放射能の影響で体が少しづつ縮んでゆく男の話。主人公の男や人間としての尊厳が失われていく過程がつらい。後半、極小になってからのサバイバル描写は素晴らしい。

・映画版『縮みゆく人間』について。1950年代の映画なので、特撮は今見ると弱いが、物語自体には今でも魅力がある。小説に比べ、小さくなってからのサバイバル描写の方に比重がある。また小説では時系列がカットバックになっていたが、映画では時系列順に語られている。棚の上に乗っている食料を手に入れるための主人公の行動が、工夫に満ちていて面白かった。

・『縮みゆく人間』の続編映画の構想では、主人公の妻も縮んでゆくという話だったらしい。

・マシスン作品の主人公は、意外と嫌な性格の人物が多い。『縮みゆく男』でも、妻はよくできた人だが、夫(主人公)はかなり身勝手に感じる。

・『アイ・アム・レジェンド』(『地球最後の男』)について。ウィルスによる吸血鬼化で世界が滅ぶという物語。後半のひねりが秀逸。作者はドラキュラ映画から、この作品を発想したらしい。後のロメロのゾンビ映画に影響を与えたということでも里程標的な作品といえる。

・藤子・F・不二雄『流血鬼』について。マシスン『地球最後の男』のオマージュ短篇漫画。結末を真逆にしてハッピーエンドにしているところが秀逸。作品に登場するウイルスの名前が「マチスンウイルス」になっているところに、原作者への敬意がうかがえる。

・マシスンは時代的にSF作品を多く書いたように思われているが、本質はホラー的な資質を持つ作家だと思う。少数だが、怪奇小説誌『ウィアード・テイルズ』にも作品を寄せていた。

・『地獄の家』について。モダンホラーの傑作。屋敷を訪れた人間に対する攻撃力がものすごい。取り憑いていた霊がやたらと人間的なのがまたモダン。

・スティーヴン・キングには、マシスンの影響を感じる作品がいくつかある。『ミルクマン』『人間圧搾機』『痩せゆく男』『ニードフル・シングス』など。

・『愛人関係』について。トラウマがあり虚言癖のある女性をめぐるサスペンス。愛する女が、本当は殺人犯か疑いながら振り回される男が主人公。今読んでも、非常に面白い作品。

・『深夜の逃亡者』について。人妻に粘着するストーカーを描いた作品。犯人が恨んでいる元友人夫婦を監禁するのだが、この夫婦の妻の方が浮気性の悪女で、やたらと存在感がある。後半では、ストーカーの話よりも、悪女夫妻が中心のような展開に。

・『ある日どこかで』について。ロマンティックなタイムトラベルロマンス。ジャック・フィニィへのオマージュ? 過去へ行く手段が、その時代に行ったと思い込むという、フィニィ式タイムトラベルになっているのが特徴。タイムトラベルをしたという主人公の語りが手記になっていて、真実性がぼかされているのがマシスンらしい。
映画版の方がロマンス度が高い。

・『奇跡の輝き』について。自殺して地獄に行ってしまった妻を救おうとする男の話。スピリチュアル色が濃いファンタジー。死後の世界は全てが心の持ちよう、という設定が興味深い。この作品でも全体が手記になっている。

・『闇の王国』について。マシスン晩年のダーク・ファンタジー。戦友の故郷を訪れた男が、魔女や妖精たちと出会い恋仲になるという作品。妖精やその王国の描かれ方が妙にステレオタイプに描かれているが、そのあたり作者の意図的なものだとすると、相当に技巧的な作品。

・『アースバウンド 地縛霊』について。夫婦の仲を修復するために別荘を訪れた男が魅力的な女性の霊に取り憑かれるという物語。表面上はエロティックな要素が濃いが、本質は、霊を含めた登場人物のそれぞれのどろどろとした情念を描く作品だと思う。

・『奇術師の密室』について。マシスン後期のサスペンス。復讐のために大がかりな奇術を行う奇術師の話。どんでん返しの連発がものすごい。読後の印象はサスペンスというよりホラー。

・ソノラマ文庫から出た短篇集『モンスター誕生』は、表題作のネタバレになってしまっているのではないか?

・マシスンはアイデンティティーの恐怖についてテーマにすることが多い。具体的には「私だけが知っている」パターンと「私だけが知らない」パターンがあるように思う。
前者は『陰謀者の群れ』『蒸発』、後者は『機械仕掛けの神』『次元断層』など。

・『種子まく男』について。周りの人間に悪意をばらまいていく男の物語。憎悪や恨みではなく、冷静に淡々と仕事をこなしていく感じが実にいやらしい作品。『ヒー・イズ・レジェンド』でのトリビュート短篇では、種子まく男のライバル的存在が登場するが、ちょっと興醒め。

・『人生モンタージュ』について。人生が映画のようにダイジェストになってしまった男の物語。映像分野でも活躍したマシスンらしい作品。

・『二万フィートの悪夢』について。飛行機を襲う怪物にひとりだけ気付いた男を描いた作品。『ミステリーゾーン』及び映画版『トワイライトゾーン』にて映画化されている。『ミステリーゾーン』版の怪物の造形はユーモラスだった。

・『不吉な結婚式』について。迷信にこだわる男の皮肉な結末を描いた作品。ブラック・ユーモアが強烈。

・『死の部屋のなかで』について。出先のレストランで消えてしまった夫を捜す妻の物語。出だしの興味は強烈だが、現実的なオチがついてしまっているのが残念。ウールリッチのサスペンス作品にも似たようなテーマがあったり、有名な都市伝説にも同じテーマのものがある。

・『心の山脈』について。マシスンのクトゥルー風作品。淡々としているところが面白い。

・『リアル・スティール』について。原作は落ちぶれた男の哀愁ただよう話だが、映画化作品は題材だけ借りて、全く違う話になっていた。

・『狙われた獲物』について。ヴードゥ人形に襲われる女性の話。『激突』と同じくシンプルなテーマでありながら、サスペンスは強烈。

・『一杯の水』について。渇きを覚えた男を描いた作品。こんなテーマでサスペンスが発生するのはすごい。

・『天衣無縫』について。ある日フランス語を始め、様々な知識が頭からあふれてくるようになった男が主人公。オチが思いもかけないもので感心した。ドラマでの映像化作品もあり。

・『蒸発』について。主人公の周りの存在が次々と「蒸発」していくという物語。マシスンらしさが非常によく出た秀作。

・『長距離電話』について。古典的な風格のある怪談作品。この時代の作品を読むと。交換手が登場するのが味わいがある。

・『不法侵入』について。夫の出張中に妊娠した妻の物語。浮気を否定する妻が妊娠したのはなぜなのか? という作品。映像化の際には『衝撃の懐妊・私は宇宙人の子を宿した』という強烈なタイトルに。

・『激突』の巻末に書かれた小鷹信光の解説は素晴らしい。1970年代に書かれているが、今でも十分に通用するマシスン論になっている。

・小鷹信光の仕事について。必ず一次資料に当たっていたというその仕事ぶりには頭が下がる。

・『運命のボタン』について。ボタンを押すと、見知らぬ者が死に、その代わりに大金が手に入る。あなたは押しますか? という話。ボタンを押すところまではともかく、最後のオチが非常にマシスンらしい。映画化作品は、原作とは似ても似つかぬ作品になっていてびっくりした。意外にジェイコブズ『猿の手』に似ている?


●二次会
・出版点数は年々減っている。海外翻訳ものはさらに少なく、文庫が出ても絶版になるまでのサイクルが異常に早まっている。

・シャーリイ・ジャクスンについて。一番傑作だと思う作品は? 『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』『くじ』『日時計』など。

・ディーノ・ブッツァーティについて。短篇はエンタメ度高し。長篇『タタール人の砂漠』は難しい。

・アドルフォ・ビオイ=カサレスについて。『モレルの発明』『メモリアス』など。

・イタロ・カルヴィーノについて。作品によってジャンルが全然違う。《我らが祖先》三部作はどれも面白い。

・ステファン・グラビンスキについて。怪奇小説ながら、どこか暖かみがあるところが魅力。

・ケン・リュウ作品は面白い。

・ラヴクラフトの訳文について。創元版全集の訳文は意味がとりにくい箇所が多い。

・世界幻想文学大系の造本について。装丁・造本は素晴らしい。ただ、本文に柱を入れたことによって、文字が小さくなったりするなど、可読性は悪い面がある。

・怪奇幻想小説の叢書について。《魔法の本棚》《アーカムハウス叢書》《ドラキュラ叢書》など。

・ブラム・ストーカーについて。ドラキュラ一作の人? 他の作品は微妙な出来。

・レオ・ペルッツ作品について。面白い作品が多いと思うが、人によって全然合わない人もいる。

・少年漫画におけるバッシングについて。

・楳図かずおと伊藤潤二について。

・エドワード・ゴーリーについて。

・J・G・バラードとデカダンスについて。デカダンは、普通自分だけの小世界を作るものだが、バラードにおいては、それが陽光のもとに出たような開かれたものになっているのが異色。

・フランスの幻想小説について。入門書になったのは? 澁澤龍彦編の『怪奇小説傑作集4』であるという人が多いと思う。

・アルフォンス・アレについて。

・カルロス・フエンテス作品について。『アウラ』や『チャック・モール』は面白い。『遠い家族』は難解だった。

・フリオ・コルタサルについて。短篇は面白いが、けっこう読みにくい。『石蹴り遊び』は難解。

・ガルシア=マルケス作品について。幻想的な要素の入った作品が多い。『百年の孤独』は傑作。『エレンディラ』など。

・レ・ファニュ『ドラゴン・ヴォランの部屋』について。怪奇小説というよりはゴシック。ムード醸成が素晴らしい。

・ルイージ・ピランデルロについて。メタな趣向の作品がある。

・フリードリヒ・デュレンマットについて。作風はカフカ的?

・ホフマンについて。『砂男』『悪魔の霊薬』は傑作。創土社版全集の訳文は読みにくい。

・ドイツの幻想小説について。エーヴェルス、マイリンクなど。

・ベルギーの幻想小説について。ジャン・レイ、トーマス・オーウェン、ロニー兄など。
・アレクサンドル・グリーンについて。

・アンソロジーの好き嫌いについて。アンソロジーに収録された短篇一つで、作家性を判断するのは難しい。

・ロード・ダンセイニについて。ファンタジーのイメージが強いが、ミステリ、SF、ユーモアなど多彩なジャンルの作品を書いている。巨匠といっていい作家だと思う。

・エドガー・アラン・ポオについて。アメリカの小説の原型を作ったといっていい作家。ミステリだけでなく、SFや怪奇小説など、多様な作品がある。

・吸血鬼を扱った作品について。『ドラキュラ』『カーミラ』など。

・ディケンズ『信号手』について。古典的怪談の名作。ディケンズの短篇にはホラー要素のある作品がいくつかある。

・怪奇小説の洋書の古書価について。ラヴクラフト、ホジスン作品はかなり高い。ブラックウッドは意外と安い。

・ゴースト・ハンターものについて。ジョン・サイレンス、カーナッキ、ジュール・ド・グランダンなど。

・ジャック・ロンドン作品について。ボクシングもの、多人種もの、冒険者、怪奇もの、SFなど、作品の幅は非常に広い。『ジャック・ロンドン大予言』に収められた作品は、社会主義的な色彩が濃いが面白い。

・レイ・ブラッドベリ作品について。やはり初期の作品に傑作が集中している。『火星年代記』『黒いカーニバル』『10月はたそがれの国』『刺青の男』『よろこびの機械』など。『キリマンジャロ・マシーン』あたりからは、質が落ちてきている気がする。ブラッドベリは、若い頃に読んだかどうかでも、多少評価は変わってくると思う。

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9月の気になる新刊と8月の新刊補遺
8月26日刊 本の雑誌編集部編『別冊本の雑誌 古典名作本の雑誌』(本の雑誌社 予価1728円)
8月28日発売 『ナイトランド・クォータリーvol.10 逢魔が刻の狩人』(アトリエサード 予価1836円)
8月29日刊 ポール・ウィリアムズ『フィリップ・K・ディックの世界』(河出書房新社 予価3024円)
9月4日刊 『月岡芳年 月百姿』(青幻舎 予価2484円)
9月6日刊 小酒井不木『疑問の黒枠』(河出文庫 予価864円)
9月6日刊 鼓直編『ラテンアメリカ怪談集 新装版』(河出文庫 予価842円)
9月6日刊 スティーヴン・キング『死の舞踏』(ちくま文庫 予価1620円)
9月8日刊 C・S・ルイス『ナルニア国物語5 ドーン・トレッダー号の航海』(光文社古典新訳文庫)
9月11日刊 レイ・ヴクサヴィッチ『月の部屋で会いましょう』(創元SF文庫 予価1188円)
9月12日刊 日下実男『絵ときSF もしもの世界 復刻版』(復刊ドットコム 予価3996円
9月20日刊 アメリア・グレイ『AM/PM』(河出書房新社 予価1728円)
9月21日刊 フィリップ・K・ディック『去年を待ちながら 新訳版』(ハヤカワ文庫SF 予価1123円)
9月21日刊 G・K・チェスタトン『ブラウン神父の醜聞 新版』(創元推理文庫 予価799円)
9月23日刊 木犀あこ『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』(角川ホラー文庫 予価562円)
9月23日刊 名梁和泉『二階の王』(角川ホラー文庫 予価821円)
9月25日刊 『ミステリマガジン11月号 幻想と怪奇 ノベル×コミック×ムービー』(早川書房 1296円)
9月29日刊 柳下毅一郎監修『J・G・バラード短編全集4』(東京創元社 予価3888円)

9月下旬発売 創元推理文庫・SF文庫 復刊フェア
ウィリアム・アイリッシュ『黒いカーテン』
F・W・クロフツ『チョールフォント荘の恐怖』
エリザベス・フェラーズ『猿来たりなば』
マーガレット・ミラー『殺す風』
ルース・レンデル『死が二人を別つまで』
中野善夫・吉村満美子編訳『怪奇礼讃』
平井呈一『真夜中の檻』
ロバート・A・ハインライン『宇宙の呼び声』
エドガー・R・バローズ『時間に忘れられた国』
ジェイムズ・P・ホーガン『仮想空間計画』


 『ナイトランド・クォータリー』最新号は、ゴースト・ハンターものの特集。翻訳は、グリン・オーウェン・バーラス、カイトリン・R・キアナン、アラン・バクスター、H・S・ホワイトヘッド、キム・ニューマン、シーベリー・クインらの作品を収録とのこと。

 鼓直編『ラテンアメリカ怪談集 新装版』は、1990年代初めに出ていた河出文庫の怪談集シリーズ、ラテンアメリカ編の新装版。「怪談」というよりは、奇想にあふれた異色短篇集といった趣のアンソロジーで、何より「お話」が面白いのが魅力です。
 収録作品を挙げておきます。

レオポルド・ルゴネス『火の雨』
オラシオ・キローガ『彼方で』
ホルヘ・ルイス・ボルヘス『円環の廃墟』
M・A・アストゥリアス『リダ・サルの鏡』
シルビナ・オカンポ『ポルフィリア・ベルナルの日記』
マヌエル・ムヒカ=ライネス『吸血鬼』
エンリケ・アンデルソン=インベル『魔法の書』
ホセ・レサマ=リマ『断頭遊戯』
フリオ・コルタサル『奪われた屋敷』
オクタビオ・パス『波と暮らして』
アドルフォ・ビオイ=カサレス『大空の陰謀』
アウグスト・モンテローソ『ミスター・テイラー』
エクトル・アドルフォ・ムレーナ『騎兵大佐』
カルロス・フェンテス『トラクトカツィネ』
フリオ・ラモン・リベイロ『ジャカランダ』

 この怪談集シリーズ、他にいろいろな国のものがあり、どれも特色のあるアンソロジーでした。このシリーズについては、昔書いた簡単な紹介を載せておきます。

「怪談集」とはいうけれど…  -河出文庫『怪談集』シリーズ-

 スティーヴン・キング『死の舞踏』は、キングが影響を受けたホラー作品について語った大部の評論書。小説作品だけでなく、ラジオドラマやテレビ、映画などへの言及が非常に多いのが特徴ですね。
 何度か復刊されていますが、今回は「2010年版へのまえがき」が新たに付くとのことです。

 木犀あこ『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』は、第24回日本ホラー小説大賞・優秀賞受賞作品。「新人ホラー作家の熊野惣介は、毒舌担当編集者・善知鳥と小説のネタ探しのため心霊スポットを巡るなかで、奇妙な音を出す霊と遭遇し――。霊の見える作家と見えない編集者が「究極のホラー小説」を目指す!」という話だそうで、気になる作品です。

 名梁和泉『二階の王』は、引きこもりをめぐる家庭内の不和が世界の危機につながっていくという、何とも奇妙なテーマの作品で、なかなか面白い作品でした。2015年度刊行作品の文庫化ですが、オススメしておきます。

 今年も、創元推理文庫・SF文庫の復刊フェアの季節になりました。お勧めは、中野善夫・吉村満美子編訳『怪奇礼讃』と平井呈一『真夜中の檻』でしょうか。
 『怪奇礼讃』は、クラシカルなゴースト・ストーリーのアンソロジー。この本でしか読めない作品が多数収録されています。
 『真夜中の檻』は、怪奇小説の名訳者、平井呈一の創作とエッセイを集めた本です。『怪奇小説傑作集』の愛読者だった人なら、必読でしょう。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

忌まわしき祭礼  トマス・トライオン『悪魔の収穫祭』
悪魔の収穫祭〈上〉 (角川文庫)悪魔の収穫祭〈下〉 (角川文庫)
 広告会社の重役ネッドは仕事に疲れ、たまたま見つけた田舎の村コーンウォール・クームに、妻と娘とともに移住することになります。牧歌的と見えた村の生活ですが、やがてそこに住む人々は因習に囚われており、文明の利器に対しても否定的だということがわかってきます。
 村には、村人たちの主な生業である、とうもろこしに関する収穫祭があり、その祭りでは「とうもろこし王」と「とうもろこし姫」が決められます。「とうもろこし王」に選ばれれば、いろいろな恩恵を受けられるというのです。しかし前回の「とうもろこし王」は事故で死んでおり、その婚約者も自殺しているといいます。不審に思ったネッドは、情報を得ようと、村人たちから話を聞こうとしますが、なぜか人々ははっきりとした話をしてくれません…。

 トマス・トライオン『悪魔の収穫祭』(広瀬順弘訳 角川ホラー文庫)は、閉鎖的な村を舞台にじわじわと恐怖を盛り上げてゆく、モダンホラー作品です。
 作品の前半は、主人公ネッドたちが暮らす村の生活と人々との交流が描かれます。劇的な事件は起こらないものの、村全体が非常に保守的で閉鎖的だということが詳細に描写されていくのです。医者や警察といった公権力はまともに働いておらず、人々は昔から変わらない農業に従事しています。農業にトラクターを導入することさえ反対するという保守的な村人たち。
 医者のいないこの村では、ウィドー・フォーチュンと呼ばれる年配の女性が、医療や祭事をとりしきっています。ウィドー・フォーチュンが、喘息で死にかけた主人公の娘の命を助けたことから、妻と娘は村に溶け込んでいきます。
 隣人の女性との浮気めいた話をきっかけに、夫婦の信頼感も崩れていくなか、ネッドは村やその祭事に不信感を持ち、過去の事件の聞き込みを始めます。前回の「とうもろこし王」はどのように死んだのか? 「とうもろこし姫」はなぜ自殺に追い込まれたのか?
 やがて村に伝わる祭事のいまわしい秘密が明らかになっていくのです。

 1973年の作品なのですが、正直、村の秘密や祭事の真相は、現代の読者からすると、それほど強烈なものではありません。ただ、表面上、木訥で親切に見えた村人たちの本心がわかる後半の不気味さは比類がありません。村人たちの間の反目や対立などが、実際は目に見えていた通りではなく、まるで違っていたことがわかるのです。
 序盤から散りばめられた細かな伏線が、結末に至って結びつくという、練られた構成であり、完成度の非常に高い恐怖小説です。

 ちなみに、作者のトマス・トライオン(1926-1991)は元俳優で、何冊かの著作を残しました。邦訳されている中でホラーに属する作品は、この『悪魔の収穫祭』の他にもう一冊『悪を呼ぶ少年』(深町眞理子訳 角川文庫)があります。こちらもかなりの傑作です。

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怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会 参加者募集です
 2017年8月27日(日曜日)に「怪奇幻想読書倶楽部 第8回読書会」を開催いたします。若干名の参加メンバーを募集しますので、参加したい方がおられたら、連絡をいただきたいと思います。
 連絡いただきましたら、改めて詳細をメールにてお送りいたします。

お問い合わせは、下記アドレスまでお願いいたします。
kimyonasekai@amail.plala.or.jp


開催日:2017年8月27日(日曜日)
開 始:午後13:30
終 了:午後17:30
場 所:JR巣鴨駅周辺のカフェ
参加費:1500円(予定)
テーマ
第1部:世界の終わりの物語
第2部:リチャード・マシスンの世界

※「怪奇幻想読書倶楽部」は、怪奇小説、幻想文学およびファンタスティックな作品(主に翻訳もの)についてのフリートークの読書会です。
※個人の発表やプレゼンなどはありません。話したい人が話してもらい、聴きたいだけの人は聴いているだけでも構いません。
※基本的には、オフ会のような雰囲気の会ですので、人見知りの方でも、安心して参加できると思います。

第1部のテーマは「世界の終わりの物語」。様々な要因により破滅を迎えた世界についての物語を集めてみたいと思います。
 例えば、寿命を迎えた地球を描くH・G・ウェルズ『タイムマシン』やW・H・ホジスン『ナイトランド』、人類がほぼ吸血鬼になってしまった世界を描くリチャード・マシスン『アイ・アム・レジェンド』、人間が結晶化してゆく世界を描いたJ・G・バラード『結晶世界』、植物に襲われる世界を描いたジョン・ウィンダム『トリフィド時代』、山椒魚によって人類が滅亡するカレル・チャペック『山椒魚戦争』など。
 滅んだ世界、あるいは滅びつつある世界で人間はどう考え、どう生きるのか? 終わりを迎えた世界についての物語の魅力とは何なのかを考えてみたいと思います。

 第2部は「リチャード・マシスンの世界」。アメリカの作家リチャード・マシスン(1926-2013)の作品群を見ていきたいと思います。
 ジョージ・A・ロメロのゾンビ映画の原型となった『アイ・アム・レジェンド』、幽霊屋敷ものの新機軸『地獄の家』、ノスタルジック・ファンタジーの名作『ある日どこかで』、縮み続ける男を描いたSF作品『縮みゆく人間』など、エンターテインメントの歴史に名を残す名作長編のほか、『13のショック』『激突』『不思議の森のアリス』『運命のボタン』などの短篇集には、ホラー・SFの名短篇が多く収められています。
 また、オムニバス・ドラマシリーズ《トワイライトゾーン》で脚本を手がけたほか、映画の脚本、自作の映画化など、映像分野でも多くの仕事を残しています。
 小説・映像の分野で大きな軌跡を残したマシスンの作品について、話し合いたいと思います。

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学



プロフィール

kazuou

Author:kazuou
男性。本好き。短編好き。異色作家好き。怪奇小説好き。
怪奇幻想小説の読書会「怪奇幻想読書倶楽部」主宰。
主に翻訳小説を紹介していますが、たまに映像作品をとりあげることもあります。
記事の新旧に関わらず、コメント・トラックバックは歓迎しています。



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